インドネシア:市場規模110万台水準に回復、現地生産化が進展

各社ともMPVラインナップを拡充、三菱自と五菱の新工場が稼働

2017/08/17

要約

 インドネシアの2016年生産台数は前年比7.2%増の117.8万台、販売台数は4.9%増の106.3万台。景気刺激策により3年ぶりに新車販売が回復している。インドネシア自動車製造業者協会(GAIKINDO)は2017年の販売台数を110万台(前年比3.5%増)に達すると予測。LMC Automotiveは2020年に生産台数が130万台を超えると予測している。

 インドネシアは大家族主義から多人数乗りのMPV(多目的車)への需要が高く、新車販売全体(商用車を含む)の約4割をMPVが占める。近年はSUVの販売も伸びており、SUVのスポーティな外観と走行性能に、MPVの広い室内空間と多彩な機能を兼ね備えたクロスオーバーモデルが投入されている。また、2013年から導入されたLCGC(Low Cost Green Car)の市場規模は20万台を超え、トヨタ/ダイハツは2016年8月にLCGC適合車の2車種目として小型MPVを発売した。

 インドネシアの新車販売市場は日本メーカーが9割超を占める。市場シェアの過半数を占めるトヨタグループは、ダイハツを中心に現地仕様モデルの開発・生産を推進、特にMPVのラインナップを拡充し、さらなる優位性の確保を図っている。

 2017年には三菱自動車と上汽通用五菱汽車(SAIC-GM-Wuling)の新工場が稼働を開始した。8月に開催されたインドネシア国際モーターショーでは、両社が新工場で生産する新型MPVが披露され、今後の市場動向に変化をもたらす可能性があるとして注目を集めている。

 インドネシアは人口2.5億人を抱える潜在性の高い市場として、各社とも中長期的な内需拡大を見込んだ現地生産体制の拡充を進めている。今後は国内生産車の輸出振興に向けた奢侈税率の見直しや、排ガス基準、安全基準などの整備が課題とされる。

インドネシアの自動車生産・販売台数 インドネシアの自動車市場シェア
出所:インドネシア自動車製造業者協会(GAIKINDO)資料より作成



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市場動向:景気刺激策により新車販売が回復、日本メーカーが主導

 インドネシア自動車製造業者協会(GAIKINDO)の統計によると、2016年の生産台数は前年比7.2%増の117.8万台、販売台数は4.9%増の106.3万台となった。2017年1~6月の生産台数は前年同期比0.7%減の59.8万台、販売台数は0.3%増の53.4万台となっている。

 インドネシアの販売台数は2013年に123.0万台に達したが、景気減速を背景にその後は低迷。2015年に自動車ローンの規制緩和や景気刺激のための経済政策パッケージが実施され、新車販売は2016年4月から前年同月比プラスに転じた。2017年に入り、5月まで14カ月連続で前年同月の販売台数を上回っていたが、6月は27.0%減と大幅に落ち込んだ。しかし、これはラマダン(断食月)が前年より早く始まった影響による一時的なもので、7月はプラスに転じると見られている。GAIKINDOでは2017年通年の販売台数について、110万台(前年比3.5%増)に達すると予測している。

(表1)インドネシアの自動車台数統計 (単位:台)

生産台数 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2016年
1-6月
2017年
1-6月
Sedan 4,869 5,091 39,658 61,499 29,644 22,306 16,183
4X2 695,055 842,234 761,928 556,078 663,794 351,413 329,835
4X4 45,220 24,830 26,528 29,766 19,378 8,618 8,472
Bus 4,833 4,713 4,105 3,873 4,769 3,011 1,097
Pick up 303,293  278,387 281,246 199,715 140,269 82,307 76,184
Truck 70,747 64,283 34,799 40,198
Affordable Energy
Saving Cars
-  52,956 185,058 177,102 255,660 99,037 125,553
Total 1,053,270 1,208,211 1,298,523 1,098,780 1,177,797 601,491 597,522
y/y -  14.7% 7.5% -15.4% 7.2% -  -0.7%
販売台数 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2016年
1-6月
2017年
1-6月
Sedan 34,221 34,199 21,614 17,422 13,832 6,100  5,372 
4x2 739,168 787,712 679,856 549,684 608,054 329,834  294,789 
4x4 7,396 6,416 5,874 4,124 4,930 2,787  1,953 
Bus 4,472 4,054 3,834 3,743 3,959 1,705  1,948 
Pick up 311,609 330,907 313,243 186,081 120,666 63,783  62,701 
Truck 74,769 66,773 32,412  39,605 
Double Cabin 19,364 15,433 11,487 12,034 9,344 4,348  6,575 
Affordable Energy
Saving Cars
-  51,180 172,120 165,434 235,171 89,951  120,627 
Total 1,116,230 1,229,901 1,208,028 1,013,291 1,062,729 532,127  533,570 
y/y -  10.2% -1.8% -16.1% 4.9% -  0.3% 
輸出台数 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2016年
1-6月
2017年
1-6月
CBU (unit) 173,371 170,907 202,273 207,691 194,397 93,998  113,269 
CKD (set) 100,074 105,380 108,580 108,770 202,626 91,194  42,008 
輸入台数 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2016年
1-6月
2017年
1-6月
CBU (unit) 124,835 154,014 104,503 82,306 75,571 40,671  44,771 
出所:インドネシア自動車製造業者協会(GAIKINDO)資料より作成



