Honeywell International Inc. 2013年12月期までの動向

ハイライト

近年の動向

事業概況 (2013年12月期)

輸送システム部門
-2013年12月期の売上高は、前年比5.4%増加の3,755百万ドル (2012年12月期:3,561百万ドル)。新車販売の好調とターボ搭載率の上昇が寄与した。

企業買収

-2011年、完全子会社のEgret Acquisitionが、EMS Technologiesの買収を完了したと発表。なお、Egret AcquisitionとEMS Technologiesを合併し、EMSを存続会社とする予定。 (2011年8月22日付プレスリリースより)

-2011年、EMS Technologies, Inc.を買収することで正式合意したと発表。EMSは米国を本拠とし、モバイルネットワーキングや衛星通信用のソリューションを提供している。買収金額は約491百万米ドル。EMSのモバイルリソース管理ソリューションには、多重無線システムや衛星による追跡・監視システムを搭載した車載コンピューターなどが含まれる。なお、買収手続きは2011年第3四半期に完了する見込み。 (2011年6月13日付プレスリリースより)

売却

-2014年1月、Federal-Mogulの欧州子会社に自動車および産業用ブレーキ摩擦材事業の大部分を売却することで正式合意。中国およびルーマニアで最近設立した2工場も含まれる。今回売却するHoneywell Friction Materialは、ドイツのGlindeを本拠とし、従業員数は世界全体で2,000名超。乗用車・小型トラック・商用車のほか、鉄道など産業機器向けのディスクブレーキパッドやブレーキシステム部品を生産し、自動車メーカーやアフターマーケット向けに供給している。売却金額は約155百万ドル。手続きは2014年第2四半期に完了する見込み。(2014年1月7日付プレスリリースより)

-2010年10月、車載センサー製品事業をSensata Technologies (オランダ) に売却することで合意した。売却金額は140百万米ドルで、2011年初頭に手続きが完了する見込み。同事業ではカムセンサー、クランクシャフトセンサー、トランスミッションセンサー、ベーンセンサー、圧力センサー、ポジションセンサー、ホイールスピードセンサーなどを扱っている。年間売上高は約130百万米ドル。なお、この事業は同社のセンシング&コントロール (Sensing and Control) ユニットに含まれる。 (2010年10月28日付プレスリリースより)

合弁事業

-2011年、中国中化集団 (Sinochem Group) と中国に折半出資による合弁会社を設立することで合意したと発表。新会社は江蘇省の太倉 (Taicang) 市に位置し、非オゾン破壊性の硬質発泡フォーム「HFC-245fa」を生産する。建設・輸送・電化製品などの断熱材に使用されるもの。生産開始は2013年後半の見込み。また、Honeywellが発表した次世代のハイドロフルオロオレフィン (HFO) の発泡剤「Solstice Liquid Blowing Agent」も生産する予定。さらに、新会社はアジアにおける「HFC-245fa」の独占販売権も取得している。 (2011年10月10日付プレスリリースより)

受賞

-2012年、Fordより「World Excellence Award」で銀賞を受賞したと発表。同社のイタリアAtessa工場は、2011年にFordに納入したターボ50万台に関して、納期厳守率 99.5%・部品不良率6PPMを達成している。(2012年6月25日付プレスリリースより)

受注

<2013年>
製品 搭載モデル エンジン
可変ノズルタービン (VNT) 式ターボチャージャー Fiat 「500L」 1.6L Multi Jet IIディーゼルエンジン
ターボチャージャー Honda 「Amaze」 1.5Li-DTECディーゼルエンジン
ターボチャージャー Chevrolet 「Cruze Clean Turbo Diesel」 2.0Lディーゼルエンジン
ターボチャージャー Jeep 「Grand Cherokee」 3.0L EcoDiesel V6エンジン
ターボチャージャー Dodge 「Ram 1500」 3.0L EcoDiesel V6エンジン
ターボチャージャー Mazda 「Mazda 6」 2.2L Skyactiv-Dエンジン

<2012年>
製品 搭載モデル エンジン
ターボチャージャー Fiat 「Viaggio」 1.4L ガソリンエンジン
ディーゼル用可変ノズルタービン (VNT) 長城汽車 「Haval 5」 -
ディーゼル用可変ノズルタービン (VNT) 長城汽車 「Haval 6」 -
ターボチャージャー Chevrolet 「Cruze Eco」 -
ターボチャージャー Chevrolet 「Sonic」 -
ターボチャージャー Chevrolet 「Dodge Dart」 2013年モデル -
ターボチャージャー Fiat 「500 Abarth」 -
ターボチャージャー Chevrolet 「Silverado」 -
ターボチャージャー Volkswagen 「Touareg」 -
ターボチャージャー Tata 「Indica V2」 1.4L WGターボエンジン

