人とくるまのテクノロジー展 2011:部品サプライヤーの出展(1)

EV/HEVとアイドリングストップに関連する技術の出展概要

2011/06/03

要 約

 以下は、2011年5月18日~20日に開催された「人とくるまのテクノロジー展2011」における、部品サプライヤーの、EV/HEV関連とアイドリングストップ関連技術出展の概要である。

 EV/HEVシステムとしては、NTNはインホイールモーターシステムを出展、ジヤトコは7速ATベース、ZF Sachsは8速ATベースのハイブリッドトランスミッションを出展した。

 内燃エンジンを持たないEV、および内燃エンジンが停止する場合があるHEVのスムーズな走行をサポートする部品が数多く出展された。アイシン精機、日立製作所が、電動オイルポンプ、電動ウォーターポンプを出展。ブレーキにおいては、日立製作所やHellaがエンジンに替わり負圧を発生させる装置を出展した。

 三菱重工は、三菱 i-MiEVが暖房に使用する電気温水ヒータを出展した。カルソニックカンセイは、省電力が可能なヒートポンプ式エアコンを開発している。

 アイドリングストップについても、エンジンが停止するという状況はEV/HEVと共通で、再始動時の電圧を安定させるDC-DCコンバーターや、トランスミッションにオイルを送り再始動時の作動油圧を確保するための電動オイルポンプなどが出展された。またアドヴィックスは、アイドリングストップ時のブレーキを自動的に保持する「アイドリングストップ協調ブレーキ」を出展した。



EV/HEVシステムの出展

 NTNは、2011年3月に、インホイールモーターに、センサー情報に連動した制御システムを組み入れた世界最軽量の「インホイールモーターシステム」の開発を発表し、今回の技術展に出展した。「オンボード駆動システム」、「ワンモーターEV駆動システム」の2つのバリエーションも提案した。

 三菱重工は、2011年2~3月に実施した電気バス実証実験の概要をパネルで展示した。ジヤトコは、日産Fuga HEVが搭載するHEVトランスミッションを出展、ZFは、8速ATのトルコンのスペースにハイブリッドモジュールを配置する、HEVトランスミッションを出展した。


NTNが出展した、インホイールモーター
NTNが出展した、インホイールモーター


NTNのワンモーターEV駆動システム
NTNのワンモーターEV駆動システム
(通常のEVと同じタイプだが、自動2段変速機構を採用し、高速小型モーターの採用を可能にした)


ZF Sachsが出展した、8速ATハイブリッドトランスミッション
ZF Sachsが出展した、8速ATハイブリッドトランスミッション
(BMW、Mercedes-Benz、Audiのハイブリッド車が採用している)

