日本の車載用リチウムイオン電池メーカー:トヨタが年20万台分を生産

日産は英米で生産を開始、GSユアサとBoschが次世代技術を共同開発

2013/10/25

要 約

ブルーエナジーがホンダAccord PHVに供給する容量6.7kWhのリチウムイオン電池パック
ブルーエナジーがホンダAccord PHVに供給する
容量6.7kWhのリチウムイオン電池パック

以下は、日本の電池メーカーの、ここ1年間を中心とした車載用リチウムイオン電池の開発・生産・供給状況の概要である。

 リチウムイオン電池を大量に搭載するEV(Electric vehicle)においては、日産と三菱自動車が先行しており、両社がそれぞれ出資する電池メーカー、オートモーティブエナジーサプライとリチウムエナジージャパンが日本の車載用リチウムイオン電池の過半を供給している。EVの販売は両自動車メーカーが期待したレベルに達していないが、日産は英米でリチウムイオン電池の生産を開始し、販売価格を下げてEVの本格的普及を目指している。

 一方HV (Hybrid vehicle)については、これまでトヨタ車とホンダ車が搭載していたニッケル水素電池に替わり、リチウムイオン電池搭載車が拡大している。

 トヨタ/PEVE(プライムアースEVエナジー)は、2015年にPriusクラスのHV 20万台分(現状比約 6倍)の年間生産能力を構築する。ホンダにリチウムイオン電池を供給するブルーエナジーは、生産能力を2013年3月期400万セルから2016年3月期2,500万セルに拡大する。

 パナソニックは、Tesla Motors、Fordなど海外メーカーへの納入が好調で、国内3工場を強化して増産する。

 GSユアサの2013~2015年度中期計画によると、今後先進国での燃費規制が加速し、リチウムイオン電池を搭載する環境対応車の普及が本格化する。それに伴い電池メーカーも海外メーカーを交えた熾烈なグローバル競争へ突入するとしている。

 また、GSユアサBoschは次世代リチウムイオン電池の共同開発で合意した。2018年をめどに現状の2倍の航続距離を実現し、激化する競争で優位を目指す。

 なお、減速エネルギー回生において鉛蓄電池を補完する電気二重層キャパシタの採用が拡大しており、合わせて報告する。
 

関連レポート:
トヨタのHV/EV計画:新規HVを積極投入し、更にラインアップを拡充(2013年9月掲載)
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トヨタ/PEVE:リチウムイオン電池年産20万台体制を構築

 トヨタ/PEVE(プライムアースEVエナジー)は、既に年間HV 120万台分の電池生産能力を構築しているが、そのうちリチウムイオン電池については年HV 3.6万台分にとどまっている。PEVEは、リチウムイオン電池の生産能力をHV換算で年20万台分に増強し2015年に生産を開始する。

 また中国で、ニッケル水素電池を合弁生産すると発表した。トヨタが2015年にも現地一貫生産するHVに搭載する。

 なお、トヨタとBMWは、長期的な戦略的協業関係構築の一環として、2012年3月から次世代リチウムイオン電池技術に関する共同研究を開始、さらに2013年1月、その第2フェーズとしてポストリチウム電池であるリチウム空気電池技術の共同開発を開始すると発表した。

トヨタ/PEVE:2015年にリチウムイオン電池生産能力をHV年20万台分に増強

 トヨタ/PEVEは、リチウムイオン電池をトヨタの貞宝工場で生産し、Priusα 7人乗り車とPrius PHVに供給している。生産能力は年36,000台分。新たにPEVEの大森工場(静岡県湖西市)に新設備を導入し、リチウムイオン電池の年産能力を20万台分に増強、2015年4月から生産する。まず次期型Priusに搭載するとされている。
 PEVEの生産能力は、ニッケル水素電池とリチウムイオン電池を合わせて年120万台分。2012年度と2013年度はフル生産の状態で、増産する場合、ニッケル水素電池ならば宮城工場、リチウムイオン電池ならば大森工場に新ラインを構築するとしていた。

