タイ: 2015年の生産台数は3-4%増の193万-195万台の見通し

購入支援策による需要先取りで国内市場は縮小、輸出が拡大し生産の6割強へ

2015/12/04

要 約

タイの自動車生産・輸出・国内販売台数
初回購入支援策の影響で国内販売が低迷

 タイ政府は、2011年10月から2012年12月まで、初めての自家用車購入者に物品税を還付する初回購入支援策を実施。2012年・2013年は生産・販売とも大幅に増加したが、2014年は同策終了による反動減、家計債務の増加、政情不安等により生産・販売が急減。2015年も引き続き需要先取りの影響が残り、農民の所得減少等もあって、国内市場はさらに縮小。輸出の拡大に支えられて、生産は小幅増の見込み。

2015年の生産は3~4%増加、国内販売は13~14%減少の見込み

 タイ工業連盟 (FTI) は2015年の生産台数見通し(12月発表)を前年比2.7~3.7%増の193万~195万台と予測。年間300万台の生産を目標とするタイとしては低水準にとどまっている。生産のうち、輸出向けは6.4%増の120万台を見込む。FTIは2016年の生産台数について、GDP成長率が3%超であれば200万台となると予測している。一方、2015年の国内販売見通し(10月発表)は、Toyota Motor Thailand (TMT) が前年比12.7~13.8%減の76万~77万台と予測している。

 2015年第3四半期に発表されたLMC Automotiveの予測によると、タイのライトビークル販売台数は、農民の所得減少、家計債務の増加、政情不安等により、引き続き減少する。ただし、ピックアップセグメントは、長く待たれていたトヨタの新型Hiluxが最近発売されたこともあり、2015年下期には上向く見込み。その結果、2015年通年の販売台数は前年比11.3%減の76万台と予測される。2016年以降は増加に転じ、2018年の販売台数は92万台に達する見通し。

タイ政府:総選挙は延期、第2期エコカー計画の投資認可、新物品税を導入

 2014年5月のクーデターで発足したタイの軍事政権は、民政復帰に向けた総選挙を、当初計画の2015年中から2017年6月に延期。軍事政権は様々な景気対策を打ち出しているが、その効果が出るのは2016年以降の見込み。

 タイ政府は、低燃費小型車の生産誘致のために実施している第2期エコカー計画について、2014年11月までに8社の投資計画を認可した。計画では2019年末までに生産が開始される予定。

 また、タイ政府は2016年1月より、自動車の物品税を、エンジンの排気量ベースからCO2排出量ベースに切り替える。値上げが予想されるピックアップについては、2015年末に駆け込み需要が予測される。

 
関連レポート

 タイの日系部品メーカー動向 (2015年9月)



2015年1-10月はエコカー生産が47%増加

 2015年1-10月のタイの自動車生産台数は前年同期比1.8%増の160万台。国内販売は初回購入支援策で需要が先取りされた影響と、干ばつや農産物価格の下落による農民の所得減少等で13.6%減の62万台となったが、輸出は9.0%増の102 万台で堅調だった。生産台数に占める輸出比率は63.7 %に拡大した。

 車種別生産台数では、2015年1-10月は乗用車が前年同期比4.6%増加。乗用車のうち、タイ政府が認定する低燃費小型車のエコカーは46.9%増と大幅増加した。商用車は全体では前年と同水準。そのうち1トンピックアップトラック(PPV=Passenger Pickup Vehicleを含まない)は2.3%減少したが、生産全体に占める比率は51.2%となった。その他の商用車(中・大型商用車)は16.9%増加した。2015年末のASEAN経済共同体 (AEC) 発足に伴い、東南アジアで商用車需要は高まると見込まれている。

 タイからの自動車輸出は、アジア (日本含む)、オセアニア、中東が主な仕向け先である。2015年1-10月では、アジアは前年同期より8.4%、オセアニアは29.6%増加したが、中東は24.6%減少した。一方、市場が回復している欧州は65.7%、北米は47.6%と大幅に増加。欧米向けには低燃費小型車の輸出が拡大している。

 

タイの車種別自動車生産台数タイからの仕向地別自動車輸出台数

 

