中国の省エネ・新エネルギー車産業発展計画: PHV/EV/FCV発展を国家戦略に

電動化に向け、当面の重点目標はHV・低燃費内燃機関車/省エネ技術の普及

2012/08/31

要 約

 中国政府 (国務院) は2012年7月、自動車産業発展の今後の指針ともなる、2020年までの省エネ・新エネルギー自動車産業発展の中長期計画「節能与新能源汽車産業発展規劃(2012~2020年)」(以下、新産業発展計画) を公布し実施した。

  これに先立ち、政府・科学技術部は2012年3月、新産業発展計画の技術バージョン、電動車技術発展計画「電動汽車科技発展"十二五"専項規劃(2011~2015年)」(以下、電動車技術発展計画)を公布し実施した。


  以下には、電動車技術発展計画の一部内容も含めて、新産業発展計画に示されたいくつかのポイントを紹介する。また、新産業発展計画の全和訳 / 中国語原文を提供する(PDFファイル)。

 

>>>>> 関連レポート:

  ・2012年北京モーターショー取材: 各社のHV/PHV/EV/FCV等の展示:

   (中国新興8社)(国営トップ3社)(他の国営大手4社)(日米欧韓台合計16社)

  ・中国自動車大手の自主ブランド HV/PHV/EV/FCVの計画:
   国営大手6社:上海/東風/第一/長安/北京/広州汽車集団民族系大手6社:奇瑞/BYD /華晨/JAC/Geely/長城汽車



省エネ・新エネルギー車産業発展計画 (2012~2020年) の概要


省エネ・新エネルギー車産業発展計画 (2012~2020年) の概要

時期 ~2015年 ~2020年

産業化の
推進
・EV/PHV累積生産販売 50万台 ・EV/PHV累積生産販売 500万台超
・EV/PHV年産能力 200万台
・FCV:自動車向け水素エネルギー産業を含めて、世界的レベルと同水準
技術水準
向上
・省エネ・新エネルギー車メーカー: 一定数の競争力を持つメーカー育成
・省エネの関連中核技術:ハイブリッドパワートレイン/先進的な内燃機関/高効率トランスミッション/自動車電子製品/軽量化素材など開発・獲得 (掌握)
・新エネルギー車/駆動用蓄電池/中核部品の関連技術:全体的に世界先進水準に到達
・2012年内、2016~2020年の自動車関連製品の省エネ技術指数、年度目標を提起
・2013年までに、省エネ自動車/新エネルギー車の基準 (規格) システムを整備
車両性能目標
・新エネルギー車
  最高走行速度はEV/PHVともに
  100km/h以上、
  EV モードの総合的航続距離は、
  EV が 150km以上、PHVは 50km以上
駆動用蓄電池モジュール性能目標
・エネルギー密度:150Wh/kg以上
・コスト: 2元/Wh以下
・充放電回数: 2,000回/10年以上
・同左: 300Wh/kg以上
・同左:1.5元/Wh以下
・同左:2,000回/10年以上
燃費・性能
改善
・省エネ乗用車(当該年生産車):平均燃費 5.9L以下/100km
・乗用車すべて(当該年生産車): 平均燃費 6.9L以下/100km
・省エネ乗用車(当該年生産車):平均燃費 4.5L以下/100km
・乗用車すべて(当該年生産車):平均燃費 5.0L以下/100km(世界先進水準並み)
・商用車:新車燃費を世界の先進水準に近づける
電気駆動システム性能目標
・出力密度:2.5kW/kg以上
・コスト: 200元/kW以下
供給・補完
能力の強化
・中核部品の技術/生産規模: 基本的に国内市場の需要を満たす水準に整備
・充電施設の建設規模:
 新エネルギー車の生産販売規模に適応、重点地域内/地域間での新エネルギー車運行の需要を満たす
 (*注) 中国政府の電動車技術発展計画によると、2015年前後、20以上の新エネルギー車の試験運行モデル都市およびその周辺地域において、充電スタンド40万カ所、充電・電池交換ステーション2,000カ所で構成される電気供給網を整備
管理制度
の整備
・省エネ・新エネルギー車メーカー/製品に有効な関連管理制度整備
・マーケティング/アフターサービス/駆動用蓄電池のリサイクル体制構築
・支援補助政策整備
・比較的健全な技術基準/管理規範体系構築