(注)PEVE(プライムアースEVエナジー株式会社)は、トヨタが80.5%、残り19.5%をパナソニックが出資する。

トヨタ:中国でHV用ニッケル水素電池を合弁生産
 2013年5月、トヨタと中国の電池メーカー「湖南科力遠新能源(Hunan Corum New Energy Co., Ltd.)」は、車載用ニッケル水素電池を生産する合弁会社を設立すると発表した。合弁会社には、日本側と中国側が折半出資。総投資額は156億円。トヨタが2015年にも現地生産を開始するHVに供給する。科力遠社は、2011年にパナソニックから茅ヶ崎市にある車載用ニッケル水素電池工場を買収したメーカーで、ニッケル水素電池生産の経験がある。
 中国政府は、海外自動車メーカーがHV/EVを現地生産する場合、電池、モーター、制御装置のうち少なくとも一つを中国で合弁生産するよう求めている。
 PEVEは、正極材、負極材、電解液などのサンプルを中国のサプライヤーから取り寄せ、現地調達する材料・部品の評価を開始した。現地企業で要求性能を満たすことができなければ、日本のサプライヤーに進出を要請することも検討する。また生産ラインの設計も、日本の安全性や信頼性の基準を満たす自動化したラインとする方針。

 

 



日産:英米でリチウムイオン電池を生産、電池の保証制度を拡充

 日産とNECが出資して設立したオートモーティブエナジーサプライは、日本の座間事業所において、EV Leaf用およびFuga/Cima/Infiniti Q50 HV用リチウムイオン電池を生産している。さらに日産は、2012年末から英国・米国でリチウムイオン電池の生産を開始した。日産は両国でLeaf車両も生産し、これを機にEVの普及を加速したい考え。

 その販促策の一環として、日産は電池の保証制度を拡充した。5年6万マイルまでの電池容量保証、8年10万マイルまでの製造上の欠陥に対する保証に加え、2014年から新品の電池パックへの交換を保証する制度をスタートさせる。

日産:リチウムイオン電池を英国と米国で生産

英国  日産は、2012年末から英国のSunderland工場でリチムイオン電池の生産を開始した。最大でLeaf年6万台分の生産が可能で、2013年3月に同工場で生産開始したLeafおよびその他欧州でのRenault-日産の電池需要に対応する。
米国  日産は、2012年12月、米国Smyrna工場でリチウムイオン電池の生産を開始した。2013年1月に同工場で生産を開始した日産Leafに供給する。リチウムイオン電池は、生産量を最大Leaf 年20万台分まで拡大することが可能。また、Leaf以外のEV/HVにも搭載することができる。
 日産は、Leafと電池生産に、想定する最大能力まで構築すると17億ドルを投資する計画。また米国エネルギー省から、最大14億ドルの融資を受ける予定。
(注) 1. Renault-日産は、日英米に続きフランス、ポルトガルでもリチウムイオン電池を生産し、世界でLeaf 50万台分の能力を構築する予定であったが、フランスとポルトガルでの生産は凍結した。
2. 日産は、2013年から米国Decherdパワートレイン工場でLeafに搭載するモーターの生産も開始した。

 

日産:リチウムイオン電池の保証制度を拡充
米国  日産は、5年または走行6万マイルまで、充電可能量が設定された12段階の9段階(約70%)以下に落ちた場合、無償で修理するサービスを提供している。また、製造上の欠陥による場合は、8年10万マイルまで保証する。
 日産は、さらにLeafオーナーが毎月100ドルを支払うことにより、保証期間経過後であっても新品の電池パックに交換するサービスを2014年前半に開始すると米国で発表した。Leaf中古車を購入したオーナーも、技術的な対応が可能な限りこの制度を利用できる(細部の条件や米国以外の地域での実施などの詳細は別途発表する)。
 リチウムイオン電池の技術は日々進歩しており、Leafオーナーはこの制度により最新技術を取り入れた電池に交換することができる。またこの制度は、欧州では日産Leafを含め大半のEVの販売において、電池を車両とは別体系のリース販売していることも考慮して設計した。
日本  日産は2013年5月、日本国内において、5年または10万kmの範囲内で、電池容量が初期設定12段階の9段階を割り込んだ場合、無償で電池を修理または交換するサービスを開始した。