EV/HEVシステムの出展

NTNのインホイールモーターシステムの提案と試験車両の出展
インホイール
モーターシステム
基本コンセプト  モーターや減速機構を直接ホイール内に取り付ける方式。駆動力がタイヤに直接伝達されるため、ギアや駆動軸などでのエネルギー損失が少なく、重量や室内空間確保にも有利。ドライブシャフトが不要となるため、平行移動やその場での旋回が可能になる。
小型クラスEV  "11"という高い減速比を実現したサイクロイド減速機を採用することで、(NTNによれば)世界最軽量のEVシステムを開発した。2輪(後輪または前輪)に搭載することで、1500ccクラス小型車と同等の駆動性能が得られ、最高速度150km/h、30万kmの耐久性を確認した。
二人乗り電動
コミューター
 二人乗り電動コミューターや一人乗りミニカーの機能・用途に合わせ、小型化したモーター・減速機を開発した。2人乗り試験車両も展示した。
2つのバリエー
ションを出展
オンボード駆動
システム
 インホイールモーターのメリットを残しながら、車両の既存プラットフォームを大幅に改造しないで済むように、小型クラス用インホイール型と同じモーター 2個を車両中心部に配置し、等速ジョイントとハブベアリングでホイールと接続した。それぞれのモーターが独立して左右の車輪を駆動し、最高速度は150km/h。コンバージョンEVへの適用が容易。
 スズキワゴンRのボディーに、オンボード駆動システムを搭載する試験車両を展示した(コンセプトとしての展示とのこと)。
ワンモーターEV
駆動システム
 現在のEVで主流になっている、1個のモーターで駆動するシステムだが、多くのEVは変速機能を持たない減速機を使用するため、結果として大型の駆動モーターを採用している。NTNは独自の自動 2段変速機構を採用することで、高速小型モーターをEVの広い運転条件下で高効率で使用できるようになり、小型・軽量なシステムを実現した。
三菱重工が電気バスを出展
三菱重工 電気バス実証実験  2011年2月~3月に京都市と青森市で行った電気バス実証実験の概要をパネル展示した。三菱重工製リチウムイオン電池MLiXを搭載し、三菱ふそうエアロスターエコハイブリッドを電気バスに改造した。モーターのみで走行するシリーズ方式。航続距離(JE05モード、満員乗車、エアコンなし)は30km + 非常用10km、60分で急速充電する。今後量産車を開発する計画。
 三菱重工としては、リチウムイオン電池の販売に加え、電気バスのある低炭素社会に向けたインフラ整備の事業化を目指すとのこと。車両での使用を終了した電池を別用途の電源等に再利用すれば、イベント開催や災害復旧活動支援にも役立つ。
HEVトランスミッションの出展
ジヤトコ 7速AT HEV
トランスミッション
 日産Fuga HEVが搭載する、7 速ATをベースとするハイブリッドトランスミッション。1 モーター/ 2 クラッチシステムを採用し、トルコンは装備しない。(1)発進時や電池残量の多い場合はモーターのみで走行、(2)電池残量の少ない場合はエンジンで走行しながらモーターを回し充電、(3)減速時には、エンジンを切り離し、ブレーキエネルギーを回生、(4)全開加速の場合は、エンジンとモーター両方で加速する、との4つの走行パターンを使い分ける。 
 2つのクラッチのうち、最初のクラッチはエンジンとモーターの間に配置し、クラッチを切ることで、モーターのみの走行と効率的なブレーキエネルギー回生を可能にする。また2番目のクラッチは、7 速AT内部に配置されたウェットクラッチの総称で、通常のATと同様に変速機能を担う(2番目のクラッチは常に"ON"の状態で、7速のいずれかのギアを接続している)。
 7速ATのスムーズな変速を可能にするウェットクラッチと、モーターアシストにより、トルコンを不要にした。なお、Fugaガソリン車もウェットクラッチを使用するが、モーターアシストがないので、トルコンのトルクを増幅する機能が必要だとのこと。
ZF Sachs 後輪駆動車用
8速AT HEV
トランスミッション
 通常の 8速ATをベースに、全体のサイズを変えずに、トルコンの収納スペースに湿式クラッチ、電気モーター、トーショナルダンパーを納める。マイルドHEV、フルHEV、マイクロHEV(アイドリングストップシステム)などに応用可能。200種類にもおよぶモーターとの組み合わせが可能になるよう考慮して設計した。
 既に、BMW 7 Series ActiveHybrid、Mercedes-Benz S400 BlueHybrid、Audi Q5 Hybrid、2011年春に発売したAudi A6 Hybridが採用している。Land Roverは、Range Rover Sportをベースとし、上記 ハイブリッドトランスミッションを搭載する "Range_e"を2013年に発売予定。

資料:本展示会での展示および配布資料、各社発表、他(以下同様)

 



バッテリー、キャパシター、モーターの出展

 日立製作所は、量産中のLIB-Ⅱ、LIB-Ⅲ世代のリチウムイオン電池、および開発中のLIB-Ⅳ、PHEV/EV用リチウムイオン電池を出展した。新神戸電機は、2011年2月に開発を発表した、大型円筒型リチウムイオンキャパシターを出展した。

 BoschとSamsung SDIが共同で設立したSB LiMotiveは、PHEV用リチウムイオン電池を出展した。

 Boschは、パワートレイン外部に取り付ける別体型と、エンジンとトランスミッションの間に取り付ける一体型の、2つのハイブイリッド用モーターを出展した。


新神戸電機が出展した、リチウムイオンキャパシタ
新神戸電機が出展した、リチウムイオンキャパシタ
(鉛蓄電池や、リチウムイオン電池との組み合わせモジュールも開発した)

