ハノーバーメッセ 2021 Digital Edition:産業の変革

軽量化技術、デジタル化、自動運転、スマート生産

2021/05/21

要約

Hannover Messe 2021 Digital Edition (出所:Deutsche Messe AG)

  ハノーバーメッセは世界最大級の産業見本市である。複数の展示発表が同時並行で行われ、産業機械、ソフトウェア、ロボット、自動化といったさまざまな産業技術が紹介される。

  コロナ禍のために昨年のハノーバーメッセは完全に中止された。今年のメッセ(第74回:2021年4月12日~16日)もリアル開催は見送られ、完全なデジタル形式で開催された。
  1,800を超す出展者が、未来の工場、エネルギーシステム、サプライチェーンに関するアイデアを、9万名を超す参加者に披露した。参加者による出展者と製品の検索は65万件を超した。ドイツからの出展は約600件、新規出展は約500件だった。
 ライブ配信とストリーミング配信により、約1万500種類の製品と400近い研究開発プロジェクトが発表された。人的交流はチャットとテレビ会議で行われた。

  「産業の変革」という合言葉の下、AIと機械学習、ロボット、インダストリー4.0、CO2ニュートラル生産が、主要テーマとして取り上げられた。
  自動車部門では、生産、電動化、水素技術、モビリティ、軽量化技術、コネクティビティのソリューションといった分野を扱う、主要OEMとティア1サプライヤーが存在感を示した。
  今年は展示会の公式パートナー国としてインドネシアが参加した。インドネシアはASEANの資源大国であり、域内最大の経済大国である。同国はインダストリー4.0導入に伴い、製造業を活性化する「Making Indonesia 4.0」構想を発表している。

  ドイツのメルケル首相、アルトマイヤー経済エネルギー相、及びゲスト国インドネシアのジョコ大統領が、メッセに対する政府の期待を表明した。また、産業界を代表してVWのHerbert Diess CEO、シーメンスのRoland Busch新社長、ドイツ産業連盟(BDI)のSiegfried Russwurm会長、IT安全専門家のEugene Kaspersky氏がメッセに参加した。
  デジタル版ハノーバーメッセは全体として好評だった。しかし、Deutsche MesseのJochen Köckler CEOは、人的交流の側面が失われた点を指摘して、「デジタル版ハノーバーメッセに対する反応は私たちの期待を上回ったが、デジタル見本市では、現実のイベントが起こす魔法は生じないことも分かった」と述べた。
  したがって、次回のハノーバーメッセは、デジタル世界とアナログ世界の最良の部分を組み合わせたハイブリッド形式のイベントにすることが計画されている。次回は2022年4月25日から29日に開催され、公式パートナー国はポルトガルとなる。

  本レポートはハノーバーメッセ2021の展示、講演、パネルディスカッションを紹介するもので、下記の分野を取り上げた。

  1. 軽量化技術
  2. 自動車業界向けコネクティビティ/ソフトウェアソリューション
  3. 自動運転向け光学技術
  4. 製造

 

関連レポート:
WCX 2021:コネクティビティと自動運転の開発  (2021年5月)
オートモーティブワールド2021:MaaS/自動運転/コネクテッドカー (2021年3月)
CES 2021:ユーザーエクスペリエンスの向上  (2021年2月)
CES 2021 総括:デジタル開催のCESでも業界リーダーが際立つ (2021年1月)
第29回 Aachen Colloquium:サステイナブルモビリティ (2020年11月)
欧米Tier1サプライヤー:自動運転、コネクテッド、HMI動向 (1) (2020年10月)

 

このレポートは有料会員限定です。 残り 4 章
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。