日産ノート 分解調査 (上)

主要安全技術と先進運転支援システム

2014/09/18

要 約

日産ノート
「日産グローバル本社ギャラリー」に展示されている日産ノート。
*写真はクリックすると拡大されます。

 公益財団法人 ひろしま産業振興機構 カーテクノロジー革新センターの主催で、広島県呉市にある広島県立総合技術研究所 西部工業技術センター内ベンチマーキングセンターにおいて日産ノートのベンチマーキング活動が行われた。ベンチマーキング活動に使用した車両は日産ノートのX DIG-Sグレードで、MOD(Moving Object Detection;移動物検知)機能付アラウンドビューモニターがオプション搭載されていた。

 ベンチマーキング活動における分解作業は、2014年8月22日に粗分解、同月25日から27日までの3日間は細分解が行われた。粗分解ではほぼ全ての部品が取り外され、細分解では主にエンジン、スーパーチャージャーの分解が行われた。

 本レポートは第1回として、日産がノート向けに調達している主要部品のサプライヤー一覧と、主要安全技術および先進運転支援システムについて紹介する。先進運転支援システムについてはマルチセンシングフロントカメラで車両前方を監視する車線逸脱警報およびエマージェンシーブレーキを、安全技術については4つの広角カメラで車両の周囲を確認できるMOD機能付きアラウンドビューモニターを報告する。

 エンジン、スーパーチャージャーなどのドライブユニットについては「日産ノート 分解調査 (下)」として近く報告する。


過去の分解レポート:

ホンダ アコードハイブリッド (2014年2月掲載)
  (上):PCUとシャシ関連部品
  (中):電池関連部品と電動サーボブレーキシステム
  (下):ドライブユニット

ホンダ フィットハイブリッド (2013年12月掲載)
  (1) 電池関連部品と電動サーボブレーキシステム
  (2) エンジンとモーター内蔵7速デュアルクラッチトランスミッション

トヨタ アクア (2012年11月掲載)
  (1) 主要部品サプライヤーと電池関連部品
  (2) 燃費35.4km/Lを達成したハイブリッドシステム

日産 リーフ
  (1) 分解調査(2012年2月掲載)
  (2) 主要部品の分解展示報告 (2012年9月掲載)
  (3) カットボディーの展示取材報告(2012年11月掲載)

トヨタ プリウス (2010年3月掲載)
  プリウスの分解実験



日産ノートのスペック

 

車両型式 DBA-E12
車体 5人乗り5ドアコンパクトハッチバック
車両サイズ 全長 4,100 X 全幅 1,695 X 全高 1,525 mm、ホイールベース 2,600mm
車両重量 S:1,030kg、X:1,040kg、S DIG-S:1,070kg、X DIG-S/MEDALIST:1,090kg
車両総重量 S:1,305kg、X:1,315kg、S DIG-S:1,345kg、X DIG-S/MEDALIST:1,365kg
燃費 (JC08モード) S/X:22.6km/L、S DIG-S:25.2km/L、X DIG-S/MEDALIST:24.0km/L

注) ベンチマーキング活動で使用した車両グレードはX DIG-S。

 

 



主要部品サプライヤー一覧

 