タイの自動車生産・輸出・新車販売台数

(台)
2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 (見通し) 2014年
1-10月
2015年
1-10月
生産台数 1,457,795 2,453,717 2,457,057 1,880,007 1,930,000~1,950,000 1,568,300 1,597,140
輸出台数 735,627 1,026,671 1,119,205 1,128,102 1,200,000 932,365 1,016,595
国内販売 794,081 1,436,335 1,330,678 881,832 760.000~770,000 719,260 621,742
(輸出/生産) 50.5% 41.8% 45.9% 60.0% 59.5% 63.7%
資料:  生産と輸出はタイ工業連盟 (The Federation of Thai Industries: FTI)、
国内販売は小売販売台数で Toyota Motor Thailand (TMT)
(注) 1.  国内販売には輸入車も含む。
2.  2015年の見通しの欄は、生産台数と輸出台数はFTIが2015年12月に発表 (2015年1月に生産台数を220万台と予測したが、2月に215万台、7月に205万台、10月に195万~200万台に引き下げていた)、販売台数は TMT が 10月に発表した予測(2015年1月に92万台、7月に80万台と予測していた)。

 

 



タイの国内市場:トップのトヨタはシェア34.1%

 2015年1-10月のタイの車種別販売台数は、乗用車が前年同期比21.4%減、1トンピックアップ(PPVを含む)が12.0%減で、依然として低迷している。一方、他の商用車(中・大型商用車)は12.1%増加した。ASEAN経済共同体の発足による物流の活発化に加え、タイ政府が実施するインフラ関係事業の増加も大型トラックの需要を押し上げている。

 タイの自動車市場シェアの9割近くは日系メーカーが占めている。トップのトヨタは2014年にエコカーYarisの販売が好調でシェアを37%に拡大したが、2015年1-10月は34.1 %に低下した。YarisやVios等小型乗用車の販売が大幅に減少。5月に発売した世界戦略車IMVの新型Hiluxの投入効果はあったが、販売減少にブレーキをかけることはできなかった。いすゞは2014年に第2位の座を取り戻し、2015年1-10月も18.1%で第2位を維持した。ピックアップのD-MAXとそのSUV版のmu-Xが引き続き好調。ホンダは2013年に乗用車販売でトップとなり、全体のシェアは16%で初めて第2位となったが、初回購入支援策終了の影響を強く受け、2014年はシェアが12.1%に落ち込んだ。2015年1-10月は小型HR-Vが販売を牽引し、シェアは14.4%に回復した。

 

タイの車種別自動車販売台数 タイの自動車市場シェア

 

 



タイ政府:第2期エコカー計画の投資認可、2016年に物品税制改定

 タイ投資委員会 (BOI) は2014年11月までに、第2期エコカー計画として8社の投資計画を認可した。第1期に参加した日系5社(トヨタ、スズキ、ホンダ、日産、三菱自)に加え、新たにマツダ、Ford、SAIC Motor-CPが参加する。しかし、生産能力が余剰気味で、市場低迷が続く状況では、全社が計画を遂行できるかはまだ不透明である。

 また、タイ政府は2016年1月から自動車に対する物品税を、エンジンの排気量ベースからCO2排出量ベースに改定する。CO2排出量が200g/km超のピックアップトラックは、物品税が3%から5%に引き上げられるため、各メーカーは既存モデルの改良や新型エンジンの採用で、新物品税に対応している。また、2015年末には、この改定により物品税が上がる車種について、駆け込み需要があると予測されている。

第2期エコカー計画投資認可状況 (2014年11月までに認可された計画)