目標を達成
するための
5大任務
・省エネ車の普及/実用化、新エネルギー車モデル事業推進を加速
・省エネ・新エネルギー車の技術革新創造プロジェクトの実施
・合理的かつ計画的な産業構造の構築
・充電施設建設の推進
・駆動用蓄電池の使用年数別利用とリサイクル管理の強化



6大保障措置 ・基準体系と事業参入許可管理制度の整備
・税財制政策による支援の強化
・金融サービス支援の強化
・産業発展に有利な環境の整備
・人材確保を強化
・グローバル提携の役割発揮

*注1: 「電動汽車科技発展"十二五"専項規劃」より
*注2: 2015年の予測値は中国汽車工業協会、2020年予測値は2011年世界自動車フォーラム(成都)で、FordのMatt Bradleyアジア・アフリカ地域副総裁によるもの。

 

本文では、以下の略語・固有名詞を用いる。
"EV": "Battery Electric Vehicle" (BEV: 電気自動車)
"HV": "Hybrid Electric Vehicle"略語で、非プラグイン・ハイブリッド車を指す
"PHV": "Plug-in 式 HV" (プラグイン・ハイブリッド車)
"FCV": "Fuel Cell Vehicle" (燃料電池車) 
"新エネルギー車": PHV、EV、FCVを含む、電気駆動システムを採用する次世代自動車の総称。
"省エネ自動車": HV/代替燃料車を含む、内燃機関を主な動力システムとして、総合燃費が次期燃費基準値を超過した自動車の総称。
"電動車": HV、新エネルギー車の総称。
"(旧称) 新エネルギー車": HV、新エネルギー車、代替燃料車の総称。
"代替燃料車": CNG/LNG等の天然ガスや、バイオメタノール等のバイオ燃料などといった、石油代替燃料を車燃料とする内燃機関駆動車の総称。

 



新エネルギー車の発展を国家戦略と位置付け、電動化を自動車産業発展の方向と明確化

  中国政府は、新産業発展計画で、電動化を世界自動車産業の主流ととらえ、PHV/EV/FCVを含む、新エネルギー車の発展を国家戦略と位置付け、中国自動車産業の発展方向でもあると方向性を示した。

  また、自動車ならびに自動車産業の電動化は、原油/環境問題や社会問題、国の安全保障にも関わる原油問題の解決策や、電動車/新エネルギー車産業への産業転換など、自国の自動車産業の構造転換及びグレードアップ、国際競争での優位性を生み出せる戦略的措置であることも明確にした。

  新産業発展計画では、今後、企業または産業団体の新エネルギー車産業化に関わる重要な研究開発を、国家プロジェクトに組み入れ、資金など国からの支援を強化していくなどの、省エネ・新エネルギー車関連事業開発への支援を明示した。さらに、2013年までに、省エネ自動車および新エネルギー車の基準 (規格) システムを整備していく。

 
  これに先立ち、政府の国家発展・改革委員会は2010年9月、新エネルギー車産業、省エネ・エコ産業、新エネルギー産業、新材料産業、新世代情報技術産業、バイオ産業、ハイテク装備製造産業の、合計7つの新しい産業を「新興産業」と指定し、合計1,000億元の財政支援を行うと発表した。

 

新エネルギー車事業の計画で、PHV/EV/FCV などの試験運行を拡大、産業化を重点的に推進

  これから、新エネルギー車産業発展の第一歩として、当面は主に、新エネルギー車の主役になっているPHV/EVの産業化を重点的に推し進める。電動車技術発展計画では、2015年頃の新エネルギー車の販売台数目標を同型車販売の約1%、2020年までには、小型PHV/EVを代表とする電動自動車の大規模な産業化、量産化を推進するとしている。

  新エネルギー車産業化の基盤作りなどの準備作業として、PHV/EV/FCVなど新エネルギー車の政府指定の地域・都市で、試験運行を引き続き着実に進める。これからの試験運行は公共サービス分野への拡大と同時に、個人購入に対する補助金制度も試行。新エネルギー車技術の進歩および産業の発展をもたらす有効な社会構造、一定数の新エネルギー車サービスの優良企業を形成させる。


  さらに、FCV については、試験運行も継続的に展開し、燃料電池システムの信頼性および耐久性を高めるとともに、水素の生産、貯蔵、運送および充填の技術発展を促進させる。次世代電動車産業化に向け、2015年までに、FCVを代表とする次世代電気駆動システムプラットフォームを開発し、公共サービス分野でのFCVの小規模な試験運行の検証実施を実現させる。2020年までには、次世代電動車の産業化を始動させる。

