燃料電池車:開発費負担軽減とコストダウンに向け世界3陣営に集約

トヨタとホンダは、2015年に独自開発の量産FCVを投入

2013/08/30

要 約

トヨタが出展したFCV-R
トヨタがFC EXPO 2013に出展したFCV-Rコンセプトカー、2015年に
発売するFCVはほぼこのコンセプトに沿ったデザインになるとしている

 以下は、日本自動車メーカー3社を中心とした燃料電池車(FCV:Fuel Cell Vehicle)開発・投入計画の概要である。
トヨタとホンダは、2015年に価格を従来型から大幅に引き下げた量産FCVを発売する計画。販売価格500万円程度を目指している。

 また、FCVの開発に必要な巨額の投資の1社あたりの負担を軽減し、スケールメリットによりコストダウンを図るため、FCV技術の共同開発を目的とする3つの企業陣営(トヨタ・BMW陣営、日産・Daimler・Ford陣営およびホンダ・GM陣営)が誕生した。日産の陣営は早ければ2017年に、トヨタ・BMW陣営と、ホンダ・GM陣営は2020年をめどに共同開発した技術によるFCVを投入する計画。

 FCV普及に必須の水素ステーションについても、日本国内では2015年に100箇所、2025年に1,000箇所の設置を目指し建設が計画されている。





関連レポート:

・日産、ホンダ、三菱自、スズキのHV/PHV/EV計画 (2013年10月掲載)
トヨタのHV/EV計画:新規HVを積極投入し、更にラインアップを拡充 (2013年9月掲載)

 



量産FCV投入と水素ステーション設置スケジュール

 トヨタとホンダは、2015年に日米欧で価格を大幅に引き下げた量産FCVを発売する。トヨタは、既に発表しているコンセプトカー「FCV-R」をベースとするセダンを発売し、さらに2016年をめどに燃料電池バスを投入する(ホンダはFCX Clarityの後継車を発売するが詳細は未発表)。

 FCV導入と合わせて、日本での水素ステーションの設置も進められている。2011年1月に、自動車メーカー3社と水素供給業者10社は共同声明を発表し、2015年に100箇所の水素ステーション整備を進めることを宣言するとともに、国と地方自治体に協力を要望した。

新型燃料電池車(FCV)発売と水素ステーション設置のスケジュール

FCV発売計画 日本での水素ステーション整備シナリオ
2015年 ・トヨタとホンダが、価格500万円程度の量産FCVを投入(注1)
・2015年以降、現代自動車が一般顧客向けの生産・販売を開始
4大都市圏(東京、大阪、名古屋、福岡)およびそれらを結ぶ高速道路にステーション100箇所を整備(現在は20箇所弱)(注3~5)
2016年 トヨタが「FCHV-BUS」を発売(注2) (ステーションの先行的設置が特に必要な期間)
2017年 (早ければ2017年に)日産・Daimler・Ford陣営が共同開発技術によるFCVを発売
2020年 トヨタ・BMW陣営が新型FCVを投入
ホンダ・GM陣営が新型FCVを投入
2025年 水素ステーション1,000箇所を整備
2030年 全国水素ネットの構築
資料:各自動車メーカーの発表、TOYOTA FC、水素供給・利用技術研究組合 (HySUT)
(注) 1. 日産は、2013年2月末時点の資料で、「2015年以降に量産FCVを投入する予定」と発表していた。Daimler、Fordとの共同開発技術によるFCV発売前に独自の「量産FCV」を投入するかについては明らかにしていない。
2. トヨタによると、FCVは中長距離用途に向いており、バスに加えて、大型トラックや小型集配用トラックのFCVも検討している。
3. 上記水素ステーション整備シナリオは、2025年時点でFCV 200万台、水素ステーション1,000箇所程度の普及が進むことを前提としている。1 ステーション当り2,000台のFCVの利用(現在のガソリンスタンド並の水準)により採算がとれ、それ以降はFCV保有台数の増加に合わせて水素ステーションが商業ベースで拡大することを見込んでいる。
4. JX日鉱日石エネルギーは、2013年4月に神奈川県海老名市に、5月に名古屋市緑区に、ガソリン計量機と燃料電池自動車への水素充填機を並列設置した水素ステーションをオープンした。ガソリンスタンドとの一体化は国内初の試み。規制緩和により実現した。
5. 水素ステーションは、EV充電が30分程度かかるのに比べ3分程度で充填でき、1台当たりの収入は、EVスタンドの数百円レベルに対して、ガソリンスタンド並の数千円の収入が得られる見込み。

