Schaeffler AG 2019年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
  2019年
12月期
2018年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
 売上高 14,427 14,241 1.3 1)
 EBIT 790 1,354 (41.7) 2)
自動車部門
 売上高 9,038 8,996 0.5 3)
 EBIT 282 662 (57.4) 4)
自動車OEM部門4事業の売上高
 エンジンシステム 2,793 2,782 0.4 5)
 トランスミッションシステム 4,006 4,167 (3.9) 6)
   E-モビリティ 676 493 37.3 7)
 シャシーシステム 1,563 1,554 0.5 8)

要因

1) 全社売上高
-2019年12月期、全社売上高は前年比1.3%増の14,427百万ユーロ。為替の影響を除くと前年比0.1%増。産業機械部門での売上高が自動車OEM向けの価格低下およびアフターマーケット部門での販売数量減少を下支えした。

2) 全社EBIT
-2019年12月期、全社EBITは前年比41.7%減の790百万ユーロ。主な減少要因は特別会計項目による影響であり、昨年2018年度の27百万ユーロの減少に対して2019年度は372百万ユーロの減少となった。「RACE」プログラムによる従業員数削減費用、固定資産の調整、事業再編等の影響を受けた。また、売上原価の上昇および販売価格の変動および製品構成の変化もEBITの減少要因となった。

3) 自動車OEM部門売上高
-2019年12月期の同部門の売上高は前年比0.5%増の9,038百万ユーロ。為替の影響を除くと、0.8%の減少。市場は全体的に軟調であったものの、同社売上高は各地域ごとに増加および減少が混在した。欧州では生産の減少により5.8%減となった。米州では、新規製品立ち上げによる需要増により11.1%の増加となった。また、中国では自動車生産量が減少しているにもかかわらず、2019年下半期の新規製品導入などにによる需要増などにより、2.6%の上昇となった。アジア太平洋地域の売上高は、同地域の自動車生産の減少に対して0.9%の売上増を記録した。

4) 自動車OEM部門EBIT
-2019年12月期の同部門のEBITは前年比57.4%減の282百万ユーロ。主に粗利益率の低下および人員削減プログラムにかかわる特別会計項目により減少した。管理費用の増加と為替の影響も減少要因となった。

5) エンジンシステム事業
-2019年12月期の同事業の売上高は、前年比0.4%増の2,793百万ユーロ。為替の影響を除くと、前年比1.0%減。サーマルマネジメントモジュールおよびカムシャフトフェージングユニットの売上増はその他製品群によって相殺された。

6) トランスミッションシステム事業
-2019年12月期の同事業の売上高は、前年比3.9%減の4,006百万ユーロ。為替の影響を除くと前年比5.5%減であり、AT関連製品が増加したものの、MT関連製品がこれを押し下げた。

7) E-モビリティ事業
-E-モビリティ事業の2019年12月期売上高は、前年比37.3%増の676百万ユーロ。CVT関連製品、アクチュエーター及び湿式ダブルクラッチ等の製品立ち上げが貢献した。

8) シャシーシステム事業
-2019年12月期の同事業の売上高は、前年比0.5%増の1,563百万ユーロ。為替の影響を除くと前年比売上高0.3%減。シャシーアクチュエーターおよびホイールベアリングの販売が特に貢献した。

 

買収

-ドイツBoeblingenに本拠を置くXTRONICの買収に合意したと発表した。買収は20196月に完了する見込みで、XTRONICは独立企業としてSchaeffler Groupに統合される。XTRONICは国際自動車市場向けに顧客固有のソフトウェアと電子ソリューションを開発する企業で、従業員数約170名、BoeblingenのほかWolfsburgにも拠点を有する。XTRONICのポートフォリオには自動運転、電動モビリティ、機能安全用アプリケーションや、ツール、テストシステムなどが含まれる。(201957日付プレスリリースより)

