VW ID.3分解調査:電動パワートレイン

~次世代自動車センター浜松による部品ベンチマーク活動報告から~

2022/03/16

要約

VW ID.3の分解
次世代自動車センター浜松におけるVW ID.3の分解
(出典:次世代自動車センター浜松)

  次世代自動車センター浜松は2018年に公益財団法人浜松地域イノベーション推進機構内に設立された組織で、中小部品メーカーを主体とした会員企業が次世代自動車搭載部品の開発、試作ができるように、次世代自動車の技術に関する情報提供や車両分解調査活動を実施している。会員企業は現在420社(2022年2月現在)で静岡県西部地域の中小企業など静岡県内が3/4を占めているが、残り1/4は県外とのことで、他地域からの会員企業の募集を継続している。

  部品ベンチマーク活動において分解した次世代自動車の搭載部品は部品ベンチマークルーム(浜松商工会議所会館1階)に展示しており、会員企業は見学できる他、会員企業への部品貸し出しも行っている。自動車関連の中小部品メーカーを中心とした会員企業が従来型の自動車部品に代わって次世代自動車に搭載されている部品の試作製作に必要な基本構造や部品の知識習得が出来るようにしている。


  近年は海外製のBEV(電気自動車)に搭載されているe-Axle(電動アクスル)を中心とした分解調査を実施しているが、今回新たにVolkswagen ID.3の電動パワートレインが加わった。Volkswagen ID.3は次世代自動車センター浜松にて2021年度の予算で購入し、輸入した車両の内覧会、試乗会を経て分解し、今回は車体やその他搭載された部品より先行する形で電動パワートレインの分解調査活動を実施して搭載部品の技術を紹介している。

  2022年2月9日に開催された2021年度 車両分解・部品ベンチマーク活動 Web セミナー「ID.3電動パワートレイン 分解調査説明及び会員企業による分解調査結果報告会」では、『Volkswagen ID.3電動パワートレイン分解調査』の解説と併せて、会員企業による既展示品(Jaguar『I-PACE』、BMW『i3』、Tesla『Model 3』、VW『e-Golf』等)についての詳細調査・分析結果の発表も行われた。

  本稿では、株式会社三幸コーポレーション 次世代自動車戦略研究所 飛田 宏氏による講演『Volkswagen ID.3電動パワートレイン分解調査』の内容を用いて、Volkswagen ID.3の概要、電動パワートレインを構成するモーター、減速機、インバーター、バッテリー、車載充電器、DC-DCコンバーター等について講演の概要を紹介する。


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