トヨタ紡織 (株) 2013年3月期の動向

ハイライト

業績

 (単位:百万円)
  2013年
3月期
2012年
3月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 1,079,497 964,295 11.9 -増産および円高是正の影響
営業利益 25,302 20,910 21.0 -製品価格変動の影響、労務費・諸経費の増加などの減益要因はあったものの、増産増収の影響、合理化などが寄与
経常利益 33,914 23,225 46.0
当期純利益 15,792 3,232 388.6

要因
<日本>
-エコカー購入支援政策およびトヨタ 「Aqua」 の増産効果などにより売上高は前年比8.7%増加の621,933百万円。
-営業利益は増産効果などにより前年比36.9%増加の5,735百万円。

<北中南米>
-トヨタ 「Corolla」、「RAV4」の増産効果などにより売上高は前年比24.0%増加の176,591百万円。
-営業損失は、Toyota Boshoku Do Brasil Ltda.の生産準備費用の影響などはあったものの、増産効果や収益構造改革の成果などにより前年比2,435百万円 (2012年3月期:5,928百万円の営業損失) 減少の3,493百万円。

<アジア・オセアニア>
-IMVの増産効果などにより売上高は前年比11.4%増加の278,578百万円。
-営業利益は増産効果などにより前年比12.9%増加の28,174百万円。

<欧州・アフリカ>
-フランス生産のトヨタ 「Yaris」 の増産効果、POLYTEC Holding AGの内装事業部門を取得し、Boshoku Automotive Europe GmbHとして事業を開始したこと等により、売上高は前年比18.3%増加の60,328百万円。
-営業損失は固定費の増加などにより前年比3,097百万円 (2012年3月期:3,048百万円の営業損失) 増加の6,145百万円。

国内事業

-ハイブリッド車 (HV) 用のモーターコア事業に初参入したと発表した。シートリクライナーで蓄積した精密プレス加工技術を生かし、製品化した。猿投工場に生産ラインを新設し、金型から部品の量産まで自前で製造する体制を構築した。生産能力は年20万個。昨年12月からトヨタ自動車の新型「クラウン」向けに供給開始した。トヨタのHV向けモーターコアは従来、三井ハイテックがほぼ独占供給してきたが、トヨタ紡織が新規参入した。 (2013年1月17日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<ラオス>
-2014年4月をめどにラオス・サワンナケート県に新工場を設置すると発表した。同社がラオスに生産拠点を設置するのは初めて。タイのゲートウェイ工場の生産能力を増強することに合わせ、シートカバーの裁断、縫製工程の一部をラオス工場に移管する。ラオスでは14年4月にシートカバーなどを生産開始し、ゲートウェイ工場に供給する。ラオス工場をタイのサテライト拠点として活用し、生産能力の確保やコスト低減につなげる。新工場には約5億円を投じ、年20万台分の生産能力を確保する計画だ。 (2013年4月9日付日刊自動車新聞より)

<中国>
-中国・遼寧省瀋陽市に自動車用内装部品の生産会社を設立すると発表した。7月に設立し、2016年の生産開始を目指して新工場を建設する。中国では13カ所目の生産拠点になる。BMWの合弁工場に納入すると見られる。新会社「瀋陽豊田紡織汽車部件有限公司」は中国事業を統括する子会社、豊田紡織 (中国) 有限公司が100%出資し、資本金1億4千万元 (約20億円) で設立する。生産開始当初は従業員数70人でスタートし、天井、ドアトリムなどを生産する。 (2013年3月30日付日刊自動車新聞より)

-中国の技術開発力強化に向けて上海市の地域統括会社「豊田紡織 (中国) 有限公司」を移転し拡充すると発表した。5月に本社およびR&Dセンターの新社屋の建設に着手、2014年7月に稼働させる予定で、現地での製品設計から評価までを一貫して完結できる体制を整える。新社屋建設への投資額は約20億円としている。 (2013年3月1日付日刊自動車新聞より)