輸出振興が課題

 人口2.5億人を抱える潜在性の高い市場として、インドネシアの中長期的な内需拡大を見込んだ現地生産化が進み、完成車(CBU)の輸入台数は減少傾向にある。一方で、インドネシア政府は国内生産車の輸出振興を図っているが、完成車(CBU)の輸出台数は近年、20万台水準にとどまり、あまり伸びていない。(表1参照方)

 輸出候補先にあげる豪州などではセダンの需要が高いが、インドネシア国内では多人数乗りのMPV(多目的車)やハッチバックの需要が高く、セダンの現地生産化が進んでいない。セダンの奢侈税率(30%~)が他の車型に課される税率(10%~)に比べて高いこともあり(表2参照方)、業界側は輸出車両の現地生産促進に向け、セダンの奢侈税率引き下げを政府に要請している。また、自動車の電動化が世界的に進む中、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の普及に向けた対応も遅れている。このほか、インドネシア国内では排ガス基準「ユーロ2」相当の車両が生産されているのに対し、豪州などの市場では「ユーロ5」水準が求められ、国内の排ガス基準や安全基準の整備も課題となる。

(表2)インドネシア 四輪車の奢侈品販売税 (PPnBM)

税率 定員 燃料 排気量 駆動 車型など
10% 10~15名 ガソリン/ディーゼル - - -
10名未満 ガソリン/ディーゼル 1500cc以下 4×2 セダン・ステーションワゴン以外
20% 10名未満 ガソリン/ディーゼル 1500cc超2500cc以下 4×2 セダン・ステーションワゴン以外
3名超 ガソリン/ディーゼル - 4×2/4×4 ダブルキャビン、5トン以下
30% - ガソリン/ディーゼル 1500cc以下 - セダン・ステーションワゴン
- ガソリン/ディーゼル 1500cc以下 4×4 セダン・ステーションワゴン以外
40% 10名未満 ガソリン 2500cc超3000cc以下 4×2 セダン・ステーションワゴン以外
10名未満 ガソリン 1500cc超3000cc以下 - セダン・ステーションワゴン
10名未満 ガソリン 1500cc超3000cc以下 4×4 セダン・ステーションワゴン以外
10名未満 ディーゼル 1500cc超2500cc以下 - セダン・ステーションワゴン
10名未満 ディーゼル 1500cc超2500cc以下 4×4 セダン・ステーションワゴン以外
125% 10名未満 ガソリン 3000cc超 - セダン・ステーションワゴン
10名未満 ガソリン 3000cc超 4×2/4×4 セダン・ステーションワゴン以外
10名未満 ディーゼル 2500cc超 - セダン・ステーションワゴン
10名未満 ディーゼル 2500cc超 4×2/4×4 セダン・ステーションワゴン以外

出所:JETRO資料より作成、2014年3月19日付政令2014年第22号

新車販売市場は日本メーカーの牙城

 インドネシアの新車販売市場(商用車を含む)は日本メーカーが98.6%を占めている(2017年1~6月期)。市場シェアをメーカー別に見ると、トヨタが36.7%、ダイハツが17.7%で、日野を含めたトヨタグループでは過半数の56.8%を占める。ホンダは17.5%、スズキが9.7%、三菱自動車が6.3%と続いている。(表3参照方)

 日本メーカーが現地生産体制を拡充する一方、GMはMPV「シボレー・スピン(Chevrolet Spin)」を生産していたブカシ(Bekasi)工場を2015年6月に閉鎖した。小規模生産のため部品の現地調達が進まず、ほとんどを輸入に頼っていたことなどから、インドネシア事業はGMの収益を圧迫していた。GMは上海汽車と合弁で2017年にインドネシア新工場を開設し、再起を図る。Fordはインドネシアでの輸入販売を2016年末までに中止。今後も収益確保の見通しが立たないと見て撤退した。



(表3)インドネシアのメーカー別自動車販売台数・市場シェア

メーカー名 2016年1-12月 2017年1-6月
台数 シェア 台数 シェア
トヨタ (Lexusを含む) 382,610 36.0% 196,012 36.7%
ダイハツ 189,693 17.8% 94,287 17.7%
ホンダ 199,364 18.8% 93,262 17.5%
スズキ 92,950 8.7% 51,764 9.7%
三菱 97,761 9.2% 33,524 6.3%
三菱ふそう 19,510 3.7%
日産 (Datsunを含む) 38,636 3.6% 13,905 2.6%
日野 21,903 2.1% 12,828 2.4%
いすゞ 16,848 1.6% 8,167 1.5%
Chevrolet 2,540 0.2% 1,809 0.3%
マツダ 5,107 0.5% 1,593 0.3%
Mercedes-Benz 4,233 0.4% 1,380 0.3%
UDトラックス 1,800 0.2% 1,286 0.2%
BMW 2,506 0.2% 1,180 0.2%
その他 6,778 0.6% 3,063 0.6%
合計 1,062,729 100.0% 533,570 100.0%
出所:インドネシア自動車製造業者協会(GAIKINDO)資料より作成


MPV:新車販売の約4割を占め、各社とも新モデルを相次ぎ投入

 インドネシアは大家族主義の文化的要素を背景に、多人数乗りのMPV(多目的車)の人気が高く、新車市場全体(商用車を含む)の約4割を占めている。2016年のMPV販売台数は40万台超。各社とも新モデルを相次ぎ投入し、国内での拡販を図るだけでなく、インドネシアをMPVの生産・輸出拠点と位置付けて現地生産を強化している。