再編

-Schaeffler Friction Products Hammの経営陣にSchaeffler Friction Products Hammの所有権を引き継ぐ契約を締結したと発表した。経営陣の買収により、Hamm拠点の110名の雇用が保証される。また、社名は「INNO FRICTION GmbH」に変更される予定。Schaeffler Friction Products Hammは、現在Schaeffler Group向けに乾式デュアルクラッチシステム用のキャリアプレートタイプの摩擦ライニングを製造している。ピーク時には、この部品の生産がSchaeffler Friction Products Hammの収益の約60%を占めていたが、近年では需要が大幅に減少していた。Hamm拠点のデュアルクラッチシステム用摩擦ライニングの生産は2020年から2021年にかけて段階的に廃止される見込みで、今後同社の経営陣は産業部門に注力する意向。(201971日付プレスリリースより)

事業提携

-VWの小型商用車電動化プロジェクトでABT e-Lineと戦略的提携を締結したと発表した。ABTグループ傘下のABT e-Lineは、VW商用車(Volkswagen Commercial Vehicles)のプレミアムパートナーとして、「T6」、「キャディ (Caddy)」などの完全電動化を委託されており、保証を含む電動パワートレインに対する責務を負っている。Schaefflerは、電動パワートレイン向け技術ソリューションを開発、提供する。Schaeffler初期段階でVWおよびABTと共同でコンセプトから承認までのプロジェクト管理とシステムサプライヤー管理に取り組むという。さらに、柔軟なメカトロニックシャシーソリューション開発も目指し、中期的には商用車および特殊車両向け事業にも注力するとしている。(2019123日付プレスリリースより)

受注

-アウディ電気SUV「e-tron」に電動アクスルドライブ2種を供給することになり、すでに量産を開始したと発表した。この電動アクスルドライブはそれぞれ前後モーターに組み合わされ、アウディQuattroの電動四駆機能を実現する。リア電動アクスルドライブは同軸式設計を採用し、限られた空間の中で最大の動力を伝える。フロント電動アクスルドライブは電動パーキングブレーキ機構付きで、平行軸式設計を採用している。電動アクスルドライブの長さはわずか150mmで、重量は15kg未満。入力トルク400Nmを実現する。(2019年12月13日付けリリースより)

-フォードが米国シカゴ工場で生産する2020年型「エクスプローラー (Explorer)」、「ポリス インターセプター ユーティリティ (Police Interceptor Utility)」、リンカーン「アビエイター (Aviator)」にモジュラーハイブリッドトランスミッションを供給すると発表した。Schaefflerの最新のEモビリティ技術の1つであるモジュラーハイブリッドトランスミッションは、SUV、トラック、オフロード車のハイブリッド化を可能にし、より多くのパワーとトルクを提供する。Schaeffler2020年までに電動ドライブユニットの研究、開発、生産に500百万ユーロ超を投資する計画。同社はこのモジュラーハイブリッドトランスミッションを米国オハイオ州Woosterキャンパスで製造。北米市場向け製品はこのほかサウスカロライナ州Fort Mill、ミシガン州TroyおよびメキシコPueblaでも製造している。(2019115日付プレスリリースより)

-2019年第2四半期において同社のeモビリティ事業部門が11億ユーロ規模の電気モーター供給契約をグローバルプレミアムメーカーと締結したと発表した。そのほか、2019年初に発動した自動車OEM事業部門の効率性を持続的に向上させ、ポートフォリオを最適化する「RACE」プログラムは、事業推進の第1フェーズにあるという。(2019年7月29日付プレスリリースより

事業動向

-合弁会社Schaeffler Paravan Technologie GmbH & Co. KG厳格な機能安全規制に準拠するSpace Driveに注力すると発表した。このシステムは2021年に量産開始予定。同社はまた、Schaeffler Intelligent Corner ModulesやSpace Driveなど、Schaeffler Moverで使用される製品を実装する特定のプロジェクトを開始した。9月初旬、同社は中国湖南省と自動運転のサポートおよび促進を目的とした投資契約を締結、湖南省に研究開発施設の新設を計画している。(20191031日付プレスリリースより)

