米国の日系部品メーカー :需要拡大に備え、生産能力拡充へ

トヨタ紡織、NTN、FCC、小糸製作所、タチエス、トヨタ車体、日本電産などの動向

2011/08/10

要 約

  米国の自動車販売(乗用車、小型トラック)は、2010年には前年比10.0%増の1,155.9万台と経済危機の影響を受け低迷した2009年から回復を示した。2011年に入ってからも、東日本大震災の影響で販売減を余儀なくされたトヨタ・ホンダなど日系メーカーを除いて、販売は好調を維持しており、2011年1-7月の販売台数(同)は739.3万台と前年同期比9.2%増となっている。

 需要増を踏まえ、GM、Ford、トヨタ、VWなどの自動車メーカーは、米国で新工場稼働や投資の動きを活発化させおり、サプライヤーも対応を迫られている。

 以下は、活発化しつつある、米国(カナダを含む) における日系自動車部品メーカーの最近動向である (収録対象は、2011年 8月上旬までの約 1年4カ月間)。



米国 生産拠点の構築・増強:トヨタ車体・トヨタ紡織が2011年秋に新工場稼働

 米国では、トヨタが延期していたMississippi工場での生産を、2011年秋に開始することを受け、トヨタ車体、トヨタ紡織も同じく延期していたMississippi新工場での生産を同時期に開始する。

 他に、今仙電機がシートアジャスター工場を、小糸製作所がヘッドラップ工場と金型工場を、ニッパツがシート工場を建設するなど、米国市場での需要増を受け生産能力を拡大する動きが広がっている。

