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5. BorgWarner Inc. 2015年12月期の動向

要因
1) 売上高
-2015年12月期の売上高は前年比3.4%減の8,023.2百万ドル。減収要因は、対米ドル通貨安、2014年のWahler買収、2015年のBERU DieselおよびRemy International買収によるもの。これらの影響を除くと、全社売上高は前年比4.3%増となる。

2) エンジン部門
-2015年12月期のエンジン部門の売上高は前年比3.6%減の5,500.0百万ドル。対米ドル通貨安、WahlerおよびBERU Diesel買収の影響を除くと、エンジン部門の売上高は前年比6.7%増となる。ライトビークル向けターボチャージャーの売上増加が貢献した。

3) ドライブトレイン部門
-2015年12月期のドライブトレイン部門の売上高は前年比2.8%減の2,556.7百万ドル。対米ドル通貨安、Remy買収の影響を除くと、ドライブトレイン部門の売上高は前年比0.8%減となる。欧州におけるトランスミッション部品の売上が前年に比べて減少した。

買収

-2015年11月10日付でRemy Internationalの買収を完了。Remy Internationalは、乗用車および商用車向けにオルタネーター、スターターモーター、電気トラクションモーターなどを生産しており、10カ国に拠点を持つ。同社はRemyの発行済株式を1株当たり29.50ドルで取得、取引額は約12億ドル。(2015年11月10日付プレスリリースより)

-2015年1月、合弁会社BERU Diesel Start Systems Pvt. Ltd.の株式51%を12.6百万ドルで取得し、完全子会社化した。BERU Diesel Start Systemsは1996年設立、インド市場向けにグロープラグを開発・製造している。

海外事業

-2015年1月、ブラジルで初めてフレックス燃料車用ターボチャージャーを開発したと発表した。拡大する同国の乗用車市場向けに発売する。この ｢B01｣ シリーズは、性能や燃費を向上させ、排出ガスを低減するほか、自動車メーカーによるブラジルの新自動車政策 ｢INOVAR-AUTO｣ への対応にも貢献する。0.8～1.6Lエンジン向けのこの新型ターボチャージャーは、2015年半ばに大手グローバル自動車メーカーのモデルに初搭載される予定。同社は、この製品をブラジルItatiba Cityの拠点で生産している。(2015年1月8日付プレスリリースより)

受注

-2015年World Car of the Yearにおいて、ファイナリスト全15モデルに同社のエンジンおよびトライブトレインの先進技術が採用されていると発表。下記5部門の各受賞モデルも含まれる。

• Daimler ｢Mercedes-Benz C-Class｣： ｢2015 World Car of the Year｣ 受賞
• Daimler ｢Mercedes-Benz S Coupe｣： ｢2015 World Luxury Car｣ 受賞
• Daimler ｢Mercedes-AMG GT｣： ｢2015 World Performance Car｣ 受賞
• Citroen ｢C4 Cactus｣： ｢2015 World Car Design of the Year｣ 受賞
• BMW ｢i8｣： ｢2015 World Green Car｣ 受賞

対象部品は、可変カムタイミングシステム、チェーンタイミングドライブ、イグニッションシステム、クーラントコントロールバルブ、ディーゼルコールドスタートシステム、EGRクーラーおよびバルブ、フリクションプレート、デュアルクラッチモジュールおよび機構部品、ワンウェイクラッチ、ソレノイド、四輪駆動用カップリング、ツインスクロールターボチャージャー、可変タービンジオメトリー (VTG) 式ターボチャージャー、2ステージターボチャージャーなど。(2015年4月15日付プレスリリースより)

-2015年1月、同社は2015年 ｢North American Car and Truck/Utility of the Year｣ を受賞したVolkswagen ｢Golf｣ およびFord ｢F-150｣ に、それぞれ同社の製品が採用されたと発表した。さらに、この賞の最終候補となっていた全てのモデル、Ford ｢Mustang｣、現代 ｢Genesis｣、GM ｢Chevrolet Colorado｣、Ford ｢Lincoln MKC｣ にも同社のシステムおよび製品が搭載されている。これらのモデルは、チェーンタイミングシステム、HY-VOトランスファーケースチェーン、可変カムタイミングシステム、ターボチャージャー、イグニッションコイル、フリクションプレート、AT用ワンウェイクラッチ、DCT用デュアルクラッチモジュールおよび機構部品、パートタイムおよびトルク・オン・デマンドの四輪駆動用トランスファーケース、前輪駆動用の電子制御リミテッドスリップデフなど、同社製品を1つ以上搭載しているという。(2015年1月12日付プレスリリースより)

