Tesla:EVの競争激化と販売減により利益率が低下
次世代プラットフォーム車、ソフトウェア/充電インフラ等で収益増を図る
2024/08/19
- 要約
- グローバル生産:中国での減産により2024年に台数減に転じる
- グローバル販売状況:2023年以降広範な値下げを行うも販売は減少
- 2023年以降に発表された新商品:Cybertruck、Semi、新型Model 3
- 将来モデル:コンパクトEVは2025年前半に発売予定
- バッテリー生産:ネバダ工場拡張で4680型セルを増産
- 充電ネットワーク:Teslaの充電システムを採用するOEMが相次ぐ
- 自動運転:継続的な投資と普及策により収益への貢献を狙う
- 販売/事業の地域拡大:アジアなど成長マーケットへの進出を進める
- 決算・業績:売上高は増加傾向を維持するも、2024年に入り営業/最終利益は大幅に悪化
- GlobalData販売予測:Teslaの世界販売は漸増し、2027年に205万台へ
要約
2024年から量産を開始したサイバートラック(Cybertruck)(出所:Tesla Q1 2024 Update) |
Teslaのグローバル生産と販売は年ベースで増大を続け、2023年には184万台の生産、181万台の販売を記録したが、EV競争が激化する中国市場での販売減を主要因として2024年に入って生産、販売とも減少に転じた。2024年第2四半期のグローバル生産は前年同期比14.4%減となった。
2023年末からテキサス工場での「サイバートラック(Cybertruck)」の導入と生産拡大、ネバダ・バッテリー工場でトレーラートラック「セミ(Semi)」の量産に向けた増設着手など、商品の拡大や増産に向けた投資を積極的に進める。一方で2023年初めに新設を発表したメキシコ工場については、米国大統領選挙の趨勢も睨み慎重な対応に転じている。新プラットフォームによるコンパクトEVについては2025年前半の生産開始計画を確認したが、メキシコでの立上げでなくテキサス工場での生産を先行させる。8月に予定していた自動運転車(ロボタクシー)の発表イベントは10月に延期された。
損益業績は、売上額では増加傾向を維持しているものの主要市場の中国、米国での販売減や競争力維持のための値引きが影響し、営業損益が2023年には年ベースで初めて減少(-34.9%)、2024年には四半期ベースで2期続けて営業損益、最終損益とも対前年同期マイナスとなった(Q2はそれぞれ-33.1%、-45.3%)。
Teslaは先行者としてEV市場を圧倒していた競争力が弱まり車両販売関連での収益力が減退する中で、エネルギー関連やサービス部門の収益増を狙う。
Teslaは、同社が現在、自動運転技術や次世代プラットフォームによる新量産車が牽引する次の成長段階に備えた踊り場にあるとし、さらに長期的な収益の柱と位置付けるロボタクシー、FSD(Full Self-Driving)、AIなどへの投資や技術開発が進展していることを強調し、事業の拡大に自信を示す。
躍進の原動力となってきた革新性と成長力で市場や投資家の期待に応え続けることができるかが問われる。
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