単位
会社名 投資額 年産能力 工場
トヨタ 19億バーツ 第1期も含むエコカー:10万台から16万台に拡大 Gateway工場
104億600万バーツ エコカー:10万台
スズキ 84億3,870万バーツ エコカー:10万台 Rayong工場
ホンダ 81億6,100万バーツ エコカー:10万台 Prachinburi工場
日産 68億6,000万バーツ エコカー:12.3万台, 部品:200万個 Samutprakarn工場
31億1,300万バーツ エコカー:12万台から13.4万台に拡大
三菱自 49億バーツ エコカー:23.3万台 Laemchabang工場
77億バーツ 第1期も含むエコカー:18万台から22万台に拡大
AutoAlliance
(Thailand)
(マツダ、Ford)
97億2,750万バーツ エコカー:15.8万台, 部品:20万個 Rayong工場
SAIC Motor-CP 76億1,000万バーツ エコカー:11万台 Rayong工場
Ford 181億8,000万バーツ エコカー:18万台, エンジン:2,000基 Rayong工場

資料:タイ投資委員会 (BOI) 発表
(注) GM は2014年10月に申請を認可されたが、2015年2月、タイ事業の再編に伴い、参加を見送った。VWは参加を申請したとされるが、投資計画はまだ明らかではない。

 

タイの自動車物品税率(現行税制と新税制)

単位
適用車種 現行税制 新税制 (2016年1月1日~)
排気量(cc) 税率 (%) 排気量 (cc) CO2(g/km) 税率 (%)
E10 E20 E85 E10/E20 E85/NGV
乗用車 ≦2,000 30 25 22 ≦3,000 ≦150 30 25
2,001-2,500 35 30 27 151-200 35 30
2,501-3,000 40 35 32 >200 40 35
>3,000 50 50 50 >3,000 50 50
エコカー ≦1,300(G)/≦1,400(D) 17 ≦1,300(G)/≦1,500(D) ≦100 14 12
101-120 17 17
EV/FC/Hybrid ≦3,000 10 ≦3,000 ≦100 10
101-150 20
151-200 25
>200 30
>3,000 50 >3,000 50
PPV ≦3,250 20 ≦3,250 ≦200 25
>200 30
Double cab ≦3,250 12 ≦3,250 ≦200 12
>200 15
Space cab ≦3,250 - ≦3,250 ≦200 5
>200 7
Pick up ≦3,250 3 ≦3,250 ≦200 3
>200 5
PPV/Dc/Sc/Pick up >3,250 50 >3,250 50

資料:タイ財務省物品税局
(注) E10/E20/E85は、それぞれガソリンにエタノールを10%, 20%, 85%混合した燃料の対応車。NGVは天然ガス車、EVは電気自動車、FCは燃料電池車、PPVは乗用ピックアップ、DcはDouble cab、 ScはSpace cab。

 

 



生産拠点:ホンダの新工場は稼働延期、SAIC Motor-CPは新工場を計画

 ホンダはタイで3つ目の工場を建設していたが、国内需要低迷のため、稼働開始を約1年延期して2016年3月からとする。一方、Fordは自社単独の工場をピックアップ増産のために拡張し、BMWは既存工場の年産能力を25%増の2万台に引き上げる計画。SAIC Motor-CPは、2016年に年産能力20万台の新工場を建設する計画と報じられた。

 また、現地調達率を引き上げて競争力を向上させるため、パワートレイン工場の建設・増設が増加。マツダは2015年1月に新トランスミッション工場、10月に新エンジン工場を稼働。いすゞは既存エンジン工場に組立ラインを追加した。

 (「主要メーカーの生産拠点」の表は巻末に掲載しました)

 

ホンダ:新工場の本格稼働は2016年3月

 ホンダは2015年4月に予定していた Prachinburi 新工場の稼働を、需要低迷や政情不安により約1年延期する。2016年3月にエンジン生産や車体組立など本格稼働する予定。それに先立ち、2015年10月には同工場で部品生産を開始。Ayutthaya工場で生産する小型セダンの City と小型車 Jazz 向けに樹脂部品を生産している。

 

Ford:自社工場を拡張

 Fordは同社単独のRayong工場の拡張を計画中と発表(2015年12月)。既にタイ投資委員会 (BOI) から認可を取得済みで、事業費は63.7億バーツ。同工場では主に小型車を生産しているが、海外から引き合いの多いピックアップのRanger とSUVの Everest を生産できるよう、設備を導入する。2016年初めに着工する予定。Fordは現在、マツダとの折半出資合弁会社 AutoAlliance (Thailand) の工場で RangerとEverestを生産しているが、近くフル生産となり、生産能力の増強を必要としていた。

