現代自動車:高級車ブランド"Genesis"とエコカー"Ioniq"シリーズを投入

中国・米国市場で苦戦し、2016年グローバル出荷台数は14万台減、4年連続で営業減益

2017/04/07

要約

2016年に新発売したGenesis G90 Luxury Flagship。V8 5000ccまたはV6 3300ccエンジンと8速ATを搭載し、Mercedes-Benz S ClassやBMW 7 Seriesなどトップレベルの高級車に対抗する(写真:現代自)。
2016年に新発売したGenesis G90 Luxury Flagship。V8 5000ccまたはV6 3300ccエンジンと8速ATを搭載し、Mercedes-Benz S ClassやBMW 7 Seriesなどトップレベルの高級車に対抗する(写真:現代自)。

<新たな商品戦略>

 本レポートは、現代自グループの新たな商品戦略と業績の推移を報告する。

 同グループの業績は、ここ数年足踏み状態にあるが、今後の戦略の重要な柱として、商品/ブランド価値を向上させることにより、安定的に売上と利益の拡大を実現するとしている。具体的には、2016~2017年から、1)高級車ブランド "Genesis"を立ち上げ、2)エコカー分野で現代"Ioniq"と"起亜"Niro"シリーズを投入、さらに3)高性能車"N"シリーズを投入する。

 既存商品分野では、これまで出遅れていた4)Crossover車を強化する計画。



<現代自グループの業績は、伸び悩み状態>

 現代自グループの世界販売は、2007年の400万台から2011年の660万台へ、4年間で66%の大幅拡大を実現した。しかし、急速な拡大に伴うリスクを懸念し、しばらく生産能力拡大を中断して品質向上など内部充実に努めた。

 その結果、顧客満足度のランクは大幅に上昇したが、2015年のグループ出荷台数は1万台増にとどまり、2016年は韓国の工場での全面ストライキの影響もあり、14万台減少し788万台。

 現代自の営業利益率は、2010年の10%から、2014年の8.5%、2016年の5.5%と低下している。同じ期の起亜自の営業利益率も、7.5%、5.5%、4.7%と低下した。最大および2番目の大市場である中国と米国で苦戦し、販売台数を維持するために値引きを拡大していることが、収益性低下の主因とされている。

 中国では、2016~2017年に北京現代第4工場・第5工場が稼働し、2018年の現代自グループの生産能力は270万台に達する。2017年のグループ出荷計画台数は195万台で、工場稼働率の低下が懸念されている。

 また、中国で、THAAD(高高度防衛ミサイル)配備の問題から反韓感情が高まり、2017年3月の販売が52.2%減少したと報道されている。この状況が長引けばかなりの影響が考えられる。

関連レポート:

現代自:上半期の世界出荷台数が10万台減、減収・減益(2015年10月)
現代自動車グループ:2013年から営業減益が続く(2014年9月)

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