【ものづくり】SAMPE Japan 先端材料技術展2019:プラスチック成形・材料

ハイブリッド成形品、複合材料、接合・接着、CFRP成形技術

2019/09/25

要約

先端材料技術展2019
SAMPE Japan 先端材料技術展2019

  SAMPE Japan 先端材料技術展2019は、2019年9月4~6日の3日間、パシフィコ横浜展示ホールで、洗浄総合展、高精度・難加工技術展、表面改質展、真空展と同時に開催された。出展規模は95社・団体、144小間で、会期中のSAMPE単独の来場者数は12,041人(対前年比2,000人減)であった。

  会場ではCFR(T)P素材および成形品を中心に数多くの先端材料が展示されていた。本稿では自動車関連の注目すべき展示を紹介する。


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ハイブリッド成形品:バンパー、アンダーカバー、サイドカバー、ブレーキローター

東レ:ハイブリッドバンパー

  ハイブリッドバンパーは、アルミニウムの押出材とCFRPを接着したバンパーで、レクサスRC Fのリアバンパー補強材である。衝突時に働く引張力に対し、CFRP材で補強。アルミ厚さ増での補強対比、重量増分を1/5に抑制した。自動車部品に合った速硬化プリプレグを適用。

  このほか、新素材「しなやかなタフポリマー」活用の革新的コンセプトカー、高強度・高成形性プリプレグなども展示した。

ハイブリッドバンパー 展示パネル
ハイブリッドバンパー 展示パネル:レクサスRC F向けハイブリッドリアバンパー補強材

(取材者撮影、以下同様)

 

サンワトレーディング:CFRTPハイブリッド成形によるアンダーカバー

CFRTPハイブリッド成形によるアンダーカバー
CFRTPハイブリッド成形によるアンダーカバー

  Tepex(PP系の連続ガラス繊維シート)をPP-LFT(長繊維強化PP) でハイブリッド成形した成形品で、VWに採用されたもの。

  このほか、VWに採用されたフロントエンド(素材は同様)、ブレーキペダルなども展示されていた。

 

三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズコンポジット:SymaLITE製アンダーカバー

SymaLITE製アンダーカバー
SymaLITE製アンダーカバー

  SymaLITEはPP-LFTからなる連続気泡を持った基材。軽量・高剛性と吸音特性を両立する。用途に応じて表皮材料(フィルム、不織布等)を付加することも可能。特長は以下のとおり。

  • 30~40%の重量低減
  • 吸音材レスによる部品点数低減
  • 高剛性による取り付け点の削減
  • 路面干渉に対する耐クラック伝搬性
  • 音響効果(吸音性)

  その他の展示では、バイオPC製フロントグリル、生分解性プラスチック、リサイクル炭素繊維、GMT(連続ガラス繊維マット強化熱可塑性樹脂)などが注目された。

 

キャップ:TAM成形によるサイドカバー

TAM成形によるサイドカバー
TAM成形によるサイドカバー

  TAM成形(通電抵抗加熱方式のヒート&クール熱プレス成形)によるサイドカバーを展示。この成形法では、一方向プリプレグ、チョップしたUDテープ、織物プリプレグ等の材料を使用可能で、CFRTPハイブリッド成形による高強度・高剛性の成形品が得られる。

 

NTKインターナショナル:C/SiC複合材製ブレーキローター

C/SiC複合材製ブレーキローター
C/SiC複合材製ブレーキローター

  Chevrolet Corvetteに搭載しているブレーキローターを展示。炭素繊維(短繊維)を強化材に、マトリックスにSiCを使用している。ここで使用するSiCはStarfire社が開発した。ベースポリマーを800℃以上で焼成し、耐熱上限は2200℃である。耐熱性、耐摩耗性が優れているため、この用途に使用された。

  その他ではポリシロキサン(SiOC)を炭素繊維(長繊維)で強化した自転車用ブレーキローターも展示していた。

 



複合材料:ハイブリッド積層板、PA9T系CFRTP複合材料、水素タンク向けトウプリプレグ

帝人:ハイブリッド積層板

  ハイブリッド積層板は、同一の樹脂を使用した熱可塑性プリプレグや樹脂シートを組み合わせ、外観意匠性、厚み、物性、コストの最適化が可能な複合材料である。必要な積層構成に配置した積層板を使用し、打ち抜いた材料を成形加工することができ、成形時の作業が容易になる。特長は以下のとおり。