 

BMW:年産能力を25%増の2万台へ

 BMWは2015年末までに Rayong 工場に11億バーツを投資し、年産能力を現行の25%増の2万台に引き上げる。エンジン組立ライン等を追加する計画。2015年1-9月のタイ市場の販売台数は前年同期比14.6%減と低迷したが、BMWは、富裕層の需要増加を背景に、同7.4%増の6,207台を販売。現地生産を増やすことにより、コスト競争力を高め、販売拡大を図る。

 

SAIC Motor-CP:2016年に年産能力20万台の新工場を建設へ

 上海汽車とCP Group の合弁会社 SAIC Motor-CP は2015年11月、新工場の用地を取得したと報じられた。タイ東部 Chonburi県の Hemaraj Eastern Seaboard 工業団地内の70万平方メートルの土地を購入した。年産能力 20万台の工場を建設する計画で、2016年に着工する予定。既存工場も同工業団地内にあるが、賃借工場で年産能力は5万台。

 

マツダ:新パワートレイン工場を稼働

 マツダは2015年8月、タイの新パワートレイン工場 Mazda Powertrain Manufacturing (Thailand) の開所式を実施した。同工場により、タイは、マツダにとって海外初となる車両・エンジン・変速機の一貫生産を行う拠点となる。
変速機の生産開始  マツダ初の海外トランスミッション生産拠点として、2015年1月から新型自動変速機 SKYACTIV-DRIVEの生産を開始。タイのほか、マレーシア、ベトナム、中国、メキシコで生産する 新型Mazda2、新型Mazda3、CX-5に搭載する。年産能力は40万基。
エンジンの生産開始  2015年10月から、タイで生産する Mazda2 向けの1.5Lディーゼルエンジン SKYACTIV-D1.5の生産を開始。2016年1月から1.3L ガソリンエンジンも追加する予定。スタート時の年産能力は3万基。同工場は第2期エコカー計画の要件に対応する。SKYACTIVエンジンの生産拠点としては日本、中国、メキシコに続く4カ所目。

 

いすゞ:新型ディーゼルエンジンを生産へ

 いすゞはタイで環境対応型の新型ディーゼルエンジンを生産する。既存のエンジン工場に100億円以上を投じ、排気量1,900ccの新エンジンの組立ラインを導入。2015年にも生産を開始し、ピックアップトラック D-MAX に搭載する。排気量2,500-3,000ccの現行エンジンより小排気量化し、過給機を搭載。動力性能を維持しながら、燃費を従来比19%改善する。タイ政府が2016年から導入する、CO2排出量に基づく物品税に対応する。

 

 



日本メーカー:トヨタ、いすゞ、ホンダ、日産、三菱、マツダ、スズキの動向

トヨタ:新興国向け戦略車 IMVシリーズを全面改良

 トヨタは新興国向け戦略車IMVシリーズを11年ぶりに刷新した。5月にタイで新型車の生産を開始し、2016年以降、世界10カ国に生産地域を広げる。世界での販売台数は年100万台の見込みで、うち50万台をタイで生産する見通し。将来的には世界で120万台規模とする構想。
新型Hilux  2015年5月発売。IMVシリーズの中核モデルである小型ピックアップトラック。新開発のディーゼルエンジンと6速ATを採用。燃費を10%改善。95%以上の部品をアジアで調達し、価格競争力を高めた。7月からは輸出も開始し、世界100カ国以上に輸出する方針。Samrong工場と Ban Pho工場で生産。販売価格は56.9万~113.9万バーツ。
新型Fortuner  2015年7月発売。IMVシリーズの7人乗りSUV。5月に発売されたピックアップトラックの Hilux とプラットフォームを共有。燃費を10%改善。Samrong工場と Ban Pho工場で生産。販売価格は119.9万バーツから。

 

