CES 2020:変化をとげる車室内体験

BMW i Interaction EASE、Audi AI:ME、トヨタ紡織 MX191 など

2020/02/28

要約

  CES 2020は、2020年1月7日から10日にかけて米国ネバダ州Las Vegasで開催された。今回のショーでは、290,000平方フィート(約27,000平方メートル)以上のスペースが自動車関連の出展に充てられた。来場者は17万人を超える。

  BMWとAudiは、インテリアの快適性や利便性の向上を設計の狙いとする複数のコンセプト・モデルを出展した。BMWは自動運転車用のBMW i Interaction EASEコンセプト・コックピット、ZeroG Loungerコンセプト・シート、そしてi3 Urban Suiteインテリアなどを紹介した。AudiからはAI:MEコンセプト、Intelligence Experience自己学習支援システムのデモユニット、3D複合現実(mixed reality)HUD、透明ディスプレイ・オンデマンド・システム、そして室内のヒューマン・セントリック・ライティング・プロジェクトが披露された。

  FCAのAirflow Visionコンセプトは、HMI(human-machine interfaces)に焦点をあて、乗客と提供される情報との間でどのようなやりとりが行われるかを紹介するもの。Mercedes-Benzからは、その考え方をさらに進化させたVision AVTRコンセプトが披露された。この未来的なコンセプト・モデルでは、同社の「ヒューマン‐マシン融合(merged)インターフェイス」が唯一の物理的なコントロール・システムとして機能する。

BMW i Interaction EASE concept FCA Airflow Vision concept
BMW i Interaction EASE concept FCA Airflow Vision concept


  VisteonとMarelliが出展したディスプレイやシステムは視覚的な美しさと、ドライバーにとっての視認性を高める要素を備えるもので、プレミアム・インテリアへの採用を念頭に設計された。Faureciaが紹介するシート・システムは、デジタルサービスの利用やエクササイズなど健康促進にコネクティビティを活用するのが特長で、さまざまな素材の表面にコントロール機能を付与する技術も披露された。Veoneerからは、ドライバーの体調や気分を分析する先進的なドライバー監視システムが紹介された。

  トヨタ紡織のMX191コンセプト・インテリアは、自動運転車の室内空間についての新たな提案となるものであり、SamsungのDigital Cockpitはコネクティビティがもたらす車室内の利便性を訴求する。さらに、トヨタ紡織、Continental、三菱電機の各社は、それぞれMOOX、Continental Urban Mobility Experience (CUBE)、Emirai-Sを出展した。これらはいずれもフレキシブルな共有空間をテーマとするコンセプトである。現代が提起するコンセプトはシェアリング・モビリティのビジョンを拡張するもので、フレキシブルに活動するPurpose Built Vehicles(PBV)をPBVの集中保管施設であるHubに接続することで、カスタマイズされたPBVをサポートする。

Toyota Boshoku MX191 concept FCA Airflow Vision concept
Toyota Boshoku MX191 concept Samsung Digital Cockpit 2020 concept


  このレポートでは、CES 2020の自動車関連の展示の中で、特に車室内体験に重点を置いたシステムや車両について報告する。今年のCESに関するレポートとしては、これまでにサステナビリティ、自動運転技術、ならびに日本の主要メーカーによる展示をテーマとした報告を行っており、それらも併せて参照されたい。

 

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