第28回 Aachen Colloquium:自動車・エンジンテクノロジー

内燃機関(ICE)とxEVパワートレインの技術プレゼンテーション

2019/11/14

要約

  自動車・エンジン技術に関する第28回アーヘン・コロキウム(The 28th Aachen Colloquium Automobile and Engine Technology Aachen Colloquium)は、2019年10月7日から9日にかけてドイツのAachenで開催された。このイベントは、アーヘン工科大学の自動車工学研究所(ika)のLutz Eckstein教授、および内燃エンジン研究所(VKA)のStefan Pischinger教授の指導の下に運営され、自動車技術分野で世界をリードする重要な会議のひとつである。

  自動車業界は、モビリティの未来へ向けて多くの課題(より厳しい排気規制、気候変動に中立な再生可能エネルギー源と新しい動力システム、自動運転のための車載機能の向上など)に直面している。今回のイベントでは、これらのテーマについて科学者や自動車メーカー、エンジニアリング・プロバイダー、サプライヤーの専門家によって議論された。

  10月8日から9日にかけて100の技術プレゼンテーションが、同時進行する5つのセッションに分かれて行われ、各分野の専門家およそ1,800人が参加して「モビリティの未来形を描く(Shaping the Future of Mobility)」というグローバル規模の課題について意見交換がなされた。また10月7日の夕方からは、イベント参加者のために約70の出展者による技術展示が行われた。さらに、プレゼンテーション開催日にはアーヘン工科大学のテストトラックでの試乗イベントが開かれ、革新的なコンセプト車やプロトタイプを実体験することができた。

Main conference room of Eurogress filling up technical exhibition at Aachen Colloquium 2019
準備中のEurogressのメイン会議場 アーヘン・コロキウム2019における技術展示の一部

(執筆者撮影、以下同様)


  パワートレインの分野では、さまざまな要件や使用条件(市街地、中/長距離の走行、低/高負荷など)に合わせて多種多様なソリューションがすでに提供されている。すべてのニーズを満たす単一のアーキテクチャは存在しない。次々に新しいソリューションが市場に導入される一方で従来からある技術は洗練を増して存在し続け、自動車業界は極めて複雑な技術領域へ足を踏み入れている。内燃機関(ICE)を持つ従来型の車のグループと、電気自動車(BEV)のもう一方のグループとの間に、ハイブリッド車(HEV)の大きなグループがいる。これらのハイブリッド車はまだICEを搭載しているため、業界では更なる燃料効率と排ガス性能の向上を目指してエンジンを改善するために多大な努力を続けている。ハイブリッド・パワートレインでは、システム電圧、パワートレイン・アーキテクチャ、エンジンとトランスミッションの最適な組み合わせといった分野での改善が継続的に行われ、複雑なHEVパワートレインのコストを削減する目的も持っている。さらには、燃料電池システムがもうひとつの分野として注目度が増しつつあり、その独自の強みと課題に向けて多くの研究開発活動が展開されている。

  本レポートでは、今回のイベントから16のプレゼンテーションについて報告する。

 

関連レポート:
IAA 2019:燃料電池技術の展示取材 (2019年10月)
IAA 2019:欧州サプライヤーのフランクフルト・モーターショー展示取材 (2019年10月)
The Battery Show Europe 2019: リチウムイオンバッテリーの熱管理テクノロジー (2019年7月)
2030年の乗用車用パワートレインの姿 ~内燃機関が生き残っていくために~ (2019年7月)
人とくるまのテクノロジー展2019:多彩なxEV駆動技術 (2019年6月)

 

このレポートは有料会員限定です。 残り 6 章
無料会員登録により、期間限定で続きをお読みいただけます。