メキシコ・ブラジルの日系部品メーカー:工場新設/生産能力拡充が続く
小糸製作所、新日鉄住金、ショーワ、豊田合成、日本精工、古河電工、ケーヒン、ヨロズなどの動向
2013/05/24
要 約
メキシコの2012年の自動車生産台数は前年比18%増の302万台とはじめて300万台の大台を超えた。販売台数は9.4%増の103万台、輸出台数は前年比9.9%増の236万台(大型バス・トラックを除く)と内外需が共に増加している。こうした中、日系完成車メーカー各社は新たな工場建設を進めており、合計の生産能力は2012年の約70万台から2014年に120万台超に拡大する見込みである。この他、2012年にはフォードによる完成車工場拡張やGMのトランスミッション工場の新設、両メーカーによる新車種の生産開始なども行われている(右地図のリンク先をご参考下さい)。
こうした動きに対応した、日系自動車部品メーカーによるメキシコへの新規進出や生産能力増強投資などが続いている。取引先については、特定の1社だけへの納入でなく、様々な形態が見られる。
ブラジルは、2012年の自動車販売台数が前年比4.7%増の380万台だったが、生産台数は前年比1.9%減の334万台で、完成車輸入も減少した。ブラジル政府は現地生産や自動車産業の高度化を 促進するために、2012年10月に新自動車政策のInovar-Autoで、政策に呼応するメーカーに自動車にかかる工業製品税率を軽減する措置を定め た。現在、現地生産している日米欧完成車メーカーは全てその対象として認可を得た。
日系部品メーカーのブラジルへの投資では、新規進出の動きが多く見られた。
以下は、メキシコ、ブラジルにおける日系部品メーカーの最近動向である(収録対象は、2013年5月中旬までの約9カ月間)。
メキシコでの新規工場設立
複数の日系メーカーに納入を計画 | 小糸製作所、椿本チエイン、日本精工、古河電工、三菱電機など |
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欧米メーカーにも納入を計画 | ケーヒン、ヨロズ、ユーシン:VWグループ向け、エフテック:GM向け |
メキシコでの生産能力拡充・事業体制強化
日産の増産計画に対応 | 河西工業、ジヤトコ、タチエスなど |
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複数の日系メーカーに納入 | 東海ゴム、西川ゴム、日本プラストなど |
メキシコを北米全体への供給拠点に位置づけ | キリウ、ショーワ、テイ・エステック、日本精工、日立化成など |
新たな事業拠点設立 | R&D拠点:日本化薬、事業統合の新会社:テイ・エステック、 販売会社:スタンレー電気 |
ブラジルでの新たな事業展開
日系完成車メーカーの生産能力増強に対応 | カルソニックカンセイ、タチエス、豊田合成、ヨロズなど |
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欧州メーカーへの納入も視野 | 鬼怒川ゴム、小糸製作所、住友ゴム、ユニプレスなど |
他業種への事業展開も計画 | 新日鉄住金、日東電工など |
関連レポート:日系部品メーカー動向レポート
タイ編 (2013 年2月)、ASEAN編 (2013 年2月)、欧州編 (2012年12月)、インド編 (2012年11月)、
メキシコ・ブラジル編 (2012年9月)、中国(華中地区/西南地区)編 (2012年7月)、中国(華南地区-広東省)編 (2012年7月)、
中国(華東地区)編 (2012年6月)、中国 (東北/華北地区)編 (2012年5月)、米国編 (2012年7月)、
メキシコ 生産拠点の構築:エフテック、ケーヒン、KYB、小糸製作所、ニッパツ、日本精工、古河電工、三菱電機、ユーシン、ユタカ技研などが新規進出
エフ・シー・シー:2013年度半ばには工場進出で結論
エフ・シー・シーは、将来的な米国3拠点の北米向け供給能力不足に備えて、ホンダが完成車の新工場を建設しているメキシコへの工場進出を検討している。その進出の結論を2013年度半ばには出すと報じられている。 |
エフテック:サスペンション部品の新工場ではGMの新モデル向けが主体
エフテックは、2012年にF&P MFG.DE MEXICO S.A. DE C.V.(Guanajuato州Irapuato市CIG工業団地)を設立。総投資額約2500万米ドルで工場を建設し、2014年7月からサスペンション部品のサブフレームやペダルなどの足回り部品を生産する予定。当面はGMの新モデル向けが主体だが、将来的にはホンダ向けの小物部品も生産する計画。2018年度のフル操業時に売上高約7900万米ドルを計画。 |
北川鉄工所:2013年7月にCVT用鋳鉄鋳物部品を生産開始