米国:日系自動車部品メーカーの生産拠点の構築・増強

(2011年  8月上旬までの約 1年4カ月間の動向。配列は企業名 50音順)
アイシン・エィ・ダブリュ:米国工場でFF車用ATを生産
 アイシン・エィ・ダブリュは、米国工場(AW North Carolina, INC.)で中型車向けのFF車用ATを2011年秋より生産する。100億円程度を投資し、生産ラインなどを増設。年産24万台の予定。トヨタの現地工場に供給する。同工場では大型のFR車向けATの生産を年産24万台規模で行っている。
アイシン化工:Indiana工場の制振材・摩擦材の生産能力増強
 アイシン化工は、Indiana工場(Aisin Chemical Indiana, LLC)に塗布型制振材専用の新工場棟を建設し、生産能力を2011年春から月産760トンに倍増させた。投資額は約6億円。また、同工場ではAT用の摩擦材も生産しており、その生産ラインを2010年10月に1本追加して合計3本とし、同部品の生産量を1.5倍の月産90万枚とした。摩擦材増産への投資額は約1.5億円。
愛知製鋼:プレス機を導入して、足回り・変速機の鍛造部品製造へ
 愛知製鋼は、米子会社Aichi Forge USA, Inc.に加圧能力3000トンクラスの中古プレス機を2012年をめどに導入して、足回り・変速機などの鍛造部品製造へ乗り出す。トヨタ系サプライヤーの現地工場に供給する予定。同子会社は現在、クランクシャフトなどの生産を行っている。
今仙電機:Tennessee州にシートアジャスター新工場
 今仙電機は、約2,000万ドルを投資してTennessee州にシートアジャスター新工場(Imasen Bucyrus Technology Inc. Tennessee Plant)を建設する。日系メーカーの米国での増産に備えたもので、稼働予定は2011年央、2012年度には5,000万ドルの売り上げを予定する。Ohio工場に次いで、米国での2拠点目の生産工場となる。同社は新工場建設のため、Imasen Bucyrus Technology Inc. に1,500万ドル増資し、資本金を2,900万ドルとした。
 また、米国の拠点では、シートアジャスターのプレス部品の現地調達や、フィリピン工場(Imasen Philippine Manufacturing Corporation)からの部品供給を増やす。円高に対応するため、日本からの供給割合を、2012年末を目標に4割から3割以下に下げる。(2011年7月報道)。
NTN:ハブベアリングと等速ジョイントの生産ラインに投資
 NTNは、米国のハブベアリングと等速ジョイントの生産ラインへの投資を2010年に再開した。北米で投資を行うのは約2年ぶり。American NTN Bearing mfg. corp.のElgin 工場(Illinois州)に新設備を導入し、新型のハブベアリングを量産開始。フォードのピックアップトラック向け。投資額は約10.9億円。また、American NTN Bearing mfg. corp.のColumbus 工場(Illinois州)には等速ジョイントの生産ラインを設置。投資額は12.1億円。
NTN/高尾工業/アサヒフォージ:ハブベアリングの製造前工程を行う合弁会社設立
 NTN、高尾工業、アサヒフォージの3社は、米国 Illinois 州にハブベアリングの製造前工程(鍛造・旋削・熱処理)を行う合弁会社NTA Precision Axle Corporationを2010年12月に設立した。米系メーカーからの需要の拡大を見込んだ動き。総投資額は8,400万ドル。2011年6月に旋削・熱処理の開始、2012年2月には鍛造生産の開始予定。近隣のNTNの組立工場へ供給し、NTNのハブベアリングの生産能力は2013年までには倍増の月産100万個となる予定。
FCC:受注増に対応して、米国へ2011年度50.6億円の投資、デトロイトに営業拠点も
 FCCは、Fordなどからの受注増に対応して、2011年度はAT用クラッチ部品などを生産している米国の工場に総額50.6億円の投資を計画している(2011年6月15日、2011年度業績見通し発表時)。Ford向けに生産しているFCC(Adams), LLC.(Indiana州)には工場増設などに19.8億円、ホンダ・Ford向けなどに生産しているFCC(North Carolina), LLC.には工場増設などに16.4億円、ホンダ向けに生産しているFCC(Indiana) Mfg., LLC.には新機種対応などに14.3億円投資する。
 そして、FCCは、ZFから変速機のクラッチ部品とディスクセットを受注し、ZFの米国拠点(Transmissions Greenville, LLC.:South Carolina州)に納入すると2011年6月15日発表した。クラッチ部品はFCC(Indiana) Mfg., LLC.で、ディスクセットはFCC(North Carolina), LLC.で生産する。
 また、デトロイトに営業拠点(FCC(North America) Detroit Office)を2011年5月に設置した。Ford以外からの米国メーカーからの受注やサプライヤーからの受注獲得が狙い。この営業拠点はFCCの現地持ち株会社FCC(North America), INC.の営業部門として新規に設置された。
カルソニックカンセイ:米工場でEV用インバーター生産
 カルソニックカンセイは、米工場(Calsonic Kansei North America, Inc.: Tennessee州)で日産 Leaf向けにEV用インバーター生産を2012年までに開始予定。約10億円を投資して専用ラインを設ける。日産が2012年からSmyrna工場(Tennessee州)でLeafを生産するのに合わせて、現地生産を行いコストを低減する。
河西工業:発泡樹脂成形技術を北米拠点に展開
 河西工業は、国内拠点のみで展開していた発泡樹脂成形技術を2011年度以降、北米拠点に展開していく。発泡樹脂で作られた内装部品は、従来の樹脂部品より重量を2割から3割軽減できる。河西工業は、発泡樹脂部品では必要であった塗装工程をなくし、コスト削減を図る新しい工法を国内拠点に展開している。コストの安いこの工法の北米への展開で、販売拡大を狙う。河西工業は、現地子会社M-TEK Inc.がTennessee州など5カ所で内装部品の生産を行っている。
鬼怒川ゴム:VW・トヨタから受注、米工場で生産
 鬼怒川ゴムは、VW・トヨタから車体シール部品を受注し、2011年から米生産子会社TEPRO, Inc. (Tennessee州)で生産する。VWからの受注は初めて。VWにはセダンPassat、小型SUV Tiguan、トヨタには2011年秋発売予定の北米向けの新型Camryなどに供給される。