 

新産業発展計画の背景:1億台を超える保有台数と,環境/原油供給問題

中国の自動車保有/生産、原油消費と生産量推移

(1) 自動車全体: 2011年に1億台超過した保有台数、2012年生産販売は2,000万台に突入

 中国の自動車産業は2000年に生産販売ともはじめて200万台を突破し高度成長期に突入。2009年に1,360万台と米国を抜いて以来、3年連続世界首位と成長した。

自動車生産販売   ①実績:  2010年 1,800万台超、2011年1,840万台超
②予測:  2015年 2,800万~3,000万台(中国自動車工業協会より)
 2020年 3,200万台 (FordのMatt Bradleyアジア・アフリカ地域副総裁推測)


  これに伴って、中国国内の自動車保有台数は、2011年11月に1.04億台と、1億台を超えた。

自動車保有台数: ①実績:  2012年6月末 1.14億台
②予測:  2015年末 1.5億台、2020年末 2億台超
 (中国交通部「交通運輸業智能交通発展戦略(2012~2020年)」より)
乗用車保有台数予測:  2020年 1.5億台、2030年 2.5億台 (電動車技術発展計画より)

 

(2) 代替燃料車/HV・PHV/EV/FCV生産販売: 2011年の(旧称)新エネルギー車は4.2万台規模

  2011年の省エネ・新エネルギー車生産販売状況は、HVと石油代替燃料車を加えた新エネルギー車、つまり、(旧称)新エネルギー車はわずか4.2万台規模 (自動車全体の約0.23%) にとどまった。車種別をみると、代替燃料車が34,872台 (販売34,679台) と一番多い。続いて、EVは 5,655台(5,579台)、HV/PHVのハイブリッド車は2,713台 (2,580台)。また、セダンとハッチバックは全体の約61%、バスが28%を占めている。

  また、2005年から2011年の累積生産販売は3.5万台規模と、自動車全体の0.06%に過ぎなかった。

 

(3) 従来型自動車産業の急速な成長が、原油/環境問題など社会諸問題が深刻化

 伝統な内燃機関(エンジン)搭載車がほとんどとなっている中国の現行自動車産業、つまり、従来型自動車産業および自動車市場が、高度成長を成し遂げた反面、燃料供給などの原油問題 (*注)、道路/駐車施設建設などのインフラ問題や交通安全、排気汚染ガスおよびCO2等温室効果ガスの排出による環境問題など、中国社会ないし安全保障に至るまで深刻さを増して続けている。

 *注:中国の原油消費量は、2000年の2.3億トンから、2011年には82.6%増えて4.2億トンとなった。うちの55%超が輸入品になっている。

 



当面は、HVを含む省エネ車/省エネ技術を普及させ、2012年から輸入車を含めて燃費規制実施

  新産業発展計画は、これまで中国で新エネルギー車に区分されてきたHV (非プラグイン・ハイブリッド車) (*注) を省エネ自動車に区分・定義した。

(*注) 新産業発展計画(および電動車技術発展計画)を発表する前、中国で自動車業界を含めて用いられていた"新エネルギー車" (本レポートでの"(旧称) 新エネルギー車") という概念は、HVのほか、PHVおよびEV (レンジエクステンダーEV/キャパシターEVを含む) ならびに FCV、さらに、天然ガス車やバイオ燃料車を含む代替燃料車も含まれる言葉であった。


 
  国家戦略とされる新エネルギー車の発展に向けて、新エネルギー車産業化を推進すると同時に、当面の目標は、新エネルギー車に比べて比較的技術が成熟している、低燃費内燃機関車およびHVを含む省エネ自動車を大きく普及させることである。

 

中国のHV/PHV生産の予測

 

 中国の有力自動車情報サイト“http://auto.gasgoo.com” 傘下のリサーチセンター「盖世汽車研究院」( Gasgoo Automotive Research Center) の最新の予測(2012年7月)によれば、HVとPHVを合わせた販売生産台数は、2013年2万台となり、2015年には15万台に達し、2017年には50万台になると見込まれている。2017年までの5年間で累積生産販売は102万台と、100万台規模になる見通し。

