SUBARU:2022年央までにトヨタと共同開発のEV SOLTERRAを投入

新世代アイサイトは全周囲検知可能、新型車投入や工場拡張で米国事業を強化

2021/09/09

要約

BRZ
2022年に発売予定のEV SOLTERRAの内装
(出典:SUBARU)

  SUBARUの電動化戦略では、2030年までに世界販売の40%以上を電動車(電気自動車(EV)とハイブリッド車(HV))とすることを目標としている。2022年には、トヨタと共同開発するCセグメントクラスSUVのEV SOLTERRAを日本、北米、欧州、中国で発売する。2020年代前半には、トヨタのTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)を採用したストロングハイブリッド車を投入する計画。

  SUBARUは運転支援システム「アイサイト」のステレオカメラを広角化するとともに、従来は後部バンパーの左右にしか搭載していなかったミリ波レーダーを前部バンパーの左右にも搭載し、周囲360度の検知を可能として、安全性を進化させた。この「新世代アイサイト」を、2020年10月投入の新型Levorgから搭載。また、同モデルには高度運転支援システム「アイサイトX」も初搭載する。3D高精度地図データとGPS・準天頂衛星「みちびき」等からの情報を組み合わせて自社位置を正確に把握し、レベル2の自動運転を可能とする。今後の「アイサイト」にはAIの判断能力を融合させる計画で、AIに特化した開発拠点を開設している。

  新型Levorgには、SUBARU独自のコネクティッドサービス「SUBARU STARLINK」も導入。24時間365日コールセンターとつながることで、事故やトラブルが発生した際に、より迅速に救命活動を行い、SUBARUの目標である死亡交通事故ゼロを推進する。

  SUBARUは電動化、自動化、コネクティッドなど次世代技術「CASE」に対応するため、開発体制を刷新。2024年には群馬製作所内に研究開発施設を開設し、分散していた研究部門を統合する。

  SUBARUの重点市場である米国では、2021年秋にトヨタと共同開発したスポーツクーペBRZを投入。2021年にはこのほか、セダンの新型WRXを投入する。2022年にはSUVのCrosstrekとセダンのImprezaをフルモデルチェンジ、トヨタと共同開発するEVのSOLTERRAを投入する計画。米国での販売は2021年上期に前年同期比20.3%増の32.1万台となり、回復基調にあるが、新車在庫が8月初頭時点で7日分と少ないことが課題である。

  SUBARUの2020年度の業績は、新型コロナウイルス感染拡大や半導体不足による販売台数減少により、売上収益は前年度比15.4%減の2.8兆円、営業利益は51.3%減の1,025億円となった。SUBARUの営業利益率は2017年度まで10%台を維持していたが、検査不正対策やリコール費用、設備投資拡大等により2018年度以降は6%前後、2020年度には3.6%に低下。利益率の低い状態が続いている。SUBARUが2021年8月に発表した2021年度通期業績見通しでは、世界販売台数は前年度比11.6%増の96万台、売上収益は16.6%増の3.3兆円、営業利益は95.2%増の2,000億円、営業利益率は6.1%とした。


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