ホンダの中国事業:乗用車シェア目標8~10%、生産能力は2015年以降125万台超へ
2014年までにEV/HV生産開始、乗用車販売目標は2015年120万台超
2013/04/18
- 要 約
- 乗用車生産体制拡充: 2013年に増城新工場着工、2015年以降合計125万台規模へ
- パワートレイン生産体制:年産能力は現行の78万基から2014年には94万基に拡大
- 省エネ/電動車事業:2015年までにエンジンは新世代機種に刷新、EV/HV現地生産へ
- (参考) ホンダ: 中国における乗用車の工場別モデル別販売実績と計画
要 約
ホンダは中国における生産・販売への投資と中国専用車の投入が、他社とりわけ欧米韓メーカーに遅れをとっているといわれている。ホンダは中国事業の中長期戦略を2012年4月に発表してから一年経過したが、中長期の乗用車シェア目標8~10% と、2015年120万台超の (乗用車) 販売目標を堅持する方針を表明している (MarkLines が2013年4月実施した単独調査で判明)。
2013年から2015年までの3年間で、EV/HVを含む新型車10車種以上を投入することに加えて、搭載エンジンを全て次世代型"Earth Dreams Technology"を採用したものに刷新するなど、中国市販モデルラインナップの強化を推進する。
商品ラインナップ強化に伴い生産面では、華中地域の武漢工場を増強、華南地域の広州郊外の増城工場構内に乗用車の新工場(新ライン)を建設する。ホンダの中国完成車年産能力を、現行87万台から2014年には110万台規模、2015年以降は125万台超、2020年はさらに150万台規模に拡大していく。
エンジン生産では、既存エンジン工場の増設に加えて、2013年には広汽ホンダの増城工場でも新エンジン工場の建設に着工する。エンジンの年産能力を現行の78万基規模から、2014年に94万基規模、2020年はさらに148万基規模に拡張するとされている。
関連レポート:
・ホンダの中期戦略(2):2014年以降北米からの輸出が20万台規模へ (2012年12月27日掲載)
・ホンダの中期戦略(1):次期型フィットを世界6地域で同時開発 (2012年12月14日掲載)
ホンダ:中国事業の中期販売戦略の骨子
詳細 | ||
---|---|---|
販売戦略 | ・既存のサービス品質向上の方針を堅持するのに加えて、顧客満足度向上に注力。 中古車販売からの買い替えなどに対応し、顧客層の拡大を図る。 ・モデル戦略として、2015年までに、特に新型 Fit シリーズの拡販に注力。 ・内陸部の都市を中心に販売店舗 (注1) を増設、販売網を拡充していく。 |
|
販売目標 | ・市場シェアの中長期目標: 中国乗用車市場で8~10% ・台数目標: 2013年75万台超 (輸入車を含む)、 2015年 120万台超 (輸入車を含まない) |
|
東風ホンダ (輸入車を含まず) |
・台数目標: 2013年 34万台 2015年 50万台 (内、Civic シリーズ 20万台、思銘シリーズ 20万台、他 10万台) |
|
広汽ホンダ (輸入車を含まず) |
・台数目標: 2013年 40万台、2015年 70万台超、2020年 100万台。 | |
本田汽車 (中国) からの輸出) |
・台数目標: 2014年 約 5万台 (全量輸出) | |
Acura輸入専売 | ・台数目標: 2013年 4,000台 (輸入販売実績は2011年約4,000台、2012年約 2,300台)、 2015年 約 1万台。 |
|
モデル計画 | ▽ミドルクラス中型車/SUVを中心としたこれまでのモデル戦略を、小型車/ハイブリッド仕様に重点をおいた戦略に変更する。 | |
・2013年~2015年: フルモデルチェンジと新規車種と、合計10車種以上を投入。 うち、既存モデルに少ない小排気量の中国専用小型車合計2車種と HV を含む。 |
||
・2015年末までに、 Honda/Acura ブランド現地販売車全てのエンジンを、新世代エンジンに刷新する。 | ||
広汽ホンダ (Honda/理念ブランド) |
▽毎年に新型 2車種以上を発売するなど、新車投入を強化。 | |
・2013年~2015年: フルモデルチェンジと新規車種合計8車種投入。但し、理念ブランドの電動車モデルの投入計画はない。 うち、2013年には、9代目 Accord、Concept Cベースの量産車 (ミドルクラス)、理念SUVの生産・販売を開始。7月前後には、EV (Fit EV) 生産ができる体制を整備。 |
||
東風ホンダ (Honda/思銘ブランド) |
▽CR-V とCivic と二つのプラットフォームを、中国における戦略的プラットフォームとして、その派生車種を追加するなど、重点的に車種ラインナップを充実していく方針。 | |
・2015年までに、年間販売10万台規模を有する人気車 3車種を含む、合計8車種のラインナップを構築。軽量化技術を駆使して車体の構造改良を行う。 | ||
2013年: 主に、既存車種をもとにして、マーケティング/サービス/販売網などの改善に注力。Concept S をベースにした、Hondaの世界戦略車を世界に先駆けて生産販売を開始 (今後、ハイブリッド仕様モデルを追加投入する計画もある)。 2014年: HV の生産を開始。 |
||
Acuraブランド (輸入販売) |
▽現地販売車のラインナップを強化 (2013年2月時点、現地生産計画はないと表明)。 2013年以降は、中国で需要が高い小排気量エンジン搭載モデルを順次投入。 | |
・2012年: ILX (小型ハイブリッドセダン)/RDX (中型 SUV) を発売。 ・2013年: 旗艦車種 RLXを発売。 ・2014年以降: 高性能・高出力なハイブリッドシステム "Sport Hybrid SH-AWD" (注2) を搭載する新型 NSXを発売。 |
資料: 2012年4月10日/2012年11月22日などのホンダ発表、MarkLines独自調査、各紙報道などより作成。 | |
注1. | 2013年3月時点、ホンダの中国における「4S」販売店舗/専売店数は合計約 860店舗。その内訳は、広汽ホンダ系 470店舗、東風ホンダ系 354店舗 (2012年6月時点332店舗)、Acura専売店 約35店舗。なお、Acura専売店について、2012年末までに 50店舗に増やす計画であったが、2012年に6店舗減った。 「4S」販売店舗は、Sales (完成車販売)/Service (アフターサービス)/Spare parts (部品供給)/Survey (情報フィードバック)といった4機能を有する販売代理店を指す。 |
注2. | SH-AWD は "Super Handling All Wheel Drive"の略語。 |
このレポートは有料会員限定です。 残り 4 章
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。