北川鉄工所は2012年8月に、KITAGAWA MEXICO S.A. de C.V (Aguascalientes州PILA工業団地)の工場建設を開始し、2013年7月からCVT用鋳鉄鋳物加工品を生産開始する予定。当面は日本から素材を送るが、2014年7月には鋳物の量産も開始し、素材から加工までの一貫生産体制にする。月産700~800トンの生産能力を持つ鋳造ラインを導入し、月間15万~16万個の部品を生産と報じられている。 |
ケーヒン:VWグループ向けエアコン部品も生産へ
ケーヒンは、2012年2月に設立したKEIHIN DE MEXICO S.A.DE C.V.(San Luis Potosi州)の工場を2013年7月に量産開始する予定だが、新たにVWグループ向けのカーエアコン用熱交換部品のコンデンサーの生産ラインを米国工場から移設する。同部品の年産能力を世界全体で2013年度に100万台増強する計画の一環で、メキシコ以外ではチェコ、中国の拠点でも増強を図る。 |
KYB:CVT用油圧ポンプの生産拠点設立、2014年9月生産開始
KYBは2013年2月、主要顧客のジヤトコの生産拡大に対応し、KYB Mexico S.A. de C.V.(Guanajuato州)を2012年10月に設立し、2014年9月にCVT用油圧ポンプの生産を開始すると発表。投資総額は54億円。まず、小、中型車向けCVT用ポンプを月産10万基規模でスタートする。日本、中国、タイに続く4つ目のCVT用ポンプの生産拠点。約6割の部品を現地進出した日系メーカーや地場企業から調達する考え。将来的には同敷地を利用した四輪用電動パワーステアリングや油圧緩衝器の生産も検討する。 |
小糸製作所:現地子会社設立、2014年7月にヘッドランプ、標識灯を生産開始
小糸製作所は、2012年12月にNorth American Lighting Mexico, S.A. de C.V.(San Luis Potosi州San Luis Potosi市)を設立。資本金は約10億円。約50億円を投じて工場を建設し、2014年7月から自動車用ヘッドランプと標識灯をそれぞれ年50万台分生産する計画。メキシコでの需要拡大に対応するほか、米子会社ノース・アメリカン・ライティング(NAL)との生産補完体制を構築する。数年かけて年100万台分まで引き上げる。新工場の立地は、受注活動を意識し日産、ホンダ、マツダの現地工場にアクセスしやすい地域を選定。 |
サンデン:カーエアコン部品生産の現地子会社設立、2013年4月から本格稼働
サンデンは、カーエアコン部品を生産するSanden Manufacturing Mexico SA de CV(Coahuila州Saltillo市)を設立し、2013年4月1日から工場が本格稼動。Sanden International (U.S.A.) Inc.(Texas州)が生産するカーエアコン用コンプレッサー向けに部品を供給するほか、南米の欧州自動車メーカー向けに可変容量タイプのコンプレッサーを供給する。米子会社向け部品は日本の自社工場で、南米向けコンプレッサーは日本、欧州で生産してきたが、メキシコ子会社に生産を移管し、納期短縮や為替リスクの軽減を目指す。 |
ショーワ:電動式パワーステアリング生産の新拠点設立
ショーワは、北米における電動式パワーステアリングの新拠点としてSHOWA AUTOPARTS MEXICO, S.A. de C.V.(Guanajuato州)を2013年3月に設立。土地購入および運転資金として2013年度に2000万ドルを投じて生産準備を行う。生産開始は2015年7月の予定。新工場では、同社として初めてデュアルピニオンEPSを生産し、北米向けに供給する。 |
スタンレー電気:車用ランプと電子部品の販売会社設立
スタンレー電気は、2013年4月に販売会社Stanley Electric Mexico S.A. de C.V.(Guanajuato州)を設立。資本金は1000万ペソ(約8千万円)。米国の工場で製造した自動車用ランプや電子部品を輸入し、メキシコに進出している日系や現地完成車メーカーに販売攻勢をかける。とくに、LEDを活用したヘッドランプやカーオーディオのパネルや日射センサー、ドアノブにつけるセンサーなどの販売を強化する。 |
大同メタル:北米向けエンジン用軸受生産をメキシコ新工場に集約
大同メタル工業は、2014年度までに北米向けに供給しているエンジン用軸受けの生産をDaido Metal Mexico S.A .de C. V.(Jalisco州)の工場に全面的に集約する。従来は、日本、チェコの工場から供給してきたが、安い労務費や為替変動の影響回避により競争力を高める。新工場は、2013年後半に操業開始予定。 |
椿本チエイン:製造子会社設立で供給体制強化、2014年1月の生産開始