小糸製作所:ヘッドランプ工場と金型工場を建設
 小糸製作所は、米国にヘッドランプ工場と金型工場を2012年春の稼働を目指して建設する。ヘッドランプ工場は既存のアラバマ工場(North American Lighting, Inc.(NAL), Alabama Plant) に約20億円を投資して新工場棟を建設する。年産は当初は50万台とし、受注状況に応じて最終的に100万台規模とする。日系メーカーなどが南部での生産を増やしていることに対応。
 また、Kentucky州には約20億円投資して金型工場を建設する。NALの金型内製化率は現在10%程度で、2013年頃までに25%程度まで高める。NALはIllinois州に3工場、Alabama州に1工場を持っており、中間地点のKentucky州に金型工場を建設することで、物流費を含めたコストを削減する。
積水化成品:発泡樹脂製造設備を増強、発泡成形工場も建設
 積水化成品工業は、米国での発泡樹脂ピオセラン製造設備の増強と、発泡成形工場を新たに建設することを2011年5月に発表した。発泡成形は米国の協力企業に依頼していたが、日系の自動車メーカーの要望に基づいて、積水化成品でも成形品の生産を行う。これにより、ピオセランの製造から成形品の販売までの一貫体制を構築する。ピオセランはバンパーやシートの芯材などに用いられている。
 具体的には、Sekisui Plastics U.S.A., Inc. (Tennessee州)の既存工場内に発泡樹脂製造設備を増強して、年産能力を現行の720トンから、2,000トン弱とする。投資額は100万ドル、完工予定は2011年7月。成形工場は、上記工場の隣接地に288.5万ドルを投資して新工場を建設する。2011年5月の完工予定。成形用の大型機械を4台導入し、年産能力は600トン。成形機を最大24台まで設置できるようにスペースを確保する予定。
ダイセル化学工業:エアバッグ用インフレーターの生産を倍増
 ダイセル化学工業は、2013年度までにDaicel Safety Systems America, LLC (Kentucky州) を増強し、エアバッグ用インフレーター (ガス発生装置) の生産能力を現行比 2倍に高める(2011年 4月報道)。2013年度までに、同社全体のインフレーターの世界生産量を年間 7,000万個に引き上げる計画の一環 (2010年度実績は 4,300万個)。
大同メタル工業:北米再進出を検討、地域統括会社設置も
 大同メタルは、一度撤退した北米に、エンジン軸受け生産子会社設置の検討を開始したと2011年5月に発表した。北米地域での需要拡大に応じるのが目的。立地は北米地域(米国、カナダ、メキシコ)で検討中も、詳細は未定。2-3年内に工場を設置するとのこと。同社は、米国でエンジン用軸受け製造・販売を行うDaido Metal Bellefontaine L .L .C.(Ohio州)の解散・清算を2009年に決定し、2010年9月に解散していた。現在、北米向けは日本から輸出している。
 また、大同メタルは、北米を初め、欧州、アジア、中国おけるに地域統括会社の設置することを、2013年から2018年の次期中期計画に盛り込む方針(2011年8月報道)。北米、アジア、中国の拠点にも研究機能を持たせ、現地での一貫体制を作り上げる(英国には設置済み)。
大豊工業:エンジン用軸受けの生産能力を2015年までに倍増する計画
 大豊工業は、アメリカ工場(Ohio州:Taiho Corporation of America)のエンジン用軸受けの生産能力を、2015年までに月産300万個と倍増させる計画(2010年12月時点)。同業の大同メタル工業が2010年9月に現地法人を解散したため、既納先であるトヨタ以外の日系メーカーからの拡販を狙う(大同メタルは2011年5月に、北米にエンジン軸受け生産子会社設置の検討を開始したと発表(上記))。
ダイヤモンド電機:点火コイルを5割増産
 ダイヤモンド電機は、米国Diamond Electric Mfg. Corp.のWest Virginia工場で点火コイルを5割増産する。約8.3億円を投資して新ラインを建設し、年産能力を1500万個に引き上げる。量産開始は2012年の予定。Fordから受注し、日本・鳥取工場から米国へ輸出している点火コイルの現地生産に対応する。
椿本チエイン:現代自動車向けに米国で増産対応
 椿本チエインは、現代自動車から、追加でエンジン用タイミングチェーンドライブシステムを受注した(2010年7月報道)。米国では現代自動車のAlabama工場向けに、米国の自動車部品拠点Chicopee 工場(Massachusetts州)で生産しており、空きスペースに新ラインを設置する。2011年度内の完工を目指す。
ティラド:EGRクーラーを75%増産へ
 ティラドは、北米ピックアップトラック市場の回復を受けて、ディーゼルエンジン向けのEGRクーラーの生産を75%増やす。米国のT.RAD North America, Inc.(Kentucky州)に2億円程度投資して、2015年までにEGRクーラーの年産台数を20万台から35万台へ増やす。
東芝:米国に海外初の車載モーター製造拠点
 東芝は、米Toshiba International Corporation (Texas州)に海外初の車載モーター製造拠点を設置し、2012年1月より生産を開始する。Fordが2012年から量産する予定のHEV/PHEV向けに供給が決まったことに対応し、米国市場向けの供給体制を強化する。また、Fordへは車載用インバーターも供給し、こちらは日本の三重工場で生産する。
東プレ:米工場に65億円投資して設備増強
 東プレは、プレス部品・金型を製造する米工場(Topre America Corporation: Alabama州)に65億円投資し、工場を増築すると2011年7月に発表。工場を13,000平方メートル拡張し、2,500トンのプレス機を導入する。2012年9月に稼働予定。新しい製造ラインの一部に、ホットプレス工法を導入するとのこと。ホットプレス工法は、高強度のプレス部品を製造することができ、車体の軽量化・高強度化のニーズへ対応可能。日本では相模工場にホットプレス工法の試験ラインを導入している。
トヨタ車体:Mississippi新部品工場を2011年秋に稼働
 トヨタ車体は、Mississippi 新部品工場(Auto Parts Manufacturing Mississippi Inc.)を2011年秋に稼働させ、ブレス部品、溶接部品、樹脂部品を生産する。トヨタ車体初めての米国での工場となる。トヨタがMississippi工場で生産するCorolla向けに供給する。