部品名 サプライヤー
エンジン関連 1.2L(1,198cc)直列3気筒直噴ガソリンエンジン、
型式:HR12DDR
愛知機械工業
シリンダーヘッドカバー アーレスティ
シリンダーブロック
チェーンケース
スーパーチャージャー Eaton
エアコントロールバルブ 愛三工業
スーパーチャージャー用電磁クラッチ 小倉クラッチ
スーパーチャージャー冷却用インタークーラー Behr (MAHLE)
ハウジング アーレスティ
アウトレットダクト ROKI
エアクリーナー
樹脂吸気ダクト エクセル
エアフローメーター 日立オートモティブシステムズ
スロットルボディ
エンジンマネージメントシステム(EMS)
イグニッションコイル 日立オートモティブシステムズ阪神
スワールコントロールバルブ デンソー
燃料噴射装置 (直噴)
高圧インジェクター
高圧燃料ポンプ
燃料圧センサー
ラジエーター Behr (MAHLE)
エンジン冷却用ウォーターポンプ Magna
サーモスタット 日本サーモスタット
EGR (排出ガス再循環)バルブ 三菱電機
スターターモーター
ベルトドライブシステム Gates
テンショナーベアリング 日本精工
プリサイレンサー フタバ
サイレンサー
キャニスター MAHLE
トランスミッション関連 副変速機付きエクストロニックCVT (型式:JF015E) ジヤトコ
ハウジング アーレスティ
サイドカバー
オイルポンプ ジェイテクト
ハウジング 広島アルミニウム工業
トランスミッションECU 日立オートモティブシステムズ
バッテリー関連 アイドリングストップ用バッテリー 新神戸電機
オルタネーター 三菱電機
空調関連 コンプレッサー カルソニックカンセイ
HVACシステム
ゴム製冷媒ホース ブリヂストン
コンデンサー Behr (MAHLE)
安全関連 リアブレーキドラム キリウ
リアブレーキディスク ATE (Continental)
ブレーキオイルポンプ
ABS
ヨーレートセンサー デンソー
運転席/助手席エアバッグ タカタ
シートベルト
ブレーキホース 日立金属
マルチセンシングフロントカメラ
(エマージェンシーブレーキ/車線逸脱警報用)
TRW Automotive Holdings
ブレーキブースターハウジング トキコ (日立オートモティブシステムズ)
ADAS (先進運転支援システム)コントロールユニット 日立オートモティブシステムズ
アラウンドビューモニター用CMOS型カメラ ソニー
アラウンドビューモニター用ECU(画像処理ユニット) クラリオン
ソナー (超音波センサー) Valeo
クラクション用ホーン 宮本警報器
内外装関連 フロント/サイド/リアガラス セントラル硝子
サイドガラス 日本板硝子
フロント/リアワイパーシステム ミツバ
ワイパーモーター
ワイパーアーム
ウィンドウォッシャー Jideco (ミツバ)
ヘッドランプ 市光工業
リアコンビネーションランプ
燃料タンク Inergy Automotive Systems
コックピットモジュール カルソニックカンセイ
エンジンスイッチ アルプス電気
アクセルペダル CTS
ペダルスイッチ ナイルス (Valeo)
ハンドルレバー
パワーウィンドウスイッチ
ドアミラー Samvardhana Motherson Reflectec(旧 Visiocorp)
ディスプレイ付自動防眩ルームミラー Gentex
ルームランプ CML Innovative Technologies (GRUPO ANTOLIN)
運転席用ラチェット式リフター Brose Fahrzeugteile
バックドアステー Suspa
ドア/トランク用内装トリム 河西工業
エキストラクター TRW Automotive Holdings
その他 電動パワーステアリング(EPS) ジェイテクト
電動パワーステアリング(EPS)用ECU 三菱電機
ステアリングロック アルファ
ドライブシャフト GKNドライブライン
ショックアブソーバー トキコ (日立オートモティブシステムズ)
アイドリングストップシステム用DC-DCコンバーター
(ボルテージスタビライザー)
パナソニック
ワイヤーハーネス 住友電気工業
燃料ポンプ用クランプ Oetiker
タイヤ ブリヂストン

 

 



分解作業前

 

日産ノートを車両前方の左側から見た写真 日産ノートを車両後方の右側から見た写真
日産ノートを車両前方の左側から見た写真。前方バンパーにある白矢印はValeoのドイツ工場で生産されたソナー(超音波センサー)。写真には写っていないが、車両前方の右側にもソナーがあり、計4つのソナーで前方にある障害物を検知する。 日産ノートを車両後方の右側から見た写真。後方バンパーにある白矢印はValeoのドイツ工場で生産されたソナー(超音波センサー)。前方と同様、後方も4つのソナーで後方の障害物を検知する。

 

 



MOD(移動物検知)機能付きアラウンドビューモニター

 

アラウンドビュー
モニター
 4つの広角カメラで撮影された映像をナビゲーションまたはルームミラーのディスプレイに表示し、駐車を支援するシステム。映像は前方を映す「フロントビュー」、後方を映す「バックビュー」、側面を映す「サイドブラインドビュー」、車両を上から見下ろした映像を映す「トップビュー」の4つがある。
MOD (移動物検知)
機能
 アラウンドビューモニターのカメラが前進時は前方の、後退時は後方の、停止時は側面の移動物を検知すると、ディスプレイ表示と警告音で運転手に注意を促すシステム。車両の前進および後退発進、停止の識別はシフトレバーの位置で判断する。

 

広角カメラ
広角カメラ 広角カメラ
矢印がアラウンドビューモニターで車両前方を映すフロントカメラ。フロントカメラは車両前方にある日産のエンブレムの中に搭載されている。 矢印がアラウンドビューモニターで車両後方を映すリアカメラ。車両後方にあるナンバープレートランプの横に搭載されている。
広角カメラ 広角カメラ
矢印がアラウンドビューモニターで車両側面を映すサイドカメラ。サイドカメラはドアミラーの下に搭載されている。カメラは左右のドアミラーに同様のカメラが搭載されている。 取り外されたアラウンドビューモニターの広角カメラ。右側がリア、左側がフロントカメラ。アラウンドビューモニターのカメラは全てソニー製で、タイで生産されている。

 

アラウンドビューモニター用ECU (画像処理ユニット)
ECU ECU
左写真の矢印が4つのカメラから送られてきた映像信号を合成、処理するアラウンドビューモニターのECU(画像処理ユニット)。左写真の右側がエンジン側となる。ECUはクラリオン製で、運転席の下に搭載されている。右写真はECUの内部。

 