 また、近年は富裕層を中心に高価格帯のSUVの販売も伸びている。SUV販売台数は2011年に11万台程度だったが、2016年には約20万台まで拡大し、乗用車(ハッチバックやセダンなど)と同水準の市場規模になりつつある。最近投入される新モデルの中には、SUVのスポーティな外観と走行性能に、MPVの広い室内空間と多彩な機能を兼ね備えたクロスオーバー車が見られる。



インドネシアの車型別販売台数推移 主要メーカーのMPV販売台数
出所:MarkLines インドネシアのメーカー・ブランド別 年次販売実績データより作成
注:日産のDatsun GOおよびGO+は乗用車に含む



 トヨタの主力MPV「アバンザ(Avanza)」はインドネシアの最量販モデルであり、2016年の販売台数は12.5万台(表4参照方)。OEM姉妹車であるダイハツ「セニア(Xenia)」も同社のベストセラーモデルで、2車種合計で16.8万台となり、MPV市場の4割を占める。トヨタ/ダイハツはこのほか、新興国向けIMVシリーズのMPV「イノーバ(Innova)」に加え、2016年には「シエンタ(Sienta)」とLCGC適合車の小型MPV「カリヤ(Calya)」「シグラ(Sigra)」を発売、MPV市場でのシェアは8割近くに達している。トヨタグループ以外のMPV量販モデルでは、ホンダ「モビリオ(Mobilio)」、スズキ「エルティガ(Ertiga)」などがインドネシアのベストセラー上位10車種にランクインしている。

 2017年8月のインドネシア国際モーターショーでは、三菱自動車が新型MPV「エクスパンダー(XPANDER)」を世界初披露した。4月に稼働した新工場で9月から量産を開始し、10月に発売する予定。上汽通用五菱汽車(SAIC-GM-Wuling)は7月から新工場で生産を開始したMPV「コンフェロS(Confero S)」を披露。同セグメントの日系モデルより約3割安い1.3億ルピア(約108万円)からと低価格に設定、今後の販売動向が注目される。一方、MPVシェアトップのトヨタは「ヴォクシー(Voxy)」の市場投入を発表。ダイハツもMPVコンセプト「DN マルチシックス(DN MULTISIX)」を世界初公開し、さらなるMPVラインナップの拡充を図る。



(表4)主要メーカーのMPVモデル別販売台数 (単位:台)

メーカー
ブランド
モデル 2013年 2014年 2015年 2016年
トヨタ Avanza 209,968 160,984 134,374 124,787
Innova 66,786 55,514 41,576 57,344
Calya - - - 45,715
Sienta - - - 18,103
Alphard 439 533 880 2,110
NAV1 4,906 881 309 254
Sub-Total 282,099 217,912 177,139 248,313
ダイハツ Xenia 65,025 46,257 37,568 43,417
Sigra - - - 26,670
Luxio 5,472 5,859 1,080 3,228
Sub-Total 70,497 52,116 38,648 73,315
ホンダ Mobilio - 79,004 45,524 40,383
Freed 20,254 6,505 3,959 692
Odyssey 129 536 334 101
Sub-Total 20,383 86,045 49,817 41,176
スズキ Ertiga 64,194 46,827 30,839 31,244
APV 25,039 21,094 17,522 4,265
Sub-Total 89,233 67,921 48,361 35,509
日産 Livina/Grand Livina 34,484 25,506 19,547 6,991
Evalia 20,497 17,649 3,064 728
Serena 3,850 1,858 2,039 581
Sub-Total 58,831 45,013 24,650 8,300
Chevrolet Orlando 10,367 9,896 73 165
Spin 12,543 15,101 2,803 -
Sub-Total 22,910 24,997 2,876 165
出所:MarkLines インドネシアのメーカー・ブランド別 年次販売実績データより作成
注:日産のDatsun GO+は乗用車に集計しているため除外。


LCGC:市場規模は20万台超に拡大、ダイハツ/トヨタが2車種目を投入

 LCGC(Low Cost Green Car)適合車の販売台数は、市場投入が始まった2013年の5.1万台から2016年には23.5万台へと大幅に増加している(表1のAffordable Energy Saving Carsを参照方)。インドネシア工業省は2013年7月にLCGC政策の規定を発表。インドネシアに関連するブランド、ロゴ、モデル名を使用し、燃費20km/L以上で、1200cc以下のガソリン車および1500cc以下のディーゼル車(ただし、セダンとステーションワゴンを除く)などの条件を満たすLCGC適合車は奢侈税が免税となる。

 政策発表当初の2013年には、トヨタ/ダイハツ、ホンダ、スズキがLCGCを投入。2014年に日産がダットサン(Datsun)ブランドの2車種を発売。2016年8月には、トヨタ/ダイハツが2車種目となるLCGC適合車の新型MPVを発売した。各社のLCGCは5ドアハッチバックとMPVのコンパクトカーが主流でいずれもガソリン車、販売価格は1億~1.3億ルピア(約80万~100万円)程度に抑えられている。インドネシアを主力市場に据えるダイハツは、LCGC専用車を開発・生産し、トヨタにもOEM供給している。ホンダと日産は新興国向けコンパクトカーを投入。スズキは軽トールワゴンの「ワゴンR(Wagon R)」をLCGCとして導入している。(表5参照方)