 新産業発展計画は、当初案では2020年までに、中国でのHVを含む省エネ自動車の年間生産販売を1,500万台とし、世界首位を目指すとして いた。正式文書には、不確実性に配慮してこの目標は盛り込まれなかったが、省エネ車(HVを含む)を大いに普及させる方針であることは間違いない盛り込ん でいる。

 

省エネ自動車/省エネ技術普及の一環で、2012年から輸入車も対象に燃費規制強化

  当面の中国自動車産業発展は、主に燃費の世界水準達成に向けて、省エネ自動車と省エネ技術の普及が中心となる。新産業発展計画は、あらゆる省エネ先端技術の研究開発、実用化をさらに強化するとした。また、低燃費タイヤのような、環境にやさしくかつ燃費向上につながる新型部品(中国語:低阻零部件)、軽量化素材、テーラード・ブランク溶接成形技術などの開発・獲得も明示した。

 

 ▼新産業発展計画に示された、政府が支援対象とする主な省エネ先端技術、製品は以下の通り:

ハイブリッドパワートレイン  専用エンジン/トランスミッション(EMT: Electrified Mechanical Transmission)
高効率な内燃機関技術  ディーゼルエンジン高圧コモンレール/ガソリンエンジンの直噴、均一燃焼、ターボチャージャー
高性能変速機  6速以上のMT、デュアルクラッチトランスミッション(DCT/DSG)、商用車用AMT


  同計画は、2012年からは、中国国内における国産車、輸入車を対象にし、燃費規制を順次実施し、関連試験・測定および評価・査定を確実に行うほか、2016年~2020年における自動車関連製品の省エネ技術指数および年度目標を提起することを定めている。また、重型 (大型) 商用車には、燃費標識制度や排気汚染物 (窒素酸化物など) の排出量公示制度を実施する計画になっている。


  加えて、省エネ自動車発展の補完措置として、それぞれの地域事情・環境に適した措置をとり、とりわけ、天然ガス/バイオ燃料などの代替燃料資源が豊かな地域では、代替燃料自動車を発展させる。その他の代替燃料自動車技術の応用も模索し、自動車用燃料の多元化を促進する。

 



PHV/ EV の累積生産販売目標は、2015年に50万台/2020年500万台超と設定

  新産業発展計画では、中期的に新エネルギー車の主流となるPHV/EVについては、保有台数に近い累積生産販売台数の目標を、2015年に50万台としており、2020年までにはその10倍の500万台と示している。

  2009年10月に開催した中国SAE 2009年年度会議「2009中国汽車工程学会年会」の席で、当時の「国家科技部863計画・省エネ・新エネルギー車プロジェクト」の甄子健事務局副局長が明らかにした、中国2020年までのPHV/EVの保有台数目標1,790万台に比べて、1,290万台少ない (当初計画比7割 (72%) 減少との計算になる)。

  報道されている中国自動車保有台数の予測値 (2015年1.5億台、2020年2億台) をベースに換算すると、中国の保有台数での電動車に属すPHV/EVのシェアは、2015年の0.33%に対し、2020年は2.5%と2015年の7.58倍に増えることになる。


  また、新産業発展計画では、2020年にはPHV/EVの(年間)生産能力を200万台と整備する数字目標を示したが、当面のPHV/ EV等新エネルギー車に関する目標としては、量産などの準備段階として産業化を重点的推進するにとどまる。

  この2020年のPHV/EVの年産規模は、同年の自動車生産販売が予測値3,200万台とすると、PHV/EVの最大シェアが6.25%となる。これは、政府科学技術部の電動車技術発展計画で示した、2015年前後の、PHV/EVが主な新エネルギー車の同型車販売台数に占める割合1%前後の目標の6倍以上拡大する計画となる(なお、2015年の自動車生産販売予測(中国汽車工業協会) 2,800万~3,000万台から計算すると、2015年の新エネルギー車生産販売台数は約28万~30万台程度)。

 



省エネ・新エネルギー車に関する技術について、蓄電池や中核部品の開発強化を再提起

   政府・科学技術部が2012年3月公布した電動車発展計画「電動汽車科技発展"十二五"専項規劃」で、新エネルギー車事業は2000年代にゼロから始動して、現在、発展の正念場に突入したと宣言した。

