タイ: 2015年の生産台数は3-4%増の193万-195万台の見通し
購入支援策による需要先取りで国内市場は縮小、輸出が拡大し生産の6割強へ
2015/12/04
- 要 約
- 2015年1-10月はエコカー生産が47%増加
- タイの国内市場:トップのトヨタはシェア34.1%
- タイ政府:第2期エコカー計画の投資認可、2016年に物品税制改定
- 生産拠点:ホンダの新工場は稼働延期、SAIC Motor-CPは新工場を計画
- 日本メーカー:トヨタ、いすゞ、ホンダ、日産、三菱、マツダ、スズキの動向
- その他のメーカー:GM, Tata, 上海汽車-CPの動向
- 商用車メーカー:日野、三菱ふそう、いすゞの動向
- (資料)
- LMC Automotive 生産予測:タイの生産台数は2018年に216万台となる見通し
要 約
初回購入支援策の影響で国内販売が低迷
タイ政府は、2011年10月から2012年12月まで、初めての自家用車購入者に物品税を還付する初回購入支援策を実施。2012年・2013年は生産・販売とも大幅に増加したが、2014年は同策終了による反動減、家計債務の増加、政情不安等により生産・販売が急減。2015年も引き続き需要先取りの影響が残り、農民の所得減少等もあって、国内市場はさらに縮小。輸出の拡大に支えられて、生産は小幅増の見込み。
2015年の生産は3~4%増加、国内販売は13~14%減少の見込み
タイ工業連盟 (FTI) は2015年の生産台数見通し(12月発表)を前年比2.7~3.7%増の193万~195万台と予測。年間300万台の生産を目標とするタイとしては低水準にとどまっている。生産のうち、輸出向けは6.4%増の120万台を見込む。FTIは2016年の生産台数について、GDP成長率が3%超であれば200万台となると予測している。一方、2015年の国内販売見通し(10月発表)は、Toyota Motor Thailand (TMT) が前年比12.7~13.8%減の76万~77万台と予測している。
2015年第3四半期に発表されたLMC Automotiveの予測によると、タイのライトビークル販売台数は、農民の所得減少、家計債務の増加、政情不安等により、引き続き減少する。ただし、ピックアップセグメントは、長く待たれていたトヨタの新型Hiluxが最近発売されたこともあり、2015年下期には上向く見込み。その結果、2015年通年の販売台数は前年比11.3%減の76万台と予測される。2016年以降は増加に転じ、2018年の販売台数は92万台に達する見通し。
タイ政府:総選挙は延期、第2期エコカー計画の投資認可、新物品税を導入
2014年5月のクーデターで発足したタイの軍事政権は、民政復帰に向けた総選挙を、当初計画の2015年中から2017年6月に延期。軍事政権は様々な景気対策を打ち出しているが、その効果が出るのは2016年以降の見込み。
タイ政府は、低燃費小型車の生産誘致のために実施している第2期エコカー計画について、2014年11月までに8社の投資計画を認可した。計画では2019年末までに生産が開始される予定。
また、タイ政府は2016年1月より、自動車の物品税を、エンジンの排気量ベースからCO2排出量ベースに切り替える。値上げが予想されるピックアップについては、2015年末に駆け込み需要が予測される。
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