(表5)LCGCモデルの市場投入状況

発売時期 メーカー モデル 車型 エンジン
排気量
販売価格 *1
(千ルピア)
月次販売 *2
(台)
2013年9月 ダイハツ アイラ (Ayla) ハッチバック 1.0L、1.2L 92,550 2,000-3,700
2013年9月 トヨタ アギア (Agya) ハッチバック 1.0L、1.2L 132,000 1,800-4,200
2013年9月 スズキ カリムン ワゴンR
(Karimun Wagon R)
トールワゴン 1.0L 124,500 270-890
2013年11月 ホンダ ブリオ・サティヤ
(Brio Satya)
ハッチバック 1.2L 131,500 3,100-5,700
2014年5月 日産 *3 ゴープラス パンチャ
(GO+ Panca)
MPV 1.2L 103,300 230-580
2014年8月 日産 *3 ゴー パンチャ
(GO Panca)
ハッチバック 1.2L 112,900 240-530
2016年8月 ダイハツ シグラ (Sigra) MPV 1.0L、1.2L 108,900 2,400-3,600
2016年8月 トヨタ カリヤ (Calya) MPV 1.2L 135,100 5,300-9,400
出所:MarkLines 完成車メーカーの拠点、各社発表および報道より編集
*1 販売価格は各社サイトに掲載された最低価格(2017年8月時点)
*2 MarkLines インドネシアの月次販売台数データ(2017年1-5月)より概数を掲載
*3 ブランド名は、ダットサン ヌサンタラ(Datsun Nusantara)


生産拠点の拡充:三菱自と五菱が新工場を稼働、各社による部品の現地生産化が進む

 インドネシアの自動車生産拠点は、ジャカルタから東方に延びる国道沿いのブカシ(Bekasi)およびカラワン(Karawang)地域の工業団地に主要な工場が立地している。インドネシアを中核市場とするダイハツの年産能力は53万台。トヨタは25.6万台で、グループ合計では78.6万台。ホンダは20万台、スズキが24万台、日産が10万台、三菱自の新工場が16万台、五菱(Wuling)の新工場が12万台で、10万台超の主力工場を合計すると約160万台となる。(表6参照方)

 各社は中長期的な国内需要と輸出の増加を見込んで、生産拠点拡充や部品の現地生産化を進めている。トヨタは2016年2月から新エンジン工場での生産を開始。日産は2016年9月、既存工場でエンジンやトランスミッションを製造するための拡張工事を開始したと報じられた。ホンダは2017年2月、2022年までにエンジン、車体フレーム、プラスチック射出成形の生産能力を拡大すると発表している。

 三菱自動車は2017年4月に新工場の稼働を開始した。SUV「パジェロ・スポーツ(Pajero Sport)」や新型MPV「エクスパンダー(XPANDER)」を生産し、乗用車市場でのシェア拡大を図る。GMと上海汽車の合弁会社である上汽通用五菱汽車(SAIC-GM-Wuling)も2017年7月から新工場でMPV「コンフェロS(Confero S)」の生産を開始した。

インドネシアの自動車工場マップ(クリックすると拠点マップが開きます)
インドネシアの自動車工場マップ(クリックすると拠点マップが開きます)



(表6)インドネシアの主要乗用車工場(抜粋)

OEM 運営会社 工場 生産能力 生産モデル
ダイハツ  PT. Astra Daihatsu Motor (ADM) Jakarta 330,000 Daihatsu Terios/Toyota Rush,
Daihatsu Xenia/Toyota Avanza,
Daihatsu Gran Max/Toyota Lite Ace, Town Ace, Hiace,
Daihatsu Luxio, Hi-Max (2016年-)
Karawang 200,000 Daihatsu Ayla/Toyota Agya,
Daihatsu Sigra/Toyota Calya (2016年-)
トヨタ   PT. Toyota Motor Manufacturing Indonesia (TMMIN)  Karawang 1 130,000 Kijang Innova, Fortuner
Karawang 2 120,000 Etios Valco, Vios, Yaris, Sienta (2016年-)
PT. Sugity Creatives
(トヨタ車体)
Bekasi 6,000 NAV1
ホンダ  PT. Honda Prospect Motor Karawang 1 80,000 CR-V, HR-V, Freed, Mobilio
Karawang 2 120,000 Brio, Brio Satya, BR-V, Jazz (Fit), Mobilio
三菱自  PT. Mitsubishi Motors Krama Yudha Indonesia (MMKI) Bekasi (2017年-) 160,000
(拡張可能) 240,000
Pajero Sport (2017年-), XPANDER (2017年-), Colt L300 (予定)
PT. Krama Yudha Ratu Motors (KRM) Jakarta 160,000 Colt T120SS, Colt L300, Outlander Sport
日産  PT. Nissan Motor Indonesia  Purwakarta 1 100,000
(フル生産時) 250,000
Juke, X-Trail, Serena, Grand Livina, Livina, Evalia
Purwakarta 2 Datsun GO+ Panca, GO Panca
スズキ  PT. Suzuki Indomobil Motor  Tambun 133,000 Carry, Mega Carry, Karimun Wagon R, APV, APV Arena
Cikarang 106,000 Ertiga
いすゞ P.T. Isuzu Astra Motor Indonesia (IAMI) Karawang 52,000
(予定) 80,000
Elf (N-Series), Giga (F-Series), D-Max
五菱 PT. SGMW Motor Indonesia Bekasi (2017年-) 120,000
(2020年-) 150,000
Confero S (2017年-)
現代 PT. Hyundai Indonesia Motor Bekasi 12,000 H-1 (Starex)
Daimler PT. Mercedes-Benz Indonesia Bogor 20,000 S-Class, E-Class, C-Class, GLE-Class
Astra PT. Gaya Motor Jakarta 60,000 BMW 3 Series, 5 Series, 7 Series (2016年-), X1, X3, X5;
Isuzu Panther, N-Series (ELF)
Indomobil PT. National Assemblers Jakarta 2,000 VW Golf, Touran, Tiguan, Caravelle
Audi A6
Jakarta n.a. Renault Duster
出所:MarkLines 完成車メーカーの拠点、各社発表および報道より編集


