NVIDIA Corporation 2019年1月期の動向

業績

(単位:百万ドル)
2019年
1月期
2018年
1月期
増減率
(%)
要因
売上高 11,716 9,714 20.6 1)
営業利益 3,804 3,210 18.5 -
部門別売上
-自動車部門 641 558 14.9 2)

要因
1) 売上高
-2019年1月期の売上高は、前年比20.6%増の11,716百万ドル。ゲーム、プロフェッショナルビジュアライゼーション、データセンター、自動車の全分野で成長を遂げた。

2) 自動車
-2019年1月期の自動車部門の売上高は、前年比14.9%増の641百万ドル。インフォテインメントモジュールやDRIVEプラットフォームに対する需要増、自動車メーカーとの開発契約数の増加が好調の要因となった。

業務提携

-同社は2019年現在、370件を超えるOEM、地図会社及び大学の研究機関等を協力関係を結んでいる。

協力企業 内容
OEM
いすゞ自動車 「NVIDIA DRIVE AGX」の活用によって高度運転支援機能及び自動運転技術を備える次世代型トラックの開発
ヤマハ発動機 自社開発の自律動作マシンに「Jetson AGX Xavier」を採用し、無人農業用車両に参入する
Daimler 都市部での自動運転及び無人運転に関して、コントロールユニットのネットワークの一部として同社のAIプラットフォームを採用
Mercedes-Benz Mercedes-Benz「A-Class」用インフォテインメントシステム「Mercedes-Benz User Experience」に同社のAIプラットフォームとGPUを活用
VW Deep Learningの分野で協力/新型「I.D.BUZZ」やマイクロバスにNVIDIA自動運転用のAI技術を採用
トヨタ 「NVIDIA DRIVE PX」を自動運転システムに搭載
2020年から発売する車両に「NVIDIA DRIVE AGX Xavier」をAIの頭脳として搭載する計画。
SUBARU 2024年めど高速道路でのレベル2以上の自動運転に向け、周囲認識、パスプランニング、多重化、ロバスト、知能化へNVIDIAのAIを導入
Audi 世界発レベル3の自動運転を可能にした「Audi AI Traffic Jam」を開発
Volvo

スウェーデンGothenburgの「DRIVE Me」自動運転車両テストプロジェクトでNVIDIA DRIVEを使用。

奇瑞汽車 NVIDIA DRIVEプラットフォームを搭載したZF ProAIにより、自動運転レベル3に対応。
サプライヤー
Bosch 都市部での自動運転及び無人運転に関して、コントロールユニットのネットワークの一部として同社のAIプラットフォームを採用
自動運転システムに「NVIDIA DRIVE PX」を搭載
Pioneer 自動運転用ソフトウェア開発キット「NVIDIA DriveWorks」向けに走行空間センサー「3D LiDAR」を対応させた
Continental AI自動運転システムの開発において「NVIDIA Drive」プラットフォームと同社のセンサーを統合させた自動運転車に関する提携
Infineon Technologies 同社のマイクロコントローラー「AURIX TC3xx」がNVIDIAのレベル5自動運転用AI車載コンピューティングプラットフォーム「DRIVE Pegasus AI」に採用の見通し
ZF 量産用自動運転車に搭載するAIの開発での連携。「DRIVE PX」を供給しZF・HELLAが共同開発する画像処理技術、運転支援システムの実現をサポート。
乗用車及びトラックの自動運転や自律走行システムを含む輸送産業向け等にAIシステム開発で協力。
HELLA 量産用自動運転車に搭載するAIの開発での連携。「DRIVE PX」を供給しZF・HELLAが共同開発する画像処理技術、運転支援システムの実現をサポート。
Start-Ups
Uber 自動運転車のフリートにてNVIDIA技術のAIシステムを採用
Uniti 同社のフルEV「Uniti One」に「NVIDIA DRIVE PX」を初め、自律走行車に必要な装備が搭載される
百度 自動運転車やクラウドデータセンターなどにAIを活用する広範囲な分野における提携。NVIDIA「DRIVE PX Platform」を採用し、中国大手自動車メーカーと協力し自動運転車を開発する。
Zenuity
(Volvo・Autolivの合弁企業)
2021年までにレベル4の自動運転車を開発するため、NVIDIAのAI車載コンピューティングプラットフォームを使用。
地図
ゼンリン 自律走行車両用の高精細マップソリューションについての共同研究。計測車両において「NVIDIA DRIVE PX2 AI」「NVIDIA DRIVE Works」,データセンターにおいては「NVIDIA GPU」「NVIDIA MapWorks」を使用しデータ処理を行う。
TomTom クラウドでリアルタイムHDマップの更新ができる「クラウド・トゥ・カー」にて「NVIDIA DRIVE PX2」とAIを組み合わせて使用。
HERE 同社のAIプラットフォームを使用してHERE HD Live Mapを共同開発。

