日立製作所:カーナビ地図から自動運転用の地図を自動生成

第4回ReVisionモビリティサミットでの講演から

2020/03/09

要約

自動運転の作動領域を拡大

クルマの自動運転機能/性能を向上させ、自動運転の作動領域を拡大する
(出典:日立製作所、以下同様)

  第4回ReVisionモビリティサミットのセミナーが、2020年2月に東京で開催された。

  本レポートは、株式会社日立製作所 ライフ事業統括本部 デジタルフロント事業本部 コネクテッドカー本部 事業開発部 主管技師 野村高司氏による「ADAS・自動運転の進化を支えるマップ技術とデータベース構築」と題した講演の概要を報告する。

  現状主要OEMが進めている自動運転システムは、高精度地図情報(HD-MAP: High Definition Map)をベースとし、各種センサーが得た情報を高精度地図情報に照らし合わせて走行する。いわば、地図というレールの上を走っているようなものだという。一方、今後一般道における自動運転の実現に際して、現在高速道路、自動車専用道路で整備されている高精度地図を一般道にまで広げるには膨大なコストがかかる。また、地図は作ったそばから古くなるという問題もある。

  しかし、今後はセンサー、GNSSが高度化しAIの機能が強化され、予測機能を高めるのに役立つデータコンテンツの拡充が進む見込みで、そうなれば地図が高精度でなくても(位置情報に対して±25cmの絶対精度は必要なく、せいぜい±1mでよくなる)リアルタイムで得る周辺情報を活用しながら走行できるようになる。そうした前提で、日立製作所の野村氏は、カーナビ地図(SD-MAP:Standard map)から新しい発想の自動運転の地図を生成する計画を進めており、これを「DGM(Detailed Geometry Map):道路空間データ」と呼んでいる(高精度地図と区別して高詳細地図とも呼ぶ)。

  また、運転が困難であったり手間取るような場所でのドライバーの経験をデータベース化しDGMに埋め込み、賢い自動運転を実現する計画。これを「ADD(Autonomous Driving experience Database:走行ロジックデータ)」と呼ぶ。

  センサー、GNSSなどの向上、DGM/ADDを組み合わせて、限定無しの(一般道での)レベル3-4-5自動運転車が安全に走行できる領域を拡大する構想。既に地図メーカーとの開発プロジェクトが始まっており、2021年度には何らかのリリースをしたいとしている。


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