(注)日産は、大前提として、「Leafが搭載するリチウムイオン電池は、5年使用後も初期の充電可能容量の80%を維持する」としている。従ってLeafオーナーの大部分は上記のサービスを必要としないと考えるが、EVへの安心感(peace of mind)を提供するものだとしている。

 

 



日立ビークルエナジー:米国で生産する日産の前輪駆動HVに供給

 日立ビークルエナジーは、2012年11月に日立オートモティブシステムズの米国ケンタッキー州Harrodsburg工場に、リチウムイオン電池モジュール生産ラインを立ち上げた。2011年からGMのマイルドハイブリッドシステムである"eAssist"を搭載するBuick LaCrosse/Regal、2012年からChevrolet Malibu Ecoに第3世代のリチムイオン電池(重量出力密度3,000W/kg)を供給している。

 さらに重量出力密度を4,500W/kgに高めた第4世代リチウムイオン電池を開発し、日産が2013年から米国Smyrna工場で生産するNissan PathfinderとInfiniti QX60の前輪駆動HVに供給を開始したと報道されている。日産は、2012年末からSmyrna工場でLeafに搭載するリチムイオン電池を生産しているが、調達先を分散しコスト削減とリスク分散につなげる方針とされる。

 日立ビークルエナジーは、容量を30Ah、エネルギー密度を130Wh/kgに高めたPHV/EV用リチウムイオン電池も開発した(上記の第4世代電池では4.8Ah、72Wh/kg)。

 

 



リチウムエナジージャパン:三菱i-MiEVとOutlander PHVに供給

 リチウムエナジージャパンは、GSユアサ(51%出資)、三菱自動車、三菱商事の3社が2007年に設立した。三菱i-MiEV/MINICAB MiEVやOutlander PHVにリチウムイオン電池を供給している。

 2013年春には、草津、京都、栗東の3工場に三菱i-MiEV台数換算で約15万台分の設備を構築した。しかし2012年の三菱i-MiEVと商用車MINICAB MiEVの国内販売台数は5,000台弱であり、工場稼働率は低迷し、リチウムエナジージャパンは生産を栗東工場に集約する。三菱自以外の自動車メーカーからも受注を獲得し、栗東工場のフル操業を目指している。

 なお、三菱Outlander PHVは、電池の不具合が発生し、2013年3月末から8月中旬まで生産を止めた。しかし優れた環境性能から受注は順調で、生産再開後リチウムイオン電池生産ラインも高い稼働率を維持しているとされる。

リチウムエナジージャパン:生産能力を調整

 リチウムエナジージャパンは、2007年の設立以来三菱グループが支援して800億円強を投資し、2013年春には草津工場(三菱i-MiEV 6,800台分)、京都工場(11,000台分)、栗東工場(第1期と第2期を併せて125,000台分)、合計でi-MiEV約15万台分の生産能力を構築した。
 しかし2012年度に、i-MiEV向け電池の出荷が大幅に減少。リチウムエナジージャパンは栗東工場に生産を集約することとし、2012年度第4四半期に、京都工場と草津工場の生産設備について減損処理(27億円)を行った。
 当該資産はGSユアサが買取り、ハイブリッド鉄道車両用など産業用リチウムイオン電池の生産に活用する。

 

 