椿本チエインは、2012年10月にTsubakimoto Automotive Mexico S. A. de C. V.(Guanajuato州Silao市)を設立。資本金は約7.8億円。投資額は今後5年間で約8億円を見込む。2014年1月に生産開始予定で、エンジン用タイミングチェーンドライブシステムを現地の複数の日系自動車メーカー向けに供給する。将来的には南米市場向けの生産拠点、グローバル部品調達基地としての機能も視野に入れている。ノックダウンで生産を始め、年産能力は2014年に36万台。2016年に110万台、2018年に160万台を計画。 |
TPR:メキシコ、ブラジルへの進出調査を開始
TPRは、メキシコとブラジルでの自動車メーカーのエンジン生産に対応した関連部品の現地生産を、5年後、10年後を見据えた検討課題として調査を始めている、と報じられている。 |
南条装備・ミドリ安全: マツダ向けのドア部品製造の共同出資会社設立
南条装備工業とミドリ安全は、2013年に共同出資会社Midori-Nanjo Auto Interior(仮称:San Luis Potosi州)をミドリ安全の工場内(同州)に設立して、ドア部品などを製造する計画。資本金はミドリ安全が51%、南条装備が49%を出資。生産開始は2014年1月予定で、マツダのメキシコ工場立ち上げ当初から「マツダ3」向けに供給する。将来的には、ミドリ安全を通じて他の自動車メーカーとの取引にもつなげ、2018年に23億円の売上高を目指す。 |
日信工業:ブレーキ部品等製造の新会社設立、2014年1月に量産開始
日信工業は、2012年11月にNissin Brake de Mexico,S.A.de C.V(Guanajuato州Irapuato市)を設立。2014年1月の量産開始予定。成長が見込まれるメキシコ生産車用のブレーキ部品、アルミニュウム製エンジンマウントなどを生産するほか、同社の米国工場が生産するブレーキ部品の一部を移管する。生産コストの低減や北米自由貿易協定を活用し、米国、カナダのホンダなどの日系自動車メーカーに供給する。 |
ニッパツ:初の現地法人を2013年8月に設立、懸架ばねを2015年に生産開始
ニッパツは2013年4月、自動車用懸架ばねの生産会社NHK SPRING MEXICO S.A.DE C.V(Guanajuato州)を2013年8月に設立すると発表。 同社は、米国の2つの子会社で自動車懸架ばねを生産しているが、今後、需要の拡大が予想されるメキシコ市場向けの生産能力が不足することに対応するもので、生産開始は2015年10月の予定。スタビライザーの生産から開始し、徐々に生産品目を増やす。 |
また、ニッパツの子会社トープラは2013年4月に、ねじとボルトを製造・販売する現地法人Topura Fastener de Mexico S.A. de C.V(仮称、Guanajuato州)を2013年6月に設立すると発表。上記のNHK SPRING MEXICO S.A.DE C.Vの敷地内に工場を建設する。生産開始は2015年4月の予定。 |
日本精工:自動車軸受等の新会社設立、2014年に工場稼働予定
日本精工は、2013年4月にNSK Bearings Manufacturing Mexico S.A. de C.V.(Guanajuato州Silao市)を設立。自動車軸受等の製品をメキシコを含む北米市場に供給する。北米の4工場と併せて軸受の生産を拡大し、為替変動に強い体質を構築する計画。コスト競争力の向上、最新鋭の生産自動化ラインの導入による高品質の実現を図るとしている。新工場の生産開始は2014年春の予定。投資金額は7000万ドル。2016年に約70億円の売上を計画。 |
日本バイリーン: フロアマット製造子会社が2013年3月に稼働
日本バイリーンは、2013年3月にVIAM Mexico S.A. de C.V.(Aguascalientes州エルヤノ市工業団地)の工場が稼働し、自動車用フロアマットを日系自動車メーカーに供給。同社は自動車用フロアマット事業で、日本、米国、中国、メキシコの世界4拠点体制でのグローバル展開を目指している。 |
古河電工: ワイヤーハーネスの子会社設立、操業開始は2014年1月予定
古河電工は2013年4月、Guanajuato州Acambaro市に自動車部品会社(会社名未定)を同年5月に設立し、新工場を2014年1月に操業開始する予定と発表。日系自動車メーカーのメキシコ進出・生産拡大に伴い、現地法人からワイヤーハーネスの受注が増加していることに対応。投資額は約12億円。2016年度に売上高約50億円を見込んでいる。南米や欧州市場への商圏拡大も目指す。また、新会社では古河電工が他拠点で手がけるエアバッグ部品やバッテリーセンサーなどの営業も担う。 |
ビヨンズ:変速機やエンジン部品の工場を新設、2015年3月に稼働