   電動車技術発展計画は、2015年までの5年間計画として、国の科学技術事業を統括する政府系最高管理機関「科学技術部」が主に策定をした、2020年までの電動車(HVと新エネルギー車を含む)に関する専門技術などの研究開発の指針等を示す公文書。

   電動車技術発展計画は、中国の省エネ・新エネルギー自動車産業に関する電動車技術の発展を、以下のように、3段階と分けている。各段階それぞれの目標等の詳細を下表を参照方。

 

電動車技術発展計画 (2012年3月公布、実施)の推進プロセス

プロセス フェーズ1
(2008~2010年)
フェーズ2
(2010~2015年)
フェーズ3
(2015~2020年)
産業化目標 ・モデル(中小)都市で、省エネ・新エネルギー車の試験運行実施 ・2015年頃、PHV/EVが該当時期の主役である新エネルギー車の販売台数は同型車種販売全体の1%前後に到達 ・小型PHV/EVを代表とする新エネルギー車の大規模な産業化、量産化を推進
 次世代電動車の産業化を始動させる
目標実現
具体策
・2009年: 13試験運行都市で、省エネ・新エネルギー車合計5,458台を試験運行で投入

・2010年: 25都市まで広げ、EVモデル中心に、省エネ・新エネルギー車合計6,356台投入
・2015年前後:20以上の新エネルギー車の試験運行モデル都市およびその周辺地域で、充電スタンド40万カ所、充電・電池交換ステーション2,000カ所が構成された電気供給網を整備

・新型リチウムイオン電池、高性能ハイブリッドEMT/新型モーター駆動などの最先端技術を開発・獲得

・次世代新エネルギー車の産業化に向け、FCVを代表とする次世代電気駆動システムプラットフォームを開発し、公共サービス分野でのFCVの小規模な試験運行の検証実施を実現
・次世代駆動蓄電池の技術路線に沿って、次世代の駆動蓄電池/燃料電池の産業化を開始させる

・電動乗用車主導のビジネスモデルを確立し、インフラ施設ネットワークの発展を完備させ、車と同ネットワークの融合を向上させる

・2020年前後:各種の電動車普及の実現に技術支援を提供

 

技術開発の方向性は従来通りHV/PHV/EV/FCV、中核部品開発を一段と強化

 新産業発展計画の技術バージョン、電動車技術発展計画は、HVと新エネルギー車、つまり、電動車の開発について、これまでの方向性を堅持することと明確にしている。つまり、ハイブリッド車 (HVとPHV)、EV、FCVの電動車3種「三縦」と、駆動用蓄電池、モーター、電子制御システムの3分野「三横」において、電動車の研究開発を推進していく方針を明確にした。但し、自動車産業発展の過渡期にある当面は、省エネ自動車と新エネルギー車技術開発を併行して発展させる方針とした。


  自動車のパワートレインシステムを電気駆動システムに切り替える、いわゆる「電動化」の方向に沿って、駆動用蓄電池、モーター、電子制御システムなどの中核部品および中核技術を重点的に開発・獲得。また、電動車の完成車中核技術および事業化・ビジネス化のネックを重点的に突破させる原則も明示した。

  加えて、政府は、電動車の研究開発/試験運行/市場導入とのそれぞれの初期段階において、誘導・指導的な政策を策定する方針を明らかにしている。(その詳細およびスケジュールは示されていない。)

 

電動車技術発展計画 (2012年3月公布、実施)の概要

電動車
技術開発
の方向性
・当面は自動車産業発展の過渡期にあり、省エネ自動車と新エネルギー車の技術開発とを並行して発展させる
・自動車産業の電動化 (新エネルギー自動車産業への移行)を次の戦略的目標とする。
 HV (通常型電動車)、レンジエクステンダーEV を含む EV/PHV (基本型電動車)、 FCV (特殊型電動車、次世代電動車) との3車種 (中国語:「三縦」)、蓄電池 (駆動用蓄電池、燃料電池)、モーター (駆動モーターシステム/エンジンとトランスミッションとのシステム統合技術など)、電子制御 (電動パワーステアリング/エアコン用電動コンプレッサー/電動ブレーキ/車両システム統合など) との3分野 (「三横」) において、共通/共同な中核技術を研究開発
これまでの
主な研究
開発計画
2001~
2005年計画
・国家863計画の省エネ・新エネルギー車技術開発プロジェクト発足 ハイブリッド車 (HV/PHV)、EV、FCVの三つの電動車車種と、駆動用蓄電池、駆動モーター、電子制御システムの三つの分野で研究開発に注力
2006~
2010年計画
・国家863計画の省エネ・新エネルギー車特化技術開発プロジェクト発足 パワートレインシステムプラットフォーム、中核部品の研究開発に注力
試験運行 (2001~2010年) ・「十城千輌」省エネ・新エネルギー車モデル普及プロジェクト(*注)、北京オリンピック/上海万博/広州アジア運動大会等での電動自動車の試験運行プロジェクト実施
現状
(成果、課題)