-インド現地法人Schaeffler Indiaは、インドPuneにコーポレートオフィスを開設したと発表した。全コーポレート業務と販売業務を統合する新オフィスは、新インド本社として機能する。インド3法人の合併統合に続き、新オフィス設立は重要なマイルストーンになるとしている。オフィススペースは同社の新たな企業理念に基づいて設計され、オープンオフィスレイアウト、仮想会議室、シームレスなブレークアウトゾーン、ハドルゾーンなどオープンで生産的な環境となっている。(201993日付プレスリリースより)

-インドでの今後の計画を発表した。同社はBS-VIおよび以降の排気ガス規制に対応するためのソリューションのほか、eモビリティやインダストリー4.0向けソリューション開発を実施する。また、建設中のSavli工場の新建屋は計画通り進捗中で、2カ所の新流通センターや合併後の販売オフィス2カ所についても営業を開始した。同社は研究開発へも注力し、地域向け開発およびグローバル向けのメカトロニクス支援の能力構築を行っている。そのほか組織改革としては、リーダーシップの開発、多次元の多様性、ガバナンス、コンプライアンス、デジタル化が経営上の議題となるという。(2019年7月24日付Schaeffler India Investor Presentationより

-自動車OEM事業部門の効率性を持続的に向上させ、ポートフォリオを最適化するプログラム「RACE」を発表した。「RACE」は「Regroup Automotive for higher Margin and Capital Efficiency」の略語で、3つのステージで構成されている。プログラムの第1段階として欧州の工場ネットワークを統合し、ドイツ国内700名を含む900名の人員削減を見込む。また自動車OEM事業部門の研究開発費比率は、IFRS第15号を考慮して2019年と2020年には8-8.5パーセントに制限し、設備投資は900百万ユーロ以下に制限するという。同社は今後3年間にわたり、eモビリティおよびシャシーメカトロニクス関連の受注を年間15-20億ユーロ規模に拡大するとしている。(201936日付プレスリリースより)

 

見通し

-2020年12月期売上高について、同社は為替の影響を除き現在と同水準から2%の減少を予想している。また、特別項目勘定前EBITマージンは6.5%~7.5%と予想。

 

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
  2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
全社 849 847 846
売上に占める割合 (%) 5.9 5.9 6.0

 

研究開発体制

-2019年12月期、研究開発要員の平均従業員数は7,834名。

 

研究開発拠点

-研究開発センターの拠点数:

  • 欧州 (10)
  • 米州 (5)
  • 中華圏 (1)
  • アジア太平洋 (4)

-同社は自動運転に関する研究開発拠点を湖南省湘江新区に新設する。同施設は中国における2拠点目の研究開発拠点となる。(2019年9月9日付報道より)

  

研究開発活動

-日本での研究開発(R&D)を加速させる。日本法人のシェフラージャパン(横浜市保土ヶ谷区)が電動化や自動運転機能を備えたコンセプトカーを日本の顧客向けに開発するほか、レース場などでの単独の実車テストを開始する。現在220件の自動車関連のプロジェクトが進行中で、そのうち7割が日本が中心となって進めている。R&D強化の一環として、日本法人でのコンセプトカーを5年後をめどに開発する。これまではドイツ本国が中心に開発を行っていたが「加速性能や環境性能は実際に現地で走ってみないと分からないところもある。日本の顧客のニーズを踏まえた上で、部品単体でなく実車で技術力を売り込む」(四元代表)狙いだ。コンセプトカーは電動化技術に加え、昨年8月に合弁会社を設立した独パラバン社のステアバイワイヤー機能を搭載した一体型車両制御システムを活用、自動運転領域でのコンセプトカーも見込む。現在は自動車メーカーと合同での走行テストにとどまっているが、今後はシェフラージャパン単独での悪路を想定した走行テストを実施していく。(2019年7月1日付日刊自動車新聞より)