トヨタ:新型小型SUV C-HR をタイでも生産へ

 トヨタは開発中の小型SUV C-HR を新たな世界戦略車としてグローバルに販売する。トヨタの新開発・生産手法「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー (TNGA)」 を採用し、2015年12月に発売する新型Priusとプラットフォームを共有する。2018年までに世界の5拠点で年に約30万台を生産する計画。2016年秋に日本とトルコ、2018年にタイと中国で生産を開始する。タイでは年2,000台程度生産する計画。

 

トヨタ:タイにおけるPriusの生産・販売を終了

 トヨタはGateway工場でのハイブリッド車 Prius の生産を、2015年9月末で終了。タイでの販売も終了した。景気後退による販売鈍化と、輸入部品への関税をめぐるタイ関税当局との係争が要因。Priusの販売台数は2011年の7,785台をピークに2012年は5,794台、2013年は1,907台と減少し、2014年は919台にとどまっていた。

 

ホンダ:小型SUV を 2014年11月に発売、3列シートSUV を 2016年上期に投入予定

小型SUV HR-V  2014年11月に発売した小型SUV (日本名はVezel) 。Ayutthaya 第2工場で生産する。年販目標は2万台。タイ製の 1.8L i-VTEC エンジンとCVTを組み合わせる。エタノール混合燃料 E85 にも対応。販売価格は89万~104.5万バーツ。
3列シートSUV BR-V  2016年上期に投入予定の3列シートSUV。1.5L i-VTECエンジンに6速MTまたはCVTを組み合わせる。E85にも対応。2015年12月1日に開幕した「タイ国際モーターエキスポ15」で量産モデルを発表。まず2016年初めからインドネシアで生産・販売を開始。タイでも生産する計画。

 

日産:新型X-TRAIL、X-TRAIL HV の生産開始

新型X-TRAILの
生産・販売開始
 日産は2014年11月、中型SUVである新型X-TRAILの生産・販売を開始した。Samutprakarn 第1工場で生産。年販目標は8,000台。タイでの販売価格は 2.0Lモデルが 117.2万~132.5万バーツ、2.5Lモデルが 155.1万バーツ。
X-TRAIL HVの
生産開始
 日産は2015年10月、Samutprakarn 第1工場で X-TRAIL のハイブリッド車 (HV) の生産を開始した。同車種の海外生産は初めて。タイでは SUV市場が拡大してきており、HV の投入により富裕層の需要を取り込むとしている。年販目標は5,000台。価格は124.9万バーツから。

 

三菱自動車:新型Triton、新型Pajero Sportを投入

新型Triton  三菱自動車は2014年11月、ピックアップトラック Triton の新型車を発売。9年ぶりの全面改良で5代目となる。タイのLaemchabang工場で集中生産し、約150カ国に輸出する。タイ市場モデルは、実績のある2.5Lと新開発の2.4Lディーゼルターボエンジンまたは2.4Lガソリンエンジンを搭載。5速/6速MTまたは5速ATを組み合わせる。販売価格は47万~102万バーツ。
新型Pajero Sport  2015年秋に発売する中型SUVで、7年ぶりの全面改良となる。2.4L MIVEC ディーゼルターボエンジンに三菱車初の8速ATを組み合わせる。旧モデルより燃費を約17%改善。Laemchabang工場で生産し、ASEAN諸国、豪州、中東、アフリカ、ロシアへも輸出する計画。販売価格は113.8万~139.9万バーツ。

 

マツダ:新型Mazda2、新型BT-50、CX-3を投入

新型 Mazda2  2015年1月に発売したセダンと5ドアハッチバック。新開発の1.5Lディーゼルエンジン SKYACTIV-D1.5を搭載、6速ATを組み合わせる。Fordとの合弁会社 AutoAlliance (Thailand) の Rayong工場で生産。タイ政府の第2期エコカー認定を取得。エコカーでは初のディーゼル車。販売価格は67.5万~79万バーツ。
新型BT-50  2015年下期に投入した新型ピックアップトラック。3.2L/2.2Lディーゼルまたは2.5Lガソリンエンジンに、6速ATまたは5速/6速MTを組み合わせる。AutoAlliance (Thailand) の Rayong工場で生産。豪州、新興国市場にも投入する。価格は55.4万~101.6万バーツ。
CX-3  2015年10月に AutoAlliance (Thailand) の Rayong工場で生産を開始した小型SUV。海外での生産は初。2.0Lガソリンまたは1.5Lディーゼルエンジンを搭載し、6速ATと組み合わせる。生産車両はタイ、マレーシアのほか、ASEAN域内向けに投入。価格は83.5万~115.5万バーツ。