EV/HEV用電池、モーターの出展

日立製作所の
リチウム
イオン電池
LIB-Ⅱ  商用車HEV向け。
LIB-Ⅲ  GMが2011年に発売する"eAssist"システムに供給を開始した。
LIB-Ⅳ  出力密度4,500W/kgを目指し開発中のHEV向け電池(LIB-Ⅲの出力密度は3,000W/kg).
PHEV/EV用  エネルギー密度120Wh/kgを目指し開発中。EV/PHEV向け電池は、一定距離を走行するためにエネルギー密度が重要とされる(LIB-Ⅳのエネルギー密度は72Wh/kg)。
SB LiMotive PHEV用
リチウムイオン電池
 Boschと韓国のSamsung SDIが2008年に設立したリチウムイオン電池メーカーSB LiMotiveが、プラグインハイブリッド用リチウムイオン電池(模型)をBoschのブースに出展した。受注先は明かせないとのこと。
新神戸電機 リチウムイオン
キャパシター
 新神戸電機は、大型円筒形リチウムイオンキャパシターを開発した。正極にEDLC(電気二重層キャパシター)と同じ活性炭を、負極にリチウム電池と同じ炭素材料を使用する。リチウムイオン電池を上回る短時間での充放電性能とEDLCを上回る高いエネルギー密度や作動電圧を実現した。
 用途としては、ハイブリッド建設機械、自動搬送車、アイドリングストップ用補助電源、電力回生等に最適な蓄電デバイスになるとしている。鉛蓄電池やリチウムイオン電池との組み合わせモジュールも開発している。
 出力を1.5倍以上に高めた製品や、エネルギーを1.7倍以上に高めた製品を2011年第2四半期に投入する。
(注) 1. キャパシターは、二次電池のような化学反応ではなく、電解液中のイオンの吸脱着による蓄電であるため、蓄電できる容量は二次電池に比べ少ないが、短時間での充放電性能に優れ、充放電による劣化が少ない等の特性がある。
2. リチウムイオンキャパシターは、性能を高めるために、負極にリチウムイオンを"予備充電"しておくことが必要で、それが製品化の障害になっていたが、新神戸電機はこの課題を解決した。
3. GMが2011年に発売するするBuick LaCrosseなどに搭載するマイルドハイブリッドシステム"eAssist"は、日立製リチウムイオン電池LIB-Ⅲとともに、補助電源としてMaxwell社製Ultracapacitorを搭載する。
HEV用モーター
Bosch 別体型モーター
ジェネレーター
 別体型(SMG Separated Motor Generator)モーターは、既存のパワートレインに外部から取り付けて搭載することが可能。一体型に比べ、小型で軽量の駆動モーターで、ベルトドライブ方式や、トランスミッションにDCTを利用するハイブリッド車の搭載に向く。トルク250 Nm、出力約50 kWまでに対応可能。
一体型モーター
ジェネレーター
 一体型(Integrated Motor Generator)は、エンジンとトランスミッションの間に組み込む、パラレルハイブリッド用水冷モーターで、出力50 kW、トルク350 Nmまで対応が可能。VW Touareg/Porsche Cayenneのハイブリッド車に搭載している。

 



エンジンを動力とするポンプに替わる、電動ポンプの出展

 従来のエンジンを動力としベルトにより駆動するポンプに替わって、エンジン冷却水やトランスミッションにオイルを供給する電動ポンプを、アイシン精機と日立製作所が出展した。