三菱自動車:新工場で新型MPV「XPANDER」を生産、乗用車の販売体制を強化

XPANDER (三菱自動車 資料)
XPANDER (三菱自動車 資料)

 三菱自動車は2017年4月、インドネシア新工場の稼働を開始した。同社はこれにより、インドネシアにおける生産体制を従来の委託生産から自社工場主体の生産に切り替える。また、三菱ブランドの乗用車販売に特化した販売会社を新たに設立。SUV「パジェロスポーツ(Pajero Sport)」の現地生産化と新型MPV「エクスパンダー(XPANDER)」の投入により、乗用車市場でのシェア拡大を図る。



新工場稼働:委託生産から自社工場主体の生産体制に切り替え

 三菱自動車は2017年4月25日、インドネシア新工場の稼働を開始した。新工場の生産能力は年間16万台で、稼働当初はSUV「パジェロスポーツ(Pajero Sport)」を生産する。2017年9月からは7人乗りの小型クロスオーバーMPV「エクスパンダー(XPANDER)」の量産を開始し、10月に発売する予定。新型MPVはインドネシア国内で販売するほか、ASEAN域内へも輸出する。また、小型商用車「Colt L300」も生産する計画。将来の生産量増加を見込んで、新工場の生産能力は24万台まで拡大可能と報じられている。

 新工場への投資総額は650億円。三菱自と現地パートナー PT. Krama Yudha (KY)が設立した生産合弁会社Mitsubishi Motors Krama Yudha Indonesia (MMKI)が、2年間かけて建設した。ジャカルタから37km東方に位置するブカシ(Bekasi)のGreenland International Industrial Center (GIIC)に設立。敷地面積は30ヘクタールで、約600メートルのテストコースや1,000人収容可能なモスクも備える。モータープール(約9,500台収容可能)を合わせると51ヘクタールに及ぶ。従業員数は3,000人。



日産との協業:ASEAN地域での事業強化

 三菱自の新工場で生産する新型MPVは、2019年から日産へのOEM供給も開始する。両社とも新型MPVはインドネシア国内での販売だけでなく、ASEAN域内への輸出も予定している。

 日産へのOEM供給は、両社が2016年5月に発表したアライアンスによるシナジーの一環。三菱自の新型MPVをベースに、日産独自の専用デザインを採用。フロントデザインなどを変更して日産の独自モデルとして差別化を図る。両社ブランドで新型MPVを投入することにより、幅広い顧客を開拓してスケールメリットを追求するほか、主要部品を共有することで、日産としても新しいモデルの早期投入を実現する。

 ASEAN地域は三菱自の世界販売の約2割を占める最大市場。日産との協業において、三菱自は自社の強みであるASEAN市場でのさらなる事業強化を柱の1つに掲げている。先にタイとフィリピンで実施した生産能力の増強に続き、インドネシアに自社工場を設立することで、生産3極体制を構築した。2018年以降はインドネシア拠点の輸出基地化を図り、これまでタイ工場が担っていた域内輸出の分業を進める。タイはピックアップトラックやSUV、インドネシアは新型MPV、フィリピンは小型車「ミラージュ(Mirage)」の生産・輸出拠点とする。日産とのシナジーにおいて、三菱自のインドネシア新工場は両社の生産・輸出拠点の強化につながると期待されている。



三菱ブランドの乗用車に特化した販売体制を構築

 三菱自動車と三菱ふそうトラック・バスは2016年10月、インドネシアの販売会社をそれぞれのブランド別に分割することについて、提携先の三菱商事およびPT. Krama Yudha (KY)と合意した。三菱ふそうは現行の販売会社PT. Krama Yudha Tiga Berlian Motors (KTB)への出資比率を18%から32%に引き上げ、商用車販売に特化する。両社のインドネシア販売はこれまで商用車が6割以上を占めていた。

 一方、三菱自は従来の合弁販売会社から三菱ブランドを切り離し、乗用車の販売およびアフターサービスに特化した新たな合弁会社PT. Mitsubishi Motors Krama Yudha Sales Indonesia (MMKSI)を2017年4月に設立。出資比率は、三菱商事40%、三菱自30%、KY 30%。乗用車ラインナップを拡充するとともに、乗用車の販売網を現行の90店舗から140店舗に増設し、アフターサービスも強化する。SUV「パジェロスポーツ」の現地生産化と新型MPV「エクスパンダー」の投入で、2017年度の販売計画は前期比20%増の9.7万台に設定。乗用車市場におけるシェア拡大を図り、現行のシェア6%から2017年度は8%まで引き上げ、早期に10%まで拡大することを目指す。