-2015年にプレスリリースで発表した主な受注は以下の通り。
<エンジン部門>

<ドライブトレイン部門>

受賞

-2015年8月、Fordより2014年 ｢World Excellence Award｣ を ｢Aligned Business Framework ｣部門で受賞したと発表した。また、ポーランドのRzeszow工場は ｢Gold Award｣ を受賞した。(2015年8月17日付プレスリリースより)

-2015年8月、2015年 ｢GM Supplier IMPACT Award｣ を受賞したと発表した。GMが選ぶ2014年の上位20社のティア1サプライヤーの1社となった。(2015年8月13日付プレスリリースより)

-2015年7月、米国サウスカロライナ州にある同社のSeneca 工場が、Honda North Americaより2014年 ｢Excellence in Quality Award｣ を受賞したと発表した。同社は、ホンダ ｢Pilot｣ 向けに、四輪駆動用トルクマネジメントシステム ｢InterActive Torque Management II｣ を納入している。(2015年7月9日付プレスリリースより)

-2015年5月、米国イリノイ州のBellwood工場およびFrankfort工場がToyota Motor Engineering & Manufacturing North Americaより品質実績を評価され、2014年 ｢Certificates of Achievement｣ を受賞したと発表した。両工場は、2014年に品質評価100%、部品不良率ゼロPPMを達成した。両拠点では、トヨタの乗用車およびピックアップトラック向けに、ワンウェイクラッチASSYやフリクションプレート部品を生産している。(2015年5月20日付プレスリリースより)

-2015年5月、Volvo Carsより ｢Award of Excellence｣ を ｢Cost Competitiveness (コスト競争力)｣ 部門で受賞したと発表した。同社は、Volvo向けにさまざまなターボチャージャーを納入している。(2015年5月7日付プレスリリースより)

-2015年、トランスファーケース技術について、長城汽車より ｢Innovation and Quality Award｣ を2年連続で受賞している。(2015年5月4日付プレスリリースより)

-2015年4月、同社が市場に初投入するフロントクロスディファレンシャル (FXD) 技術が2015年 ｢Automotive News PACE Award｣ を受賞した。Volkswagen 「Golf GTI」 やSeat 「Leon Cupra」 に初搭載され、FWD走行性能の向上に貢献する。(2015年4月20日付各種リリースより)

-2015年3月、三重県にある同社の名張工場および青山工場がホンダより2014年 ｢Supplier Excellence Award｣ を受賞したと発表した。(2015年3月31日付プレスリリースより)

-2015年3月、トヨタより2014年 ｢地域貢献賞 (Regional Contribution Award)｣ を受賞したと発表した。同社は、トヨタのピックアップトラック ｢Tundra｣ の2014年モデル向けに、パートタイム4WDトランスファーケースを北米で独占供給し、トヨタの現地化に貢献したことが評価された。このトランスファーケースは、米国サウスカロライナ州のSeneca工場で生産されている。(2015年3月27日付プレスリリースより)

-2015年3月、BorgWarner Morse TECは、Fiat Chrysler Automobiles (FCA) より、欧州・中東・アフリカ (EMEA) 地域における2014年 ｢Best Powertrain EMEA Supplier Award｣ を受賞したと発表した。FCAのGlobal Small Engine (GSE) プラットフォームの開発に貢献した同社のエンジニアリング技術や、品質における高いサービス水準が評価されたもの。(2015年3月3日付プレスリリースより)

-2015年1月、インドのManesar工場がGM Indiaより2014年 ｢Supplier Quality Excellence Award｣ を受賞したと発表した。同工場は、GM ThailandおよびGM Brazil向けにEGRクーラーを生産している。(2015年1月27日付プレスリリースより)