受注活動

-世界各地で新規顧客の開拓を加速。受注活動を本格化した2012年以降、日米欧、中国、東南アジアでトヨタ自動車以外のメーカーを対象にした技術展示会を計6回開催した。提案体制も世界5極に新規顧客開拓の専門部隊を配置。独BMWなどの欧米勢、日産自動車、ホンダを始めとする日本勢、中国の民族系メーカーなど全方位でアプローチしている。トヨタ向けビジネスでは海外を中心に競合の米Johnson Controls Inc.が台頭して来ているが、トヨタ紡織は系列外にも目を向けることで世界の内装大手を追撃する態勢を整えようとしている。 (2013年6月6日付日刊自動車新聞より)

-新開発のスポーツシートがトヨタ自動車の新型レクサス 「IS」 のスポーティーバージョン「Fスポーツ」に採用されたと発表した。新開発したスポーツシートは、身体の曲線に合わせた理想的な凹断面形状とし、身体全体を包み込むフィット感と、旋回時にかかる重力加速度から腰や肩を保持するホールド性を確保した。従来は、成形したウレタンにシート表皮を被せる工法を採用していたが、同シートでは金型にセットしたシート表皮の中にウレタン原料を注入して発泡させる「表皮一体発泡工法」を採用することによって理想的なシート形状を実現した。 (2013年5月28日付日刊自動車新聞より)

-同社の豊田周平社長は23日、愛知県豊田市内で開いた記者懇談会で、独BMWから中国で初受注したことを明らかにした。BMWが現地生産する5シリーズ向けのシートバックボードを供給する。2013年度中に中国・天津に専用工場を新設して生産を始める。中国にBMW向けの供給拠点を設けるのも初めて。 (2013年1月24日付日刊自動車新聞より)

合弁事業

-トヨタ紡織は、中国地域統括会社の豊田紡織 (中国) 有限公司と広州汽車集団零部件有限公司が共同出資し、中国の広東省河源市に自動車用内装部品を生産する合弁会社「河源豊田紡織汽車部件有限公司」を7月に設立すると発表した。新会社の資本金は約210万ドル (約2億円) で、出資比率は豊田紡織75%、広州汽車25%。約414万ドル (約4億円) を投資し、約1万7千平方メートルの敷地に建屋面積約8700平方メートルの工場を建設する。2013年9月に自動車のシートカバーなどの内装部品の生産を開始する。生産能力は年間23万台で、生産した製品は、シートを生産する広州桜泰へ供給する。組み立てたシートは広汽豊田汽車有限公司へ納入する。 (2013年6月28日付日刊自動車新聞より)

-トヨタ紡織は、パキスタンの自動車部品メーカー、タール社と豊田通商の3社で、パキスタンに自動車部品製造の合弁会社を設立すると発表した。タイなどで生産していた同国向けのシートフレーム部品などの組み立てを、タール社の工場を活用して現地化する。パキスタンでは同社として初の生産拠点になる。新会社「タール紡織パキスタン」はタール社が55%、トヨタ紡織が35%、豊田通商が10%を出資し、8月に設立、本社はカラチ市のタール社の敷地内に置く。 (2013年5月10日付日刊自動車新聞より)

共同開発

-スイスの部品メーカー、Autoneumや日本特殊塗料と防音機能を強化した内装パッケージを共同開発し、自動車メーカーへの提案を始めた。昨年7月に協業を決めたオートニウムと日本特殊塗料は防音部品の技術を蓄積している。これを活用し、走行中の車室内での会話明瞭度を従来に対して2割高める。オートニウムと日本特殊塗料とは車両の電動化によって車室内でモーター音や風切り音が増えることへの対応まで含めて、防音機能を持たせた新製品を開発するとしていた。一方、東海ゴム工業と東海化成工業とは導電ゴム技術や発泡ウレタン技術などを生かし、乗り心地や安全性、内装周りの利便性を高めることにした。 (2013年6月19日付日刊自動車新聞より)

