欧州メーカーの低燃費仕様:中・大型車やSUVにも設定拡大

Start/Stop システムの採用増加、Fiat は新開発の2気筒エンジンを搭載

2011/01/05

要 約

EUは、域内で新車販売される乗用車のCO2排出量を、2015年に平均130g/km、2020年に95g/kmとすると定め、2012年から段階的に規制を強化する。EU各国は、自動車税・登録税をCO2排出量ベースに変更し、低燃費車の購入にインセンティブを提供するなど、低燃費車の普及に努めている。 

各自動車メーカーは、低燃費化の一環として、2006年頃から特別な呼称を冠した低燃費・低CO2排出量仕様の設定を開始した。当初は小型車を中心に設定していたが、中・大型車やSUVにも設定を拡大する動きが見られる。また、新たなエンジンの開発やStart/Stopシステムの採用により、低燃費化をさらに推進している。

以下は、欧州における新車のCO2排出量の状況と、各自動車メーカーの主な低燃費仕様モデルの概要である。

欧州メーカーの低燃費・低 CO2 排出量仕様

  低燃費仕様の名称 概要
VW BlueMotion Technology 各車種の中で、最も低燃費で、最も CO2 排出量が少ない仕様の名称。2006年夏に Polo に初設定し、幅広いモデルに展開。
(SEAT ブランド) Ecomotive 最も CO2 排出量が少ない仕様の名称。VW BlueMotion の SEAT 版。2008年10月に Ibiza に初設定。
(Skoda ブランド) GreenLine 最も CO2 排出量が少ない仕様の名称。VW BlueMotion の Skoda 版。2007年 9月に Fabia に初設定。
BMW EfficientDynamics 環境性能と走行性能を両立する技術の呼称。2007年 3月に EfficientDynamics の概念を発表。特別な仕様は設定せず、全モデルに EfficientDynamics 技術を展開している。
(Mini ブランド) MINIMALISM BMW の EfficientDynamics の Mini 版。高い走行性能と低燃費・低排出ガスを両立させる技術を、全モデルに展開。2010年にはモデル名に MINIMALIST を冠した Mini One MINIMALIST を発売。
M-Benz BlueEFFICIENCY 低燃費仕様の名称。2008年 2月に C-Class に初設定。2010年には、小型車だけでなく中型車や SUV にも設定。2010年末までに合計 85 のBlueEFFICIENCY 仕様車を投入する計画。
Peugeot Blue Lion 特別な低燃費仕様はないが、CO2 排出量 130g/km 以下のモデルを Blue Lion と認定。認定車は107の全モデルと、1007、207、308 の一部のモデル。
Renault ECO2 特別な低燃費仕様はないが、2007年 5月から、CO2 排出量 140g/km 以下のモデルを ECO2 Range と呼称。Clio, Kangoo, Megane 等幅広く設定。
Fiat PUR-O2 低燃費・低排出ガス仕様。2008年11月に Fiat 500, Croma, Bravo に初設定。英国ではこの呼称を使わず、グレード名に搭載エンジン名の MultiJet 等を付加。2010年 9月、Fiat 500 に新型 2気筒エンジン TwinAir を搭載。
Opel ecoFLEX 低燃費仕様の名称。2007年12月に Corsa に初設定して以後、Agila, Astra, Zafira, Insignia に設定。2010年に Start/Stop システムの搭載を開始。
Ford ECOnetic 走行性能を維持しながら、低燃費・低 CO2排出量を追求した仕様の呼称。2007年、Focus に初設定。2010年初めに発売した Focus の ECOnetic 仕様には、 Start/Stop システムを搭載。
Volvo DRIVe 徹底した環境対策により、低燃費・低CO2排出量を目指した仕様の呼称。2008年10月にC30, S40, V50に初設定。2009年には上級車種にも導入。
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