乗用車ラインナップの拡充

XPANDER ・三菱自動車は2017年8月のインドネシア国際オートショーで、次世代クロスオーバーMPV「エクスパンダー(XPANDER)」を世界初披露した。三菱自にとって同国MPV市場への参入を果たすモデル。
・「エクスパンダー」は7人乗り3列シートのMPVで、MPVならではの多用途性とSUVらしいスタイリングや走りを融合したモデル。1.5L MIVECエンジンを搭載、5速M/Tまたは4速A/Tを組み合わせる。5グレードの設定で販売価格は1.89億~2.45億ルピア。
・三菱自のフロントデザインコンセプト「ダイナミックシールド」を進化させて採用。最低地上高は205mmに設定され、未舗装路やスコール時も安心して走行することができる。独自の衝突安全強化ボディ「RISE」の採用により、全方位からの衝突に対する安全性を向上。前倒しできる2列目と3列目のシートアレンジ、大風量できめ細かい調整が可能なエアコンなどを装備。
Pajero Sport ・2017年4月に稼働を開始した新工場で、ミッドサイズSUV「パジェロスポーツ(Pajero Sport)」の現地生産を開始。
・「パジェロスポーツ」はインドネシア市場で2016年2月にフルモデルチェンジ車を発売。2.4L MIVEC ディーゼルターボエンジンを搭載、新開発の8速ATと組み合わせる。輸入車での販売価格は4.46億~6.23億ルピア。


五菱 (Wuling) :新工場稼働、MPV「Confero S」を生産

 GMと上海汽車の合弁会社である上汽通用五菱汽車(SAIC-GM-Wuling)は、西ジャワ州チカラン(Cikarang)工業団地内に新工場を建設。同社のインドネシア法人PT. SGMW Motor Indonesiaは2017年7月、五菱宏光(Wuling Hongguang)をベースとするMPV「コンフェロS(Confero S)」の生産を開始した。

 新工場への総投資額は7億ドル。自動車組立工場と部品工場を新設、2工場で約2,000人を雇用する。車両の年産能力は12万台。MPVの2モデル「五菱宏光(Wuling Hongguang)」と「宝駿780(Baojun 780)」を生産する計画で、インドネシア国内で販売するほか、ASEAN諸国にも輸出する予定。新工場の敷地面積は60ヘクタールで、建屋面積は30ヘクタール。残り30ヘクタールはサプライヤーパークになっており、Nexteer、MANN+HUMMEL、宝鋼集団 (Baosteel)、五菱工業 (Wuling Industry)、凌雲工業 (Lingyun Industrial) 等のサプライヤーが進出している。



Confero S ・上汽通用五菱汽車(SAIC-GM-Wuling)は2017年8月のインドネシア国際オートショーで、7人乗りMPV「コンフェロS(Confero S)」を披露した。
・「コンフェロS」は「五菱宏光(Wuling Hongguang)」をベースとするMPV。1.5Lエンジンに5速MTを組み合わせる。
・「コンフェロS」の販売価格は1.509億ルピア~。廉価モデルの「コンフェロ(Confero)」は1.288億ルピアに設定し、低価格をアピール。


トヨタ/ダイハツ:MPVラインナップを拡充、エンジン工場やR&Dセンターを新設

コンセプトカー:新ジャンルのMPVとハッチバックセダンを披露

 ダイハツは2017年8月のインドネシア国際モーターショーで、2台のコンセプトカーを世界初公開した。「DN マルチシックス(DN MULTISIX)」はスタイリッシュな外観が特徴のMPV。「DN F-セダン(DN F-SEDAN)」は、ハッチバックとセダンそれぞれにかかる奢侈税率が異なる中で、新たな可能性を探るモデルとして注目される。

DN MULTISIX ・ダイハツは2017年8月、3列シートのMPVコンセプト「DN マルチシックス(DN MULTISIX)」を世界初公開した。
・「セニア(Xenia)」や「シグラ(Sigra)」と同様に前輪駆動を採用。スタイリッシュな外観とウォークスルーが可能な広い室内空間が特長。
DN F-SEDAN ・ダイハツは2017年8月、Aセグメントのコンセプトカー「DN F-セダン(DN F-SEDAN)」を世界初公開した。
・ハッチバックタイプの5ドアセダン。スポーティなデザインが特徴。従来のラインナップには無い、新しい市場の可能性を探るコンセプトカー。
DN MULTISIX (ダイハツ資料) DN F-SEDAN (ダイハツ資料)
DN MULTISIX (ダイハツ資料) DN F-SEDAN (ダイハツ資料)



新モデル:MPVラインナップを拡充、現地仕様の小型トラック投入

 ダイハツはAセグメントの小型車2モデルを発売。1つはLCGC適合車となる7人乗りMPV「シグラ(Sigra)」で、トヨタ「カリヤ(Calya)」としてOEM供給も行う。もう1つは小型商用トラック「ハイマックス(Hi-Max)」で、他社に先駆けて新市場を開拓する。