 

自動車メーカー3社と水素供給業者の共同声明(2011年1月)

 2011年1月、トヨタ・日産・ホンダの自動車メーカー3社とJX日鉱日石エネルギー株式会社など水素供給業者10社、計13社は、燃料電池自動車(FCV)の2015年国内市場導入と、水素インフラ整備に向けての共同声明を発表した。
 1)自動車メーカーは燃料電池システムの大幅なコストダウンを進めつつあり、FCV量産車を2015年に4大都市圏を中心とした国内市場に導入し、一般ユーザーへの販売開始を目指して開発を進めている。
 2)FCV量産車の初期市場創出のため、水素供給業者は2015年のFCV販売開始前に、4大都市圏と高速道路網中心に100箇所程度の水素供給インフラ先行整備を目指す。4大都市圏を中心とした地方自治体の協力を要望する。
 3)これらの実現に向け、普及支援策や社会受容性向上策等を含む普及戦略について、官民共同で構築することを、政府に対して要望する。自動車メーカーと水素供給業者は、現在1ステーション当たり5~6億円とされる建設費を下げるため、保安基準等関連法規の見直しを政府に要望している(ガソリンスタンドの建設費用は、数千万~1億円とされる)。

資料:トヨタ、日産、ホンダと水素供給業者10社、計13社の共同プレスリリース

 

 



共同開発により開発費負担軽減とコスト削減を目指す

 トヨタとホンダは、2015年に価格500万円程度のFCV発売を目指している。

 トヨタの場合、燃料電池システムのコストは、2008年に投入した「FCHV-adv」の1/10程度に低減し、価格1,000万円のFCVまで可能になっているが、500万円で発売するにはコストをさらに半減させることが必要としている。

 ホンダは、スケールメリットを実現するためには、年産5万台レベルが必要と試算しているとされる。2015年に量産FCVが導入されても、当初は赤字で、黒字化は2025年頃と見込んでいる。

 FCVの開発については、巨額の開発費負担を軽減し、量産のスケールメリットを実現するため、世界の自動車メーカーは、「トヨタ・BMW陣営」「日産・Daimler・Ford陣営」「ホンダ・GM陣営」の3つの陣営に集約されている。

 また、2013年6月には、日本で政官民合同の研究会が発足した。購入補助金や優遇税制などの政策作りを進め、実質購入価格300万円程度を目指している。

 従って、2015年に量産型FCVが導入された後も、共同開発車や新しいタイプのFCVの導入、コスト競争などの激しい展開が予想されている。

 

 



トヨタ、日産、ホンダが、水素・燃料電池展にFCVを出展

 2013年2月末~3月初めに開催された「FC EXPO 2013 ~第9回国際水素・燃料電池展~」に、トヨタ、日産、ホンダがこの時点で最新のFCVを出展した。トヨタは出展した「FCV-R(RはReality)」をベースとしたセダンを2015年に発売する。日産とホンダは、出展した車両とは別のモデルを2015年またはそれ以降に発売する。

 なお、トヨタ、日産、ホンダのFCVは、既に国内主要空港を拠点にリムジンバス、ハイヤー、タクシーとして利用されている。

 

