Tesla:Model 3の生産が安定、低価格グレード投入後の利益確保が課題

2019年にModel 3の欧州・アジア販売を開始、中国・上海工場を稼働

2019/01/25

要約

  Teslaは主力モデルである手頃な価格(affordable)のEVコンパクトセダン、Model 3の週当たり5,000台という生産目標を2018年6月末に達成。同年第3四半期からは安定して量産できるようになり、販売も拡大した。2018年の販売台数は前年の約2.4倍の244,920台。うちModel 3は1,770台から145,610台へ増加した。

  Model 3はこれまで納車可能な地域が北米市場に限られ、中価格帯以上のグレードを現金かローンでしか販売していない。今後、北米以外の市場への納車、低価格グレードの投入、リース販売の開始等により、販売は拡大する見込み。

  Teslaは2017年7月にModel 3を発売したが、組立工程の自動化に問題が生じて生産が増やせず、2018年第1および第2四半期は営業利益の赤字が拡大した。2018年第3四半期にはModel 3の量産が安定し、生産台数の増加と人件費や材料費のコスト低減効果で営業利益は4億1,676万ドルの黒字となり、第2四半期の6億2,139万ドルの赤字、前年同期の5億3,548万ドルの赤字から大きく改善した。今後はModel 3の低価格グレードを投入する計画で、7%の人員削減など、より一層のコスト低減・販売拡大努力により、利益確保を目指すとしている。

  新型車投入計画では、2019年にModel 3の欧州およびアジアでの販売を開始するとともに、新型コンパクトSUVのModel Yと新型ピックアップトラックを発表する。2020年には、セミトラックトレーラーSemiの生産を開始。さらに、新型ロードスターとModel Yの生産も開始する計画。

  中国市場では、米国からの輸入車に対する関税引き上げに対応し、2018年11月に中国向け車両を値下げした。2019年1月には上海工場と研究開発センターに着工。同年末にModel 3の生産を開始する予定。当初の年産能力は25万台、3年後には50万台とする計画。

  自動運転機能のEnhanced Autopilotについては、2018年10月に高速道路での車線変更、入口から出口までの誘導等に対応するNavigate on Autopilotが追加、同年11月には自動駐車機能Summonが更新された。

Model 3 Performance Model 3の追加組立ライン
2018年7月に生産開始したModel 3 Performance
(写真:Tesla)
大型テント内に設置されたModel 3の追加組立ライン
(写真:Tesla)

 

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