ブルーエナジー:Accord HV/PHVに新製品を供給

 ブルーエナジーは、GSユアサが51%、ホンダが49%出資して2009年に設立し、2011年2月に車載用リチウムイオン電池の生産を開始した。ホンダCivic HV、CR-Z、に続いて、ホンダが2013年に発売した3タイプのHV/PHVにリチウムイオン電池を供給する。Accord PHVに大容量化と高出力化をバランスさせた新製品「EH19」、Accord HVに従来品と同サイズでありながら出力性能を大幅に向上させ耐久性も向上させた新製品「EH5」を供給している。ホンダが9月に発売したFit HV、年内に米国で発売する3モーターシステムを搭載するAcura RLXにもリチウムイオン電池を供給する。

 ブルーエナジーは、ホンダのリチウムイオン電池搭載車拡大に対応し、生産能力を2013年3月期の400万セルから2016年3月期2,500万セルに引き上げる計画。2014年3月期に単年度黒字化し、2016年3月期に累損を一掃する予定。

 現在ホンダ車が搭載するリチウムイオン電池は、Fit EVが搭載する東芝製SCiBを除き全てブルーエナジー製。しかし2013年9月23日付Automotive Newsによると、ホンダは第2の電池サプライヤーを探している。サプライヤー間での競争原理の導入のため、また品質問題や自然災害で供給が止まった場合のバックアップとして必要で、今後1年以内に決定したいとしている。

 

GSユアサの中期計画:2016年3月期に連結売上高600億円を目指す

 GSユアサは、連結子会社であるリチウムエナジージャパンとブルーエナジーを含む3年間の中期計画を発表した。2013年3月期、リチウムイオン電池部門では、i-MiEVへのリチウムイオン電池売上が減少し、また60億円の減価償却費を計上したため、売上高106億円、営業赤字112億円という厳しい結果となったが、2016年3月期に売上高を600億円に拡大し、営業黒字化する計画。

GSユアサのセグメント別実績と計画

(億円)
実績 計画
2012年3月期 2013年3月期 2014年3月期 2015年3月期 2016年3月期
リチウムイオン
電池
売上高 210 106 280 500 600
営業利益 (33) (112) (75) (10) 10
国内自動車電池 売上高 588 556 590 610 620
営業利益 43 39 40 50 65
連結(その他の
事業を含む)
売上高 2,854 2,745 3,500 4,000 4,500
営業利益 160 98 160 280 360
資料:GSユアサの第三次中期経営計画発表資料(2013.7.31)
(注) 1. リチウムイオン電池事業は、GSユアサの連結子会社である「リチウムエナジージャパン」と「ブルーエナジー」2社分を含む。
2. 2012年度、リチウムエナジージャパンは60億円の減価償却費を計上した。
3. 国内自動車電池事業は、主に鉛蓄電池事業。GSユアサは、自動車用電池出荷台数で既にナンバーワン。重点市場として、HV用補機電池やアイドリングストップ車用電池を拡販し、2015年度に900万個を販売し、40%の圧倒的シェアNo.1を目指す。

 

 



GSユアサ:Boschと次世代リチウムイオン電池を共同開発

 2013年6月、GSユアサ、三菱商事とBoschは、次世代リチウムイオン電池を共同開発すると発表した。3社は、1回の充電による走行距離を2倍にしたリチウムイオン電池の開発を目指す。2018年までに商品化し、2020年以降環境規制が強化され、EV/PHVがさらに普及する段階で市場をリードすることを目指している。

 Boschは、Samsung SDIとの合弁会社SB Limotiveを解消したため、今後各国・地域での環境規制の強化を睨んで足がかりを持ちたい分野であるとされる。またGSユアサにとっても、リチウムイオン事業を拡大していく上でBoschは最良のパートナーとされている。

