インドネシア:トヨタとダイハツが新工場を建設し、低価格小型車を生産
日産も生産能力を拡充して、インドネシア政府が推進するエコカーを生産
2011/11/28
- 要 約
- インドネシアでの生産と販売:2010年に前年比5割強増加、2011年も二桁の拡大
- トヨタ:インドネシア第2工場を建設し、2013年から低価格小型車を生産
- 日産:生産能力を年5万台から18万台に増強、エンジン工場を新設
- ホンダ:タイから新モデル投入を計画していたが、洪水のため見通しは不明
- スズキ:生産能力を拡充し、エンジン新工場を建設
- 三菱自動車:新型車を積極投入し、販売増を目指す
- 大型商用車メーカー:いすゞと日野が生産能力大幅増
- GM:150百万ドルを投資し、2013年からPeople moverを生産
- 自動車メーカー別生産台数:2010年に70万台生産、2011年1~10月期も20%増
要 約
インドネシアの2010年の生産台数は702,508台、販売は764,710台で、生産・販売とも景気後退の影響を受けた2009年比で5割強増加した。2011年1~10月の販売も746,199台で19.3%増加している。
インドネシアの人口は約2億4,000万人で世界第4位であり、また自動車市場の成長期を迎えている。四輪車販売台数は近い将来ASEAN最大市場であるタイを超えると言われているが、タイ洪水の影響もあり、2011年1~10月の販売台数は、インドネシアがタイを32,357台上回っている。
インドネシア市場では日本車が約95%のシェアを持ち、2010年のトヨタのシェアは37.7%で、ダイハツを含めると5割を超える。
日本自動車メーカーは、今後のインドネシア市場の拡大を見込み、またタイに続く輸出拠点としてインドネシア事業の強化を進めている。またインドネシアでは、現在多人数乗りの車種(トヨタAvanza/ダイハツXeniaなど)に人気が集中しているが、燃費や部品の現地調達率を規定するエコカー(低価格小型車)を優遇する政策が実施される予定で、各社は適合車の投入を目指している。
トヨタとダイハツは、それぞれ第2工場を建設し、トヨタはインドで発売したEtiosベースの小型車、ダイハツはさらに小型の800~1000ccクラス車を生産しトヨタにも供給する計画とされる。
日産は生産能力を拡充し、インドネシア政府の推進するエコカーを生産する計画。
大型商用車メーカーでは、いすゞと日野自動車が、インドネシアをタイと並ぶ重要拠点と位置付け、開発・生産体制を強化している。
欧米韓メーカーでは、2005年にインドネシア市場から撤退したGMが、2013年に生産を再開すると発表した。
インドネシアでの生産と販売:2010年に前年比5割強増加、2011年も二桁の拡大
2010年のインドネシアでの生産台数(全車種)は702,508台、販売台数は764,710台、うち「乗用車 + 小型トラック」は742,034台で、ともに2009年比5割強拡大した。2011年1~10月の生産は20.3%、販売は19.3%拡大している。
日本車が95%のシェアを押さえ、なかでも「トヨタ + ダイハツ」のシェアが50%を超えている。
インドネシアの生産・販売台数
2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | 2010年 1~10月 | 2011年 1~10月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
生産台数 | 296,008 | 411,638 | 600,628 | 464,816 | 702,508 | 576,647 | 693,910 |
販売台数 | 318,904 | 433,341 | 603,774 | 483,548 | 764,710 | 625,400 | 746,199 |
資料:GAIKINDO (The Association of Indonesia Automotive Industries) | |
(注) 1. | これまでASEAN最大市場であったタイの2010年販売台数は約80万台。2011年1~10月は、713,842台(前年比13.6%増)で、洪水の影響もありインドネシアを32,357台下回っている。(タイの販売台数は、Toyota Motor Thailandが発表している月別速報値の10カ月分合計。) |
2. | GAIKINDO(インドネシア自動車工業会)は、インドネシア自動車業界は100万台生産に近づいており、現在の成長率が続けば、5~6年の間に200万台の生産もありうるとしている(2011年7月発表)。 |