ビヨンズは2013年3月、Beyonz Mexicana(Aguascalientes州)を設立し、変速機やエンジン、サスペンションの部品を製造する工場を建設し、2015年3月に稼働すると発表。総投資額は35億円を見込む。まず変速機部品を生産し、順次エンジン部品、サスペンション部品を生産開始し、フル稼働は2019年3月期。メキシコを中心にNAFTA圏の日系自動車関連メーカーの現地工場に納入する。ビヨンズはこれまで日本と中国で生産した部品をメキシコに輸出していたが、現地生産することで取引先の要望などに対応しやすくする。 |
三菱電機:自動車機器の製造・販売会社設立、営業開始は2014年10月
三菱電機は、2013年3月にMitsubishi Electric Automotive de Mexico, S.A. de C.V.(Queretaro州)を設立。資本金は約30億円。工場を新設し、2014年10月にオルタネーター・スターター等の生産を開始する。北米や南米で日本および米国のメーカーからの受注規模拡大を図り、2017年度に売上高300億円を目指す。既存の米拠点と連携した生産能力の確保や生産拠点分散による米州での事業継続計画への対応につなげ、FTAを活かした供給拠点としても活用する考え。 |
武蔵精密:新会社の工場が2013年末に稼働
武蔵精密工業は、Musashi Auto Parts Mexico, S.A. de C.V.(San Luis Potosi市)の新工場を2013年末に稼働させる。足回り部品、エンジン部品、変速機部品へと生産品目を広げていく計画。北米全体では2014年に生産能力が不足してくるため、メキシコを活用してボリュームの増加に対応していく、と報じられている。 |
村田発條:クラッチ用ばね部品の生産子会社設立、新工場は2013年4月に稼働
村田発條は、2012年8月にMexico Murata Spring Cooperation(Aguascalientes州)を設立し、2013年4月から新工場を稼働させ、自動車のクラッチの緩衝材などとして使うばね部品を生産する。総投資額は約2億円で、土地と建物は賃借する。主要取引先の日本のクラッチメーカーの増産計画に合わせて現地で供給体制を確立するため、2014年末から15年末にかけて工場の床面積を2倍程度に広げる計画。2015年度で約500万ドルの売上高を見込んでいる。 |
モリテックスチール:自動車用部品生産の新会社設立、工場は2014年8月に稼働
モリテックスチールは、2013年3月にMolitec Steel Mexico, S.A. de C.V. (Aguascalientes州)を設立。資本金は約7.7億円。同社は現地で鋼材販売を行うのに加えて、新工場で自動車用部品を2014年8月に生産開始する。新工場は、ベトナム、タイに続く海外3番目の生産拠点。 |
ユーシン:新工場が2013年春に完成
ユーシンは、U-SHIN AUTOPARTS MEXICO,S.A. DE C.V.(Guanajuato州Irapuato市)の新工場が2013年春に完成する。マツダの新工場やVW工場などへの出荷や、閉鎖する米国工場(テネシー州)からの設備移管に加え、欧州メーカーなどからの受注が決まったことによる進出。ロックセット、ヒーターコントロール、パネル、ドアラッチ、スイッチ類などの生産を計画している。 |
ユタカ技研:新会社設立、工場は2014年1月の操業開始
ユタカ技研は、2012年3月にYUTAKA TECHNOLOGIES DE MEXICO S.A. DE C.V.(Guanajuato州)を設立。資本金は2700万ドル。ホンダの北米での増産に対応するもので、新工場は2014年1月の操業開始を目指している。2016年3月期に20万台分のトルクコンバーターやサイレンサーなどの排気系部品を生産する計画と報じられている。また、米国工場から手作業が多い加工工程の一部をメキシコ工場に移管し、集中生産してコストを低減する。 |
リケン:エンジン部品の新会社設立、操業開始は2014年7月予定
リケンは2012年11月、新会社のRIKEN MEXICO, S.A. DE C.V.(Aguascalientes州)設立を発表。資本金は約6億円。工場を新設して2014年7月の稼働を予定。総投資額は約17億円。稼働当初はエンジン用バルブリフターを生産し、需要動向を見ながら他の部品も検討していく。拡大が期待されるメキシコ自動車市場への対応と新規受注の拡大を図る。 |
メキシコ 生産能力の増強、事業体制の強化: 河西工業、キリウ、三桜工業、ジヤトコ、テイ・エステック、デンソー、豊田通商、日本化薬、ハイレックス、ヨロズなど
アーレスティ:鋳造棟、機械加工棟、金型工場を増築
アーレスティは2012年10月、Ahresty Mexicana, S. A. de C .V(Zacatecas州Guadalupe市) の鋳造棟と加工棟の増築工事が竣工したと発表。鋳造棟はダイカストマシンが17台あり、2013年初頭にかけさらに4台を設置する。機械加工ラインは22ラインで、今後3ラインを増設する。また、金型工場では金型メンテナンスエリアと金型製作エリアの一体化を図るため、2012年12月中旬までに2倍の2800平方メートルに増築。 |