  1. 3K織物の意匠性を保持し、コア層にUD材又は12K織物を積層しコストダウン
  2. 表層に炭素繊維シート、コア層に樹脂シートを積層し、軽量化とコストダウン
  3. 表層に樹脂シート、コア層に炭素繊維シートを積層し、意匠性と機械的特性を調整

  低比重SMC (Sheet Molding Compound)による外観意匠性が高いClass-Aの自動車外板などが展示されていた。

ハイブリッド積層板 展示パネル
ハイブリッド積層板(熱可塑性複合材料) 展示パネル:ハイブリッド積層板 (TPCL)

 

クラレ:PA9T系CFRTP関連製品

PA9T系CFRTP関連製品
PA9T系CFRTP関連製品

  クラレ独自のPA9Tに炭素繊維を強化した多くの複合材料(コミングルヤーン、PA9T/CF Hybrid Nonwoven Composite、PA9T繊維/CF混抄紙、PA9T繊維/CF不織布コンポジットなど)の展示があった。

 

ミズノテクニクス:水素タンク向けトウプリプレグ

高圧水素タンク向けトウプリプレグ
トヨタMIRAI 高圧水素タンク向けトウプリプレグ

  トヨタの燃料電池車「MIRAI」向け高圧水素タンクの外郭材向けトウプリプレグ(プリプレグ・炭素繊維に樹脂を含侵させた強化プラスチック成形材料)を展示。高剛性・高強度を生かした用途。その他では時計バンドにCFRPを使用したG-SHOCKも展示されていた。マトリックスは柔軟性に優れたTPUと思われる。

 



各種成形材料:コミングルヤーン、プリプレグテープ、薄肉プリプレグ、フラットガラスファイバー

カジレーネ:コミングルヤーンと関連製品

コミングルヤーンと関連製品
コミングルヤーンと関連製品

  コミングルヤーンは、カジレーネが三菱ガス化学、岐阜大学との産学共同研究で開発した材料。CFRTPのためのプリプレグヤーンに相当する繊維で、特長は以下のとおり。

  1. 高い含侵特性とテキスタイル加工性を実現
  2. 任意の炭素繊維含有率に製作可能
  3. 任意の樹脂繊維をマトリックスとして使用可能
  4. 炭素繊維の繊度も特に選ばない

 

サカイオーベックス:炭素繊維中間成形材料プリプレグテープ

炭素繊維中間成形材料プリプレグテープ
炭素繊維中間成形材料プリプレグテープ

  プリプレグテープは炭素繊維開繊糸に熱可塑性樹脂を含侵させたテープ。加熱・加圧し、成形可能となるCFRTPである。また、プリプレグテープを製織することにより、織物での提供も可能である。

  マトリックスはPA6、PA12、PA9T、PC、PPS、PEEKなどがあり、製品サイズは幅64mm×長さ100mmから対応可能。

 

フクビ化学工業:熱可塑性炭素繊維複合材「タフジット」

熱可塑性炭素繊維複合材タフジット関連製品
熱可塑性炭素繊維複合材タフジット関連製品

  熱可塑性炭素繊維複合材「タフジット」関連製品として、薄肉プリプレグ(UD)とチョップドシートを上市している。各製品の特徴は以下のとおり。

  • 薄肉プリプレグ:厚み40~60μmで世界最薄レベル。マトリックスはPA6、PA9T、PPS等。高強度が特長。
  • チョップドシート:三次元形状が賦形しやすい。プレス成形、ヒート&クール、スタンピング成形が可能。積層性に優れる。チョップサイズ:幅5~20mm、長さ10~40mm。

 

日本電気硝子:フラットガラスファイバ使用成形品

フラットガラスファイバー使用成形品
フラットガラスファイバ使用成形品

  長円形の断面のフラットガラスファイバを使用。円形断面と比較し、成形品の反りや寸法安定性が改善される。特長は以下のとおり。

  • 長円形の断面のチョップドストランド
  • GFRPの反りが改善される(特に結晶性樹脂)
  • 強度や外観品位が向上
  • スマートフォンやタブレット端末の筐体への展開が期待される。

  その他では、高弾性ガラスファイバなどが注目される。

 



接合・接着技術:金属とGFRPのレーザー接合、フィクセロンによる異種材料の接着

ライスター・テクノロジーズ:金属とGFRPのレーザーによる接合

  GFRTP(PA6)と金属(スチール)をレーザー接合して永続的な接続を実現する。その後、この部材の金属を他の構造部材の金属と溶接などの接合により組み立てることで、自動車の軽量化を達成する。

金属とGFRPのレーザーによる接合 ライスターレーザー技術
金属とGFRPのレーザーによる接合 展示パネル:ライスターレーザー技術

 

