日産の国内事業:生産を九州に集中し、日韓中を結ぶ部品相互供給網を構築

新型軽自動車とハイブリッド車で、国内販売を拡大

2013/06/28

要 約

Infiniti Q50
2013年5月に栃木工場で生産を開始したInfiniti Q50
(2013年4月上海モーターショーから)

 本レポートは、日産の2012年度単独および連結決算の概要と、国内の生産・販売強化策について報告する。

 国内生産については、2012年秋まで続いた超円高の影響を軽減するため、生産台数の6割強を九州地区に集結し、部品調達について、国内の九州・中国地方と韓国の釜山、近い将来中国の大連をも結ぶ部品相互供給網を構築してきた。九州・中国地方からの調達と海外からの調達の合計を「地場調達比率」と称し、従来は平均71%であったが、2012年夏に生産開始した新型Noteでは85%に高めた。九州を核として国内生産100万台を維持する方針。

 2013年に入り超円高是正により国内生産の競争力は回復し、日産の2012年度単独決算は5期ぶりの営業黒字となった。しかし為替変動に左右されない経営体制を構築するとの原則は変更しないとしている。

 一方国内販売は、全体需要が2011年度475万台から521万台に46万台増加するなかで、65.5万台から64.7万台に減少した(シェアは13.8%から12.4%に下降)。

 2012年度の日産国内販売の不振は、市場が拡大した軽自動車の供給力不足と、同様に拡大しているハイブリッド車市場に投入している商品がSerenaのシンプルスマートハイブリッドのみであることが主因であるとされ、この2点を強化する計画。軽自動車については、2013年6月に、三菱自動車と共同開発車第1弾「デイズ(DAYZ)」を発売した。ハイブリッド車については、2016年度までに新たなハイブリッド車15モデルを投入する計画。

 日産の2012年度連結決算では、日本の乗用車メーカー7社のうち唯一営業減益となった。主力の中国市場での反日デモの影響と、米国市場でサプライチェーンの問題が発生したため、販売台数が年初計画比で6.2万台減少し米国シェアが2011年度8.2%から2012年度7.7%に下降したことが響いた。

 日産の海外事業の動向については、別途報告する予定。

関連レポート: 三菱自動車:アセアン地域を中心に新興国市場に注力(2013年6月掲載)
                       日本メーカーの2013年度計画:過去最高の業績を狙う (2013年5月掲載)
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