EV/HEVシステムをサポートする電動オイルポンプ/ウォーターポンプ

アイシン精機 モーター冷却用
電動オイルポンプ
 Lexus LSハイブリッド/HS250h/RXハイブリッド、トヨタHighlanderハイブリッドが搭載し、トランスミッション内部に装備するモーターを冷却するオイルを供給する。モーター、ポンプ、電気制御回路を一体化しコンパクト化した。
エンジン冷却用
電動ウォーターポンプ
 アイシン精機が国内メーカーとして初めて開発し、2009年5月発売のトヨタの3代目プリウスが搭載した。エンジンの動力によるポンプに比べ、必要な場合のみ稼働することにより最適な冷却が可能で、エンジンの負荷も軽減され、1800ccガソリンエンジン車に搭載した場合燃費を2%低減する。
インバーター冷却用
電動ウォーターポンプ
 Lexus LS/GS/RXハイブリッド、カムリハイブリッド、エスティマハイブリッド、3代目Priusなどのハイブリッド車が搭載している。モーター、ポンプ、電気制御回路を一体化しコンパクト化。小容量(10L/分)から大容量(100L/分)までシリーズで開発中。
日立製作所 電動オイルポンプ  エンジン停止時にトランスミッションの作動油圧を確保するための補助電動オイルポンプを開発した。エンジン停止中に作動するため、静音性を重視して設計した。モーター出力 200W。
(注) 1. 日立製作所の電動オイルポンプは、2010年から日産Fuga ハイブリッド車に供給している。なおアイシン精機によると、この装備は通常ガソリン車ベースのHEVに必要になるが、トヨタのHEVシステム(電気式無段変速機、一般にECVT)では、エンジン停止時にトランスミッションの油圧を確保する仕組みはもともと組み込まれており、そのための新たな電動オイルポンプは必要ないとのこと。
2. アイシン精機によると、上表の3つのポンプは、ガソリン車・HEVで共通して使用できる部品。現在は主にHEV車が搭載している。

 



EV/HEVのエアコンシステム

 デンソーと三菱重工は、EV/HEV用電動コンプレッサーを出展した。

 EVでは、内燃エンジンの熱が得られないため、暖房の効率化が課題になっていてEVの航続距離にも影響する。三菱重工は、現在三菱i-MiEVに供給している電気温水ヒータを出展。使用電力の節減が可能なヒートポンプカーエアコンも開発している。

 カルソニックカンセイも、開発中のヒートポンプA/Cシステムをパネル展示した。


三菱重工が三菱i-MiEVとChevrolet Voltに供給する電動コンプレッサー
三菱重工が三菱i-MiEVとChevrolet Voltに供給する電動コンプレッサー


三菱重工が三菱i-MiEVに供給する電気温水ヒータ
三菱重工が三菱i-MiEVに供給する電気温水ヒータ

EV/HEVシステムをサポートするエアコンシステム

デンソー エアコン用電動
コンプレッサー
 エンジンによって駆動されていた従来のカーエアコン用コンプレッサーは、EVやHEVのバッテリー走行中は運転できない。デンソーは豊田自動織機と共同で、車両用として世界初のモーター・インバーターを一体化した量産型電動コンプレッサーを開発した。HEV車において、従来のベルト駆動式に対して燃費を最大19%改善した(クーラー使用走行時)。スモールクラスからラグジュアリークラスまでをカバーする3バリエーションを設定した。
三菱重工 電動コンプレッサー  三菱 i-MiEVに供給する電動コンプレッサー。インバーター一体型で、スクロール圧縮方式を採用し、冷媒はR134Aを使用。三菱重工は、電動コンプレッサーを、Chevrolet Voltにも供給しているとのこと。
電気温水ヒータ  三菱 i-MiEVに供給している。サイズは、L250×W110×H85、乾燥重量は5.4kg。能力は5.0kW。
 電気温水方式は、電気温水ヒータ以外の部品は既存量産車と共有でき開発費を抑制できるが、必要な電力量が多く、暖房運転時に航続距離が低下するという課題がある。三菱重工は、20%(外気温度が0℃の場合)~60%(10℃)省エネ可能なヒートポンプカーエアコンも開発している(今回の出展はないが、三菱重工技報2011年No.2に発表している)。
カルソニック
カンセイ
ヒートポンプ
A/Cシステム
 カルソニックカンセイによると、冬場では、エアコンは走行以上の電力を消費する。2010年の「人とくるま展」で発表し、開発中の「ヒートポンプA/Cシステム」をパネル展示した。外気0℃で消費電力70%削減を目指す。
 省電力を優先する"外気導入式ヒートポンプ"と、外気導入式では困難な室内除湿を優先する"内気循環式ヒートポンプ"の2つのモードを使い分ける。

 