河西工業:第2工場を建設し、2014年1月にフル生産
河西工業は、メキシコでの日産の増産計画に合わせて、Kasai Mexicana, S. A. de C .V(Guanajuato州Leon市)の既存工場の隣接地に第2工場を建設し、自動車用内装部品を増産する。投資額は約27億円。2014年1月にフル生産に入る予定。メキシコでの2015年の売上高は、2012年の2倍の約30億円を計画。 |
キリウ:第3鋳造工場と機械加工工場を増設、2014年9月の稼働を予定
キリウは2013年3月、KIRIU MEXICANA S.A. DE C.V.(MEXICO州LERMA市)の生産能力増強を発表。同社はフル稼働の状態にあり、新たに取得した隣接地に第3鋳造工場と機械加工工場を増設し、ブレーキディスク、ブレーキドラムなどの生産能力を現在の月5000トンから5割増の7500トンに引き上げる。2014年9月の稼働を予定し、メキシコでの需要増への対応と米国への輸出増を図る。 |
クラリオン:オーディオ、基板の増産を検討
クラリオンは、メキシコでの需要拡大が見込まれることから、Electronica Clarion, S.A. de C.V.の工場で、オーディオや基板の増産を検討している。また、メキシコ工場をブラジルへの輸出拠点としても活用する意向。 |
三桜工業:配管部品工場の増設を計画、エンジン部品・ウオーターパイプの樹脂化を実施
三桜工業は、2016年3月期までに車用配管部品の新工場を新興国など6カ国に10ヵ所建設する計画。うちメキシコでは年産10-20万台の1工場を増設する。日産の工場近くに「サテライト工場」として建設する可能性もある。また、既存のSanoh Industrial de Mexico S.A. de C.V.(Aguascalientes州)での新技術への取り組みとして、すでに米国車メーカー向けに供給している鉄やステンレスのエンジン系部品の樹脂化や、2013年中にウオーターパイプを樹脂化して独車メーカーに供給することなどが報じられている。 |
ジヤトコ:CVTの第2工場建設を決定、生産能力は2016年度に約170万台に拡大
ジヤトコは2013年2月、JATCO Mexico, S.A. de C.V.(Aguascalientes州)に約2.2億ドルを投じて、年産約40万台の第2工場を建設し、2014年夏から生産開始すると発表。同社は、2013年までに生産能力を130万台に拡大する計画を進めているが、CVT需要の拡大が見込まれるため更なる生産能力の増強が必要と判断。自社工場の敷地に余裕がなくなるため、メキシコ日産の新工場と同じ敷地内に建設する。第2工場では、最新型の「CVT8」を生産する予定。2016年からはダイムラーからのライセンスを受けたATも生産し、日産とインフィニティの両ブランドに供給する予定。2018年までに売上高1兆円を目指す。 |
タチエス:日産第3工場向けシート工場が生産開始へ。JC社との合弁会社に増資
タチエスは、INDUSTRIA DE ASIENTO SUUPERIOR, S.A. De.C.V.(Aguascalientes州)の第2シート工場が2014年2月に生産開始を予定し、また同社のトリムカバー第2工場は2013年8月に生産開始する見込み。いずれも日産のメキシコ第3工場へのシート供給に向けたもの。 |
同社は2013年4月には、シート生産開始を準備中のSETEX AUTOMOTIVE MEXICO S.A. De C.V. (Guanajuato州)への増資を発表。増資後の資本金は約19.2億円。米ジョンソンコントロール社との共同出資。同社は、設立当初の生産計画で年9万台としていたが、増資により2017年時点で年産28万台とする。生産開始は2014年2月(予定)。 |
テイ・エステック:新会社を設立し、北米での四輪用シート部品生産を集約
テイ・エステックは2013年3月、TST MANUFACTUARING de Mexico SA de RL de CV.(Guanajuato州)を同年4月に設立すると発表。資本金は3,500万ドル。約4,700万ドルを投じて工場を建設し、2014年10月の稼働を予定。米国のオハイオ州など複数の工場で手掛けるシート部品やドアトリム部品の生産を新工場に移管し競争力の向上を図る。数年内にはフレームもメキシコで集中生産すると報じられている。 |
デンソー:2子会社の既存設備の更新、能力増強の方針
デンソーは、北米(米国、カナダ、メキシコ)事業での2016年3月期の売上を2013年3月期見通し(2013年2月時点)に比べて7%増の6600億円に引き上げる計画。そのために今後3年間で総額10億ドルを投資する方針。メキシコでは、2子会社の既存設備の更新や能力増強にあてる。 |