3. | ダイハツによれば、インドネシアは現在モータリゼーションの初期段階にあり、これから需要拡大が見込まれている(ダイハツのAnnual Report 2011)。 |
4. | 自動車メーカー別生産台数を、レポート末尾に掲載した。 |
インドネシアでの自動車メーカー別販売台数(乗用車 + 小型トラック)
販売台数 | シェア | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
2010年 | 2010年 1~8月 | 2011年 1~8月 | 2010年 | 2010年 1~8月 | 2011年 1~8月 | |
トヨタ | 280,989 | 190,808 | 207,850 | 37.9% | 38.8% | 36.8% |
ダイハツ | 118,591 | 75,838 | 87,661 | 16.0% | 15.4% | 15.5% |
トヨタグループ | 399,580 | 266,646 | 295,511 | 53.8% | 54.2% | 52.4% |
ホンダ | 61,336 | 40,954 | 31,407 | 8.3% | 8.3% | 5.6% |
日産 | 37,542 | 25,018 | 32,944 | 5.1% | 5.1% | 5.8% |
スズキ | 71,210 | 46,102 | 60,446 | 9.6% | 9.4% | 10.7% |
三菱自動車 | 55,652 | 36,352 | 49,484 | 7.5% | 7.4% | 8.8% |
マツダ | 4,503 | 2,986 | 4,240 | 0.6% | 0.6% | 0.8% |
スバル | - | - | 165 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
いすゞ | 23,923 | 15,828 | 18,487 | 3.2% | 3.2% | 3.3% |
日野 | 8,604 | 6,147 | 6,361 | 1.2% | 1.2% | 1.1% |
三菱ふそう | 45,968 | 31,678 | 36,577 | 6.2% | 6.4% | 6.5% |
日本自動車メーカー計 | 708,318 | 471,711 | 535,622 | 95.5% | 95.8% | 94.9% |
現代グループ | 11,591 | 7,338 | 7,338 | 1.6% | 1.5% | 1.3% |
GM | 4,508 | 3,172 | 3,080 | 0.6% | 0.6% | 0.5% |
Ford | 8,877 | 4,085 | 11,110 | 1.2% | 0.8% | 2.0% |
Fiat-Chrysler | 120 | 34 | 475 | 0.0% | 0.0% | 0.1% |
VW | 534 | 185 | 623 | 0.1% | 0.0% | 0.1% |
Mercedes-Benz | 3,952 | 2,750 | 2,779 | 0.5% | 0.6% | 0.5% |
BMW | 1,240 | 829 | 977 | 0.2% | 0.2% | 0.2% |
PSA | 110 | 61 | 113 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
Tata | 93 | 62 | 75 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
Proton | 2,126 | 1,643 | 1,098 | 0.3% | 0.3% | 0.2% |
その他 | 565 | 383 | 859 | 0.1% | 0.1% | 0.2% |
合計 | 742,034 | 492,253 | 564,149 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
総販売台数(注4) | 764,710 | 507,093 | 580,018 |
---|
資料:MarkLines Data Center | |
(注) 1. | 対象は乗用車とGVW 3.5トンまでの小型トラックで、大型トラックは含まない。 |
2. | 三菱ふそうと(後出の)UDトラックスは、日本自動車メーカーであった時代からインドネシア市場に進出しているので、ここでは日本車にカウントした。 |
3. | Tataは、Jaguar/Land Rover。その他は、中国の奇瑞汽車など。 |
4. | 大型トラックを含む総販売台数。 |
トヨタ:インドネシア第2工場を建設し、2013年から低価格小型車を生産