電動車事業:
・2012年、発展の正念場に突入
・初歩的な電動車技術体系を整備

成果 (2001~2010年):
・ゼロからの始動で、電動車関連の中核部品/完成車システム統合技術とその技術基準、試験・測定技術、試験運行等の面に大きく発展
・特許 3,000数種を取得。国/業界の電動車基準 56種を公布。省エネ・新エネルギー車の技術革新プラットフォーム 30数種を構築した

優位性:
・駆動用蓄電池/永久磁石駆動モーター等中核部品の基幹材料資源が豊富
・多様で巨大な自動車市場を持つ
・電動車インフラ施設建設に優位性をもつ

課題:
・電動車の既存中核技術は競争力が欠如
・電動車のミドルエンド、ハイエンド技術の競争圧力が日々増える傾向
・中核部品の先端技術全体は優位性が欠如
 世界先進水準に比べて格差がある主な技術は、駆動用蓄電池モジュール技術、燃料電池エンジン技術、車載モーターの電力電子システム統合技術、ストロングハイブリッド・トランスミッション技術

その他の課題:
・企業の電動車事業への投資が少ない
・政府による全局での調整、協調に関わる潜在力発揮は不十分
・従来型自動車とその関連産業基盤は外資に比較的弱く、投資も不足

省エネ自動車 成果:
・省エネ技術の普及と実用化に一定の進展
・乗用車燃費制限基準の実施
 先進内燃機関、高性能変速機、軽量化材料、車両最良化設計とハイブリッドなど省エネ技術と製品の普及
・天然ガス等の石油代替燃料仕様車技術の成熟化達成、産業化の実現
課題:
・省エネ中核技術の開発・獲得は不完全
・燃費は世界先進水準と一定の格差(以前より平均燃費は顕著に改善できたが)
・低排気量省エネ自動車の市場シェアは低水準
新エネルギー車 成果:
・約10年間の研究開発、地域限定試験運行を通じ、産業化発展の基盤を整備した
・蓄電池、駆動モーター、電子制御、システム統合などの中核技術は大きく進歩
・EV、PHVは小規模で市販実現
課題:
・完成車、一部の中核部品技術の獲得は達成していない
・高い製品コスト、サプライチェーン・インフラ施設不備 ⇒ 事業化/製品化/産業化の発展が制約されている
技術開発
関連目標/
課題/具体策
省エネ自動車 ▼燃費水準改善を最大目標に、省エネ技術の集約/革新/導入を大いに推進
・ハイブリッドパワー技術、特にその専用エンジン/EMT (Electrified Mechanical Transmission) 開発
・高効率な内燃機関技術(ディーゼルエンジンの高圧コモンレール、ガソリンエンジンの直噴/均一燃焼/ターボチャージャー等)/先端電子制御技術の開発
・6速以上のMT、DCT、商用車用AMTの研究開発
・エコ/低燃費につながる新型部品、軽量化素材、テーラード・ブランク溶接成形技術の開発・獲得
・小排気量エンジン技術を高め。自動車排出ガス低減技術の研究
新エネルギー車 ▼中核技術の研究開発を強化
・駆動用蓄電池:
 電池システムの安全性/信頼性の研究、軽量化設計に注力。正極・負極、セパレーター、電解質などの構成部品・材料、その生産、制御、検査・測定などの設備装置の研究開発を加速させる
 新型スーパーキャパシター及び、蓄電池との組み合わせたシステムを開発:電池/構成部品/部品モジュールの標準化/システム化を推進
 駆動用蓄電池における重要な基礎技術/先端技術分野を前倒しで展開
 エネルギー密度が高い駆動用蓄電池に関する新材料、新メカニズム、新構造および新プロセスなどを重点的に研究
 長期的発展を支える中核的な共通技術の研究開発を全力で開発・獲得
・新エネルギー車中核部品:
 駆動用モーターシステム、その中核原材料、エアコン用電動コンプレッサー、電動パワーステアリング、電動ブレーキなどの、電動化部品の研究開発を重点的に支援
・FCV関連中核技術・製品:
 燃料電池積層体 (スタック)、水素燃料エンジン/メイン素材/中核技術の研究
・その他の新エネルギー車技術:
 世界発展の方向性把握、その他の新エネルギー車技術の研究にも一層注力
*注:2009 年1月に発表された、中国政府指定のモデル都市における (旧称) 新エネルギー車の試験運行投入計画。主な内容は、2009~2012年、中国の10以上の 指定試験運行都市において、1都市につき1,000台以上の(旧称)新エネルギー車を導入する。2012年までには、13の指定試験運行都市で合計 53,358台投入の計画だった。
 