東海ゴム:ドイツ系現地法人と防振ゴムの合弁会社設立、2013年10月に生産開始
東海ゴム工業は2012年12月、ドイツの自動車用防振ゴムメーカーAnvisグループと合弁会社のTokai Rubber de Mexico, S.A.P.I. de C.V. (Queretaro州)を設立したことを発表。自動車用ホース生産子会社に加えて、防振ゴムの製造拠点を置くもので、東海ゴム側は同合弁会社に51%を出資。同時に49%の株式を取得したAnvisの現地子会社Anvisgroup Mexicoの敷地の一部を借りて新工場を建設し、2013年10月に生産開始する予定。ホンダ、日産、マツダなどに製品を供給する。 |
豊田通商:メキシコで鋼材の材料調達から供給までの一貫サービス体制構築
豊田通商は2012年11月、メキシコでの鋼材加工事業拡大を発表。新鋼材加工センターのToyota Tsusho Processing De Mexico S.A. de C.V.(San Luis Potosi州) を同年10月に設立し、ステンレスを中心とした鋼板類の加工・販売を開始し、自動車分野だけでなく幅広い分野へ現地供給化のための体制を構築する。生産開始は2013年8月の予定。また、既に稼動中の鋼材加工センターのTechno Steel Processing De Mexico S.A. de C.V.(Nuevo Leon州)へ約2億円増資し、電磁鋼板加工能力を増強する。 |
西川ゴム:ゴム製品の新工場開所式を実施、生産開始は2013年末
西川ゴム工業は、NISHIKAWA COOPER MEXICO S.A de C.V.(Guanajuato州Silao市)の新工場の開所式を.2013年2月に実施。メキシコでの国内外の完成車メーカーへの自動車用ゴム製品の供給基盤を確立するもの。新工場は、2013年末の生産開始予定。 |
日本化薬:シートベルト部材のR&D拠点設置。点火装置やエアバック用ガス発生装置生産も計画
日本化薬は、Kayaku Safety Systems de Mexico, S.A. de. C.V.(Nuevo Leon州) のマイクロガスジェネレーターを製造するシートベルト部材工場内に、2012年度中にR&D拠点を設け、顧客への技術サポートや現地仕様への製品改良の迅速化を図る。機材などの投資額は約5億円。また、新たに点火装置やエアバッグ用ガス発生装置を生産するために、メキシコで、今後5年間に10数億円を投じ、設備増強を図る計画。南米向けに日本や中国から供給している分を、メキシコ生産に切り替える、と報じられている。 |
日本プラスト:ハンドルの生産能力増強のため、2013年8月めどに新工場建設
日本プラストは、2013年8月をめどにNihon Magnesio S.A.de C.V.(Queretaro州)の敷地内に自動車用ハンドルを生産する新工場を建設する。メキシコの既存工場と合わせた生産能力は、2013年下期に11年比約7割増の年200万-240万台分となる。ホンダと日産の現地工場での増産に対応する。投資額は約15億円。 |
パイオラックス:新工場の建設を検討
パイオラックスは、PIOLAX MEXICANA S.A. de C.V. PM(Nuevo Leon州)でCVT部品、樹脂成型部品、ファスナ-等開閉機構部品の生産を行っているが、2015年には生産能力が不足する可能性があるため、新工場の建設を検討。メキシコを米国や、ブラジルなど南米向けの輸出拠点にも位置づける方向と報じられている。 |
ハイレックス:第二工場を2014年初頭に新設
ハイレックスコーポレーションは、HI-LEX MEXICANASA DE CV(Queretaro州)の第二工場を第一工場の近くに2014年初頭をめどに新設する。投資額は約6億円。第一工場がフル生産状態にあり、また複数の日系自動車メーカーが生産拡大や工場新設を打ち出していることから、需要の増加に対応するもの。生産品目は第一工場と同様、自動車用コントロールケーブルとウインドレギュレーター。第二工場はまず一直体制で始め、生産量を現状比約50%増加させ、獲得済みの受注に対応する。 |
日立化成:北米の粉末冶金製品の生産能力増強
日立化成は2013年1月、北米の自動車用粉末冶金製品の需要拡大に対応するため、米国子会社Hitachi Powdered Metals (USA), Inc. (Indiana州)の工場を増設するとともに、メキシコのHitachi Chemical Mexico, S.A. de C.V.(Nuevo Leon州)のブレーキに使う摩擦材料製造拠点の敷地内に粉末冶金製品の加工設備を導入し、供給体制を強化すると発表。両工場は2014年秋より生産を開始する予定。 |
ミツバ: 生産子会社3社を統合、2013年度以降に生産拠点を増強