 

スズキ:本格セダン Ciazを投入、Celerioの欧州向け輸出開始

Ciazを発売  2015年7月に発売した中型セダン。1.25Lガソリンエンジンを搭載し、5速MTまたは副変速機付きCVTと組み合わせる。スズキにとってはエコカー認定車の3車種目。Rayong工場で生産。Ciazは、既にインドと中国 (車名はAlivio) で販売を開始しており、市場投入はタイで3カ国目。販売価格は48.4万~62.5万バーツ。
Celerioを欧州へ輸出  スズキは2014年9月、タイ政府のエコカー認定車である小型ハッチバック車 Celerio の欧州向け輸出を開始した。英国、ドイツ、イタリア、オランダなどへ月間3,000台の出荷を予定している。CelerioはスズキのRayong工場で生産している。

 

 



その他のメーカー:GM, Tata, 上海汽車-CPの動向

GM:アジア事業再編、エコカー計画撤退

アジア事業再編  GMは2015年2月、アジア事業再編計画の一環として、タイ事業の再編を発表。Chevroletブランドを強化するため、競争力の弱い乗用車モデルを廃止し、人気のあるピックアップやSUVへ資源を集中する。また、第2期エコカー計画からは撤退する。
Sonicの生産終了  タイ事業再編計画では、ピックアップトラックのColorado、SUVのCaptivaとTrailblazer、コンパクト車のCruzeは、今後も生産・販売を継続するが、サブコンパクト車のSonicとミニバンのSpinは現行モデルの販売が終了次第、廃止する。この計画に従い、2015年6月、Rayong工場における Sonic の生産を終了した。

 

Tata:タイ製ピックアップ Xenon のマレーシアへの輸出開始

 Tataは2015年1月、タイ製のピックアップトラックXenonをマレーシアで発表した。タイの車両組立業者 Thonburi Automotive Assembly Plantとの合弁会社で生産し、マレーシアに輸出する。Tata は ASEAN を重要市場と位置づけており、今後、タイからインドネシア、ベトナム、豪州等にも輸出を拡大していく計画。

 

SAIC Motor-CP:サブコンパクト車 MG3 とMG5 の生産・販売を開始

MG3  2015年3月に生産・販売を開始。生産はRayong工場で行う。MG6に続き、SAIC Motor-CPがタイ市場に投入する2番目のモデル。MG3 は上海汽車傘下の英国MGブランドのサブコンパクト車。1.5Lエンジンを搭載し、5速ATを組み合わせる。5ドアハッチバックと5ドアXross (発音は「クロス」) の2種のボディタイプがあり、販売価格は47.9万~59.5万バーツ。
MG5  2015年11月に生産・販売を開始したサブコンパクトセダン。SAIC Motor-CPがタイ市場に投入する3車種目。1.5Lターボガソリンエンジンには6速AT、1.5Lガソリンエンジンには4速ATを組み合わせる。販売価格は64.9万~75.9万バーツ。同社はMGブランド車の年販目標を5,000台としているが、2015年1-9月の実績は1,890台。

 

 



商用車メーカー:日野、三菱ふそう、いすゞの動向

日野自動車:モジュール化中型トラック を導入

 日野自動車は2015年9月、タイに中型トラック HINO500 シリーズの新型車を導入した。「モジュール化」という設計思想を採用した車両で、1月のインドネシアに続く2カ国目の導入。モジュール化により、主要部品は共通化を進めて日本で集中生産し、周辺部品は現地調達を増やす。その結果、部材の現地調達率は従来の3割から6割へ、生産・輸送を含めた供給リードタイムを同3分の1に短縮することができる。

 

