株式会社ジーエス・ユアサ コーポレーション 2006年度の動向
ハイライト
業績 | (単位:百万円) |
- | 2007年3月期 | 2006年3月期 | 増減率 | 要因 |
全体 | ||||
売上高 | 260,732 | 243,428 | 7.1% | 下記1)参照 |
営業利益 | 6,789 | 5,652 | 20.1% | 下記2)参照 |
経常利益 | 5,517 | 5,099 | 8.2% | |
当期純利益 | 4,130 | 598 | 590.6% | |
電池及び電源 | ||||
売上高 | 220,582 | 198,905 | 10.9% | 下記3)参照 |
営業利益 | 7,594 | 5,347 | 42.0% | 下記4)参照 |
要因
1)国内市場では自動車電池が微増にとどまったものの、産業電池及び電源装置が好調に推移し、また、海外連結子会社においても原材料価格高騰対策としての販売価格の改定効果が現れたことなどで増収。
2)主要原材料である鉛等のさらなる価格高騰により、調達コストが大幅に増大したが、売上高の増加、人件費をはじめとした経費の減少など前連結会計年度に取り組んだ構造改革計画の効果が伸長したことに加えて、第一次中期経営計画への取り組みを推進したことなどによる利益増により、当連結会計年度の営業利益は増加。一方で、持分法適用会社において発生したクレーム損失により、持分法損益が大幅に悪化し、経常利益は前連結会計年度に比べ8.2%の増加にとどまった。
3)自動車用電池に関しては、国内では新車用は値上げ効果や数量増により増加。補修用は、夏季需要期の伸びがなかったこと、暖冬による需要の低迷、他社との価格競争の激化など、総じて厳しい状況が続いた。自動車関連機器は、堅調に推移。
4)経費削減への取り組みを推進したが、売上機種構成の変化、主要原材料のさらなる高騰が影響。
事業統合
2006年10月同社は、全額出資の子会社3社を07年1月1日付で合併すると発表した。合併対象となる子会社は存続会社となる産業用電池などの製造販売をするジーエス・ユアサパワーサプライと、被合併会社となる自動車用電池の製造や新車用自動車電池の販売などを行うジーエス・ユアサマニュファクチュアリング、同じく特機機器などの製造・販売を行うジーエス・ユアサインダストリーの3社。新会社は「ジーエス・ユアサパワーサプライ」の商号とし、本社は京都市南区に置く。(2006年10月28日付日刊自動車新聞より)
第一次中期経営計画
(1)計画期間:2006年4月から2009年3月
(2)最終年度2008年度損益目標と経営指標
売上高:2,600億円
営業利益:130億円
経常利益:120億円
(3)事業戦略課題
①国内自動車電池事業の利益改善
②中国・アジア事業の拡大
③HEV・EV市場への本格的参入
④産業電池電源事業の収益基盤の強化
⑤サービス事業の強化
⑥大型リチウムイオン電池事業の拡大
⑦有望周辺事業の強化
開発動向
研究開発体制
・電池及び電源の研究開発は、以下にて実施
- 同社研究開発センター
- ㈱ジーエス・ユアサ パワーサプライの自動車電池事業本部技術開発本部及び産業電池電源事業本部電源システム生産本部開発部
- ㈱ジーエス・ユアサ テクノロジーの大型リチウムイオン技術部
- 統一工業股份有限公司の研究グループ
- Yuasa Battery, Inc.の開発グループ
<2007年3月期の研究内容>
・自動車用電池の分野では、電池の状態を常時自己診断し、異常を光と音で知らせるセンサー機能を有した電池「SENSIA」を開発。この電池はバッテリートラブルを未然に防止する事を可能にし、補修市場向けに販売を開始した。また、燃費の向上を目的に、走行状態とバッテリーの充電状態に応じて発電状態(充電電圧)を制御し、エンジン負荷を低減させる充電制御車が近年増加しており、同社ではこれに対応するバッテリー技術を開発。この技術を適用することで、同社従来品比で平均約2%の二酸化炭素排出量を削減し、かつ約2%の燃費向上効果を期待。今後は更に検証を進め、この技術を用いた新商品を早期に販売していく予定。
・ハイブリッド自動車(HEV)用電池の分野では、同社独自の内部抵抗低減技術と電極技術を総合したペースト式ニッケル水素電池の高性能化を行い、Dサイズ円筒形電池としては世界最高水準の高出力である1800W/kg以上を達成。現在はその量産化に向けての準備に取り組んでいる。また、リチウムイオン電池については、すでに開発済みの「EH6」に加え、より小さな容量の「EH4」を新たに開発し、世界最高水準の高出力と長寿命の両立を達成。現在、量産に向けたモデルラインを導入し、量産化に向けての事業化開発に取り組んでいる。さらに、電子制御のバックアップ電源用として、高温環境下での長寿命化を実現した「タフィオン」など、リチウムイオン電池の特徴を用途別に活かした新製品の開発も行っている。