<2011年>
製品 搭載モデル エンジン
ターボチャージャー 奇瑞汽車 (Chery) 「Riich G5」 2.0L ガソリンエンジン
ターボチャージャー 安徽江淮汽車 (JAC) 「Refine」 2.0L 4気筒ディーゼルエンジン
ターボチャージャー 安徽江淮汽車(JAC) 「Rein」 1.9L ディーゼルエンジン

<2010年>
 製品 搭載モデル エンジン
ターボチャージャー Chevrolet 「Cruze Eco」 1.4L
ボールベアリング Daimler 「Mercedes S350 BlueTec」 3.0L V6ディーゼルエンジン
2ステージ式パラレルターボチャージャー Land Rover 「Range Rover」 2011年モデル 4.4L V8ディーゼルエンジン
ターボチャージャー Daimler 「Mercedes S Class」 4.6L V8エンジン
ターボチャージャー Daimler 「CL Class」 4.6L V8エンジン
ターボチャージャー Chevrolet 「Cruze」 (2011年型、米国仕様) -
ターボチャージャー Volkswagen 「Polo」 (2010年型、欧州仕様) -
ターボチャージャー BMW 「X-6 ActiveHybrid」 -
ターボチャージャー 広汽フィアット (GAC-Fiat) -
ターボチャージャー 江准汽車 (JAC) -
可変ノズルタービン (VNT) 式ターボチャージャー Ford 「F-Series Super Duty」 6.7L ディ-ゼルエンジン
可変ノズルタービン (VNT) 式ターボチャージャー Volkswagen 「Polo BlueMotion」 1.2L ディーゼルエンジン
可変ノズルタービン (VNT) 式ターボチャージャー GM 小型ディーゼルエンジン 「Duramax」
ターボチャージャー Chevrolet 「Cruze」 1.4L

<2009年>
製品 搭載モデル エンジン
ターボチャージャー BMW 「760 Li」、「X6 M」、「X5 M」 -
ターボチャージャーシステム Jaguar 「XF」 3.0L V6ディーゼルエンジン

<2008年>
製品 搭載モデル エンジン
ターボチャージャー Ford 「Lincoln MKS」 (2010年モデル) 3.5L V6エンジン
ターボチャージャー BMW 「X6 xDrive50i」 V8ガソリンエンジン
ターボチャージャー Audi 「Audi A4」 3.0L ディーゼルエンジン
ターボチャージャー 起亜 (Kia) 「cee'd」 1.6L ディーゼルエンジン
可変ノズルタービン(VNT)式ターボチャージャー Tata 「Safari」 -
可変ノズルタービン(VNT)式ターボチャージャー Tata 「Xenon」 -

開発動向

研究開発費

(単位:百万米ドル)
  2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
全社 1,804 1,847 1,799
売上に対する比率 4.6% 4.9% 4.9%

-2010年、「米国再生・再投資法」 (American Recovery and Reinvestment Act) に基づき、米国エネルギー省から助成金27.3百万ドルを受領すると発表。この資金を元に、同社は六フッ化リン酸リチウム (LiPF6) 電解質塩の米国No.1サプライヤーとなることを目指す。LiPF6はハイブリッド車・電気自動車に使用されるリチウムイオン電池の主要原材料。同製品の製造プロセス開発は、米国ニューヨーク州Buffaloにある研究開発拠点が担当した。 (2010年5月24日付プレスリリースより)

研究開発体制

-同社のR&Dの活動拠点は、4か所:米国、欧州、インドおよび中国。

-2008年5月、チェコのBrnoに、ターボチャージャー技術に特化したR&Dセンターを開設。同社にとって5番目となるグローバルR&Dセンターで、統合エンジニアリング・マーケティングリサーチ機能を活用し、商用車/乗用車向け次世代ターボチャージャーの開発・検証などを行う専門施設。