トヨタは2010年にインドネシアで28.1万台を販売し、シェアは37.9%。トヨタ + ダイハツで、53.8%のシェアを持ち、グループの日野も含めると55%に達する(乗用車 + 小型トラック市場)。
トヨタは2011年9月に、Karawang第2工場を建設すると発表した。新工場では、インドで発売したエティオス(Etios、1200cc~1500ccエンジンを搭載)ベースの小型車を生産するとされる。インドネシア政府が計画する「低価格・グリーンカープログラム」に適合させる計画。
トヨタはさらに、Etiosより小型の800~1000ccクラスの小型車の供給をダイハツから受け、小型車2車種を投入する計画とされる。
トヨタは、既に200店の販売網を持ち、他社を圧しているが、中長期的に300店舗程度まで拡大する計画とされる。
トヨタ:Karawang第2工場を建設し、低価格小型車を生産
トヨタは、2011年9月、既存のKarawang第1工場の隣接地に、第2工場を建設すると発表した。263億円を投資し、2013年初めより年産7万台で、新たな車種を生産する。第2工場では、2010年末にインド市場に投入したEtiosベースで、インドネシア政府の「低価格・グリーンカープログラム」に適合する小型車を生産するとされている。 |
Karawang第1工場は、IMVシリーズの主力車種であるKijang Innova/FortunerとAvanzaを生産し、年産能力は11万台、従業員数は約5,700人。2013年には、両工場を合わせた生産能力合計は18万台に達する。(注2) |
資料:トヨタ広報資料 2011.5.25/2011.9.13 | |
(注) 1. | 現在インドネシア市場では、多目的車(MPV)の人気が高いが、渋滞の多い道路事情のため取り回しのよさを重視したり、快適なカーライフを求める若年層が増えるに伴い、中期的に小型車の需要が拡大するとされている。 |
2. | IMVシリーズは、トヨタが2004年に開始した、世界規模でより最適な生産・供給体制を構築するプロジェクト。ピックアップトラック3車種、ミニバン、SUVの5車種で構成されている。 |
トヨタ:現地調達率を、75%から85%に引き上げ
トヨタは、インドネシアで生産するKijang Innovaの現地調達率を、現在の75%程度から、数年内に85%まで引き上げる方針。トヨタの一次部品メーカーは89社で日系サプライヤーが中心だが、ダイハツはトヨタのほぼ倍の一次部品メーカーを持ち、現地調達率は約80%。今後ダイハツや二輪車のヤマハ発動機と連携し仕入先を開拓する。二輪車は四輪車の10倍の市場があり、ほぼ100%現地調達している。 |
また2013年に稼働するKarawang第2工場では、インドネシア事業で初めて足回り部品を内製する(現在はタイから輸入している)。現地調達率向上とともに、内製部品の種類も増やす計画。 |
資料:日刊工業新聞 2011.9.15/2011.9.27、日刊自動車新聞 2011.9.22
ダイハツの生産:年産能力10万台の新工場を建設し、2012年末に稼働
ダイハツのインドネシア子会社Astra Daihatsu Motorは、生産シェアが4割を超えるインドネシア最大のメーカーで、生産台数の6割弱をトヨタに供給している(トヨタAvanzaなど)。2011年2月、年産能力10万台の新工場を建設し、2012年末に稼働させると発表した。インドネシアでの年産能力は、43万台に高まる。
新工場で生産する車種は明らかにされていないが、800~1000ccクラスの低価格小型車を生産し、トヨタへも供給するとされている。
2011年11月に、トヨタAvanzaとダイハツXeniaをフルモデルチェンジした。Avanzaはこれまでトヨタとダイハツで生産してきたが、今後は全量をダイハツが生産し、トヨタに供給する。
ダイハツの販売:2013年にインドネシアでのシェア20%を目指す
ダイハツは2010年度に12.3万台販売し(シェア15.5%)、2011年4~9月期は6.9万台販売した(シェア15.7%)。7月にフルモデルチェンジしたSirion(マレーシアのPeroduaで生産)を発売するなど小型車を強化し、2013年までにシェアを20%に高めることを目指している。
ダイハツは、2011年7月のインドネシア・ジャカルタ国際モーターショーに、A-Conceptを出展した。Astra Daihatsu Motorが企画・デザインした小型車コンセプトで、インドネシア政府のエコカー政策正式発表を待って生産する計画とされる。
ダイハツ:インドネシアでの生産台数