日産が出展したX-TRAIL FCVのカットモデル
日産が出展したX-TRAIL FCVのカットモデル
(FC EXPO 2013での展示、以下の写真も同じ)
ホンダFCX Clarityのモータールーム
ホンダFCX Clarityのモータールーム
可搬型インバーター
ホンダFCX Clarityのトランクルームに
設置された可搬型インバーター
(詳細は本レポート末尾を参照ください)

 

トヨタ、日産、ホンダが、水素・燃料電池展に最新FCVを出展

トヨタ FCV-R  2011年東京モーターショーに出展したコンセプトカーで、FCV-R(Reality & Revolution)ベースの車を2015年に市販開始する。ガソリン車であれば、2500~3000ccのエンジンを搭載するボディーであるとのこと。量産車は70MPaの水素タンクを搭載する予定。
FCHV-BUS  トヨタと日野自動車が共同開発した燃料電池ハイブリッドバス。現在の仕様は、35MPaの水素タンクを7個天井の上部に搭載、ブレーキエネルギー回生のためのニッケル水素電池(21kW × 4)、トヨタFCスタックを2基、最大出力80kWのモーターを2基搭載する。
日産 X-TRAIL FCV  X-TRAIL FCVのカットモデルを展示。70MPaの水素タンク、エネルギー回生用リチウムイオン電池、燃料電池スタック、モーターを搭載する。2015年以降に量産するモデルを示すものではないとのこと。
ホンダ FCX CLARITY  車両サイズは、4,845mm×1,845mm×1,470mm。V Flow FCスタック、35MPa・171リットルの水素タンク、エネルギー回生用リチウムイオン電池を搭載する。10・15モード走行距離は620km。
 2015年に発売するモデルを示すものではない。しかし燃料電池車は水素タンクやFCスタックを搭載するので、2015年に発売するモデルも、FCX CLARITYとほぼ同等のサイズになるであろうとのこと。

資料:2013年2月27日~3月1日開催の第9回国際水素・燃料電池展配布資料と会場での説明

 

空港を拠点とする燃料電池バスの利用

国内の3つの空港 トヨタ・日野が共同開発した「FCHV-BUS」  羽田空港を拠点としたリムジンバス、関西国際空港のターミナルビル連絡バス、および中部国際空港内のランプバス(旅客を搭乗する航空機まで輸送する)として利用されている。乗車定員63名。
ハイヤー・タクシーでの利用
成田国際空港 トヨタ「FCHV-adv」
ホンダ「FCX Clarity」
 HySUTからの要請により、2011年1月からトヨタHighlanderをベースとする FCHV-adv (Fuel Cell Hybrid Vehicle-adv) を、2011年9月からホンダFCX Clarityを、全日本空輸国際線旅客サービスのハイヤー車両としての利用に提供している。
羽田空港 日産「X-TRAIL FCV」  主に全日空社員の送迎に利用。一般顧客も予約することで、タクシーとして利用できる。

(注)上記FCVの走行実験は、2015年のFCVの一般ユーザーへの普及開始に向けた実証実験の一環。水素供給・利用技術研究組合(HySUT)と、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の共同研究。

 

 



トヨタ:2015年にセダンタイプFCVを発売、さらにBMWと共同開発

 トヨタは、世界に先駆けて2002年から燃料電池ハイブリッド車「トヨタFCHV」を日米で限定販売するなど、燃料電池車の開発で実績をつくってきた。

 トヨタが2008年に特定のユーザー向けに発売した「トヨタFCHV-adv」は、それまでの課題であった1回の水素充填の航続距離を約330kmから約830kmまで向上させ、さらにマイナス30℃の寒冷地での低温始動走行も可能となり、実用上ほぼ支障のない走行性能を達成した。

 現在、残っている課題であるコスト削減、小型・軽量化、FCスタックの耐久性向上などに取り組んでいる。コストダウンについては、FCスタックや水素タンクなどのシステム全体で、「トヨタFCHV-adv」の1/10程度まで下がっており、さらにこの半分、つまり1/20以下にすることを目指し開発を進めている。トヨタはモーターなどをハイブリッド車と共有できる点でも有利とされている。