 2007年7 月の新工場建設発表時には、SUV Highlander向けに2010年から生産予定であった。生産車種が変更になったが、金型/治具を変更する程度で、設備は汎用機をそのまま用い、投資額約220億円、従業員数約260人も予定のまま。

トヨタ紡織:Mississippi新工場を2011年秋に稼働
 トヨタ紡織は、Mississippi新工場(Toyota Boshoku Mississippi, LLC.)を2011年秋に稼働する。トヨタがMississippi工場で生産するCorolla向けにシート、ドアトリムを生産する。年産は15万台分(定時)。
2007年9月の新工場建設を発表時には、2010年から生産予定であった。また、供給するのがトヨタの3列シート車のSUV Highlander向けから、2列シート車のCorolla向けになったことで、従業員数は500人の予定から250人に、資本金は5,300万ドルから4,900万ドルに減少。
日清紡ブレーキ:ブレーキパッド増産へ
 日清紡ブレーキは、米国工場Nisshinbo Automotive Manufacturing, Inc. (NAMI:Georgia州)でのブレーキパッドの増産を2011年内にも開始する。約6億円を投資して、加工設備などを導入し、1割程度の増産を図る。デトロイト3からの受注など、米国市場の需要拡大に対応する。
日鍛バルブ:米工場に自動生産ライン導入
 日鍛バルブは、米工場(U.S. Engine Valve (Partnership), South Carolina州)に自動生産ライン(NGVライン)を導入した(2011年3月現在、導入済み)。NGVラインは、エンジンバルブの材料切断、鍛造、仕上げ、検品までを自動化したもの。その結果、ライン設置スペース・人員を半減し、従来比20%のコスト削減を図る。日本国内では山陽工場(山口県)に導入済み。
ニッパツ:シート工場と駆動用モーター部品工場を新設
 ニッパツは、Tennessee州 に米国でのシートの第2工場(NHK Seating of America, Inc.(NSA) 、Murfreesboro工場)を建設した(2011年7月現在、完工済み)。投資額は約3,100万ドル。日産への供給能力を強化し、2012年をめどにNSAの売上高を1.5倍程度にすることを目指す。米国の既存シート工場は、Michigan州 Frankfortにあり主にトヨタ/富士重向けのシート/シート部品の生産を行っている。
 また、Kentucky州にある、コイルバネなどの生産拠点NHK of America Suspension Components Inc.の敷地内に、自動車駆動用モーターコア工場を新設する(2010年12月発表)。投資額は約3,700万ドルで、同社の自動車駆動用モーターコア事業としては初の生産拠点。北米でのEV/HEVの市場拡大を見込んで参入する。2011年度中の生産開始を予定。
ニフコ:燃料タンク用バルブの現地生産
 ニフコは、米国子会社 Nifco America Corporation (Ohio 州)で燃料タンク用バルブの現地生産を2011年以降に量産する予定。2010年夏からは試験生産を行っている。燃料タンク用のバルブはメーカーの品質管理が厳しいため、主に日本で生産し輸出してきた。なお、Nifco America には2011年3月期中に燃料系設備および成形機などに約5.5億円の投資を行っている。
林テレンプ:Alabama新工場を2011年秋に稼働、Michigan州に研究開発拠点
 林テレンプは、Alabama州にフロアカーペットなど内装部品を生産する新工場(AMTEX INC., Alabama Pant)を2011年秋に稼働させる。トヨタが同時期に稼働させるMississippi工場に供給する。工場の敷地面積は56,000平方メートル、建物面積は4,800平方メートル。敷地を大きく取っており、他メーカーからの受注が得られれば工場の増設も視野に入れている。
 また、Michigan州には内装部品の研究開発拠点(Hayashi of America Detroit Develop Center) を2010年9月に設置した。設置当初の従業員は10人で、順次拡大予定。同州の設計拠点や各地の工場に分散している設計・実験機能を統合し、現地で一貫して設計・評価ができる体制を作る。