企業開発投資拡大も含めて、業界一丸で共有技術プラットフォーム開発などの共同開発を加速化させる

 新産業発展計画は、業界を超えた省エネ・新エネルギー車の技術発展連盟の設置を後押しし、共有技術プラットフォームの開発を加速させると明記した。また、EV乗用車、PHV乗用車、HV商用車 およびFCVなどに関わる中核技術の研究開発を重点的に行う。関連業界共有の測定・試験用プラットフォーム、製品開発ならびに特許のデータバンクを構築 し、資源共有を実現させる。


 さらに、既存科学技術資源の整理統合を行い、国レベルの完成車および部品研究テスト拠点をいくつか設立して、完全な技術革新創造のベー スプラットフォームを構築する。世界先端水準に達したプロジェクト化プラットフォーム (中国語"工程化平台") をいくつか構築し、企業主導で研究開発機関および大学が積極的に参加した一定数の技術革新創造産業連盟を発展させる。企業による商標・ブランド戦略の実施 を推進させ、知的財産権の創出、運営、保護および管理を強化し、サプライチェーン全体において特許システムを構築して産業の競争力を向上させる。



(参考)表: 中国の自動車と、車種別 (旧称) 新エネルギー車の生産販売台数推移

台数 (台)累積 (台)
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011年
(参考)
2005~
2010年
2005~
2011年

自動車総合計 (1,000台) 5,708 7,280 8,882 9,345 13,791 18,265 18,419 63,271 81,690
 (旧称)新エネルギー車 1,683 4,047 2,179 2,393 5,294 20,729 43,240 36,325 79,565
 轎車(2/3box) 279 2,248 312 856 259 13,324 内訳:
①EV
   5,655台
②HV/PHV
   2,713台
③代替燃料車
   34,872台
17,278 n.a.

MPV 0 0 0 0 0 53 53
乗用車合計 279 2,248 312 856 259 13,377 17,331
トラック (含むシャシ) 0 0 0 0 41 181 222
セミトレーラ 0 0 0 0 113 70 183
バス (含むシャシ) 1,404 1,799 1,867 1,537 4,881 7,101 18,589
商用車合計 1,404 1,799 1,867 1,537 5,035 7,352 18,994
(旧称)
新エネルギー車割合
0.03% 0.06% 0.02% 0.03% 0.04% 0.11% 0.23% 0.06% 0.10%

自動車総合計 (1,000台) 5,758 7,216 8,792 9,381 13,645 18,062 18,505 62,853 81,358
 (旧称)新エネルギー車 1,553 3,924 2,260 2,435 5,209 19,888 42,838 35,269 78,107
 轎車(2/3box) 160 2,152 414 899 319 12,770 内訳:
①EV
   5,579台
②HV/PHV
   2,580台
③代替燃料車
   34,679台
16,714 n.a.
MPV 0 0 0 0 0 1 1
乗用車合計 160 2,152 414 899 319 12,771 16,715
トラック (含むシャシ) 0 0 0 0 35 99 134
セミトレーラ 0 0 0 0 84 99 183
バス (含むシャシ) 1,393 1,772 1,846 1,536 4,771 6,919 18,237
商用車合計 1,393 1,772 1,846 1,536 4,890 7,117 18,554
(旧称)
新エネルギー車割合
0.03% 0.05% 0.03% 0.03% 0.04% 0.11% 0.23% 0.06% 0.10%

資料:「節能与新能源汽車年鑑 (2010/2011年版)」、その他。但し、2011年(旧称)新エネルギー車データは中国汽車工業協会資料より

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>