研究開発費

(単位:百万ドル)
  2019年1月期 2018年1月期 2017年1月期
全社 2,376 1,797 1,463

-2019年1月期の研究開発費は前年比32.2%増。主に従業員数の増加およびインフラ費、補償費用などその他関連費用の増加によるもの。

技術提携

-Autolivからの分社化が完了したVeoneerは、自動運転レベル4の要件を満たすように設計されたスーパーコンピューター「Zeus」を開発したと発表した。「Zeus」はADAS/AD ECU、カメラからのデータを融合する「脳」、レーダーおよびセンサー、状況判断・必要行動処理機能で構成されている。同社のスケーラブル・アーキテクチャ「NVIDIA DRIVE AGX Xavier」をベースとし、OSは「NVIDIA DRIVE OS」を搭載、Zenuityの自動運転ソフトウェアスタックを使用している。開発はVeoneerがハードウェアと基本ソフトウェアを担当し、VeoneerVolvo Carsの合弁会社Zenuityが自動運転機能ソフトウェアと車両への統合を担当した。(20181010日付プレスリリースより)

-いすゞ自動車と協業すると発表した。いすゞは、同社の自動車向けプラットフォーム「エヌビディアドライブAGX」を活用し、高度運転支援機能や自動運転技術を備える次世代型トラックを開発する。いすゞは、ドライブAGXを導入し、全方位の状況認識や高度な車線維持、アダプティブクルーズコントロール技術の開発を進める。最終的に自動運転車両の実用化を目指す。今年度からの新中期経営計画の重点開発分野に位置付ける自動運転技術の開発を加速させる。(2018年9月15日付日刊自動車新聞より)

-ヤマハ発動機と同社は13日、自律動作マシンの開発で協業すると発表した。ヤマハ発は今後、自社で開発する自律動作マシンに、同社の新型AI(人工知能)コンピューター「ジェットソンAGXエグゼビア」を採用、無人農業用車両に参入する。同日都内で開催した同社主催のイベント「GTCジャパン2018」に登壇したジェンスン・フアンCEOが明らかにした。ヤマハ発は、ジェットソンの処理能力を使用し、オドメトリ、ローカライゼーション、マッピング、画像認識などを行える車両を開発する。これまで、単体で開発を進めてきた農業用無人車両やラストワンマイルモビリティーなどのプラットフォームを共有化し、コスト低減と開発スピードの向上を図る。農業用無人車両は、新プラットフォームを搭載し、来年中に実証実験を実施する。20年度に海外に投入する見通しだ。(2018年9月14日付日刊自動車新聞より)

-マキシム・インテグレーテッド・プロダクツは、同社のレベル5完全自動運転システム向け「ドライブ・ペガサス」プラットフォーム、レベル4ドライビング用の「ドライブ・エグゼビア」をサポートするために同社と協業すると発表した。マキシムのASIL(安全性要求レベル)定格電圧/電力監視、SerDes技術は同社によって自動車業界初のレベル5自動運転システムを実現するために使用される。マキシムの次世代6Gbps GMSL SerDes技術は、車載インフォテインメント、先進運転支援システム、自動運転に必要となる高いデータレート、複雑な相互接続、データ完全性の要件に対応する。また、この技術はドライブ・ペガサス、ドライブ・エグゼビアプラットフォームなどの自動運転システムを構築するために必要な安全性に関する機能と柔軟性を備えるとしている。(2018年2月27日付日刊自動車新聞より)

-Continentalと同社は、人工知能(AI)自動運転システムの開発に向け提携すると発表した。「NVIDIA DRIVE」プラットフォームをベースにContinentalのセンサーを統合したレベル3の自動運転車を2021年に市場投入する計画。今回の提携により、レベル2の自動運転からレベル5の完全自動運転にまで対応するAIコンピューターシステムの生産が可能になるという。両社はまず、高速道路での車両周囲360度の認識や車線の自動変更・合流といった高度に自動化された運転システムの開発に取り組み、車両自身が特定した場所に合わせて地図をアップデートするHDマップも統合する予定。(201825日付プレスリリースより)