ミツバは、生産品目ごとに分かれていたメキシコの生産子会社3社を2013年1月1日付で合併した。存続会社は、CORPORACION MITSUBA DE MEXICO,S.A. DE C.V.(Nuevo Leon州)。経営統合により現地での意思決定を迅速にすると同時に、総務や人事など間接部門の集約でコスト削減を目指す。また、自動車モーターの生産では2013年度以降、メキシコなど中南米拠点を増強する方向で準備に入った。 |
山下ゴム: メキシコ第二工場を2013年1月に稼働
山下ゴムは、YUSA AUTOPARTS MEXICO(Zacatecas州)の第二工場が2013年1月に稼働。同社は、2014年3月期に海外拠点拡大の設備投資40億円を計画しており、ホンダのグローバル戦略車種に対応したメキシコ、タイ、中国、インドでの設備機器に投入する。 |
ユニプレス:トランスミッション部品工場を新設、2014年7月の操業開始予定
ユニプレスは2012年10月、Unipres Mexicana, S.A de C.V.(Aguascalientes州)でのトランスミッション部品工場新設を発表。投資額は53億円。主要取引先のジヤトコのメキシコでの生産増強に対応するもので、2014年7月の操業開始を予定。2016年に売上高67億円を見込む。トランスミッション部品の海外生産拠点は中国に続き2拠点目。ジヤトコ以外の企業への拡販も視野に入れ、受注活動を推進する。 |
ヨロズ:VWのゴルフ用サスペンション部品も生産開始へ
ヨロズは、2012年3月に設立したYorozu Automotive Guanajuato de Mexico, S.A. de C.V. (Guanajuato州)の新工場(2013年10月稼働予定)で、VWがメキシコ工場で生産する「ゴルフ」用のサスペンションリンクを2014年1月から生産・納入を開始する。ヨロズは、2012年からVWの「ジェッタ」「ビートル」用のスプラッシュガードほか、エンジン部品のオイルパンの納入を開始したが、主力のサスペンション部品の受注は初めて。 |
ブラジル 生産拠点の構築: 鬼怒川ゴム、新日鉄住金、住友ゴム、タチエス、東海ゴム、豊田合成、日東電工、三菱化学、ユニプレス、ヨロズなど
カルソニックカンセイ:日産新工場内でのインサイト生産を計画
カルソニックカンセイは、2012年7月に現地法人Calsonic Kansei do Brazil LTDA(Sao Paulo)を設立。日産が建設中の新工場内で生産するインサイト生産を行う、と報じられている。 |
鬼怒川ゴム:車体シール部品工場を建設し、2014年の稼働を目指す方針
鬼怒川ゴムは、リオデジャネイロに車体シール部品の新工場を建設し、2014年に生産開始する方針。投資額は10-20億円で年産能力は20万台分。押し出しと成形を行う一貫生産拠点。当初は日産に供給するが、米欧などの他メーカーへの供給も目指す。 |
小糸製作所:ブラジル生産は単独進出以外を想定
小糸製作所は、ブラジル工場建設については、日系自動車メーカーのシェアが10%と小さいため単独進出は難しく、様々形態を検討中(2013年1月報道)。同社は、自動車照明機器のシェアを40%もつアルテブと提携している。 |
ジヤトコ:ブラジルを次の現地生産地候補の一つに
ジヤトコは、2019年3月期の海外生産比率を72%と見通しているが、ブラフル、インド、インドネシア、ロシアなどを候補に次の新生産地が検討されている。2013年中に決定し、2019年3月期までには生産を開始する、と報じられている。 |
新日鉄住金:第2熱延ラインが2012年10月に竣工、高強度鋼板などを生産
新日鉄住金は2012年11月、持分法適用関連会社のウジミナスのクバトン製鉄所(Sao Paulo州)で、第2熱延ラインが竣工したと発表。投資額は約1000億円で、生産能力は年間230万トン。能力増強により、自動車、建設、ラインパイプなどブラジルの各産業における熱延鋼板の需要増大に対応できる生産体制を拡充する。第2熱延ラインでは、先進技術の導入により高強度鋼板などの高級鋼製造力を強化。 |
住友ゴム:ラジアルタイヤ工場が2013年10月に生産開始
住友ゴム工業は、Sumitomo Rubber do Brasil Ltda.(Parana州)の工場で乗用車用ラジアルタイヤの生産を2013年10月に開始する予定。中南米初のタイヤ工場で、総投資額は約280億円。生産能力は、2,200トン/月(15,000本/日)(2016年末の第1期工事分)。同工場では、VW、PSA、フィアット、BMWなど日系以外の自動車メーカーとの取引拡大に乗り出す。一部のメーカーからは取引の打診を受けているという。ブラジルではこの他、天然ゴムの現地調達も検討。 |
大同メタル:ブラジルでの初工場を検討
大同メタル工業は、2015年以降にブラジル新工場の設置を検討する。2015年度にトヨタのエンジン新工場が計画されていることなどを見据えたもの。2012年にブラジル政府が実施したメキシコからの輸入制限措置、日系各社のエンジン戦略を慎重に見極めながら最適な供給体制を検討する。(2012年12月報道) |
