中国自動車メーカーの海外動向：奇瑞、長安

奇瑞は輸出台数で首位を堅持、長安はタイに初の海外工場を建設

2024/11/15

要約
奇瑞(Chery)：2024年の輸出台数は1ヵ月当たりの平均は9万台超、各地にKD工場を建設
長安汽車：海外戦略を発表、2025年第1四半期にタイで稼働

要約

奇瑞の各ブランド車を輸出
(出所：奇瑞汽車)

　中国汽車工業協会(CAAM)の発表によると、2024年1-9月の中国自動車輸出台数は前年同期比27.3%増の431.2万台。このうち、乗用車の輸出台数は前年比28.0%増の363.3万台となった。本レポートは中国自動車メーカーのうち輸出台数が最も多い奇瑞汽車と長安汽車の最近の海外動向を取り上げた。

　奇瑞控股集団有限公司の発表によると2023年の輸出台数は93.7万台で、中国ブランド乗用車の輸出台数は21年連続で首位となっている。CAAMのデータによると、2024年9月の奇瑞汽車の輸出台数は前年同月比20.7%増の10.9万台で、同月の輸出台数全体の20.2%を占めた。奇瑞は積極的に海外市場を開拓しており、すでに世界に18のKD工場と6つの開発拠点を構築している。また、販売網は80以上の国と地域に及ぶ。

　長安汽車は、2023年に製品と生産能力拡大の加速に加えて、ブランド、マーケティングサービス、組織及び人材面での育成強化を主旨とする海外戦略「海納百川計画(Vast Ocean Plan)」を発表した。当計画では、2030年までに世界の90%以上の市場に参入し、20以上の現地化したマーケティング組織を構築するとしている。同時に、タイに40億元を投じて右ハンドル車の生産拠点を建設し、オーストラリア、ニュージーランド、英国、南アフリカなど右ハンドル車の市場をカバーする。このほか、欧州市場への参入準備を計画しており、2030年までに欧州での販売台数30万台突破を目指す。