ディスプレイ付自動防眩ルームミラー
自動防眩ルームミラー 自動防眩ルームミラー
アラウンドビューモニターの映像を映し出すディスプレイが付いたGentex製の自動防眩ルームミラー。右写真は日産グローバル本社ギャラリーにて撮影。ルームミラーの中央下にあるCAMERAと書かれたスイッチ(矢印)を押すと、モニター表示のオン/オフ、映像の切り替えができる。ディスプレイ付自動防眩ルームミラーにより、カーナビを搭載していない車両にもアラウンドビューモニターを装備することが可能となった。
自動防眩ルームミラー 自動防眩ルームミラー
ディスプレイ付自動防眩ルームミラーの内部。ルームミラーの鏡は左写真の中央右側の裏側。鏡はマジックミラーになっており、左写真のディスプレイ(矢印)が点灯するとルームミラーに向かって左側にモニターが表示される。右写真は左写真のディスプレイがある基板の裏側。

 

 



車線逸脱警報/エマージェンシーブレーキ/踏み間違い衝突防止アシスト

 

車線逸脱警報  運転手が意図せずに車線をはみ出しそうになると、ディスプレイ表示と警告音で運転手に注意を促すシステム。フロントガラスにあるカメラが車線を認識する。
エマージェンシー
ブレーキ
 前方にある人や車両と衝突する可能性がある時に自動で減速するシステム。走行中にフロントガラスにあるカメラが人や車両を検知すると、距離を測定し、衝突する可能性があるかを判断する。衝突する可能性がある時はディスプレイ表示と警告音で運転手に注意を促すが、減速されない時は自動で減速する。エマージェンシーブレーキは車速が時速10~80kmの範囲で作動する。
踏み間違い衝突
防止アシスト
 低速走行で前方または後方に障害物がある状態で急加速した時に、加速を抑制または自動で減速するシステム。車両の前方と後方にあるソナー(超音波センサー)が障害物との距離を測定する。

 

マルチセンシングフロントカメラ
マルチセンシングフロントカメラ マルチセンシングフロントカメラ
TRW Automotive製のマルチセンシングフロントカメラ。ルームミラー前方のフロントガラスに搭載されている(左写真の矢印)。左写真は日産グローバル本社ギャラリーにて撮影。マルチセンシングフロントカメラが車両前方にある車線や人、車両を検知し、人や車両がある場合は距離を測定する。車線逸脱警報およびエマージェンシーブレーキに使用される。

 

ソナー(超音波センサー) ADAS (先進運転支援システム)コントロールユニット
ソナー ADAS
白矢印がソナーで、赤矢印がソナーのECU。共にValeo製。ECUはインストルメントパネル内の運転席側に搭載されている。ソナーは車両のフロントおよびリアバンパーにそれぞれ4つずつ、計8つ装備されている。各ソナーが車両前方または後方にある障害物を認識し、障害物がある場合は車両との距離も測定する。踏み間違い衝突防止アシストに使用される。 日立オートモティブシステムズ製のADAS (Advanced Driver Assistance System)コントロールユニット。運転席側のインストルメントパネル内部に搭載されている。ADASコントロールユニットがマルチセンシングフロントカメラ、ソナーからの信号を基に、エンジンやブレーキ等を制御する。

 

 



コンパティビリティ対応ゾーンボディ

 

コンパティビリティ
対応ゾーンボディ
 衝突時、衝突エネルギーをクラッシャブルゾーン(エンジンルームおよび荷室)で吸収することで、セーフティゾーン(高強度キャビン)の空間を確保し、乗員を保護するボディ構造。また、衝突した歩行者の傷害を軽減するため、エンジン部品とボンネットの間に隙間を確保している他、衝突時の衝撃でワイパーやランプが脱落する構造になっている。

 

クラッシャブルゾーン(衝撃吸収ボディ)
クラッシャブルゾーン クラッシャブルゾーン
左写真がボンネットとバンパーが取り外されたエンジンルーム。右写真はパワートレインユニットが取り外されたエンジンルーム。左写真の白矢印が大型バンパーレインフォース。右写真の赤矢印がフロントサイドメンバ、青矢印がダッシュクロスメンバ。衝突時の衝撃は、大型なバンパーレインフォースによりフロントサイドメンバに効率良く分散されることでエンジンルーム内の衝撃を吸収し、ダッシュクロスメンバ以降のキャビン側への衝撃の伝達を小さくする構造になっている。

 

セーフティゾーン(高強度キャビン)
セーフティゾーン セーフティゾーン
分解作業後の日産ノート。前方衝突の場合、衝突時の衝撃がクラッシャブルゾーンで吸収されると、衝撃による荷重はAピラー、サイドシル、サイドガラス下のドア内部にあるドアウエストパイプの3つに分散される。荷重の分散により、キャビン側の骨格の変形を抑え、乗員のスペースを確保する。 内装部品が取り外されたコックピットおよびフロントシート部分。床は床上メンバ(白矢印)、トンネルメンバ(赤矢印)等で構成されており、複数のメンバによる多骨格構造で荷重を分散させる。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>