技術提携

-Schaeffler Technologies三菱電機は、e-F@ctory Allianceの一環としてグローバル規模の戦略的パートナーシップを発表した。両社は機械と工場のデータをMES(製造実行システム)とERP(エンタープライズリソースプランニングシステム)に統合する。Schaefflerは、メカトロニクス製品、状態監視システム、デジタルサービスを組み合わせた4.0ソリューションパッケージを提供し、三菱電機はプログラマブル論理制御装置(PLC)、インバーター、ロボット、サーボドライブ、HMIなど工場自動化技術の提供により、生産性と品質向上を目指すという。(201945日付プレスリリースより)

製品開発動向

ドライブバイワイヤシステム「Space Drive」使用Rinspeed MetroSnapコンセプトカー
-リンスピード (Rinspeed)は11月28日、「メトロスナップ (MetroSnap)」をラスベガスで開催のCES 2020に出展すると発表した。「メトロスナップ」には、同社が特許保護を申請した車体用の、シンプルかつ速く、安全で、安価に交換できるシステムが採用されている。「メトロスナップ」のバッテリーは、「ポッド(車体)」と「スケートボード(シャシー)」の間で分割されているため、充電のために車両を駐車する必要がない。「メトロスナップ」はSchaeffler Paravanのドライブバイワイヤシステム「Space Drive」を使用、 Ibeo Automotive SystemsがLiDARソリューションを提供し、Osramの照明技術を搭載している。設計はスイスの4erCが担当し、Esoroが技術的構築と製作を行った。また、Barlog GroupのKeba-blend/TC樹脂がバッテリーの冷却を最適化する。モジュラー式のスケーラブルなバッテリーシステム「Clean Energy Pack」はベルリンに拠点を置くClean Energy Globalが供給している。このほか、SAPがデジタルプラットフォームを、ESG Mobilityはスマート接続アプリを提供している。Dekraはセキュリティとデータ情報送受信を試験し、TTTech Autoは重要部品を提供している。

自動運転車「Mover」向けソフトウェアの開発およびテスト
-フラウンホーファー研究機構傘下のFraunhofer FOKUSは、Schaeffler Paravan Technologieと共同で可変制御技術をSchaeffler (シェフラー)の自動運転車「Mover」に実装したと発表した。「Mover」の自動運転機能は、全ての段階で一貫してバーチャル環境で開発された。Fraunhofer FOKUSPHABAMCSシミュレーターはMover」の特性などのデジタルツインを形成し、タイムテーブルを迅速かつ機敏に評価する。物理空間を正確に再現する3Dシミュレーションにより、「Mover」のセンサー、制御、カードなどの外部インターフェースを操作し、認識、ドライビング、位置情報機能を効率的に開発、テストする。「Mover」のソフトウェア開発はハードウェアの装備と並行して実行でき、テストのコストと時間を最小限に抑えることができたという。(20191126日付プレスリリースより)

東京モーターショー2019出展製品
-同社はアジア太平洋地域で初めて、独自の電気モーターを公開。このモーターは15-300kWの出力クラスで既に開発が進んでおり、量産体制への準備も整っているという。また、90°のステアリング角度を実現したSchaeffler Intelligent Corner Moduleや、自動運転を可能にする重要なテクノロジーのドライブバイワイヤー、都市空間向けの新しいモビリティコンセプト「Schaeffler Mover」なども出展する。アジア地域は日本を含め、同社の研究開発活動において重要な役割を果たすとしており、20196月、横浜の研究開発センターで「Technology Partnering Asia Pacific 2019」を開催した。また、シンガポールにあるアーバンモビリティの研究開発センターでは、新興企業とパートナーシップを組んで、先進のモビリティソリューション、ソフトウェアの開発および試験に取り組んでいるという。(20191023日付プレスリリースより)