GSユアサBoschが、次世代リチウムイオン電池を共同開発

 2013年6月、GSユアサ、三菱商事、Boschの3社は合弁会社を設立し(Boschが50%、日本の2社が各25%を出資)、共同で次世代リチウムイオン電池を開発すると発表した。3社は、電池のエネルギー蓄積容量を大幅に引き上げ、1回の充電により2倍の航続距離を実現するEV/PHV向けのリチウムイオン電池開発を目指す。
 合弁会社の本部をドイツのStuttgartに置き、2014年初めから業務を開始する。Boschは、電池パックの制御システムや車両への組み込みのノウハウを持ち、GSユアサはリチウムイオン電池について長年にわたりノウハウを蓄積している。三菱商事は、世界規模のネットワークを持ち、資源調達にも経験が深い。3社は、それぞれのノウハウを提供し、合弁事業に貢献する。
 開発や受注が順調に進めば、3社は18年をめどにリチウムイオン電池事業を統合する協議を開始するとされる。3社が日本や欧米に持つ生産子会社を統合し、欧州や中国で新工場を立ち上げることも検討する。

(注)Boschは、GSユアサが製造した、Boeing 787、三菱i-MiEV、Outlander PHVが搭載する電池の不具合については、製造過程やマネジメントの問題であり、リチウムイオン電池セルそのものの問題ではないと判断したと報道されている。

Bosch:Samsung SDIとの合弁事業を解消
 2012年9月、Boschは韓国のSamsung SDIとの合弁会社"SB LiMotive"の運営について意見が合わず、合弁を解消した。同時に、BoschはSB LiMotiveのドイツ子会社と米国の子会社を買い取った。また合弁会社傘下であった米国の電池メーカーCobasysもBoschが買い取った。Cobasysはニッケル水素電池の生産と、電池全般の制御システムに強く、今後の米国での電池事業の展開に重要な役割を果たすとしている。
 Samsung SDIは、Boschとの合弁会社SB LiMotiveを通して、BMW、Chryslerから受注を獲得している。

 

 



パナソニック:車載用リチウムイオン電池の生産体制を強化

 パナソニックの連結決算は、2011年度・2012年度続いて7,000億円を超える赤字を計上した。リチウムイオン電池事業も、中韓メーカーとの価格競争から2012年度は赤字と見られ、小型の民生用リチウムイオン電池を生産していた貝塚工場(大阪府)を2013年3月に閉鎖し、生産設備を2012年上半期に生産を開始した中国江蘇省の蘇州工場に移管するなど効率化を進めている。民生用は、中国生産比率を2012年度の3割から2013年度は5割に高める計画(蘇州工場を含む3工場で生産する)。

 しかし車載用途については、トヨタ(Prius PHV)、Ford(Fusion/C-Max)、Tesla Motors(Model S)、Audi(Q5)など5社10車種以上に採用が決定しており、「全方位戦略を積極的に展開」する方針。2013年度に200億円超を投資し、夏に角型タイプを生産する加西工場(兵庫県)で生産ラインを増設。また円筒形電池を生産する住之江工場(大阪府)は、販売好調なTesla MotorsのModel Sへの供給のためフル操業状態で、2014年初めに他工場の休眠ラインを移設し増強する。閉鎖した貝塚工場を2014年度中に再開し、車載用電池を生産する計画。

 リチウムイオン電池事業は、Model Sへの供給増加、東南アジアでの携帯電話基地局のバックアップ電源用需要の拡大、超円高の解消などで業績が好転し、2013年度は黒字転換するとされる。

 2015年度に、車載用リチウムイオン電池事業で1,300億円の売上を見込んでいる。

 

 



東芝:開発から生産までを柏崎工場に集約

 東芝は、長寿命で急速充電性能に優れるリチウムイオン電池SCiBを開発。車載用途では、ホンダのFit EV、三菱i-MiEV/Minicab MiEV(総電力量10.5kWh仕様)、スズキが2012年9月発売のWagon Rから搭載を開始した減速エネルギー回生機構「エネチャージ」に供給している。

 東芝は、現在より大容量の、または容量は同じだが体積の小さい高性能の電池を2015年以降に投入し、納入先を拡大する計画とされる。

 また、これまで長野県の佐久工場で開発・試作を、新潟県の柏崎工場で量産を担当してきたが、リチウムイオン電池事業を柏崎工場に集約して開発から生産まで一貫して行う体制とし、2013年3月に集約を完了した。車載用途、家庭用・産業用の蓄電池向けだけでなく、スマートグリッドなどで利用される電力貯蔵システム向けも視野に入れ、開発の効率化を図るとともに、需要急増にもタイムリーに対応できる体制を確立する。