製品開発

レベル2+自動運転システム「NVIDIA DRIVE AutoPilot
-世界初の商用利用可能なレベル2+自動運転システム「NVIDIA DRIVE AutoPilot」を発表した。「DRIVE AutoPilot」 には、複数の画期的な AI テクノロジが実装されており、これによって、2020年までに監視付き自律走行車両の生産が可能となるという。CES 2019 では、ContinentalZF が、NVIDIA DRIVE をベースとしたレベル2+ の自動運転ソリューションを発表、2020 年に生産を開始する予定。「DRIVE AutoPilot」 では、高性能のシステムオンチップ(SoC)プロセッサ「NVIDIA Xavier」と最新の NVIDIA DRIVE ソフトウェアが初めて統合されており、状況認識のために車両の外側とキャビンの内側を捉える、包括的なサラウンド カメラ センサー データが多くのディープ ニューラル ネットワーク(DNN)で処理される。「DRIVE AutoPilot」は、オープンで柔軟性に富んだ NVIDIA DRIVE プラットフォームに組み込まれており、レベル 2+ のこの新システムは、ロボットタクシー対応であるレベル 5 の機能を実現する、「NVIDIA DRIVE AGX Pegasus」 システムを補完するものとなるとしている。(201917日付プレスリリースより)

クラウドベースのシミュレーションシステム「NVIDIA DRIVE Constellation
-自動運転車のテスト用に、フォトリアルなシミュレーションによるクラウドベースのシステム「NVIDIA DRIVE Constellation」を発表した。これにより、誰も危険にさらすことなく、安全に自動運転車のテストが行えるようになるという。新システムは、別々のサーバー2つを基盤にしたコンピューティングプラットフォーム。1つめのサーバーは「NVIDIA DRIVE Sim」ソフトウェアを実行し、カメラ、ライダー、レーダーといった自動運転車のセンサーをシミュレートする。2つめのサーバーは、AI車載コンピューター「NVIDIA DRIVE Pegasus」を搭載。自動運転車用のソフトウェアスタック一式を実行し、シミュレートされたデータは実際の道路上を走行する車のセンサーから得たデータのように処理される。DRIVE Pegasusからの走行指示はシミュレーターにフィードバックされ、「Pegasus上で実行されているアルゴリズムとソフトウェアがシミュレートされた車両を正しく操作しているか」という検証に使われる。また、「DRIVE Sim」ソフトウェアはフォトリアルなデータストリームを生成し、暴風雨や吹雪、まぶしい太陽光、夜間の限定された視界、様々な路面状態といった様々なテスト環境を提供。危険な状況はシミュレーション内に記述しておき、人間を危険にさらすことなく、自動運転車の反応能力をテストできる。 2018年の第3四半期から提供される予定。(2018327日付プレスリリースより)

自動運転プラットフォーム「NVIDIA DRIVE AGX」

-グラフィックボードなどゲーム、PCに向けたGPU (Graphic Processing Unit)を提供してきたNVIDIAが、既存のGPUであるVoltaを応用した形でCPU、GPU、深層学習に強いTensorコアを組み合わせたSoC (System on Chip)である「Xavier」を発表した。

そのSoC「Xavier」を利用し、自動運転用プラットフォームへ適応させたものが「NVIDIA DRIVE AGX」である。
「NVIDIA DRIVE AGX」には現在2タイプの製品ラインナップがあり、そのうち上位の製品である「NVIDIA DRIVE AGX Pegasus」はSoC「Xavier」を2基とさらに次世代GPUを2基を組み合わせたハードウェアである。

「NVIDIA DRIVE AGX Pegasus」は深層学習に特化した「Tensorコア」を使用しており、計算能力は320TOPS(Tera Operations Per Second)であると発表されている。実際に走行する自動運転車に取り付けられたカメラやレーダー、ライダー等の各種車載センサーからのデータを処理する際にその計算能力が発揮されるほか、位置情報、経路予測情報等の処理もこの「NVIDIA DRIVE AGX Pegasus」によって行われる。

NVIDIAの提供する自動運転プラットフォームではこの「NVIDIA DRIVE AGX Pegasus」とソフトウェアを組み合わせたものを提供している。
ソフトウェアには「DRIVE AV」、「DRIVE IX」がそれぞれ存在するが、「DRIVE AV」は認知・自己位置推定・経路作成など外部環境認識、「DRIVE IX」はドライバーの状況やその周囲等の内部環境認識にかかわるアプリケーションであり、自動運転プラットフォームを使用する自動運転車には上記の2種のアプリケーションがそれぞれ搭載される。自動運転車側にはそのほか「DRIVE OS」やサービスが含まれている。

実際に走行する自動運転車に対しては、対応するデータセンターとして同社のスーパーコンピューター「NVIDIA DGX」がディープラーニングシステムを提供。以前よりAIのディープラーニング向けに高度な処理能力を提供してきた「NVIDIA DGX」を走行データの処理にも応用する形になる。

なお現在世界450社以上の自動車メーカー、サプライヤー、センサー企業、地図会社などがこのプラットフォームを採用し、そのうち55社は日本に本社を置く企業であるという。
>>>NVIDIA DRIVE AGXに関するレポートはこちらから