【ものづくり】TECHNO-FRONTIER 2019:EV部品の展示取材

インバーターケース、モーターハウジング、レアアース磁石、銅端子など

2019/04/24

要約

  TECHNO-FRONTIER(会期:2019年4月17日(水)~4月19日(金)、会場:幕張メッセ)は一般社団法人日本能率協会の主催。メカトロニクス・エレクトロニクス分野の要素技術と製品設計を支援する専門家向けの展示会。「モータ技術展」「電源システム展」「EMC・ノイズ対策技術展」など9つの展示会に、今年は「部品設計・加工技術展」が新たに加わった形で構成されていた。また、最新の技術動向が学べる技術シンポジウムが同時開催され、研究開発や設計、生産、製造に関わるエンジニアが来場している。来場者の半数以上がエンジニアで展示内容も専門性が高い。本稿ではEV部品の展示を中心に取材した。

入場口 会場全景
TECHNO-FRONTIER 2019
入場口
TECHNO-FRONTIER 2019
会場全景

 

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TECHNO-FRONTIER 2018:
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EV部品:インバーターケース、モーターハウジング、高性能レアアースマグネット、銅端子

  EVで実際に搭載されている部品の展示があり取材した。

(出展会社概要)

会社名 展示品 工法等
日立金属㈱
(東京都港区)
量産:EVインバーターケース アルミ高真空ダイカスト
量産:EVモーターハウジング アルミ低圧鋳造、シェル中子
信越化学工業㈱
(東京都千代田区)
量産:HEV発電機モーター用磁石 高性能レアアースマグネット
三菱電機㈱
(東京都千代田区)
量産:EVパワーデバイス 第7世代IGBTトランジスタ搭載
ナミテイ㈱
(大阪府東大阪市)
量産:EV用精密パーツ 異形材伸線+冷間鍛造+すずメッキ
量産:シートリクライナー・カム 異形材伸線+ファインカット

 

インバーターケース (日立金属)

  日立金属は鋳造から機械加工までの一貫生産を行い、自動車部品を多く手掛けている。昔からアルミニウム製のインテークマニホールドなどを生産し長い歴史がある専門メーカー。最近ではインテークマニホールドも樹脂化が進み、ビジネスが減少しているため、EVのアルミニウム部品で巻き返しを図りたいところ。

  展示品はEVで使用するインバーターケース。軽量、高気密性が要求されることから、高真空法の特殊ダイカストで対応している。もうひとつはEVモーターハウジング。効率のよい複雑な冷却路を形成することが課題のため、複雑な冷却路は低圧鋳造法のシェル中子で作成している。アルミホイールと同じ工法であり、日立金属は大型品の生産設備インフラと工法バリエーションが多いことも強みとなっている。

展示品:インバーターケース 展示品:モーターハウジング
インバーターケース モーターハウジング
用途:EV/HEVインバーター用
工法:アルミ高真空ダイカスト
特徴:薄肉(約2mm)、軽量、気密性
展示パネル:インバーターケース
用途:EV/HEVモーター用
構造:アルミ鋳物製水冷回路付き
工法:アルミ低圧鋳造、シェル中子
展示パネル:モーターハウジング
  複雑な水冷却回路を有し冷却特性に優れている

 

レアアースマグネット(信越化学工業)

  信越化学工業は塩ビやシリコーンなど化学品メーカーとして有名だが、原料工程から組み立てまでの全工程を有する世界唯一のレアアースマグネットメーカーでもある。信越化学工業はレアアースの精製で50年以上の歴史があり、その技術を生かして、川下製品であるレアアース磁石を生産している。

  展示品はトヨタ プリウスPHVの発電機モーターに採用されているレアアースマグネット。粒界拡散合金法という技術により、少量のレアアースで数グレード上の磁力を確保できるというコストダウン商品。

展示品:プリウス モーターカットサンプル 展示品:発電機モーター部拡大
プリウスモーターカットサンプル 発電機モーター部拡大
発電機モーター(黄色囲み部分)に信越レア・アースマグネットが搭載されている
展示パネル:トヨタ プリウスPHVの発電機モーターに採用