事業再編

-同社は、5月27日に発表したTBカワシマの子会社化に伴う株式取得の時期を当初の7月1日から7月中または8月中に延期すると発表した。私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律 (独占禁止法) の審査に対応するため取得予定日を遅らせる。審査後、TBカワシマが第三者割当増資により発行する株式2万株を取得する。取得額は12億8500万円。これにより、持ち株比率は現在の39%から56.7%に高まる。TBカワシマが全額出資する米子会社、TBカワシマUSAもトヨタ紡織が子会社化する。 (2013年7月5日付日刊自動車新聞より)

-トルコで内装部品の生産体制を再編したと発表した。生産子会社TB Sewtech Turkey Ltd.を新設し、シートカバーを既存拠点と並行生産する形に切り替えた。新工場はこのほど、トヨタ自動車がトルコ工場で立ち上げた新型「Corolla」向けに供給を開始した。労働集約型のビジネスとなるシートカバー生産をトヨタの工場から約70キロメートル離れた場所に一部移転することで、労務費を抑制したり、人材を確保しやすい環境を整えた。今後は新会社を欧州向けの供給基地として活用することも視野に入れている。納入先や生産品目を増やし、事業規模を拡大する。 (2013年7月3日付日刊自動車新聞より)

2014年3月期の見通し

 (単位:億円)
  2014年3月期
(予想)
2013年3月期
(実績)
増減 要因
全社
売上高 11,000 10,794 206
営業利益 300 253 47
経常利益 340 339 1
当期純利益 160 157 3
セグメント別売上高
日本 6,000 6,219 (219) -減産減収の影響はあるものの、徹底した合理化などにより増益へ
北中南米 1,900 1,765 135 -上半期にトヨタ 「Highlander」、「Corolla」のモデルチェンジ費用はあるものの、収益構造改革の進捗などにより赤字縮小へ
アジア・オセアニア 3.000 2,785 215 -増産の効果はあるものの、中国での新規顧客関連費用 (瀋陽新会社) ・R&Dセンター建設、ラオス新会社設立など将来の収益基盤強化に向けた費用の増加により増収減益に
欧州・アフリカ 750 603 147 -トルコ生産のトヨタ 「Corolla」 の増収効果、Boshoku Automotive Europeなどでの新規顧客売上の増加および収益構造改革による合理化効果などにより赤字縮小へ
>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

 (単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全社 36,321 32,543 32,434

研究開発拠点
-日本で先端・先行開発を実施し、製品開発は客先の開発拠点のある各地域拠点で実施。

地域 所在地
日本 -猿投開発センター (愛知県豊田市)
-大口開発センター (愛知県丹羽郡)
-刈谷開発センター (愛知県刈谷市)
北中南米地域 米国ケンタッキー州
中国 中国上海
アジア・オセアニア地域 タイ バンコク
欧州・アフリカ地域 ベルギー ザベンタム
デザインスタジオ イタリア ミラノ

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2013年3月期 2012年3月期 2011年3月期
全社 36,805 37,583 41,229

-新製品への対応、生産設備の合理化・更新などの投資を重点に実施。

<日本>
-主に新製品対応、生産設備の合理化・更新、TB物流サービス株式会社の物流センター設立などに18,866百万円を投資。

<北中南米>
-主に新製品対応、生産設備の合理化・更新などに5,222百万円を投資。

<アジア・オセアニア>
-主に新製品対応、生産設備の合理化・更新などに9,316百万円を投資。

<欧州・アフリカ>
-主に新製品対応、生産設備の合理化・更新、 Boshoku Automotive Europe GmbH の生産準備などに3,399百万円を投資。

設備の新設

 (2013年3月31日現在)
会社名/事業所名 所在地 設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了予定
猿投工場 愛知県
豊田市
シート、ドアトリムの新製品対応、設備の維持更新 6,576 2013年
4月
2014年
3月
刈谷工場 愛知県
刈谷市
エアフィルター等の新製品対応、設備の維持更新 2,732 2013年
4月
2014年
3月

2014年3月期 設備投資額見通し

(単位:億円)
  2014年3月期
(予想)
2013年3月期
(実績)
増減
日本 160 189 (29)
北中南米 80 52 28
アジア・オセアニア 180 93 87
欧州・アフリカ 90 34 56
合計 510 368 142