ブラジル:経済低迷、インフレに苦しみ2014年も販売は縮小見通し
政府の国内産業保護策で、自動車メーカーの投資は続く
2014/07/14
- 要 約
- ブラジル:2014年販売見通しは、下方修正され346-356万台、景気低迷・インフレ・W杯の影響
- ブラジルのライトビークル市場:上位4社のシェア縮小と現代自/トヨタの伸長
- ブラジル政府:減税措置を6回目延長、アルゼンチンと新自動車協定を締結
- 上位メーカー(FCA, VW, Ford)の動向
- 他の欧州メーカー (Renault、 Daimler、BMW、JLR) の動向
- 日本メーカー (トヨタ、日産、ホンダ) の動向
- 現代自動車・中国メーカーの動向
- LMC Automotive 販売予測:ブラジルのライトビークル販売は2017年には400万台へ
- 統計表
要 約
岐路に立つ自動車産業
ブラジルの自動車市場は、2010年にドイツを抜いて世界第4位市場となっている。また、生産面でも世界第7位(2013年)であり、自動車産業の主要国の一つとしての地位を近年確立してきた。
しかし、2013年には新車販売台数が10年ぶり減少に転じ、前年比0.9%減の377万台となった。また、販売促進と国内生産するメーカーの保護を目的とした政策が何度も延長され、自動車産業が影響を受けている。
2014年販売は減少見通し、景気低迷・インフレ・W杯の影響
2014年上半期のブラジルの新車販売は、前年同期比7.6%減の166万台と低迷が続いている。景気低迷・インフレ・金融引き締めに加えて、W杯開催に伴った休日の影響もあった。
この販売低迷を受けて、2014年7月にブラジル自動車工業会(ANFAVEA)は、2014年通年の販売見通しを下方修正して、前年比5.4%減の356万台になると発表した。一方、同国の自動車販売協会(Fenabrave)も同月に、通年の販売見通しを下方修正し、前年比8%減の346万台になると発表している。
これらの予測は、サッカーW杯でブラジル代表が4位に敗退する前になされたものであり、国民の期待を裏切るこの敗北が消費者の心理にどのような影響を与えるのか注目される。
国内産業保護政策と、現地生産の増強投資
ブラジル政府は国内産業保護のため、2017年末までの間、輸入車に対する工業製品税 (IPI) 税率を30%ポイント引き上げている。また、2013~17年の新自動車政策では、製造工程の現地化や研究開発への投資を条件に上記のIPI税率引き上げを減免するとし、ブラジル国内生産を促している。
これに呼応してドイツプレミアメーカー3社が現地工場を建設するなど、多くメーカーが生産能力増強・現地調達強化に努めている。
関連レポート:
ブラジルの日系部品メーカー:工場新設/生産能力拡充が続く (2014年2月掲載)
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