青い部分が信越レアアースマグネット
展示パネル:粒界拡散合金法による高性能磁石
 保磁力1.2→1.67MA/m 40%向上

 

パワーデバイス (三菱電機)

  三菱電機は自動車用パワーモジュールの小型高性能化に取り組んでいる。現在は第7世代IGBT(*注)チップを搭載しているという。
(*注)IGBT(Insulated Gate Bipolor Transistor,絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ):昔の(バイポーラ)トランジスタの耐電圧と最近の(MOS)FETトランジスタの高応答性のそれぞれの長所を併せ持つ複合体。FETと比べると応答性が不十分で発熱量が大きいため改良の余地がある。

  EVの駆動モーターは交流モーターを使用する。バッテリーは直流なので、直流を交流へと変換させるインバーターが必要となる。パワーモジュールはインバーターなどに搭載され、現状では大型で重く改良が必要な部品として位置付けられている。また、発熱量を小さくできればラジエーターやバッテリーといったEV周辺機器の小型化や軽量化へとつながる。そのため、パワーモジュールは小型軽量化と低発熱化のニーズが高い。

展示品:パワーデバイス 展示パネル:車載部位
パワーデバイス 車載部位

 

EV用銅端子 (ナミテイ)

  ナミテイは異形伸線と冷間鍛造を組み合わせる加工を得意としている。異形伸線加工によって、材料の段階で最終形状に近づけることで、精度や表面性状の品質向上、冷間鍛造の工程削減によるコスト低減を図っている。国内工場は6拠点で、大阪府に5拠点、北九州市に1拠点体制となっている。

  展示品はEVの銅端子部品とシートリクライナー・カムで、EVの銅端子部品は10年以上の実績がある。 シートリクライナー・カムは異形線ファインカット工法でカムで一般に採用される焼結合金よりも強度が高い。

展示品:EV用銅端子 展示品:パワーシートリクライナー・カム
EV用銅端子 パワーシートリクライナー・カム
EVの銅端子部品で10年以上の実績
展示パネル:EV用銅端子 防錆パッケージ(真空パック)
展示パネル:異形線ファインカットパーツ


精密プラスチックギア:シートアジャスター、エアコンアクチュエーター、スウォッチ時計部品

  自動車部品で実績のある海外メーカーの出展があり取材した。

(出展会社概要)

会社名 展示品 備考
Vigor Precision Ltd.
(本社:香港、工場:中国広東省東莞市)
日本代理店:ユーズ㈱
(東京都墨田区)
シートアジャスター ギアユニット組立品
エアコンアクチュエーター ギアユニット組立品
スイス:スウォッチ時計部品 極小プラスチックギア
直径2.7mm モジュール0.05

 

精密プラスチックギア (ビガープレシジョン)

  ビガープレシジョンは1982年創業の香港企業。工場は中国広東省東莞市にある。精密プラスチックギアの専門メーカーで、ギア単品成形だけでなく金型製作から組み立てまで行う。自動車部品から腕時計ギアまで対応している。自動車部品の実績も多い。工場の設備では射出成形機を200機保有しており、日本製が多いという。

展示品:シートアジャスター 展示品:エアコンアクチュエーター
シートアジャスター エアコンアクチュエーター
ケース:PPポリプロピレン
内蔵ギア:POMポリアセタール
量産品:自動車用ギアボックス 展示品:スウォッチ時計部品
ギアボックス各種




スウォッチ時計部品
製品名は下表参照方 上段:直径6mm 遊星ギアードモーター
下段:モジュール0.05ギア 直径2.7mm

自動車用ギアボックス各種

エアコンアクチュエーター サイドミラーギアボックス
ヘッドライト光軸アダプター カーテンギアボックス
シートアジャスター メーターギアボックス
ドアロックモーター&ギアボックス パワーウインドモーター&ギアボックス

 

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キーワード
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