自動運転向けXTRONICコントロールユニット
-安全、監視、操作、快適機能を単一のシステムに統合した自動運転用制御ユニット「XTRONIC Control Unit」を発表した。このシステムはエンタテインメントシステムから車両コンポーネントの状態監視に至るまで、幅広く相互リンクされている。また、コネクティビティのための車両のプラットフォームタイプがどのタイプかには関係なく使用できるという。XTRONIC Control Unit」はスマートフォン、タブレットPC、スマートウォッチ向けのアプリケーションにデジタル制御とモニタリングを組み合わせることができ、重要なデータは常にクラウドで利用可能で、モバイルデバイスを介してどこからでもアクセスできる。なお、このシステムは自動運転車のみでなく、商用車やキャンピングカーにも適用できる。同社は最近、複数のグローバルOEM向けにこの製品の量産を開始した。(2019912日付プレスリリースより)

フランクフルトモーターショー出展製品
-2019年9月9日、同社は第3世代のドライブ・バイ・ワイヤ技術「Space Drive」と機能強化した「Schaeffler Mover」をフランクフルト・モーターショーに出展すると発表した。「Space Drive」は自動運転、コネクテッドに重要な技術で2021年の量産開始を視野に開発されており、ステアリング・アクセル・ブレーキ機能を操作する電子インターフェースを持つことで、様々なシーンでの自動運転を可能にする。最新版の「Schaeffler Mover」にはこの「Space Drive」が搭載されており、駆動システム、バッテリー、ブレーキシステム、ステアリングなど走行に必要な全てのコンポーネントをローリングシャシーと呼ばれる単一ユニットに統合している。これにより「Schaeffler Mover」はロボタクシーから自動配送車両まで様々なアプリケーションで使用できるという。「Space Drive」は、自動運転車両のステアリング制御レベルと4輪モジュール「Intelligent Corner Module」の間のギャップを調整する。これらの統合ユニットにより、優れた操作性を発揮する「Schaeffler Mover」は、来客の乗降を可能にする縦列駐車や、その場での方向転換も可能にする。(2019年9月9日付プレスリリースより

統合電気モーター技術プラットフォーム
-モジュール式で高度に統合された技術プラットフォームを用いて、電気モーター製造分野に参入したと発表した。この電気モーターシリーズは、ハイブリッドモジュールから専用ハイブリッドトランスミッション (DHT:dedicated hybrid transmission) まで適用可能で、48~800Vまでの電圧に対応するモーターは、15~300kWの出力性能を持つ。グローバルの顧客プロジェクト向けとした当該製品の量産は、2021年に開始予定。機械部品、製造プロセス、巻線技術の包括的な専門性と全車両システムについての深い知見により、短い開発期間と技術的に洗練された電気モーターの円滑な生産プロセスを実現するという。これらの自社開発で量産可能段階にある電気モーターは、コンプリートシステムとしてフランクフルト・モーターショーに初出展される。(2019年9月6日付プレスリリースより

 
フランクフルトモーターショー出展製品
-フランクフルト・モーターショーで内燃機関向け新技術を出展すると発表した。同社は従来品よりコンパクトかつ約30%軽量で、重量や速度変化が発生した場合でも空気供給を完全最適化する最新型の「UniAir」バルブシステムを披露する。このシステムは関連ソフトウェアと供に、モジュールとしてカムシャフトとバルブシステムの中間に組み込まれる。排気側向け技術として開発された「eRocker」は、電子機械式でエンジンオイル回路から独立し容易に適用が可能。また、いかなる温度域でもバルブタイミングを最適化し、速度や温度に応じて調整を行う電気機械式カムシャフトフェージングユニット(ECP) のほか、5~7%の燃費改善と排出ガス改善を実現するベルト駆動のスタータージェネレーターを装備した48Vハイブリッド技術を展示する。さらに、内燃機関やハイブリッド車 (HV)、電気自動車 (EV) のパワートレイン全体の温度管理を行うサーマルマネジメント・モジュール (TTM) も出展する。(2019年9月4日付プレスリリースより