 トヨタは、2015年にコンセプトカー「FCV-R」をベースとするセダンタイプ車を、日米欧で発売する。フリートユーザーだけでなく、一般顧客にも「手の届く価格で」販売する計画。

 また、2016年をめどに、日野自動車と共同開発中のFCバスを投入する。1回の水素補充で200~300km走行が可能。

 トヨタは、BMWとの、FCV技術共同開発を含む広い範囲の提携について、2013年1月に正式契約した。今後も規模の利益を追求するため、2社以外の自動車メーカーを自陣営に取り込むこともありうるとされる

トヨタFCV-Rのサイズ等

車名 FCV-R
全長×全幅×全高(mm) 4,745×1,790×1,510
ホイールベース(mm) 2,700
乗車定員 4
航続距離(JC08モード走行) 700km以上(社内測定値)

 

トヨタ:BMWと燃料電池技術共同開発で正式契約

 トヨタとBMWは、2011年12月に、環境対応車開発で幅広く協力することで合意。2012年6月に、「燃料電池車」「スポーツカー」「電動化技術」「軽量化技術」の4分野で提携すると発表した。2013年1月に上記分野で共同開発することを正式契約した。
 燃料電池車については、下記の協業を行う。
1)トヨタは、2015年発売を目指して開発中の最新技術をBMWに供与する。BMWは、水素タンクの材料に使用する炭素繊維技術を提供する。
2)2020年を目標に、両社の技術を持ち寄り、燃料電池車の普及拡大を目指して、次世代のFCスタック・システム、水素タンク、モーター、バッテリーなど燃料電池車の基本システムの共同開発を行う。
3)燃料電池車の普及に必要な水素インフラの整備や規格・基準の策定について協力する。

 

 



日産:Daimler、FordとFCV技術を共同開発し2017年にも発売

 Renault-日産アライアンスとDaimlerは、2010年4月に幅広い分野での戦略的提携を発表し、その一環で燃料電池車も共同開発してきた。2013年1月に、Fordが参加し、3社がFCVを共同開発すると発表した。早ければ2017年に3社が共同開発した技術による燃料電池車を各社がそれぞれのブランドで発売する。

 共同開発により投資コストを大幅に削減し、世界初の手ごろな価格の量産FCVを発売するとしている。

日産:Daimler・Fordと燃料電池技術を共同開発、2017年にも発売

 2013年1月、Renault-日産アライアンス、DaimlerとFordは、共通の燃料電池システムを共同開発し、世界初の手ごろな価格の量産型燃料電池車を、早ければ2017年に発売すると発表した。共通の燃料電池スタックと燃料電池システムを開発することで、各社の投資負担を大幅に削減して、手ごろな価格を実現する。各社は、それぞれのブランドに沿った、全く異なるデザインで投入する。
 各社は、本プロジェクトに対して、均等に投資を行う。開発の担当としては、日産がスタックの開発を主導し、Daimlerがスタックやモーターを組み合わせた燃料電池システム開発を担当、Fordの参画は限定的とされる。その他の部品の共同開発についても検討する。
 今回の合意は、サプライヤー、政策立案者、産業界に対して、水素ステーションやFCVの量産に必要不可欠なインフラのさらなる整備を促す明確なメッセージになるとしている。

(注)Daimlerは、旧型B-Classベースで航続距離400km、最高速度170kmのFCVを200台限定生産し、2010年12月からドイツと米国でリース販売して米国California州では70台が走行している。2014年に、現行B-ClassベースのFCVを発売する計画。


 日産は2012年パリモーターショーに、FCVシステムとこれまでEV関連として発表してきたコンセプトを融合した「TeRRA」SUVコンセプトを出展した。FCVをゼロ・エミッション社会の新たな提案として明確に示すことに挑戦したとしている。

 