タチエス:シート生産の合弁会社設立、2014年に生産開始
タチエスは、日産が新工場隣接地に設置するサプライヤーズ・パーク内(Rio de Janeiro郊外)にシート生産会社を立ち上げ、2014年から日産向けに生産を開始する。提携先の米リア・コーポレーショングループとの合弁で運営する方針で、現地子会社のTACHI-S DO BRASIL PARTICIPACOES LTDA.(Sao Paulo州、2012年9月設立)が出資・事業管理する。生産体制は、サンパウロにあるリアの既存拠点で生産した半完成品などを輸送し、新工場でシートに仕上げることを想定。 |
東海ゴム:現地 防振ゴムメーカーを買収し、生産拠点を整備
東海ゴム工業は2013年3月、フィアットなど欧州メーカーの現地工場に製品を納入する自動車用防振ゴムメーカーProduflex Minas Industria de Borrachas Ltda.(Minas Gerais州)の買収を発表。東海ゴムは同年4月にブラジル子会社Tokai Rubber do Brasil Ltda.(Minas Gerais州)を設立し、約15億円で取得し孫会社にする。買収後は、工場にも追加投資をし、2015年をめどにトヨタなど日系各社への供給も開始する。東海ゴムは2013年2月に、ブラジルに生産拠点をもつイタリアの自動車用ホースメーカーDytech-Dynamic Fluid Technologies S.p.A.を買収。防振ゴムと燃料ホースでの両製品で生産体制が整う。 |
豊田合成:ゴム・樹脂部品の製造・販売会社設立、生産開始は2014年11月
豊田合成は、2013年3月にGDBR Industria e Comercio de Componentes Quimicos e de Borracha Ltda.(Sao Paulo州)を設立。資本金は約40億円。南米初の生産拠点。中古の建屋を購入し、増改築して生産体制を整える。2014年11月に稼働し、オートモーティブシーリング製品、エアバッグ、インストルメントパネル周辺部品など内外装部品を生産。稼働当初は、トヨタ、ホンダ向けに供給し、段階的に納入先を拡大し、2017年までに売上高を年27億円にする計画。 |
日東電工:初の工場建設、騒音・振動を吸収する部材を生産
日東電工は、2012年12月にNITTO DENKO AMERICA LATINA LTDA(Sao Paulo州)を設立。高機能部材を一貫生産する新工場を2013年12月に建設する.ブラジル初の生産拠点であり、自動車の燃費向上や車内の静寂性向上などに寄与する騒音・振動・耳障りなどの対策製品(ルーフやドアパネルに組み込むテ-プ)を生産する。2014年度に約10億円の売上高を見込む。順次、電機や航空機メーカーにも取引先を広げ、南米における中心拠点としていく計画。 |
三菱化学:機能性樹脂の生産拠点設立、生産開始は2014年第2四半期
三菱化学は、2012年8月にMitsubishi Chemical Polimeros de Desempenho Ltda.(Sao Paulo州)に設立。資本金は約9億円。2014年4月をめどに、自動車の内外装部品に使用される樹脂材料の熱可塑性エラストマー「サーモラン」や接着性樹脂「モディック」を生産する。生産能力は年間4600トン。ブラジルやアルゼンチン向けの熱可塑性エラストマーのほか、異種材料との接着性を持つ樹脂材料の販売も行う。 |
ユーシン:現地生産を検討中
ユーシンは、ブラジルにおいて工場の購入による現地生産化を検討中とされる(2013年1月報道)。 |
ユニプレス: 伊社のブラジル法人に出資し、車体プレス部品を生産
ユニプレスは2012年9月、伊マニュエットオートモーティブの子会社マニュエットオートモーティブブラジルの株式の40%を取得したと発表。これにより同社の既存生産拠点を活用し、2014年初めに車体用プレス部品の製造及び販売を開始する。追加投資額は約50億円規模だが、マニュエットと合弁生産体制にし、投資負担を小さくする。ユニプレスは2015年度にブラジルで約60億円の売上高を見込む。 |
ヨロズ: サスペンション部品の生産子会社設立、2014年6月から生産開始
ヨロズは2012年9月、YOROZU AUTOMOTIVA DO BRASIL LTDA.(Rio de Janeiro州)の設立(2012年10月予定)を発表。資本金は約43億円。新工場は、日産のサプライヤーパークに建設し、早ければ2014年6月から自動車用サスペンション部品を生産開始。稼働当初は年間10万台程度の生産だが、採算ベースの30万台にするため、ルノーやVWからの受注獲得も計画と報じられている。 |
資料:各社広報資料, 各紙報道
<自動車産業ポータル、マークラインズ>