 トヨタは「シエンタ(Sienta)」に続いて「ヴォクシー(Voxy)」を市場投入し、MPV市場での優位性をさらに強化する。

Sigra/Calya ・ダイハツは2016年8月、インドネシア専用の新型MPV「シグラ(Sigra)」を発売した。トヨタへOEM供給も実施、「カリヤ(Calya)」として発売。カラワン(Karawang)工場で生産。
・7人乗りAセグメントMPVで、既存のLCGCモデル「アイラ(Ayla)」と共通のグローバルAセグメントプラットフォームを活用。ダイハツとしては2車種目となるLCGC適合車。
・新型1.2L NRエンジンと1.0L KRエンジンを設定。多人数乗車や多くの荷物を積む点など、現地で求められるニーズを反映した。
Hi-Max ・ダイハツは2016年11月、インドネシア専用の新型小型商用トラック「ハイマックス(Hi-Max)」を発売した。ジャカルタのスンター(Sunter)工場で生産。ジャカルタでの価格は約9,530万~1億330万ルピア。
・他社に先駆け、Aセグメントトラックという新たなマーケットを開拓。専用の1.0Lガソリンエンジンを搭載。吸気口を高い位置に設定したことで耐冠水性を実現。優れた小回り性に加え、アンダーボディ・足回りを補強することで現地ニーズに沿った積載重量にも対応する。
Voxy ・トヨタは2017年8月のモーターショーで「ヴォクシー(Voxy)」をインドネシア市場に投入すると発表した。
Sienta ・トヨタは2016年7月、インドネシアで7人乗りの小型MPV「シエンタ(Sienta)」を発売した。カラワン(Karawang)第2工場で生産。価格は2億3,000万ルピーから。
・インドネシアの道路状況に合わせ、日本仕様より車高を25mm高く設定。日本仕様には無いMTを設定する一方、日本仕様と同様にパワースライディングドアやダイブインシートを装備する。
・日本以外の国で「シエンタ」を生産するのは初めて。トヨタの車両生産会社PT Toyota Motor Manufacturing Indonesia (TMMIN)は、カラワン工場に約2兆5,000億ルピア(約200億円)を投じて新たな生産ラインを増設。新型「シエンタ」の生産能力は月間4,000台。
・トヨタは2016年4月のモーターショーで「シエンタ」を出展。インドネシアで生産し、ASEAN諸国にも輸出するとしていた。
・2016年8月にはタイで「シエンタ」を発売。タイにおける2016年の販売目標は1,700台。インドネシア製モデルを輸入販売する。
Sigra (ダイハツ資料) Hi-Max (ダイハツ資料)
Sigra (ダイハツ資料) Hi-Max (ダイハツ資料)



トヨタがエンジン工場を新設、ダイハツのR&Dセンターが完成

 トヨタのインドネシアの車両生産会社PT. Toyota Motor Manufacturing Indonesia(TMMIN)は、西ジャワ州カラワン(Karawang)に新エンジン工場を建設、2016年2月に生産を開始した。年産能力は21.6万基で、1.3Lおよび1.5LのNRエンジンを生産し、一部を輸出する。新工場への投資額は約2.3兆ルピア(約205億円)、新規雇用は約400名。

 2017年4月には、ダイハツのインドネシア法人PT. Astra Daihatsu Motor (ADM)のR&Dセンターが完成した。カラワンにある完成車工場の敷地内に設立。デザイン棟、設計実験棟、テストコースの一部はすでに稼働していたが、周回路などの全てのテストコースが完成した。ダイハツの海外R&D拠点はマレーシアのプロドゥア(Perodua)に続く2拠点目。



ホンダ:「BR-V」の生産開始、エンジンや部品の生産能力を拡大

新モデル:クロスオーバー車「BR-V」を発売

 ホンダは2016年1月からカラワン第2工場で新型クロスオーバーユーティリティビークル「BR-V」の生産を開始、同年初めに発売した。「BR-V」は新興国専用車「ブリオ(Brio)」をベースに、インドネシア向けに開発された3列7人乗りモデル。1.5L i-VTECエンジンに新開発の6速MTまたはCVTを組み合わせる。

 インドネシア市場では従来から需要が高いMPVに加えて、SUVの人気も高まっている。「BR-V」はSUVらしい外観とハンドリングに加え、MPVのような広々とした室内空間と多彩なユーティリティを兼ね備えたモデルとして発売。2016年の販売台数は4.6万台に達した。ホンダのSUV販売は好調で、「HR-V」は4.3万台、「CR-V」は7,000台超を売り上げている。

BR-V (ホンダ資料)
BR-V (ホンダ資料)



モデルチェンジ:主力車種を相次ぎ改良

 ホンダは2017年に入ってから、インドネシアで主力車種の改良モデルを相次ぎ発売している。主力MPV「モビリオ(Mobilio)」に続いて、「シティ(City)」「オデッセイ(Odyssey)」「シビック(Civic)」の改良モデルを発売した。

Mobilio ・2017年1月、3列シート7人乗りのコンパクトMPV「モビリオ(Mobilio)」のフェイスリフトを発表。販売価格は1億8,895万~2億4,350万ルピア(約164万-210万円)。
・先代モデルと同じ1.5L i-VTECガソリンエンジン(118PS)を搭載、5速MTまたはCVTを組み合わせる。フロントグリル、エンジンフード、LEDデイタイムランニングライトを備えた新設計のヘッドライトなどを変更。
・カラワン工場で生産、現地調達率は86%。
Civic ・2017年6月、「シビック(Civic)」ハッチバック・ターボモデルを発売。タイのプラチンブリ(Prachinburi)工場製モデルを輸入販売する。価格は3億9,990万ルピア(約330万円)から。
・2016年にインドネシアで発売した10世代目「シビック」セダンの派生のスポーティモデル。1.5L VTECターボエンジンに7速パドルシフト付きCVTを組み合わせる。
City ・2017年3月、改良型「シティ(City)」を発売。フロントバンパー、フロントグリル、フォグランプ、リアバンパーなどを変更。「E」グレードのみ設定。
・1.5L SOHC i-VTECエンジンを搭載、CVTまたはMTを組み合わせる。低燃費運転を支援する「ECONシステム」を装備。
Odyssey ・2017年3月、第5世代「オデッセイ(Odyssey)」の改良型を発売。新デザインの黒色フロントグリルや黒色フォグライトガーニッシュ、17インチアロイホイールなど高級感のある外装部品を採用。
・2.4L DOHC i-VTECエンジンを搭載。低燃費運転を支援する「エコアシスト(ECO Assist)」や「ECONシステム」を装備する。