2006年度 | 2007年度 | 2008年度 | 2009年度 | 2010年度 | 2010年度 4~9月期 | 2011年度 4~9月期 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ダイハツ車 トヨタ車 | 36,654 71,881 | 55,495 106,569 | 84,239 136,238 | 88,582 149,790 | 136,719 184,168 | 62,200 84,900 | 74,000 106,600 |
合計 | 108,535 | 162,064 | 220,477 | 238,372 | 320,887 | 147,100 | 180,600 |
資料:ダイハツ会社概要
ダイハツ:年産能力10万台の完成車工場を建設し、2012年末に稼働
ダイハツは、2011年2月、インドネシアの子会社Astra Daihatsu Motorが約200億円(用地・造成費用を除く)を投資して、年産能力10万台(2直定時)の車両工場を建設すると発表した。 |
新工場では、日本で9月に発売した、ミライースなどをベースに開発する低価格小型車(800cc~1000ccのエンジンを搭載)を生産し、トヨタにも供給するとされる。 |
資料:ダイハツ広報資料 2011.2.23 | |
(注) 1. | ダイハツは、Astra Daihatsu MotorのSunter工場の生産能力を繰り返し増強してきた。最近では、2011年1月に5万台分増強して年28万台に、5月にさらに5万台増の33万台に引き上げた。 |
2. | ダイハツが2011年9月に日本で発売したミラ イースは、JC08モード走行で30km/L、10・15モード走行で32km/Lの燃費を実現し、価格は79.5万円(消費税込み)から。 |
小型車を拡充:Sirionをフルモデルチェンジ、A-Conceptを発表
ダイハツは、2011年7月、小型車Sirion(日本名Boon、マレーシアではPerodua Myvi)をフルモデルチェンジし発売した。価格は約131.5万円から141.8万円。ダイハツのマレーシア生産拠点Peroduaで生産し、インドネシアに輸出する。 |
2011年7月にジャカルタで開催された第19回インドネシア国際モーターショーに、A-Conceptを出展した(世界初公開)。軽自動車で培った小型車づくりのノウハウを活かしながら、企画・デザインをインドネシアの子会社Astra Daihatsu Motorが主体となって開発した。コンパクトなボディーサイズに、デザイン性、広い室内空間、燃費性能などを凝縮し、最も身近なパートナーを目指したクルマを開発したとしている。 |
資料:ダイハツ広報資料 2011.7.25
トヨタAvanza/ダイハツXeniaをフルモデルチェンジ、今後は全量をダイハツが生産
トヨタとダイハツは、7人乗りミニバン トヨタAvanza(1300cc/1500ccエンジン搭載)/ダイハツXenia(1000cc/1300ccエンジン搭載)をフルモデルチェンジし、2011年11月に発売した。インドネシアでのニーズを踏まえ、最適な地上高、多彩なシートアレンジの採用などを行い、燃費・乗り心地などの性能向上を図った。 |
Avanza/Xeniaは、両社が共同開発して2004年1月に発売した。2010年に、トヨタはAvanzaを 141,799台、ダイハツはXeniaを65,901台販売し、インドネシアでのモデル別販売台数の1位と2位。合計で207,700台販売し国内販売の28%を占めた。なお、3位はトヨタのKijang Innova(7人または8人乗りミニバン)で53,824台。 |
モノコック構造のトヨタ Avanzaは、トヨタのKarawang第1工場とダイハツのSunter工場で生産してきたが、Karawang第1工場での生産は6月で終了し、今後は全量をダイハツが供給する。Karawang第1工場は、フレーム構造のKijang Innova/ Fortunerの生産に集中する。 |
資料:ダイハツ広報資料 2011.11.9、日刊自動車新聞 2011.9.20/2011.11.10
日産:生産能力を年5万台から18万台に増強、エンジン工場を新設
日産は、2011年7月、アセアン地域における新中期経営計画を発表した。同地域の販売台数を2010年度15万台(シェア6%)から2016年度50万台(15%)に拡大するとしている。
インドネシアでは、250億円を投資すると発表。2011年9月に生産能力を5万台から10万台に倍増したが、さらに2013年に18万台に増強しエンジン工場を新設する。日産は、インドネシア政府が計画している「低価格・グリーンカープログラム」を、同地域での販売を伸ばすための主軸とする計画。
そのために、開発部門の人員を15人から2013年35人、2016年に80人に増員してR&D機能を充実させ、現地調達率を高める。