EV/HEVのブレーキを支援するシステム

 EVおよびHEVがエンジンを停止している場合は、エンジンの負圧によるブレーキブーストが得られないため、電動ポンプで負圧を発生させる装置を、日立製作所やHellaが出展した。

 Hellaは、従来からの、補完的に負圧を供給するバキュームポンプUP28型と、EVなどのブレーキに常時負圧を供給する新製品UP30型を出展した。

 ニッパツは、油圧を蓄えブレーキに供給するアキュムレータを出展した。2011年に日本内外で発売されるHEVが搭載するとされる。


日立製作所が、日産Fuga HEVとEV Leafに供給する電動型制御ブレーキ
日立製作所が、日産Fuga HEVとEV Leafに供給する電動型制御ブレーキ


Hellaが出展したUP30型バキュームポンプ
Hellaが出展したUP30型バキュームポンプ


ニッパツが開発したブレーキ用アキュムレータ
ニッパツが開発したブレーキ用アキュムレータ

EV/HEVのブレーキをサポートするシステムの出展

日立製作所 電動型制御ブレーキ  日立の正式呼称は、HEV・EV用回生協調対応電動型制御ブレーキ。エンジン発生の負圧を利用する従来の負圧倍力装置に対して、エンジンがないEVでも使用できるよう電動モーターを利用する。日産FugaハイブリッドとEV Leafが採用。
 全体で必要なブレーキ力と、回生ブレーキ力の差を算出し、差を埋めるよう適切な油圧を発生させブレーキに供給する。VDCのバックアップ機能により、高い安全性を確保できる。 自然なフィールで必要な制動力を確保しつつ、ブレーキエネルギー回生が最大になるように、摩擦ブレーキの油圧を調整する。
 モーター制御でブレーキ力を自由に制御できるので、回生協調の他に、自動ブレーキ機能など高度なITSブレーキ(注)制御が実現可能としている。

(注)ITSは、Intelligent Transport Systems(高度道路交通システム)、ITSブレーキは道路インフラ情報と連動するブレーキシステム。

Hella バキュームポンプ  新開発のUP30型Vacuum Pumpを出展。EVやHEVのようにエンジンからの負圧が得られない場合、ポンプで負圧を作りブレーキブースタに供給する。重量は約1.7kgで、120万回、1,200時間の使用に耐える。
 日本では、現在テスト走行中のスズキSwiftレンジ・エクステンダー(PHEV)が搭載している。2009年6月に富士重工が発売したスバル ステラEVにも供給した。
 Hellaは同時に、1999年以来、累計1,150万個出荷の実績があるUP28型バキュームポンプも展示した。UP28型は、例えば寒冷時のスタートなどでエンジンからの負圧が十分でない場合に、オンデマンドで作動する。UP30型より小型で、重量は1kg、45万回、600時間の使用に耐える。
ニッパツ ブレーキ用
アキュムレータ
 ニッパツが開発したブレーキ用アキュムレータは、高い油圧を蓄えて、ドライバーがブレーキペダルを踏むと、各輪のブレーキに油圧を供給し制動力を強化する。蓄圧しているブレーキフルードを使うので応答性がよく、ポンプ/モーターの使用頻度を減らし寿命を延ばす効果がある。内部は金属のベローズ(オルガンの送風装置のような構造)を使用。
 エンジンによる負圧の使えないEV/HEVに有効。またアキュムレータからの圧力を調整してブレーキの油圧を制御し、回生ブレーキと油圧ブレーキを協調させるのに役立つ。2011年に国内と海外で発売されるHEVが採用するとされる。

 



アイドリングストップ関連技術の出展

 アイドリングストップの普及が急速に進んでおり、よりスムーズで安定したアイドリングストップを可能にする技術が出展された。

 デンソーは、エンジンが停止してもまだ惰力で回転している状態での再始動を可能にする「タンデムソレノイドスターター」を国内初披露した。2011年内に実用化する計画。

 豊田自動織機Hellaは、エンジンを再始動させる場合の電圧を安定させるDC-DCコンバーターを出展した。

 また、アイシン精機と日立製作所は、エンジン停止中にトランスミッションの作動油圧を確保するための電動オイルポンプを出展した(エンジン停止中に、トランスミッションへのオイルの供給が止まると、立ち上がりが遅くなる)。