三菱ふそう:FUSOブランドの中型・大型トラックをインドから輸入

 三菱ふそうトラック・バスは、アジア・アフリカ向け戦略ブランド FUSO の中型・大型トラックをタイ市場に導入した。2015年5月に大型トラック FJ (車両総重量25トンのミキサー車)、8月に、中型トラック FI (ダンプ、カーゴ)と大型トラック FJ (ミキサー車、長尺カーゴ)および FZ (トラクター) の販売を開始。インドのOragadam工場で生産し、タイに輸入する。三菱ふそうはタイを戦略的成長市場ととらえ、シェア拡大を目指す。

 

いすゞ:新興国向けトラックをタイで開発・生産へ

 いすゞ自動車は2014年4月、バンコクに新興国向けトラック開発統括会社 Isuzu Global CV Engineering Centerを設立。タイで商用車の設計から生産まで行う体制を整えた。2015年8月の片山社長へのインタビューによると、2018年3月期までに第1弾の新型車、2年後に第2弾を投入する計画。

 

 



(資料)

タイの主要自動車メーカーの自動車生産拠点

組立工場 年産能力
(1,000台)
生産実績
(1,000台)
(2014年)
生産車種
Toyota Motor
Thailand (TMT)
Samrong 230 732 Toyota Hilux Vigo
Ban Pho 220 Toyota Hilux Vigo, Fortuner
Gateway 1 220 Toyota Camry, Camry HV, Vios, Corolla, Wish, エコカー (Yaris) (Prius は2015年9月末で終了)
Gateway 2 80
Toyota Auto Works Samutprakarn 20 Toyota Hiace
Hino Motors Mfg.
(Thailand)
Bang Pakong 10
(1直/定時)
10 Hino trucks & buses
Nissan Motor
(Thailand)
Samutprakarn 1 220 127 Nissan Navara, Teana, Sylphy, Pulsar, X-TRAIL (2014年11月-), エコカー (March, Almera/Latio)
Samutprakarn 2 150 NP300 Navara
Honda Automobile (Thailand) Ayutthaya 1 150 144 Honda City, Jazz (Fit), Jazz HV, Mobilio (2014年9月-), エコカー (Brio, Brio Amaze)
Ayutthaya 2 150 Civic, Civic HV, Accord, Accord HV, CR-V, HR-V (2014年11月-)
Prachinburi 0→120 (2016) (2015年稼働予定→2016年3月に延期)
部品は2015年10月から生産開始
Mitsubishi Motors (Thailand) Laemchabang 1 90 197 Mitsubishi Triton (L200), Lancer EX, Pajero Sport, Nissan Navara (受託生産、2015年まで)
Laemchabang 2 220 Triton (L200), Pajero Sport, FCA向けTriton (2015-)
Laemchabang 3 200 126 エコカー (Mirage, Attrage)
Isuzu Motors Company (Thailand) Samrong 260 235 Isuzu D-Max, mu-X, 小・中型トラック
Gateway 140 Isuzu D-Max, mu-X,
商用車ピックアップ (輸出向けKD部品)
Suzuki Motor (Thailand) Rayong 78→100 (2016) 23 エコカー (Swift, Celerio, Ciaz (2015年6月-))
AutoAlliance (Thailand) Rayong ピックアップ:
140
(CKD:55を除く)
132 Ford Ranger, Everest, Mazda BT-50
乗用車:120 41 Mazda2, Mazda3, CX-3 (2015年10月-)
Ford Thailand Manufacturing Rayong 150 42 Ford Focus, EcoSport
General Motors (Thailand) Rayong 180 55 Chevrolet Aveo, Cruze, Captiva, Colorado, Trailblazer (Sonicは2015年6月で終了)
BMW Mfg. (Thailand) Rayong 16→20 (予定) 7 BMW 1 Series, 3 Series, 5 Series, 7 Series, X1, X3, X5, MINI Countryman
VW (報道) 0→100 (2019) (2019年稼働予定)
Thai-Swedish Assembly Samutprakarn Volvo: 4.5 Volvo: 0.6 Volvo トラック、バス
UD: 20 UD: 1 UD Quester (大型トラック)
Tan Chong International Bangkok 20 Fuso: 1 Fuso トラック, 北汽福田汽車 Aumanトラック
Thonburi Automotive Assembly Plant Samutprakarn 19 5 M-Benz C-Class, E-Class, S-Class, M-Class (計画中:CLK, C300 BlueTec Hybrid)
12.5→15 (2015) 1 Tata Xenon (計画中:Super Ace)
Y.M.C. Assembly Bangkok 24 N/A Mitsuoka 車, VW車
SAIC Motor - CP Rayong 1 50 1 MG6, MG3 (2015年3月-) MG5 (同年11月-)
Rayong 2 0→200 (予定) (2016年に着工予定)