商用車の電動化対応モジュールシステム
-商用車の電動化対応として、「E-Drive」や「Space Drive」、デジタル化を含んだモジュールシステムを開発していると発表した。「E-Drive」モジュールシステムは、電動モーターやソフトウェア、パワーエレクトロニクスを連動させることで、特に機能面と効率面で顧客毎のシステムソリューションを構築することが可能となるシステム。「Space Drive」は自動運転レベル4と5のベースとなる技術であり、安全で信頼性の高いステアリング性能をもたらす。最先端のドライブ・バイワイヤ技術採用のシステムは、特に厳格なISO 26262 ASIL Dの機能安全規格を満たし、路上での使用を世界的に許可された唯一のシステムソリューションで、トラックの自動運転および半自動運転(隊列走行)にも大きな役割を果たしている。 (2019年6月4日付プレスリリースより)

ステアリングギア騒音低減旋回ベアリング
-電気自動車(EV)のステアリングギアの騒音を低減する旋回ベアリングを開発したと発表した。このベアリングは特別に湾曲した球形のキャップ(ボールソケット)を備え、自身が傾くことにより摩擦トルクと騒音を発生させることなくウォームシャフトの回転を補う。また、ウォームシャフトとウォームギアとの間に隙間が生じないように、ウォームシャフトが放射状に予荷重をかけることができるため、ステアリング方向が変わるたびにウォームシャフトの回転方向が変化して発生する騒音と、歯の側面の接触を低減する。さらにベアリングの回転運動は、ハウジング内の位置ずれも補正するという。(2019222日付プレスリリースより)

 

特許

-2019年、ドイツ特許商標庁での特許出願件数は2,417件。6年連続で出願件数国内2位となった。

 

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
全社 1,045 1,232 1,273


ー2019年12月期における設備投資額は欧州に最も投じられた。

-欧州において、同社はドイツHalleの組立およびパッケージング拠点及びIT20202イニシアチブにかかわる投資を実施した。その他ドイツHerzogenaurachにおける土地の取得、自動車OEM事業における製品立ち上げ費用および電動モビリティにかかわるシステム、部品の生産能力拡大に投じた。また、転がり軸受事業の生産能力拡大にも投資を実施した。

-米州では、Eモビリティ事業における製品やシステムの生産能力拡大、設備及び機械に投資を実施した。また、トランスミッションシステム事業においても投資を実施している。

-中国においては、トランスミッション事業、エンジンシステム事業、及びEモビリティ事業に対して製品立ち上げ費用及び生産能力拡大の投資を実施。また、転がり軸受事業に向けても投じられた。

-アジア太平洋地域において、同社はラジアルインサートベアリング及びニードルローラーベアリングを生産するベトナム拠点の生産能力拡大に注力。また、韓国のトランスミッション事業に向けた投資を行った。

  

ドイツ国外の投資

<ハンガリー>
-ハンガリー投資促進公社(HIPA)は、Schaeffler (シェフラー)Szombathelyに電動ドライブシステムを開発、製造する開発センターを新設すると発表した。同社は新センターに70百万ユーロを投じ、150名の新規雇用を創出する。Szombathelyでは3,320名超の従業員が乗用車および農業用車両クラッチを製造している。平均で約1割の車両がSzombathely工場で製造するクラッチを装備しているという。(20191128日付HIPAプレスリリースより)

-ハンガリー投資促進公社(HIPA)は、SchaefflerDebrecen FAG製品工場に生産ホールを新設したと発表した。80百万ユーロを投じて建設された22,000平方メートルの新ホールは、最先端の研削技術を持つ新施設などを備える。工場拡張により、今後数年間で500名の新規雇用を見込む。同工場では欧州市場向けにベアリングを製造する。(2019116日付HIPAプレスリリースより)