デンソーのタンデムソレノイドスターター
デンソーのタンデムソレノイドスターター
(最上部に、ピニオン押出し用ソレノイドとモーター通電用ソレノイドが配置されている)


豊田自動織機が参考出品した「アイドルストップシステム用DC-DCコンバーター」
豊田自動織機が参考出品した「アイドルストップシステム用DC-DCコンバーター」


アイシン精機が出展した、「アイドルストップ用電動オイルポンプ」
アイシン精機が出展した、「アイドルストップ用電動オイルポンプ」

アイドリングストップ関連技術の出展

デンソー タンデムソレノイド
スターター
 アイドルストップ時の、エンジンが停止したが回転が完全に止まりきる前の状態でエンジンの再始動を可能にし、始動時間を短縮して違和感のないアイドルストップを実現した。2011年Detroitモーターショーに出展し、国内では初披露。
 従来のスターターは、ピニオン押出しとモーター通電(回転させる)が連動しているため、静止したリングギアにのみ噛み合わせることができる。新型スターターは、2個のソレノイドにより押出しと回転を個別制御し、リングギアの回転に応じてピニオンの回転を制御しながら押出してリングギアと噛み合わせることで、エンジン回転中での始動を可能にした。
日本精工 ワンウェイクラッチ  トヨタとデンソーは、上記と同様に素早い発進を可能にするアイドルストップシステム「常時噛み合い式スターター(Permanently Engaged Starter)」を既に商品化して、欧州仕様のAuris等に搭載している。リングギアとピニオンギアを常時噛み合わせておく仕組みとした。
 日本精工は、「常時噛み合い式スターター」に搭載するワンウェイクラッチを出展した。エンジン再始動後は、リングギアとエンジンの回転を切り離す(従って、常時噛み合い式ではエンジン本体が専用の設計になる)。
アドヴィックス アイドリングストップ
協調ブレーキ
 アイドリングストップ搭載車で、停車中にブレーキ圧力を自動的に保持することで、「エンジン停止に伴うずり下がり」や、「エンジン始動時の飛び出し(ギアをDに入れたままエンジンが始動するため)」を防止する。ダイハツMoveとスズキMRワゴンのアイドリングストップ搭載車に供給している。
新神戸電機 アイドルストップ
車用電池
 高密度活物質採用により同社従来品比3倍の長寿命、新添加剤採用により1.5倍の入力特性を実現した。18カ月または3万kmの品質保証がある。2010年発売の新型日産マーチに搭載。
豊田自動織機 DC-DCコンバーター
(参考出品)
 アイドルストップ搭載車では、エンジン再始動時に多くの電流がスターターに流れるため、バッテリーの電圧が降下する。アイドルストップ用DC-DCコンバーターの働きにより、オーディオ、カーナビ、メーターなど車載機器へ安定した電圧を供給し、車載機器の一時的な停止を防止する。(英語名はVoltage Stabilizer)

(注)豊田自動織機は、既にHEV用DC-DCコンバーターをPriusに供給している。

Hella DC-DC
コンバーター
 アイドリングストップ時に、カーナビのディスプレイ、照明、オーディオシステムなど、低電圧の影響を受けやすい負荷に一定の安定した電圧を供給する。Hellaは、2002年以来、DC-DCコンバーターおよびその他の電圧安定化装置を900万個以上生産している。
アイシン精機 アイドルストップ用
電動オイルポンプ
 アイドリングストップして再始動する際に、トランスミッションの作動油圧を確保し立ち上がりの遅れを防止する。トヨタVitz、日産March/Serena、スズキワゴンRに供給。小容量(CVT油圧補助用)から大容量(AT油圧制御用)までシリーズで開発している。
 製品の構造は、ごく一部を除き前出の「モーター冷却用電動オイルポンプ」と同じとのこと。
日立製作所  アイドリングストップ車で、エンジン停止中にトランスミッションに作動油圧を供給するための電動サブオイルポンプを開発中。モーター出力は30W。エンジン停止中に作動するため、静音性を重視して設計する。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>