製品開発

ターボチャージャー
-2014年、Honeywell Turbo Technologiesは、100種類以上のターボチャージャーの新製品を発表する計画。これらの製品には20を超える新技術が使われるとみられる。乗用車・商用車のガソリン、ディーゼル、天然ガス、ハイブリッド用のパワートレイン向けにグローバルで納入する。同社は現在、500以上のターボチャージャーのプログラムに取り組んでおり、これらの製品はすべて数年以内に発売される見込み。なお、Honeywellの可変ノズルタービン (VNT) 式ターボチャージャーは、Fiat 「500L」の1.6L Multi Jet IIディーゼルエンジンに採用された。このVNT式を含め、同社のターボチャージャーは、燃費・性能の向上と排出ガス低減を最適にバランスさせたとしている。(2014年2月10日付プレスリリースより)

-2012年、Honeywell Transportation Systems傘下のHoneywell Turbo Technologiesは、1.0L以下の超小型2気筒ディーゼルエンジン向けに、空気抵抗を最適化したターボ製品を開発した。インドにおいて、0.8Lエンジンに採用されている。また、Tata 「Indica V2」 の1.4L WGターボエンジン向けターボチャージャーなど、複数のターボチャージャー製品も発表。今後同社は、第3世代可変ノズルタービン (VNT) と回転式電動アクチュエーターを組み合わせた、可変ジオメトリーVNTターボなどの開発にも取り組んでいく。なお、インドにおいて同社は、2005年にPune工場を開設。その後、Bangaloreの技術センターで自動車用製品の製品開発・試験などを行い、インド事業を拡大している。 (2012年1月2日付プレスリリースより)

-2006年9月、世界初のパラレルシークエンシャルデュアルステージディーゼルターボシステムの生産開始を発表した。PSA 「407」、「607」 およびCitoroen 「C5」、「C6」 の4シリンダーエンジンに搭載される。この新しいターボ・システムは2006年のパリモーターショーで同社のターボ技術のスタンドに展示される。この新型 デュアルステージターボシステムのPSAとの共同開発は2003年に開始された。大型のターボの前に小型の高圧ターボを配置するシリアルシーケンシャル ターボチャージャーの構造を使わず、PSAと同社はこの新しいエンジン・プラットフォーム用にパラレルシーケンシャルの配置を選んだ。2基の小型ターボが 並列で配置され、高速回転時には同時に使用され、低速回転時には一基のみが働く構造になっている。 (2006年9月28日付プレスリリースより)

カーエアコン用冷媒
-2010年、カーエアコンの次世代冷媒としてデュポンと共同開発した「HFO-1234yf」が自動車メーカー各社に採用される見通しになった。欧州が 2011年から世界に先駆け開始する地球温暖効果の低い冷媒の使用義務化に合わせて開発されたフッ素系のガス。代替冷媒では二酸化炭素 (CO2) も有力候補の一つだった。しかし、車両の燃費、コストなどを勘案すると、1234yfに総合的なメリットがみられることから、冷媒の新しいグローバルスタンダードの座を手中にした。両社は2011年から新冷媒の生産を共同で立ち上げ、2015年をめどにグローバル供給体制を整える計画。 (2010年6月28日付日刊自動車新聞より)

-2009年8月、カーエアコン用の新規低GWP (低地球温暖化係数) 冷媒「HFO-1234yf」が日本での商業的用途で輸入許可が得られたと発表。国内での実用化については化学物質審査規制法関係当局が審査を行ってきた。その結果、1234yfは輸入数量の制限や特別管理、モニタリングを必要としないことが判定された。1234yfは、既存のカーエアコンシステムを流用できるため既存車両でも簡単に代替冷媒に切り替えられる。冷却効果が高く燃費削減につながるといったメリットも持つ。欧州では、2011年から発売される新車についてGWPが150未満のカーエアコン用冷媒を使用することが義務付けられている。現行のカーエアコン用冷媒 「HFC-134a」 のGWPが1300であるのに対して1234yfのGWPは4。325分の1という低水準を実現した。 (2009年8月17日付日刊自動車新聞より)

-2006年2月、地球温暖化 (GWP) 物質の使用量削減に関する2011年EU環境基準に適合する、自動車エアコン用冷媒を発表した。この新技術は最小限のシステム改造で、HFC-134aの直接代替物として使用可能なことが試験実証済み。同社では、二酸化炭素よりもさらに実用的でコストのかからない解決策であるとしている。この技術の更なる詳細は、3月に東京で開催される自動車技術会 (JSAE) 自動車空調会議で発表される。 (2006年2月16日付プレスリリースより)