FCVとEVを融合した日産「TeRRA」コンセプト
 燃料電池車「TeRRA」コンセプトは、都市部向けSUVをベースとする「ゼロ・エミッションSUV」。ドライバーは中央寄りに配置されたフロントシートに座るため、視認性がよいとしている。後席は斜めに配置されたユニークなシートレイウトで、ドライバーの真後ろからではなく、肩越しに前を見ることになり、全ての乗員が前方の景色を楽しむことができる。。
 前輪はEV 「LEAF」と同じシステムを採用、後輪はインホイールモーターを搭載した四輪駆動。後輪を駆動するのにドライブシャフトを必要としないため、室内やアンダーボディーに突起がなくフラットな室内デッキを実現した。
 燃料電池スタックは、世界トップクラスの出力密度(2.5kW/L)を達成した最新の2011年型を採用。2005年モデルに比べ必要な金属量を1/4に減らし、コストを1/6に低減している。

 

 



ホンダ:2015年にFCX Clarity後継車を発売、さらにGMと共同開発

 ホンダは、2002年に燃料電池車「FCX」のリース販売を日米で開始、2008年に「FCX Clarity」を発売し、2013年7月までに日米で両タイプ合わせて85台の燃料電池車を販売し、走行データを蓄積してきた。米国では、一般顧客にも販売してきた。2015年に、FCX Clarityの後継となる燃料電池車を日米欧市場で発売する。

 ホンダは2013年7月、GMと2020年頃の実用化に向け次世代型の燃料電池システムと水素貯蔵システムを共同開発すると発表した。ホンダとGMが持つ特許は相互に補完する面が多く、ホンダは2015年に単独で発売するFCVにもGMの特許を活用する計画。

 ホンダは、単独でも開発は可能だが、相手の特許を無理に超えようとするとそれに1年も2年もかかることがあり、特許を相互に利用してスピードアップできることが提携に踏み切るきっかけであったとされている。

ホンダとGMが次世代燃料電池システムを共同開発

 ホンダとGMは、2013年7月、燃料電池電気自動車の一層の普及のため、2020年頃の実用化に向けた次世代型燃料電池システムと水素貯蔵システムの共同開発を行うことに合意し、長期的な提携契約を締結した。
 両社は、これまで培ってきた互いの燃料電池技術の知見を共有することで、小型・軽量・高性能・低コストな燃料電池システムと水素貯蔵システムを開発することが可能になる。また両社のスケールメリットを活かすことで更なるコストダウンを図ることが可能になるとしている。
 両社は、2002~2012年の間に米国で燃料電池関連の特許を合計1,200件出願し、米国で1位と2位にランクされている。GMは電池の化学反応の研究に強く、触媒に使う高価な白金の使用量を80グラムから30グラムに削減した。ホンダは、単独で2015年に発売するFCVにも、時間的に間に合うものはGMが所有する特許を活用する方針。
GM車生産計画は別途発表
 共同開発の成果を織り込んだGMブランド車の生産については、今後適切な時期に別途発表する。5万ドル台の販売価格を目指すとされる。
 GMは、2007年から北米で行っている「Project Driveway」という実証実験において119台の燃料電池車による累計300万マイルの実験走行を展開してきた。これまでの研究成果を織り込んだChevrolet Equinoxベースの量産FCVを、2015年に投入する計画と報道されていた。

 

 



現代自動車:2013年にデンマークとスェーデンにFCVを納入

 現代自動車は2000年から燃料電池車の開発を開始し、2009年からSUV ix35ベースのFuel Cellの開発、テスト車生産を行っている。

 現代自動車は、2013年2月、韓国Ulsan工場で燃料電池車 "ix35 Fuel Cell"の生産を開始した。世界で初めて燃料電池車を量産する自動車メーカーになるとしている。