エンジンと部品の生産能力を拡大

 ホンダのインドネシア法人PT. Honda Prospect Motor (HPM)は2017年2月27日、今後5年間で4.8兆ルピア(約400億円)を投じて、西ジャワ州カラワン(Karawang)にある自社工場のエンジンと車体フレーム、プラスチック射出成形の生産ラインの能力を拡大すると発表した。エンジンの生産能力は現在の年産22.5万基から5年後の2022年までには33%増の年産30万基に、車体フレームは年産18万台に拡大する。また、プラスチック射出成形品の生産も年間2,800回の射出から4,200回に拡大する。増産開始時期は、エンジン工場が2019年末、車体フレームラインが2021年春、プラスチック工場が2022年3月の計画。



LMC Automotive生産予測:インドネシアの生産台数は2020年に130万台超

LMC Automotive、2017年6月)

インドネシアの自動車工場マップ(クリックすると拠点マップが開きます)

 LMC Automotiveの生産予測(2017年6月)によると、インドネシアのライトビークル生産台数は2017年に前年比7.5%増の119万台となる見通し。生産台数は2017年以降も増加し続け、2020年には130万台を超えると予測している。

 2017年第1四半期の生産台数は2桁増(12.1%増)となった。インドネシアにおけるトヨタグループのMPV、特にLCGCモデルの7人乗りMPV、トヨタ・カリヤ(Calya)とダイハツ・シグラ(Sigra)に対する需要が堅調だったことが牽引した。地元メディアの報道によると、トヨタはインドネシアの生産能力を拡大するため、同国への投資を当初予定していた20兆ルピアから25兆ルピアに増額する。

 ホンダはエンジンおよび部品の生産能力を増強するため、今後5年間にインドネシアに4.8兆ルピアを投資すると発表した。同社のインドネシアにおけるエンジン生産能力は、現行の年間22.5万基水準から2022年には年間30万基に引き上げられる見通し。

 三菱自動車のインドネシア新工場は2017年4月に稼働を開始した。当初の生産モデルはパジェロスポーツ(Pajero Sport)で、2017年下半期には新型MPVのエクスパンダー(Expander)(LMC AutomotiveではこれまでXM conceptと表示していた)が投入される見通し。

 LMC Automotiveでは、インドネシアにおけるスズキ・イグニス(Ignis)の生産開始時期を2018年第1四半期に追加。インドネシア国際モーターショーで発売した完成車輸入バージョンに対する消費者の反応が好調だったことに基づく措置。

 五菱(Wuling)はインドネシア市場向けの初モデル、五菱コンフェロS(Wuling Confero S)(中国名は五菱宏光(Wuling Hongguang))を披露した。1.5Lエンジンを搭載した低価格の大型車で、LMC Automotiveでは、現在シェアトップのトヨタ・アバンザ(Avanza)の競合モデルになると見ている。

SALES
GROUP
GLOBAL
MAKE
2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
Total   1,215,662 1,062,278 1,104,326 1,186,646 1,227,471 1,294,540 1,361,128
Toyota Group Daihatsu 325,555 238,856 313,002 360,930 381,526 396,650 407,125
  Toyota 394,284 346,923 351,180 365,002 331,591 335,863 367,681
  Hino 3,438 3,899 3,413 10,765 14,309 14,557 15,078
Toyota Group sub-total 723,277 589,678 667,595 736,697 727,426 747,070 789,884
Honda Group Honda 153,113 153,543 178,437 193,345 190,598 198,785 205,266
Renault-Nissan Group Mitsubishi 53,970 57,284 42,196 58,100 78,446 83,382 87,668
  Datsun 27,076 48,574 27,552 32,872 42,086 43,407 51,253
  Nissan 62,388 40,667 20,746 20,355 26,049 28,595 29,065
  Dacia 465 424 427 107 124 131 128
Renault-Nissan Group sub-total 143,899 146,949 90,921 111,434 146,705 155,515 168,114
Suzuki Group Suzuki 147,985 133,630 134,574 115,803 121,293 145,947 148,300
SAIC Group Wuling 0 0 0 8,840 19,959 24,000 24,005
Isuzu Motors Isuzu 14,228 14,241 14,902 9,147 10,202 10,923 12,495
Daimler Group Fuso 13,306 11,548 9,943 5,813 5,521 5,916 6,366
  Mercedes-Benz 4,603 3,480 3,255 2,833 2,682 3,002 3,149
Daimler Group sub-total 17,909 15,028 13,198 8,646 8,203 8,918 9,515
BMW Group BMW 2,152 2,397 2,711 2,272 2,431 2,651 2,806
Hyundai Group Hyundai 730 666 940 354 446 470 473
  Kia 0 362 155 6 0 0 0
Hyundai Group sub-total 730 1,028 1,095 360 446 470 473
Volkswagen Group Volkswagen 282 193 297 94 196 249 258
  Audi 112 60 105 0 0 0 0
Volkswagen Group sub-total 394 253 402 94 196 249 258
PSA Group Peugeot 197 123 0 8 12 12 12
Mazda Motors Mazda 749 682 489 0 0 0 0
BAIC Group Foton 195 120 2 0 0 0 0
General Motors Group Chevrolet 10,484 4,405 0 0 0 0 0
Chery Group Chery 350 201 0 0 0 0 0

Source: LMC Automotive "Global Automotive Production Forecast (June, 2017)"
(注) 1.データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値。
2.本表の無断転載を禁じます。転載には LMC Automotive 社の許諾が必要になります。
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キーワード
インドネシア、MPV、LCGC、ダイハツ、トヨタ、ホンダ、三菱、五菱、Wuling

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