日立電線:電源ハーネスをGMへ供給、米工場で量産へ
 日立電線は、GM のPHEV Volt向けに、駆動用モーター、蓄電池、インバーターなどをつなぐ電源ハーネスをGMへ供給する(2011年5月報道)。日立電線の米工場(Hitachi Cable Automotive Products USA, Inc.: Indiana州)で量産見込み。
ブリヂストン:South Carolina Aiken工場で乗用車・小型トラック用タイヤを2割増産
 ブリヂストンは、米国South Carolina Aiken工場に1億3,500万ドル投資し、乗用車・小型トラック用タイヤを2割増産すると2011年7月に発表。日産能力25,200本(2011年7月現在)を約30,000本に増強する。新たに81,000平方メートルの建屋の建設を2011年中に開始し、2013年第1四半期中の稼働を予定する。
プレス工業:日産のLCV向けパネル部品をMississippi工場で生産
 プレス工業は、日産が米国で生産・販売するLCV向けのパネル部品を新規受注。Mississippi工場 (PK U.S.A, INC. Mississippi Plant)で生産し、2010年9月より供給開始。年間6億円の売り上げを見込む。また、Indiana工場(PK U.S.A, INC. Indiana Plant)では、トヨタよりHighlander向けの小型部品を受注し生産を開始している(2010年6月報道)。
ホンダエレシス:電子制御ユニットの製造ライン増強
 ホンダエレシスは、米国の子会社 Elesys North America inc.(Georgia州)の電子制御ユニットの製造ラインを2010年内に増強。同社は燃費削減の効果が高い電動パワーステアリング(EPS)の搭載が海外で伸びると見て、海外でのEPS向け電子制御ユニットの供給体制を高めている。
三井化学:北米でポリプロピレンを増産
 三井化学とプライムポリマー(三井化学が65%出資)は、米国とメキシコでポリプロピレン自動車材を増産することを2011年7月に発表した。アメリカでは、Ohio州とTennessee州に工場を持つAdvanced Composites Inc.の生産ラインを増設し、年産能力を21.2万トンから22.6万トンへ増強する。稼働予定は2012年第1四半期。
三菱重工:コンプレッサー工場を2011年秋に再稼働予定
 三菱重工は、2009年 7月に生産を休止した Mitsubishi Heavy Industries Climate Control Inc. (MCC:Indiana州) のコンプレッサーの生産を、大口の受注を獲得したことから2011年秋に再開する予定。
 また、主に日本で生産しているEV/HEV向けの電動コンプレッサーを、MCCで生産するための設備投資を別途予定している(詳細は未定)。三菱重工は、 同社全体の電動コンプレッサー年間販売を2018年度までに、2009年度に比べて約30倍の130万台にする計画を立てている。
ユニプレス:米国ホンダ向けの分工場建設検討
 日産系のユニプレスは、ホンダ向けの売り上げ拡大を計画している。2010年度のホンダ向けの売上高は約29億円(全体の1.3%程度)で、米国ホンダ向けは約12億円。2013年度までにホンダ向け全体で48億円、米国ホンダ向けで18億円に拡大することを計画している。そのため、ユニプレスの現地工場から車体骨格部品を運んで、北米ホンダの工場近くで組み立てる分工場の建設を3カ所程度検討中(2011年7月報道)。
湯原製作所:燃料噴射部品の生産能力を25%増
 湯原製作所は、米工場 Yuhara Manufacturing USA Inc.(Georgia州)の燃料噴射装置関連部品の生産能力を25%増の月産50万本に拡大する。投資額は約4500万円で、2011年4月には設備を導入した。
横浜ゴム:米国の乗用車タイヤ年産能力を1割増の620万本へ
 横浜ゴムは、米国の乗用車タイヤ生産能力を1割増強し年産620万本体制とする。現地子会社Yokohama Tire CorporationのSalem工場(Virginia州)に、1,300万ドルを投資して年産能力を2011年度末までに引き上げる。北米でのタイヤ販売が好調で、供給が追いつかない状況の改善を図る。
資料:各社広報資料, 各紙報道