<中国>
-同社は10月23日、中国太倉新拠点の定礎式を行った。この新拠点は太倉ハイテク区に位置する。敷地面積は約9万平方メートル。2022年の竣工、生産開始を目指す。この拠点では自動車エンジン部品、新エネルギー車部品の生産及び航空機用ベアリング業務を手掛ける。また、Schaeffler は太倉朝暘路工場をこの新拠点に移転させる計画である。現在、太倉拠点は産業パーク2つ、工場4つ、デュアルシステムトレーニングセンター1つ、総合サービスセンター1つから成っている。新拠点が完成すればSchaeffler太倉拠点の敷地面積は23万平方メートルを超えることになる。(2019年10月24日付け複数メディア報道より)

-同社は9月6日、湖南湘江新区(XiangJiang New Area, Hunan)に独資で新会社を設立することで同区管理委員会と協定書を結んだ。新会社では自動運転分野に応用するSpace Driveステア・バイ・ワイヤー技術を導入し、未来の自動運転が求めるMoverプラットフォームシステムと90度インテリジェントステアリングモジュールを開発し、無人運転の様々なシーンに応える。Space Driveステア・バイ・ワイヤー技術は現在、自動運転領域で唯一欧州標準に適合している重要技術。Schaeffler AGはさらに湖南湘江新区に新しいR&Dセンター及び自動運転自動車研究院を建設し、同社にとって中華圏で2番目となる研究開発センターとする計画である。(2019年9月9日付け複数メディア報道より)

-Schaeffler AGの子会社舎弗勒(南京)有限公司[Schaeffler (Nanjing) Co., Ltd.]は先ごろ4号工場棟の着工式を行った。新工場棟は22,000平方メートルで、主に800-1600mm、1200-2000mm、2000+mmなどラージサイズのベアリング生産に使用する。2020年7月の稼働開始を目指す。舎弗勒(南京)有限公司は2014年に生産を開始して以降、すでに生産工場棟3棟、中央倉庫1棟を建設している。総敷地面積は260,000平方メートル。製品は18シリーズを生産している。(2019年8月20日付けリリースより)

<ベトナム>
-ベトナムのドンナイ省ビエンホア(Bien Hoa)に新工場を設立したと発表した。同社はフェーズ1として45百万ユーロを投じて広さ25,000平方メートルにおよぶ建屋を開設、300人の追加雇用を創出するとしている。新工場では、テーパードローラーベアリング(TRB)やラジアルインサート玉軸受(RIBB)、ステアリングコラムベアリング(SCB)などの既存製品の生産能力増強のほか、RIBBの新製品やグループの旗艦製品であるニードルローラーベアリング(NRB)の生産ラインを新設するという。また、工場内の主要位置に70台の状態監視装置を設置するなど先進技術を導入し、東南アジアでは同社が開発したインダストリー4.0ソリューションを取り入れる最初の拠点となるとしている。(2019年5月9日付プレスリリースより

<インド>
-2018年度にインド内で24億ルピーを投資したと伝えた。これらの投資はTalegaonSavliにある工場の拡張とエンジニアリング能力を増加させるために行った。この投資により、全工場での生産能力が増加し、柔軟な対応を維持しながら、国内市場の要求に迅速かつ的確に応えることができるようになる。なおSavli工場では、騒音レベルと摩擦を大幅に低減させた低摩擦ボールベアリングの生産を行っており、Talegaon工場ではOEMが排出基準をクリアするために役立つ、内燃機関用のエンジン部品を生産しているという。(Schaeffler Indiaannual report 2018より

<メキシコ>
-Mexico-Nowは、SchaefflerがメキシコCuautitlan Izcalli自動車用アフターマーケット組立および包装センターの操業を開始したと報じた。18,000平方メートルのアフターマーケットキッティングオペレーション(AKO)では、米国、メキシコ、中米、南米市場向けにアフターマーケットサービスを提供する。560万ドルを投じて開設した新センターでは、毎日124,000個超の商品の受取、梱包、出荷が可能だという。(2019年2月15日付 Mexico-Nowより)