日系自動車メーカーの電動車投入計画

中国でトヨタは知能化・電動化の現地開発を加速、日産はNEVを前倒し投入

2023/08/18

要約

#
日本国内の電動車両組立工場
(出所:マークラインズ - 自動車・部品メーカー拠点マップ

 本レポートは日本自動車メーカーの2023年前半の発表を中心に、より具体化・強化した電動車投入計画を報告する。

 トヨタについては「フルラインアップ」の電動化戦略を進める背景と、電動化事業の収益性を高めていく方針、および中国での知能化・電動化技術の現地開発の強化、ホンダについては「電動事業 競争力強化に向けた取り組み」のうち、ソフトウェア開発とE-Axleの強化を取り上げる。

 日産とルノーグループは2023年7月、2023年2月6日に公表された契約の締結を完了した。その一環として、日産はルノーグループが欧州に設立するEV&ソフトウェア新会社アンペアに最大6億ユーロ出資することを決定した。中国市場では日産の2023年1~6月の販売が前年同期から24.5%減少し、従来計画から前倒ししてNEVを投入し挽回を図るとしている。

 スズキは2030年度までに日本で6モデル、欧州で5モデル、インドで6モデルのBEVを投入し、2030年度のBEV比率をそれぞれ20%、80%、15%に高める計画。

 マツダは2030年までを3つのフェーズに分け、柔軟に電動化に対応していく。2028~2030年の第3フェーズからBEVを本格導入し、2030年時点のグローバル販売におけるEV比率は25%から40%を想定する。

 三菱自動車は今後5年間でグローバルに9車種の電動車を投入する。また、2023~2028年度の6年間の研究開発費と設備投資を、それ以前の6年間に比べ30%増額する。

 SUBARUは2030年にBEV世界販売60万台(BEV比率50%)とする新目標を発表した。生産体制については5月に発表した「国内で2028年以降に40万台規模のBEV生産能力構築」に加えて、2027~2028年から米国でBEVを生産する。2028年に米国でBEV販売40万台を目指す。


関連レポート:
トヨタの電動化戦略:次世代BEVの生産工程を半減(2023年7月)
ホンダ:EV戦略を加速、バッテリー・資源の調達で提携強化(2023年6月)
人とくるまのテクノロジー展2023:電動パワートレイン技術(2023年6月)
ReVision 電気自動車(EV)サミット2023:電動パワートレイン技術(2023年6月)
自動車技術会シンポジウム「電動車両技術の最新動向」講演(2023年3月)
自動車技術会シンポジウム「電動車両技術の最新動向」車両・部品展示(2023年3月)
日産:ルノーと15%の相互出資で合意、ルノーの新EV会社に15%出資(2023年3月)
日系自動車メーカー、EV拡大に備えて体制を構築(2022年7月)
日系自動車メーカー決算:収益構造の改善、資材・物流費高騰への対策(2022年6月)

 

このレポートは有料会員限定です。 残り 9 章
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。