 

 



LMC Automotive 生産予測:タイの生産台数は2018年に216万台となる見通し

(LMC Automotive社、2015年10月)

タイのグループ別 light vehicle 生産予測 2015年上期のタイの生産台数は前年同期比2.5%減。同期間の国内需要が17%減であることを考えると、生産の減少幅がはるかに少ない。これは、輸出に拠るところが大きい。2015年上期の輸出台数は前年同期より3%増加したが、下期にもさらに拡大する模様。これは、トヨタの新型Hilux、Fordの 新型Everest、スズキの新モデルCiaz等を輸出しようとするメーカー各社の計画が、輸出を押し上げるためである。

 2015年10月に発表されたLMC Automotiveの予測によると、2015年通年の輸出台数は前年を上回り、生産台数は前年比2.8%増加する見込み。メーカー別では、トヨタグループの生産台数が、サブコンパクト車のViosとYarisの減産により11.3%減少する見通し。LMC Automotiveは、タイの生産台数は今後3年間増え続け、2018年には216万台となると予測している。


タイのブランド別ライトビークル生産予測 (LMC Automotive)

(台)
Sales Group Global Make 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018
Total 2,381,670 2,415,074 1,872,662 1,924,805 2,066,401 2,070,531 2,161,288
Toyota Group Toyota 888,501 863,917 732,027 649,320 725,169 720,126 773,370
Hino 320 264 0 141 71 88 93
Toyota Group sub-total 888,821 864,181 732,027 649,461 725,240 720,214 773,463
Mitsubishi Motors Mitsubishi 399,695 351,162 323,179 337,715 347,346 337,675 321,404
Isuzu Motors Isuzu 266,584 261,840 234,673 228,268 208,998 207,943 210,247
Honda Group Honda 218,345 269,418 143,685 176,526 190,915 191,175 203,940
Renault-Nissan Group Nissan 250,909 237,888 128,240 146,476 165,314 174,652 178,895
Ford Group Ford 136,418 156,240 147,202 130,460 136,939 145,342 173,132
Mazda Motors Mazda 60,358 95,111 69,202 121,719 140,250 129,820 129,930
Suzuki Group Suzuki 16,978 52,876 23,297 67,300 95,871 103,233 106,226
General Motors Group Chevrolet 125,408 108,700 55,410 47,458 39,851 44,405 46,155
Daimler Group Mercedes-Benz 5,155 5,276 4,638 6,363 5,651 5,613 6,302
Fuso 0 12 37 3 11 12 12
Daimler Group sub-total 5,155 5,288 4,675 6,366 5,662 5,625 6,314
BMW Group BMW 6,152 8,281 6,779 7,142 5,255 5,273 5,937
MINI 0 128 363 337 215 221 249
BMW Group sub-total 6,152 8,409 7,142 7,479 5,470 5,494 6,186
SAIC Group MG 0 0 0 3,575 2,139 2,003 2,133
Roewe 0 0 1,322 406 261 260 293
SAIC Group sub-total 0 0 1,322 3,981 2,400 2,263 2,426
Dongfeng Motor Dongfeng 2,503 2,115 1,883 1,220 1,278 1,596 1,759
Tata Group Tata 4,344 1,846 725 376 867 1,094 1,211
Source: LMC Automotive "Global Automotive Production Forecast (October 2015)
(注) 1. データは、小型車(乗用車+車両総重量 6t以下の小型商用車)の数値。
2. 本表の無断転載を禁じます。転載には LMC Automotive 社の許諾が必要となります。
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