また日産は、2011年3月に、ジャカルタ中心部にInfinitiブランドの販売店を開設した。
日産:車両工場を18万台に増強し、エンジン工場を新設
日産は、インドネシアに250億円を投資する計画。生産能力を、2011年9月に5万台から10万台に引き上げたが、さらに2013年までに18万台に増強するとともに、エンジン組立工場を新設し、小型車向けエンジンを生産する。従業員数は、900人から2,500人に増員する。 |
インドネシア政府が推進する「低価格・グリーンカープログラム」を、日産が同地域で販売を伸ばすための主軸とする。日産は、同プログラムへの参画を正式に表明した。(注1) |
R&D機能を強化し、現地化を推進する。NTCSEA-I(Nissan Technical Center South East Asia-Indonesia)を拡張し、人員体制を15人から2013年に35人、2016年度80人に増員する。新型小型車については、部品の現地調達率をアセアン域内で8割以上、インドネシア国内で5割以上とする計画。(インドネシア政府が導入を予定する優遇制度は、車両価格が約100万円以下で、現地調達率が当初は4割、将来は8割以上を条件とするとされる。)(注2) |
日産は販売店数を、54店舗から2012年度に78店舗に拡充、2010年に3.8万台(シェア5.1%)の販売台数を、2013年度に9万台(10%)に拡大する計画。 |
(注) 1. | 日産は、上記の低価格小型車に、2010年からタイで生産しているMarchに採用したVプラットフォームを使用する計画とされる。 |
2. | Nissan Technical Center South East Asiaは、タイとインドネシアに所在し、両国をあわせて、技術者数を現在の120人から2016年度までに370人に拡充する。 |
ホンダ:タイから新モデル投入を計画していたが、洪水のため見通しは不明
スズキ:生産能力を拡充し、エンジン新工場を建設
三菱自動車:新型車を積極投入し、販売増を目指す
三菱自動車は、インドネシアで2010年度に43,992台生産し、59,081台販売した。
現地生産するモデルは、Colt L300(旧型Delicaベースの商用車)と、Colt T120SS(スズキと共同開発し1991年に投入した小型商用車)だが、現在もインドネシアの販売を支えている。
新型車を積極投入する計画で、2009年度にタイから輸入を開始したPajero Sportは、2010年度に10,780台販売した。4WD車にAT仕様を追加する計画。またやはりタイから輸入するピックアップトラックTritonに、タイヤや衝撃耐久度を高めた「鉱山仕様車」を設定するなど、用途に応じた特装車を設定し、販売増を目指す。
大型商用車メーカー:いすゞと日野が生産能力大幅増
いすゞは、日本、インドネシア、タイの3極体制を確立し、インドネシアを新興国向けCV(Commercial vehicles)拠点として強化する構想。
日野自動車は、2009年12月にトヨタグループの小型トラック(トヨタDyna/日野Dutro)の生産拠点となり、生産能力を1万台から3.5万台に拡大したが、さらに2012年をめどに5万台まで拡張し、インドネシアを小型トラックの輸出拠点として育成する。
三菱ふそうにとってインドネシアは最大の市場で、2010年の世界販売140,681台のうち55,728台(2009年は30,540台)を販売した。2011年内をめどにインドネシア拠点の生産能力を、月産4,000~4,500台から月産5,000~5,500台に、2割程度引き上げる計画。
大型商用車メーカー:いすゞと日野が開発・生産体制を大幅強化
いすゞ | いすゞは2011~2014年度中期経営計画において、インドネシアを新興国向けCV(Commercial vehicle)の中核拠点(いすゞは、日本を先進国CV拠点、タイをLCV拠点、インドネシアを新興国CV拠点とする構想)とすると発表した。いすゞは2014年をめどに、エンジンなど中核部品も含めた一貫生産工場を稼動させる計画。ジャカルタの既存工場と合わせて、インドネシアの生産能力を、現状の2倍の3万台以上に拡充する。 |
---|---|
日本から開発、調達、商品企画などの機能を移し、いすゞが「途上国QCD」と呼ぶ新興国ニーズに合致した低価格の、GVW 5~10t級中小型トラックを開発する。既に2011年に、ベトナムに小型トラック、インドネシアに中型トラックを投入したが、その他の東南アジア各国や中東などにも輸出する計画。(注)QCDのQはQuality、CはCost、DはDeliveryの略。 | |
