ロシア:原油価格上昇・ルーブル安定により2017年から市場回復か
政府は引き続き需要促進・輸出拡大等の支援策を実施
2017/04/19
- 要約
- 2017年1-3月販売は四半期ベースで4年ぶりの前年同期比プラス
- ロシア政府:2017年の支援策に623億ルーブルの予算計上
- メーカー別乗用車/LCV販売台数
- ロシア製車両の輸出の動向
- Renault-日産-AvtoVAZ(アフトワズ)の動向
- ロシアメーカー(Kamaz)の動向
- 韓国メーカー(現代自動車)の動向
- 欧米メーカー(GM/Ford/VW/Daimler/BMW)の動向
- 中国メーカー(奇瑞/力帆/長城)の動向
- 日本メーカー(トヨタ/マツダ/ホンダ)の動向
- 商用車メーカー(いすゞ/GAZ)の動向
- LMC Automotive生産予測:ロシアのライトビークル生産台数は2020年に174万台となる見込み
要約
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ロシアの2016年の自動車販売台数は143万台で、前年比11%減、過去最高を記録した2012年の294万台からは51.4%減少。ウクライナ問題に端を発する欧米の対ロシア経済制裁、原油安、ルーブル安等を背景とする景気後退により、市場は低迷していた。
2017年は原油価格が持ち直し、ルーブルが対ドルで安定したことを背景に、景気回復が期待される。Association of European Businesses (AEB) は2017年の販売台数を前年比3.8%増の148万台と見込んでいる(2017年1月時点)。ただ、シリア情勢などロシア経済に影響を与える問題も存在し、今後もロシア市場は不安定な状況が続くと考えられる。
ロシア政府は、2017年も引き続き自動車産業に対する支援策を実施する。2016年には約468億ルーブルを投じて、62万台の購入車に支援策を適用した。2017年には需要促進策として623億ルーブルの予算を計上する。
ロシアの2016年の生産台数は前年比5.4%減の131万台で、過去最高だった2012年の224万台と比較すると41.6%減。ロシア国内の年産能力は約320万台に達しているが、国内需要が減少し、生産が伸び悩んでいる。政府は生産拡大のために、ロシア製車両の輸出促進対策や自動車メーカーへの助成を実施している。ロシア産業商務省は、2017年の生産台数を前年比7.0%増の140万台と予測している(2017年3月時点)。
ロシアの経済低迷が長引く中、減産や市場撤退を余儀なくされるメーカーもあるが、多数のメーカーがロシア市場の中長期的な成長を見込んで、生産施設の拡充・生産車種の拡大を実施している。Daimlerはロシアに初の工場を建設し2019年に稼働開始する計画。中国・力帆汽車も2017年に年産6万台規模の新工場を稼働する。FordとVWは2015年9月にそれぞれエンジン工場の稼働を開始。マツダもエンジン工場を新設し、2018年に生産を開始する計画。
LMC Automotiveの最新予測(2017年第1四半期)によると、ロシアの経済成長は2017年にはプラスに転ずるが、消費支出は依然として弱いため、ライトビークル市場の回復は同年下期まで持ち越される見込み。2017年のライトビークル販売は前年比6.7%増の152万台と予想している。その後、販売は着実に増加し、2020年には206万台に達する見通し。
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