・大型リチウムイオン電池の分野では、これまで展開してきた特殊用と産業用に加え、自動車用を中心とした新たな市場での量的拡大が確実視されており、この市場ニーズに迅速に対応するため、一般産業用に製品化し量産経験と市場実績を重ねている「LIMシリーズ」をベースに、その構造や極板材料などを見直した大容量の新型リチウムイオン電池「LEV50」を開発した。「LEV50」は、三菱自動車が2010年までに市場投入を目指している次世代電気自動車「i-MiEV」の試作車に供給を開始している。
開発詳細
2006年11月、新型リチウムイオン電池「タフィオン」を開発した。ハイブリッド車など、電子制御の進展に伴い高度な信頼性を要求されるようになった電源バックアップ用途などへの採用を見込んでいる。新型電池は、負極活物質にチタン系酸化物を採用し、電解液との副反応を大幅に抑える新技術を採用することで、従来の電池で不可能だった高温時の使用と、エネルギー密度を維持することが特徴。(2006年11月16日付日刊自動車新聞より)
2007年2月、次世代ハイブリッド自動車用のニッケル水素電池「プロシウム(PROTHIUM)」を開発したと発表。新電池は円筒形で世界最高水準の出力密度1800ワット/キログラム(セル基準)を達成し、車両の燃費と加速向上などに大きく寄与するとともに、出力当たりの単価では従来製品比で20%のコストダウンを実現する。「プロシウム」の開発にあたっては電池の内部抵抗を従来の50%以下とする新工法を採用。同時に、活物質の充電・放電時の抵抗を大幅に抑制する独自の電極技術を適用し、ニッケル水素電池の性能を大幅にアップ。出力密度は円筒形で同社の第1世代製品の2倍、第2世代の1・4倍となり、高温環境での耐久性も従来製品の2倍に向上した。出力、エネルギー回生にも優れるため、用途はハイブリッド自動車用を始め、電動自転車、電動工具や高出力が要求されるエネルギー回収用電池としての利用が見込まれている。(2007年2月3日付日刊自動車新聞より)
2007年3月、同社のグループ企業であるジーエス・ユアサパワーサプライはCO2(二酸化炭素)の削減と燃費向上の両面に効果のある自動車用バッテリー技術を開発したと発表。新技術を採用した新商品は2007年夏に発売する予定。新技術は、バッテリー部品の極板の添加物バランスを最適化し、充電受け入れ性能を従来製品比で約10%向上した。近年の新車の大半で採用されている燃費向上を目的とした「充電制御技術」車に搭載した場合、従来の製品と比べて平均約2%のCO2削減効果と燃費の向上効果があることが、国土交通省制定の「10・15モード」テストで実証された。(2007年3月13日付日刊自動車新聞より)
設備投資
設備の新設(抜粋) | (単位:百万円) |
事業所名 /所在地 |
設備の内容 | 投資 総額 |
着手 | 完成予定 | 完成後の 増加能力 |
ジーエス・ユアサ コーポレーション (京都市南区) | 研究開発設備 | 1,204 | 2007年 3月 |
2008年3月及び2008年4月以降 | 研究開発設備の拡充 |
(株) ジーエス・ユアサ パワーサプライ (京都市南区) | 自動車用・ 鉛蓄電池等の製造設備 |
1,585 | 2007年 3月 |
2008年3月及び2008年4月以降 | コスト低減 |
電源装置・産業用鉛蓄電池等の製造設備 |
1,083 | 2007年 3月 |
2008年3月及び2008年4月以降 | コスト低減 | |
統一工業股份有限公司 Ztong Yee Industrial Co., Ltd. (台湾 台南県 永康市) |
鉛蓄電池の 製造設備 |
570 | 2006年 12月 |
2008年3月及び2008年4月以降 | 生産能力の拡充 |
GS Battery Vietnam Co., Ltd.(ベトナム ハノイ市) |
鉛蓄電池の 製造設備 |
431 | 2006年 12月 |
2008年3月及び2008年4月以降 | 生産能力の拡充 |
杰士電池有限公司 Jieshi Battery Co., Ltd. (中国無錫市) |
鉛蓄電池の 製造設備 |
480 | 2007年 1月 |
2008年3月及び2008年4月以降 | 生産能力の拡充 |
Yuasa Battery, Inc.(アメリカ ペンシルバニア州) | 鉛蓄電池の 製造設備 |
569 | 2006年 12月 |
2008年3月及び2008年4月以降 | 生産能力の拡充 |