アイセロ:フィクセロンによる異種素材の接着

フィクセロンによる異種素材の融合
フィクセロンによる異種素材の接着

  ポリオレフィン系の熱可塑性フィルムのフィクセロンが熱と圧によって異種材料を接着させる。特長は以下のとおり。

  • 生産性の向上
  • 環境負荷の低減が期待

  工法例:熱板プレス接着、射出成形、高周波接着、抵抗加熱接着

 



CFRP成形技術:真空プレス成形、ロールフォーミング工法など

北川精機:CFRTPシートの真空プレス成形品

  熱可塑性シート成形用真空プレス装置の成形品を示す。同社の成形装置の特徴は以下のとおり。

  • プレス機構だけでなく、余熱ヒーターと搬送機構も真空チェンバー内にコンパクトに格納
  • 予熱から成形まで一連の工程を真空下で処理可能(樹脂の酸化劣化を抑制)
  • 金型を取り外して平板ホットプレスとして使用可能(シート材の積層成形等、中間材料の作成が可能)

CFRTPシートの真空プレス成形品 熱可塑性シート成形用真空プレス装置
CFRTPシートの真空プレス成形品 展示パネル:熱可塑性シート成形用真空プレス装置

 

大同工業:ロールフォーミングによる成形品

  CFRPが汎用量産部材として適用されていくためには、生産性の高い革新的製造技術が不可欠である。構造部材の製造に適した多段ロール成形装置を開発してプロセス確立を図る。開発技術はロールフォーミング工法で、連続方式で一定断面長尺部材の成形を高い生産性で行うことにあり、高剛性部材への展開を図る。成形品の剛性評価等を行っている。

ロールフォーミングによる成形品 熱可塑性CFRPロールフォーミング
ロールフォーミングによる成形品 展示パネル:熱可塑性CFRPロールフォーミング

 

ADEKA:ファイバーtoコンポジット(FtoC) 成形プロセス

新規CFRP成形プロセス
展示パネル:ファイバーtoコンポジット(FtoC) 成形プロセス

  ADEKAは新たなCFRP成形技術「ファイバーtoコンポジット(FtoC) 成形プロセス」を紹介。現場での高機能FRPの製造を可能にする。

  コンセプトは、赤外線速硬化技術によりオープンモールド上での高性能。特長は以下のとおり。

  • 中間材不要(原材料の使用):コスト、廃棄物削減
  • 自動積層で品質安定化:不良率低減
  • オープンモールドに直接積層:硬化炉不要、その場成形可能
  • FRP性能向上(静的強度・疲労特性):部材の軽量化

  想定事例:構造材料の軽量化、金属など異種材料の直接補強

 

SAMPE Japan:CFRPおよびCFRTPの成形法

  先端材料技術協会(SAMPE Japan)のブースでは、CFRPおよびCFRTPの成形法に関する解説パネルを展示していた。

    (展示パネル)CFRTPテーププレイスメント成形 / LFTプルトルージョン成形 / CFRTP連続圧縮成形

    (展示パネル)射出成形 / 熱プレス成形(ヒート&クール) / ハイブリッド成形 / LFT(-D)

    (展示パネル)熱プレス成形 / SMC (Sheet Molding Compound) / BMC (Bulk Molding Compound) / PCM (Prepreg Compression Molding) 成形 / 内圧成形

    (展示パネル)オートクレープ成形 / 真空バッグ(オーブン)成形 / RTM (Resin Transfer Molding) 成形 / VaRTM(バータム)成形 / HP-RTM成形

    (展示パネル)ハンドレイアップ成形 / (コールド)プレス成形 / フィラメント・ワインディング成形 / プルトルージョン(連続引抜き)成形

 

  本稿で紹介した以外にも各社から自動車関連の注目すべきプラスチック成形品や素材が展示されていた。

  • TIP Composite:自動車用シートなどの成形品
  • ポリマーエンジニアリング:CFRP製ボンネット
  • 藤森工業:PP系耐熱接着フィルム「メタクロス」による異種材接着
  • アドバンストテクノロジー:複合材損傷/破壊評価解析ソフトウェア
  • 一村産業、サンコロナ小田、中屋敷技研:新規CFRTP系中間素材
  • 福井ファイバーテック:合成樹脂複合材
  • 大阪ガスケミカル:エンプラ用流動性向上剤 など


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キーワード
ものづくり、軽量化、コストダウン、樹脂成形、プレス、接合、接着、プラスチック、CFRP、GFRP、バンパー、アンダーカバー、サイドカバー、ブレーキローター

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