Tesla:2022年の世界販売は50%増、世界生産は150万台を目指す

ドイツと米テキサス州で新工場が稼働、Cybertruckは2023年に投入予定

2022/05/31

要約

  Teslaは2022年3月にドイツ・ベルリン、4月に米国・テキサス州の新工場でModel Yの生産を開始。それぞれフル稼働での年産能力は50万台で、できるだけ早期に生産規模を引き上げるとしている。既存の米国・カリフォルニア州のFremont工場と中国・上海工場の年産能力も引き続き拡大しており、両工場を合わせた年産能力は105万台。2022年中にはTeslaの年産能力は200万台に達する見込み。2022年の世界生産台数は150万台を目指す(2022年4月予測)。

  Teslaの中国での生産・販売は急拡大してきた。2021年の中国での生産は48.6万台、販売は48.4万台で、いずれも米国を上回った。上海工場での生産が順調に増加し、2021年1月からはModel 3に加えてModel Yの納車を開始した。2022年1-3月も好調だったが、3月末から4月にかけて新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンのため、上海工場は生産休止。5月半ばにも部品供給問題により生産の大半を休止しており、今後の生産・販売への影響が懸念される。

  Teslaは米国・カリフォルニア州のKato Roadバッテリー工場で、自社開発の4680型バッテリーセルの内製化を推進している。また、標準航続距離バージョンには、高価なニッケルやコバルトを含まないリン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリーの利用を拡大し、CATLからの供給契約も延長した。さらに、高騰するバッテリー原材料のコストを抑えるため、材料メーカーから直接リチウムを購入し、電池メーカーに供給している。

  新型車投入では、2021年4月に改良型Model S、10月に改良型Model Xの納車を開始した。2022年には生産拡大を優先するため新型車は投入せず、2023年にピックアップトラックのCybertruck、続いてスポーツカーのRoadster、重量級トラックのSemiを投入する計画。価格25,000ドル前後のコンパクトカーについては、2022年1月時点では開発を行っていない。

  Teslaは2021年5月、完全自動運転(FSD)システムからレーダーを外し、カメラを使用するシステムTesla Visionへの移行を開始。北米市場向けのModel 3/Y、Model S/Xに搭載している。また、2021年8月に人工知能(AI)をテーマとしたイベント「AI Day」を開催。完全自動運転技術の進捗状況、ニューラルネットの学習に特化したスーパーコンピュータ「Dojo」等を紹介した。

  Teslaの2021年の売上高は前年比70.7%増の538億2,300万ドル、営業利益は227.1%増の65億2,300万ドルといずれも過去最高を更新。2021年の世界生産台数は前年比82.5%増の93万422台、世界販売台数は87.4%増の93万6,172台。半導体不足で減産や操業停止に追い込まれる自動車メーカーが多い中、Teslaは社内エンジニアがコードを書き換えて不足する半導体を代替品に変更したり半導体の数を減らしたりして、生産への影響を抑えた。また、少ない車種を、共通の部品を使用して効率よく生産し、収益性も高めた。2022年4月の見通しでは、2022年通年の世界生産台数は前年比50%増の150万台と見込まれる。

Gigafactory Berlin 品質検査 Gigafactory Texas  Model Yの車体工場
Gigafactory Berlin 品質検査 (出典:Tesla) Gigafactory Texas Model Yの車体工場(出典:Tesla)

 

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