 



米国 事業体制の効率化:現地子会社の統合・解散が続く

 中央発條は、納入先のトヨタとGMの合弁会社NUMMIの閉鎖に伴い、コイルバネを生産する現地子会社を解散。日本特殊陶業は現地のスパークプラグの生産拠点を統合した。

 また、トヨタ紡織日本ピストンリング日立製作所日立電線、富士通テンは現地の子会社を合併させ、管理体制を効率化した。

米国:日系自動車部品メーカーの生産の集約/移管などによる事業体制の効率化

(2011年8月上旬までの約 1年4カ月間の動向。配列は企業名 50音順)
曙ブレーキ:北米での調達先を3分の1削減へ
 曙ブレーキは、2009年末にBoschの北米事業の一部を買収した影響で増加していた調達先を、2011年から2012年をめどに3分の1を削減する。同社が買収した事業は、ファンデーションブレーキ、ディスクローター、ブレーキドラム、コーナーモジュール事業。曙ブレーキが以前から行っていた事業もあり、調達先が倍増している。調達先を絞り、一社当たりの発注数を増やすことでコスト削減を目指す。
 曙ブレーキの2011年度、北米事業の業績見通しは売上高980億円、営業利益は40億円の赤字。2013年度に、売上高1,050億を、営業利益25億円を目指している。今後、米国法人は旧Boschの強みを生かして、欧州メーカーからの受注活動の中心を担う。
市光工業ミツバ:米合弁会社の解散を決議
  市光工業とミツバは、両社が出資する米合弁会社Ichikoh Mitsuba, Inc.の解散を2010年5月21日にそれぞれ決議した。同合弁会社は、市光工業の完全子会社をもとに、市光側が75%、ミツバが25%を出資して2006年に設立したもの。ミラーやスモールランプなどを生産・販売していたが、業績が低迷していた(2008年度の売上高は3,035万ドル、231万ドルの営業赤字)。  2010年10月に解散予定であったが、2011年7月現在、Ichikoh Mitsuba, Inc.は解散しておらず、市光工業の100%子会社となっている。
 2010年5月31日、市光工業はスペインのサプライヤー Ficosa International, S.A.とミラー事業においてグローバル提携を結ぶと発表した。Ficosa は市光工業の北米のミラー製造販売事業を受け継ぎ、Ficosaの製造拠点に組み入れていく予定。
中央発條:NUMMI閉鎖に伴い、 米子会社解散
 中央発條は、米国でコイルバネを生産するCentral Spring, Inc.(California州)を2012年2月に清算する(2011年2月発表)。トヨタとGMの合弁会社NUMMI(California州)にコイルバネを供給していたが、NUMMIが2010年3月に稼働を停止したため、操業が困難になった。2009年の売上高は1,709万ドル、営業利益は35万ドルであった。清算に伴い、中央発條は2011年3月期第3四半期の連結決算に7.6億円の特別損失を計上した。
トヨタ紡織:Indiana 州の生産会社2社を合併
 トヨタ紡織は、米国子会社のToyota Boshoku Indiana, LLC.(TBIN)とTotal Interior Systems-America, LLC.(TISA)を2010年7月1日付で合併させた。存続会社はTBIN。トヨタのIndiana 工場に納入するシートやドアトリムを生産するTISAと、TISAへ供給するシート機能部品を生産するTBINの合併で、管理部門統合や生産工場の効率化を図る。
 トヨタ紡織の北中南米事業は、2008年度から2010年度まで3年連続赤字となっており、2011年度に黒字化を目指す「北中南米収益構造改革特別推進プロジェクト」を2010年度より進めている。
東洋ゴム:子会社向け債権3,580万ドルを放棄
 東洋ゴムは、米完全子会社Toyo Automotive Parts (USA), Inc.に対する貸付金3,580万ドルを、2010年3月に放棄した。Toyo Automotive Parts (USA)の債務超過を解消し、事業の再生を図る目的。同社はKentucky州にあり、自動車用防振ゴムの製造/販売を行っている。資本金は2,900万ドル。
日本特殊陶業:米国のスパークプラグ生産拠点統合
 日本特殊陶業は、米国に2つあったスパークプラグ生産拠点の統合を2010年5月までに行った。具体的には、米国子会社NGK Spark Plugs (U.S.A.), Inc.の Irvine工場(California州)のスパークプラグ生産設備を、West Virginia工場に移管した。Irvine工場は、今後、物流拠点として活用する予定。
日本ピストンリング:米子会社4社を統合
 日本ピストンリングの米国事業持株会社NPR US Holdings, Inc.は、 その子会社を2011年1月に吸収合併し、社名をNPR of America, Inc.に改めた。合併したのは、販売会社NPR of America, LLC、ピストンリング製造をするNPR Manufacturing Kentucky, LLCとバルブシートを製造するNPR Manufacturing Michigan, LLCの3社。
日立製作所:米自動車機器子会社3社を統合
 日立製作所の米自動車機器子会社Hitachi Automotive Products(USA), Inc.は、その子会社のUnisia of Georgia CorporationとTOKICO(USA) Inc.の2社を2011年1月に合併・統合した。同時に、同社は社名をHitachi Automotive Systems Americas, Inc.に変更。日立は自動車機器事業の地域ごとの効率化を図るため、この3社の統合を2006年から段階的に進めてきた。今後は、統合会社のもと、米国市場だけでなく、中南米市場での需要拡大に備える。
日立電線:米自動車部品製造・販売子会社2社を統合
 日立電線は、米国で自動車用ブレーキホースなど自動車用部品を製造・販売するHitachi Cable Indiana, Inc.を存続会社として、Hitachi Cable Florida, Inc.を2011年1月に合併した。同時に、合併後の存続会社の社名をHitachi Cable Automotive Products USA, Inc.に変更した。北米自動車事業の再編の一環で、米国1社・メキシコ1社にそれぞれ製造・販売会社を集約する狙い。合併後の売上高は、2011年度に1.38億ドルになると予測(決算期を変更したため15カ月決算)。
富士通テン:販売子会社と開発子会社を統合
 富士通テンは、米国販売子会社の Fujitsu Ten Corp. of America (California州:存続会社)と、同開発子会社 Fujitsu Ten Technical Center, USA, Inc.(Michigan州)を2010年4月に統合した。いずれも同社の完全子会社。これにより、南北アメリカのマーケティング/商品企画機能を強化し、メーカー向けのビジネスだけでなくディーラー向けの用品ビジネスの拡大を目指す。
 