 

 



TDK:北京汽車からEV 1,000台分のリチウムイオン電池を受注

 TDKは、2005年に中国・香港のアンペレックステクノロジー社(Amperex Technology)を買収し、同子会社が開発と生産を担当してスマートフォンなどのリチウムイオン電池事業に進出した。さらに車載用電池を開発し、中国の北京汽車から2013年度分としてEV 1,000台分のリチウムイオン電池を受注した。

 この分野で後発だが、グローバル規模で車載事業の柱の一つに育てる方針。

 

その他のリチウムイオン電池メーカー

 上記メーカーの他に、三菱重工、IHI、エリーパワー、村田製作所などが、車載用途リチウムイオン電池分野への進出を計画している。

 三菱重工は、定置用・移動体用の両方に適した電池MLiXを開発し、車載用途では自社製フォークリフトやEVバスに供給している。

 IHIは、米国のA123 Systemsと提携する。A123 Systemsは、BMW、GM、Mercedes-Benzなどに供給している。同社からセルの供給を受け、制御装置を組み合わせて自動車メーカーへの納入を目指す。

 エリーパワーは2012年6月に川崎市内に第2工場を竣工。住宅用電池では国内最大手で、車載用途への参入も目指してきた。2012年4月にスズキが出資し、車載用電池の共同開発を開始した。スズキは、2013年8月にこれまで進めてきたSwiftベースPHVの開発を休止したが、電動車両の要素技術の研究開発は継続するとされている。

 

 



日本ケミコン:キャパシタをマツダAxelaとホンダFitに供給

 キャパシタは、二次電池のような化学反応ではなく、電解液中のイオンの吸脱着により充放電を行うため、大量の電気を素早く充放電でき、繰り返し使っても劣化が少ないという特徴を持つ。蓄電容量が電池より少ないため、リチウムイオン電池または鉛蓄電池をキャパシタに置き換えることは困難だが、アイドリングストップ時またはスターター用の電気デバイスとして電池を補完する役割が期待されている。電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric double-layer capacitor)とリチウムイオンキャパシタがあり、それぞれ多くのメーカーがサンプルを提供するなど自動車メーカーに提案している。

 日本メーカーでは日本ケミコンが先行し、マツダが2012年11月に発売した新型Atenzaの減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」に、電気二重層キャパシタを供給している。

 さらに2013年秋に発売されたホンダの新型Fit、マツダの新型Axelaにも供給を開始した。

日本ケミコン:マツダとホンダに電気二重層キャパシタを供給

マツダ Atenza  マツダは、2012年11月に発売した新型Atenzaに、日本ケミコン製電気二重層キャパシタを採用した減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」を搭載した。回生した電力を、アイドリングストップ中にエアコンなど電装品の電力として供給することにより、従来エンジンによる発電で消費していた燃料を減らして、燃費を最大10%改善する。また必要に応じて鉛蓄電池に充電し、エンジンを再始動させる際にセルモーターを駆動する電力も供給する。鉛蓄電池への負担を軽減し、鉛蓄電池の寿命の延長にも貢献する。
マツダ Axela  マツダは、2013年秋から順次発売する新型Axelaシリーズにおいて、2000ccガソリンエンジンと2200ccディーゼルエンジン搭載車にアイドリングストップ(i-stop)と「i-ELOOP」を標準装備する。
ホンダ Fit  ホンダは、2013年9月に発売した新型Fitシリーズにおいて、全タイプにアイドリングストップを標準装備した。さらに1300ccエンジンにはアトキンソンサイクルを採用、またキャパシタをアイドリングストップ用の蓄電装置として搭載し、FF/CVT車はJC08モード走行26.0km/Lの低燃費を実現した。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>