現代自動車:2013~2015年にFCVを1,000台生産すると発表

 現代自動車は、2013~2015年の間に燃料電池車 ix35 Fuel Cell 1,000台の生産を計画と発表した。2013年2月Ulsan工場で量産第1号車をラインオフした。ix35は、国・地域によってはTucsonのモデル名で販売しているCセグメントのSUV。
 1,000台のFCVは、主に、EUが水素ステーションの建設を進めている欧州のFleetユ-ザーにリースで提供する予定。当初デンマークのコペンハーゲン市に15台、スエーデンのスコーネ市に2台、合計17台を納入する。韓国、米国でも発売する計画。
 2015年以降には、燃料電池車のコストが下がり、水素供給インフラの整備が進むので、一般顧客向けの燃料電池車小売販売を開始する。年間1万台生産を目標とする。
 現代自動車の燃料電池車は、14年の歳月と、数億ユーロの費用をつぎ込んで、韓国Mabulの燃料電池研究所で開発した。既に、韓国・欧州・米国で200万マイル以上のテスト走行を実施している。Hyundai ix35 Fuel Cellは、2013年3月開催のGeneva Motor ShowとSeoul Motor Showに出品された。

(注)2013年4月15日付Automotive Newsによると、現代自動車の2013年ix35Fuel Cell生産計画は200台で、3月末時点での出荷は上記北欧への計画の17台にとどまるとのこと。

 

The ix35 Fuel Cell Specification
全長×全幅×全高 4,410×1,820×1,655mm
1充填当たり走行距離 594km
最高速度 160km/h (100mph)
100km/hへの加速 12.5秒
燃料電池最高出力 100kW
エネルギー貯蔵システム リチウムポリマー二次電池(24kW)
燃料 水素(700 bar, 5.6kg)
排出ガス Water Vapor

 

トヨタとホンダ:家庭などへの給電システムを開発

 FCVは、EVと比べると格段に大きい電力供給力を持っている。トヨタとホンダは、FCVから家庭などへ給電するシステムを開発した。トヨタは、特に大容量の電力供給が可能なFCバスからの供給システムを発表した。

 ホンダは、燃料電池を将来の究極のクリーンパワーととらえ、積極的に電力供給についての開発を進めるとしている。また多様な用途を開発することが、FCVの普及にもつながると期待している。

 

トヨタとホンダ:FCVから家庭などへ電力を供給するシステムを開発

トヨタ 燃料電池バス
から給電
 トヨタは、燃料電池バス(FCバス)の燃料電池で発電した電力を家電製品などに供給できる外部電源供給システムを開発した(2012年8月発表)。「FCHV-BUS」の車内に交流電力(AC 100V, 1.5kW)を出力するコンセントを2箇所設置し、最大3kWの電力を100時間以上供給する能力を持つ。
 さらにFCバスから建物の電気配線を通じて電力を供給するシステムの開発を進めている。最大出力9.8kWで連続50時間の電力供給能力を目指している。この供給量は、学校体育館における照明電力の約5日分(1日12時間照明)に相当する。
ホンダ FCX Clarity
から給電
 トランクに可搬型インバーター装置を搭載した、外部給電付FCX Clarityを開発した。最大で9kWの電力を7時間以上連続して給電可能。これは一般家庭用の電力約6日分に相当する(EVからの電力供給は1~2日分にとどまる)。2012年3月、埼玉県庁に納車した。被災地等での非常用電源としての活用も想定する。
 2013年4月、「北九州スマートコミュニティ創造事業」における共同実験車両として、可搬インバーターを搭載するFCX Clarityを北九州市に納車した。北九州市にある北九州エコハウスにFCX Clarityから電力を供給し、電力ピークカットに貢献する電力平準化の新たな方法としての実証実験を行う。

(注)ホンダは、太陽電池からの電力を利用して水を高圧分解し、35MPaの高圧水素を供給する「ソーラー水素ステーション」を岩谷産業と共同開発した。高圧水分解ユニットとディスペンサー(充填ノズル)で構成。太陽光と商用電源を併用し、24時間で1.5kgの水素(FCX Clarityが約90マイル走行できる量に相当)を供給できる。上記FCX Clarityと同時に埼玉県庁に納入した。

                     <自動車産業ポータル、マークラインズ>