米国 提携など:タチエスはJohnson Controls社と資本業務提携、日本電産はEmersonのモーター事業買収

 日系サプライヤーは、自動車メーカーのグローバル化に対応するため、米サプライヤーとの提携も深めている。タチエスは Johnson Controlsと資本・業務提携を結び、西川ゴムCooper Standardとの提携関係を深める。ジェイテクトは買収したTimken部門との統合を進め、日鍛バブルは筆頭株主であるEatonとの共同購買を進める。

 一方で、日本電産は Emersonのモーター部門を買収し、古河電工Lear Corporationとの合弁会社を完全子会社化した。

米国:日系自動車部品メーカーの提携など

(2011年 8月上旬までの約 1年4カ月間の動向。配列は企業名 50音順)
三桜工業米Cooper-Standardの工場を買収し、チューブ部品を現地生産
 三桜工業は、米サプライヤーCooper-Standard Automotive のOhio州 Archbold 工場を約400万ドルで2010年3月に買収。米国100%子会社 Sanoh America, Inc の工場としてブレーキチューブおよび燃料チューブの生産を同月より開始。同社は、従来までチューブは日本の古川事業所より米国へ輸出していたが、これによりチューブ部品の現地一貫生産が可能となった。Archbold 工場のブレーキチューブの生産能力は月間400万メートル。同工場からはカナダ/メキシコ/ブラジルなどの現地法人への供給も計画している。
ジェイテクト:旧Timken部門との統合を進める
 ジェイテクトは、2009年12月に買収した米Timkenニードル軸受け部門との統合を進めている。買収以来、個別に営業をしていたジェイテクトと旧Timkenの営業チームを、2011年1月に統合した。商品ラインアップを拡充して、欧米系メーカーとの取引拡大を目指す。また、旧Timkenの生産工場(北米5工場、欧州6工場、中国1工場)にジェイテクトの社員を派遣し、生産方法の改善や調達コストの改善も図っていく。ジェイテクトは2010年度に販売額が約500億円(2010年度11月時点見込み)であるニードル軸受け事業を、2015年には約700億円に拡大することを目標にしている。
セントラル硝子:米ZeledyneのNashvilleガラス工場を買収
 セントラル硝子は、米ZeledyneのNashvilleガラス工場(Tennessee州)とCarliteブランド(Fordブランド)の補修用ガラス販売事業を2011年4月に買収した(買収額非公表)。セントラル硝子は、この買収のためCarlex Glass America, LLC(Tennessee州:資本金3,600万ドル)を設立した。Nashville工場はフロントガラス換算で年産250万枚の生産能力を持つ。またセントラル硝子は、同工場に1億ドルを投資し、新しいフロントガラス製造ラインの設置などを行うことを同年6月に明らかにした。この買収により、同社は現地での板ガラス生産から曲げ加工までの一貫生産が可能となる。
 Zeledyne(Michigan州)は2008年に設立され、その前身はFordのガラス製造部門。2010年1月にガラス事業からの撤退を表明していた。
タカタ:衝突試験設備を増築
 タカタは、米国子会社TK Holdings Inc.(Michigan州)に1,460万ドルを投じて、衝突試験設備を増築。2011年半ばの完工予定。高速運転時における、前面・側面衝突した場合の安全装備・部品へ与える影響を調べる。他社への貸し出しも想定している。
タチエス:米Johnson Controlsと資本・業務提携
 タチエスは、米Johnson Controls(JCI) と資本・業務提携を結ぶことを2010年4月に発表した。両社はシートを生産しており、1980年代より北米・中国などで協力関係にあった。今回、JCIによる出資を受け入れて協力関係を強化し、自動車メーカーのグローバル化に対応する。具体的には、営業・開発窓口の一本化、調達・生産設備の相互活用などを進めていく。
 資本提携については、2010年5月に、タチエスが自社で持つ発行済み株式の5.14%を、JCIの日本法人に17.6億円で譲渡。これによりJCI はタチエスの筆頭株主となった。タチエスは得た資金を、日本に建設中の技術開発拠点「タチエス技術・物作りセンター」(2012年3月完工予定)の建設費の一部に充てる。
西川ゴム米Cooper Standard Automotive Inc.との提携強化
 西川ゴムは、自動車用ゴムシール製品で提携関係にある米Cooper Standard Automotive Inc.(CSA)との提携関係を強化すると2011年3月に発表した。具体的には(1)折半出資の米合弁会社Nishikawa Standard Company LLC. (Indiana州)の西川ゴムの出資比率を10%(1,600万ドル)引き上げ、西川ゴム60%、CSA 40%とする。同時に社名をNishikawa Cooper LLC.に変更する。(2)西川ゴムが97.7%(発行済み株式)所有するタイ子会社Nishikawa Tachaplalert Rubber Co., Ltd.の株式20%をCSAに譲渡する(1,050万ドル)。同時に社名をNishikawa Tachaplalert Cooper Ltd.を変更する。(3)西川ゴムが、CSAのポーランド法人Cooper Standard Automotive Polska Sp. z.o.o.に出資する。(4)CSAとのメキシコ合弁会社Cooper Standard Automotive Sealing de Mexico S.A. de C.V.の出資比率の変更(現在、西川ゴムは20%出資)。(3)(4)に関しては、2011年8月現在、詳細は未定。