-研究開発費は毎年、売上高に対して約4%を計上する見込み。

研究開発拠点

-2015年2月、ブラジルのItatibaに設立したエンジニアリングセンターが稼働を開始したと発表した。エンジン/ドライブトレイン部品事業を拡大する。2,000平方メートルの新センターでは、急成長するブラジルの自動車市場に向けて新技術のエンジニアリングや研究開発を行う。21,000平方メートルに及ぶキャンパスには、乗用車および商用車向けにターボチャージャー、ビスカスファン、ファンドライブ、エンジンタイミングシステム、排ガス制御製品など環境対応製品を生産する工場も位置している。(2015年2月5日付プレスリリースより)

製品開発

2速ファンドライブ
-2015年3月、建設車両や公共トラックなど厳しい環境で使用する車両向けに、確実な冷却性能を提供する新型の2速ファンドライブ ｢DuroSpeed｣ を開発した。オン/オフファンドライブが長距離輸送向けに優れた耐久性と燃費効率を実現する一方で、｢DuroSpeed｣ ファンドライブは、ファンスピードを2段階にすることでノイズ低減や信頼性向上を実現する。モジュラー設計により、Kysorのオン/オフファンドライブからの取り換えが容易にできるという。同社は2015年5月からこの製品の供給を開始する予定。(2015年3月19日付プレスリリースより)

特許

-2015年12月末時点、同社は5,600件以上の特許および特許出願を保有している。

海外投資

<韓国>
-2015年10月、同社が過半数を保有する韓国合弁会社BorgWarner Transmission Systems Koreaが、鎮川 (Jincheon) 郡に新工場を開設したと発表した。同社にとっては陰城 (Eumsung) 郡近郊の既存工場に加えて、韓国で3番目のトランスミッション部品の生産拠点となる。新工場では、クラッチモジュール、クラッチセット、フリクションプレートなどさまざまなオートマチックトランスミッション部品を生産する予定。面積は17,000平方メートルで、エンジニアリング、販売、管理部門なども入居する。今後、さらに拡張も可能となる。(2015年10月21日付プレスリリースより)

-2015年4月、排ガス制御製品の生産能力拡大に向けて、韓国の忠州 (Chungju) に6,000平方メートルの新工場を開設したと発表した。同市内の既存工場でこれまで生産していたイグニッション部品のほか、EGRバルブ、EGRクーラー、可変力ソレノイド、ディーゼルコールドスタートシステム、クーラントコントロールバルブなどを生産する。同社が全額出資した新工場は、応用エンジニアリング、販売、品質、サプライチェーン・マネジメント、管理などの機能も備えている。同社は成長事業のサポートに向けて、今後5年間で同拠点の従業員数を倍増する計画。(2015年4月9日付プレスリリースより)

<ハンガリー>
-2015年8月、ハンガリーのOroszlanyに新工場を開設したと発表した。同社が100%出資する新工場の面積は4,032平方メートル。トランスファーケース、フィーダーポンプ、バルブ、四輪駆動 (AWD) 用カップリングなどAWD用製品をグローバル自動車メーカー向けに生産する。同拠点ではこれまで、ガソリンおよびディーゼルエンジン用のターボチャージャーを生産していた。(2015年8月6日付プレスリリースより)

<メキシコ>
-2015年3月、北米での排ガス制御製品の需要増加に対応するため、メキシコRamos-Arizpe拠点の生産工場を拡張したと発表した。ガソリンおよびディーゼルエンジン搭載の乗用車、ミニバン、小型トラック向けのEGRモジュール、イグニッションコイル、クーラントコントロールバルブを生産する。同社は今後2年間で同拠点の生産スタッフを約350名増員する計画。(2015年3月25日付プレスリリースより)

<ブラジル>
-2015年3月、ブラジルのItatiba拠点において、同年内にエンジンタイミングチェーンの生産を開始すると発表した。自動車部品サプライヤーとして初めて、南米市場向けに同国でチェーンの現地生産を行う。同拠点は、ブラジルに拠点を置く大手自動車メーカーから受注したライトビークル向けプログラムに対応する予定。(2015年3月12日付プレスリリースより)

<中国>
-2015年3月、中国・浙江省の寧波 (Ningbo) 工場において、乗用車・商用車向けEGRバルブの新たな生産ラインを追加し、生産能力を拡大すると発表した。2015年5月より、大手中国自動車メーカー向けの納入を開始する予定。同工場では、EGRバルブ、EGRクーラー、EGRモジュール、イグニッションコイル、セカンダリーエアシステム、サーモスタットなどを生産している。(2015年3月5日付プレスリリースより)