吉利(Geely):ブランド拡充と生産能力の増強、CASE戦略を推進
Protonでアジアに積極展開、新ブランドで電動化を加速、Daimlerとの合弁で2022年にEVのsmartをグローバル投入
2019/10/11
- 要約
- 吉利グループの概要:2020年に200万台に向けてブランドを拡充
- CASE戦略: 自社での展開と他社との協業で体制強化
- 吉利汽車控股の販売状況:国内販売・輸出とも続伸、2019年上半期の販売台数は15%減
- 吉利控股集団の生産拠点:既存工場の増強、新規工場の建設
- Daimlerとの合弁により、2022年グローバル市場にsmartのEVを投入
- Protonをグループ傘下に、湖北省武漢に生産拠点を設立
- Volvo Car Group:2025年までに販売台数の50%を電動車に
- 吉利グループの中国販売台数(工場出荷台数)
- LMC Automotive生産予測: 吉利グループの生産は堅調な伸び、2022年には258万台となる見込み
要約
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中国民営OEM大手の吉利汽車控股有限公司(以下、吉利汽車控股)の2018年の世界販売台数は、前年比20.3%増の150万台に達する大幅増となった。また、中国国内販売は市場全体が減速するなか、19.2%増の147.3万台となり、いずれも過去最高を更新。2019年は年初に目標151万台を掲げたが、7月には136万台に下方修正している。
2010年にVolvo Carsをグループ傘下に収めて以降、2013年にロンドンタクシー(現:London Electric Vehicle Company(LEVC))、2018年にはマレーシアのProtonも傘下に収めた。吉利グループは、5つの子集団(Geely Auto Group、Volvo Car Group、Geely Commercial Vehicle Group、Geely Technology Group、Mitime Group)からなり、このうち3つの子集団のGeely Auto Group、Volvo Car Group、Geely Commercial Vehicle Groupが完成車生産/販売事業に携わる。2019年9月時点で3つの子集団は9つのブランドを保有し、ローエンドからハイエンド、コネクテッドやNEVに特化したブランド、商用車ブランドなど、多彩なブランド展開により、幅広いユーザーを取り込んでいる。
2018年2月にグループトップの李書福 氏がDaimler AGの筆頭株主になって以降Daimlerと提携が進んでいる。2019年3月に中国で「smart」ブランドを展開する合弁会社の設立と2022年グローバルで市場に投入する計画を発表。また、2019年5月にDaimlerの子会社とのハイエンドモデルの運用に特化したモビリティ合弁会社「蔚星(Weixing)科技有限公司」が設立された。
吉利グループは、近年の販売台数急増や2020年の200万台達成に向けて、既存工場の増強や新規工場の設立を次々に行っており、Geely Auto Group、Volvo Car Group、Geely Commercial Vehicle Groupの垣根を越えて各種モデルの製造を推進する。2019年10月7日には、内燃エンジン部門を統合し分離独立させる計画を発表。グローバルサプライヤーとして次世代エンジンやハイブリッドパワートレインの供給を目指すとともに、Volvo CarsはプレミアムブランドとしてEVの開発に注力していく。
CASE戦略では、電動化推進のため自前及び他社との協業の両方向からバッテリーの供給体制を整える。コネクテッド領域では、百度やテンセントなどの大手IT企業と提携。2021年には5G対応の量産モデルを計画している。シェアリング領域ではDaimlerとの提携以外に、2015年より傘下子会社でNEVモデルを投入し展開している。また、2022年には「レベル4」の自動運転車の発売を目指す。
なお、本レポートは、吉利グループ傘下のGeely Auto Group(吉利汽車集団)を中心に、Volvo Carsに関しても一部報告する。
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