日鍛バブル:筆頭株主米Eatonと共同購買
 日鍛バブルは、筆頭株主(27.2%出資)である米Eatonと共同購買を2012年にも開始する。対象は主にエンジンバルブの素材である耐熱鋼など。Eaton社の購買網を利用して、コスト削減を目指す。主に南米・北米・欧州で重点的に進める。
日本電産:米Emerson社のモーター事業を買収
 日本電産は、米Emerson社のモーター事業を2010年9月に買収し同社の完全子会社とした(取得価格は非開示)。買収した事業はNIDEC Motor Corporation (Missouri州)が事業運営の中核を担う。Emerson社の同事業を買収したことにより、米国での家電用モーター事業、大型モーター事業を強化し、同社の持つ高効率なSR(switched reluctance)モーターの技術を利用してEV用モーターの次世代製品の開発に取り組む。
日立オートモーティブ:米社Airbiquity社とEV向けテレマティクスサービス分野で提携
 日立オートモーティブシステムズは、米国のAirbiquity社(Washington州)とEV向けテレマティクスサービス分野で提携すると、2010年4月に発表した。充電設備への誘導や、携帯電話を使った充電状況の確認といったEV向けのテレマティクスサービスの共通システム基盤を構築しグローバルに提供する。自動車メーカーが独自に維持・運用するより効率的にサービスの提供ができるとのこと。Airbiquity社は、携帯電話と自動車の情報システムをつなぐ技術などを提供している。
日立製作所:Johnson Controlsと蓄電分野で提携
 日立製作所は、米Johnson Controlsと蓄電分野での提携に関する覚書を2010年10月に取り交わした。両社は、リチウムイオン電池などの蓄電製品とシステムに関する研究開発、調達、生産、マーケティング、販売、国際標準化などの分野における協業を検討していく。
フタバ産業:北米統括会社を設立
 フタバ産業は、北米統括会社Futaba North America Engineering & Marketing Co.を2011年10月(予定)に設立すると2011年8月に発表した。Illinois州にある現地子会社 FIC America Corp.の構内に設置する。資本金は1.25億ドルで、そのうち1.24億ドルはFICの株式を現物出資する。このため、FICには4,900万ドル増資し、資本金を1.24億ドルとした。北米事業の意志決定の迅速化・効率化・自立化を図る。
 フタバ産業は北米では、FICの他、Indiana州、Texas州、カナダOntario州に工場を持っており、排気系部品、ボディ部品などを生産している。2020年までの中期計画(2010年7月発表)で、北米事業の売り上げを2010年度の約500億円から、2015年には約600億円、2020年度には約700億円にすることを目標としている。
古河電工Lear Corporation との合弁会社を完全子会社化
 古河電工と古河オートモーティブシステムズは、2010年 6月、Lear Corporation との合弁会社 Lear Furukawa Corporation (Texas州)のLear社の持ち分20%を買収し、完全子会社とした。それに伴い、社名をFurukawa Wiring Systems America Inc.に変更。日系自動車メーカー向けにワイヤーハーネスを生産しており、2009年の売上高は約 6,500万ドル。2009年4月には、持ち分を 80% に引き上げ、Furukawa Lear Corporation に社名変更していた。今後は、主に電装部品を製造販売し、同じく完全子会社のAmerican Furukawa Inc.との連携を強化していく。
資料:各社広報資料, 各紙報道

 



カナダ:ショーワは電動パワーステアリングをカナダで生産

 

カナダでの日系自動車部品メーカーの動向

ショーワ:電動パワーステアリングをカナダで生産
 ショーワは、電動パワーステアリングをカナダ工場(Showa Canada Inc.: Ontario州)で生産する(2011年7月報道)。カナダ工場はプロペラシャフトや油圧パワーステアリングポンプなどを生産していたが、工場内にクリーンルームを設置して電動パワーステアリングの生産を開始した。主要納入先のホンダが、油圧に比べて燃費が改善する電動パワーステアリングの採用を、日本国内向けから海外向けのモデルに広げていることに対応する。

資料;ショーワ広報資料、各紙報道

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>