ホンダの2030年ビジョン:AI技術などの新領域でパートナーシップ

2030年に世界販売の3分の2を電動車へ、2025年にレベル4の自動運転技術を確立

2017/07/07

要約

2017年7月下旬に日本で発売される新型Civic Sedan(写真:ホンダ)
2017年7月下旬に日本で発売される新型Civic Sedan(写真:ホンダ)

 ホンダが2017年6月8日に発表した「2030年ビジョン」は、2030年に目指す姿を「移動と暮らしの進化をリードする企業」と定め、注力すべき事業視点として、「地域の協調と連携」「変革のパートナーシップ」「既存ビジネスの基盤強化」を掲げた。

 「変革のパートナーシップ」では、既存事業の変革や新領域への参入のために外部とのオープン・イノベーションと協業に積極的に取り組む。社内には、ロボティクスや人工知能(AI)技術など新領域を担う研究開発組織を設立し、外部とのオープン・イノベーションの窓口とする。また、Waymo社と自動運転技術の開発、日立オートモティブシステムズ社と電動車用モーターの開発・生産・販売など、他社との協業も幅広く実施する。

 「地域の協調と連携」では、グローバルモデルであるCivic、CR-V、Accord等を、どの地域でも通用する強いモデルに育てる。また、地域専用モデルは、顧客ニーズの近い地域同士が連携し、商品力の高いモデルを開発・共有することで、地域事業の効率化を図る。

 ホンダは2030年ビジョンの発表に先立ち、従来から目指している「カーボンフリー社会」と「交通事故ゼロ社会」の実現に向けて、電動化と先進安全技術導入の計画も明らかにした。電動化計画では、プラグインハイブリッド車(PHV)を今後の開発の中心とするとともに、燃料電池車(FCV)と電気自動車(EV)の開発も強化。2018年には中国専用のEVを発売する。2030年には世界販売の3分の2を電動車とすることを目指す。

 先進安全技術の導入では、衝突軽減ブレーキなど8つの先進機能を搭載する安全運転支援システムHonda Sensingの搭載を拡大する。日本では2017年秋に全面改良する新型N-BOX以降、軽自動車を含めたすべての新型車で標準装備し、北米・中国・欧州でも新型車から搭載を拡大する。自動運転技術の導入では、2020年には高速道路の複数車線での自動走行を可能とする技術、2025年にはレベル4(地理・環境等の限定条件下で、システムがすべての運転タスクを行い、ドライバーが介入する必要がない)の自動運転技術の確立を目指す。

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