技術提携

-2014年1月、旭硝子は23日、米ハネウェルとデュポンが共同開発したエアコン新冷媒「HFO-1234yf」の生産を、2015年に始めると発表した。千葉県に製造拠点を新設し、独自製法で生産する。旭硝子がガスを生産し、ハネウェルが欧州、米国、アジアの各顧客へ販売する。ハネウェルが保有する米国生産拠点と合わせて、日本を含めた世界的な需要増加に対応する。1234yfは地球温暖化係数 (GWP) が1以下で、二酸化炭素よりGWPが低い新冷媒。欧州カーエアコン指令などの規制対象地域では、新車用として採用が広がっている。日本でも15年に高GWP冷媒への規制が始まる予定だ。同ガスを搭載する自動車は世界に約50万台あり、14年末までに200万台に増える見通し。(2014年1月24日付日刊自動車新聞より)

-2010年5月、DuPontとカーエアコン用の新冷媒を生産する合弁事業を立ち上げることで合意した。この新冷媒は、現行の冷媒に比べてGWP (地球温暖化係数) が99.7%低くなっている。両社は今回の合意に基づき、新冷媒「HFO-1234yf」の製造工場を建設する計画。「HFO-1234yf」は、2011年から施行される欧州連合 (EU) の規制に対応。2011年第4四半期から「HFO-1234yf」の供給を開始する予定となっている。 (2010年5月20日付プレスリリースより)

-2007年4月、 同社は、地球温暖化係数 (GWP) の低いカーエアコン用次世代冷媒の共同開発について米デュポン社と基本合意。欧州では2011年からGWPの低い冷媒の使用が義務付けられるため、その適合に向けて両社の開発資源を共同活用する。新冷媒は現行システムと技術的な互換性を保てるフッ素化ガスとする方針。自動車業界と連携を取りながら、2007年半ばをめどに具体的な仕様をまとめる。もう一つの次世代冷媒の有力候補であるCO2に対する性能、コストの優位性を確立し、幅広い採用を目指す。両社は、基本的には既存のカーエアコンをベースとした機構で活用できる新冷媒を開発、自動車メーカーの代替にかかるコストを抑えられるようにして普及に結びつける。 (2007年4月2日付日刊自動車新聞より)

設備投資

設備投資額

(単位:百万米ドル)
  2013年12月期 2012年12月期 2011年12月期
全社 947 884 790
輸送システム部門 105 129 133

海外投資

<米国>
-2013年12月、新型冷媒「HFO-1234yf」の生産能力を拡大すると発表。主要サプライヤーと共同で約3億ドルを投じる。これに伴い、米国ルイジアナ州のGeismarにある既存の冷媒工場に、新型の製造技術を用いた生産工場を新たに建設する計画。新工場は2016年にフル稼働となる予定。なお、「HFO-1234yf」の地球温暖化係数 (GWP) は1以下で、従来の「HFC-134a」に比べてこのGWPが99.9%低減されたという。(2013年12月10日付プレスリリースより)

<ルーマニア>
-2013年10月、Honeywell Transportation Systemsは、ルーマニアPloiestiにおいて摩擦材工場を正式に開所した。同工場は2012年11月に操業を開始しており、すでにブレーキパッドの累計生産数200万個を達成している。今後、年産能力1000万個を目標に生産能力を増強する計画。工場面積は14,000平方メートル超で、従業員300名超を雇用する。新型ホットプレス機を備え、主に欧州自動車メーカーの乗用車向けにブレーキパッドを生産している。(2013年10月8日付プレスリリースより)

<日本>
-2013年7月、航空機用部品や産業機械大手米ハネウェルの日本法人、ハネウェルジャパンは29日、地球温暖化係数(GWP)が二酸化炭素と同等以下の自動車エアコン用冷媒「ソルスティスyf(HFO―1234yf)」を、可搬型タンクに充填する設備を千葉県市原市に設立し、国内での充填および出荷を開始したと発表した。充填能力は1日当たり3トンで、乗用車約6千台分に相当する。5~100キログラムの容量を持つ可搬型のタンクに充填し、日系自動車メーカーの国内工場とタイ工場に出荷する。国内で自動車エアコンに使用されている冷媒R134aはGWPが1300だが、ソルスティスの値は1以下。欧州連合(EU)が2013年1月から開始した自動車エアコン規制(MAC指令)に適合する冷媒として販売する。(2013年7月31日付日刊自動車新聞より)

<スロバキア>
-2011年、スロバキアPresovにターボチャージャー工場を新設すると発表した。まず小型車および小型商用車向けに生産を行う。2012年までに操業開始となる予定。なお、同社は2010年に30億米ドルを超える新規受注を獲得している。2011年には100種類以上のターボ製品を発表する見込み。 (2011年3月31日付プレスリリースより)