日野自動車 | トヨタグループは2009年12月、トヨタのインドネシア工場で生産していたトヨタDynaと日野Dutroの生産を、日野のインドネシア工場に移管した。インドネシア工場は中大型トラックを生産していたが、小型車を加えることで生産規模が年1万台から3.5万台に拡大し、海外における日野の生産拠点として最大規模となった。 |
さらに約100億円を投資して、2012年半ばをめどに、生産能力を3.5万台から5万台に引き上げる計画。隣接地を取得して、小型エンジンの機械加工も開始する。日野自動車は、インドネシアを拠点として「(日本仕様を変更するのではなく)新興国の市場要求を全て最初から盛り込んだ、グローバル戦略車としての小型トラック」を開発・生産し、2012年度内に100カ国へ展開する予定。 |
資料:いすゞ中期経営計画(2011.11.18)、日本経済新聞 2011.11.8、日刊自動車新聞 2011.8.8
GM:150百万ドルを投資し、2013年からPeople moverを生産
自動車メーカー別生産台数:2010年に70万台生産、2011年1~10月期も20%増
インドネシアでの生産台数は、2009年に46.5万台に減少したが、2010年には70.2万台に拡大した。トヨタ + ダイハツが38.3万台生産し、総生産台数の54.5%を占めた。
2011年1~10月期の生産台数は69.4万台で、前年比20.3%増加している。GAIKINDO(インドネシア自動車工業会)は、インドネシア自動車業界は年間100万台生産に近づいているとしている。
自動車メーカー別生産台数(全車種)
2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
トヨタ | 169,178 | 122,229 | 172,436 | 226,001 | 198,048 | 265,152 |
ダイハツ(注1) | 48,729 | 33,065 | 50,369 | 76,244 | 77,053 | 117,969 |
トヨタグループ | 217,907 | 155,294 | 222,805 | 302,245 | 275,101 | 383,121 |
ホンダ | 39,597 | 21,034 | 29,465 | 43,672 | 34,461 | 53,566 |
日産 | 10,759 | 3,376 | 18,518 | 30,310 | 20,019 | 37,684 |
スズキ | 103,830 | 51,878 | 60,013 | 98,314 | 49,747 | 83,204 |
三菱自動車 | 86,277 | 41,982 | 48,161 | 77,906 | 53,713 | 89,158 |
三菱ふそう(注2) | ||||||
いすゞ | 24,558 | 15,214 | 17,534 | 24,450 | 14,838 | 22,811 |
日野 | 7,229 | 3,231 | 8,192 | 14,350 | 11,635 | 22,237 |
UDトラックス | 1,926 | 1,638 | 1,861 | 2,250 | 1,080 | 2,580 |
日本自動車メーカー計 | 492,083 | 293,647 | 406,549 | 593,497 | 460,594 | 694,361 |
Mercedes-Benz | 2,229 | 454 | 1,305 | 2,802 | 2,410 | 4,133 |
BMW | 1,084 | 771 | 10 | 852 | 414 | 837 |
現代グループ | 4,646 | 1,136 | 3,074 | 2,923 | 1,053 | 2,663 |
奇瑞汽車 | 0 | 700 | 554 | 345 | 514 | |
その他(注3) | 668 | |||||
合計 | 500,710 | 296,008 | 411,638 | 600,628 | 464,816 | 702,508 |
資料:GAIKINDO | |
(注) 1. | ダイハツの生産台数はダイハツブランド車のみ。ダイハツが生産するトヨタ車はトヨタに含む。 |
2. | 三菱自動車、三菱ふそうの両社は、KRM (P.T. Krama Yudha Ratu Motors)で生産し、KTB (P.T. Krama Yudha Tiga Berlian Motors)が販売している。 |
3. | 2005年の「その他」メーカーは、マツダ、PSAとGM。PSAは、2005年に現地組立から撤退したが、2012年第4四半期から、Peugeot 3008/5008組立を再開する計画と報道されている。 |
<自動車産業ポータル、マークラインズ>