日清紡ホールディングス (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 増減率(%) 要因
全社
売上高 379,340 325,555 16.5 -
営業利益 23,043 19,842 16.1 -
経常利益 8,680 25,268 (65.7) -
当期純利益 9,415 11,184 (15.8) -
ブレーキ製品
売上高 47,450 46,118 2.9 1)
営業利益 4,254 5,090 (16.4)
エレクトロニクス製品
売上高 169,906 112,820 50.6 -連結子会社の日本無線、新日本無線が損失を計上したため。
営業利益 (4,111) 6,183 -
化学品
売上高 8,258 7,283 13.4 -
営業利益 373 (294) - -
精密機器
売上高 25,190 32,020 (21.3) -自動車向け精密部品加工は大震災やタイ洪水被害の影響による受注減により減収減益。
営業利益 (1,069) 1,413 -

要因
1)
-国内事業は、震災直後にはカーメーカーの操業停止等の影響を受け受注が大幅に減少したものの、第3四半期以降受注が急速に回復し増収。原料費等のコストアップにより営業利益は若干減少。

-海外事業は、アメリカやタイの子会社が、震災やタイの洪水の影響を受けた日系メーカーの一部操業停止や輸入原料のコストアップなどにより、減収減益。需要が堅調であった韓国、中国の子会社は増収増益。

企業買収

-グループ企業となった「TMDフリクショングループ」(TMD)とのシナジー効果の早期発揮を目指す。両社のブレーキ事業の各分野からスタッフを選出しプロジェクトチームを結成、短期に大きな効果が発揮できるポイントや、中・長期的に克服すべき課題などを洗い出す。TMDをグループ化し自動車用摩擦材で世界トップとなったが、両社それぞれの得意とする生産品目や地域に違いが見られるため、課題克服を早期に行いグループ化のメリットを創出する。プロジェクトチームは年明けにも発足させる。生産や研究・開発、購買、物流などの部門から、日清紡ブレーキとTMDからそれぞれベテランスタッフを4人ずつ選任し、各部門8人で取り組む。3カ月をめどに課題の洗い出しを行う考えで、生産や製品ラインアップの相互補完、共通化や役割分担での期待できるシナジー効果を検証する。(2011年12月24日付日刊自動車新聞より)

-2011年12月30日、ルクセンブルクのブレーキ摩擦材メーカー「TMDフリクショングループS.A.」の発行済み全株式取得の手続きを完了したと発表した。取得総額は4億4千万ユーロ(約460億円)で、これによりTMD株310万株の全部を保有し完全子会社とした。(2011年12月2日付日刊自動車新聞より)

-同社のTMD買収により、自動車ブレーキ用摩擦材で新たなトップメーカーが出現する。同社が4億4000万ユーロ(約462億円)で買収するTMDフリクショングループ(TMD)は、ルクセンブルクに本拠を置き世界10カ国に16の拠点を持ち、2010年度の売上高は6億3700万ユーロ(約668億円)の世界第2位の摩擦材メーカー。売上高で第4位の同社が買収することで、米フェデラルモーグルを抜き世界シェア15%と世界一企業となる。同社が拠点を持たない欧州やブラジル、メキシコなどの拠点が加わり、合わせて14カ国・24拠点で「自動車生産国のほとんどをカバーすることが可能」(同社鵜澤社長)と言う。一気に世界展開が拡大するが、得意とする両社の分野が異なることで、大きなシナジー効果も見込める。同社はディスクパッドなどの摩擦材としてノンアスベスト(NAO)材を中心に展開するため、日系や韓国系の自動車メーカーの多くに供給実績がある。一方で、TMDはロースチール(LS)材を軸とし、高い開発・製造力を持つ。このため、LS材が主流の欧州系メーカーに強い。同社では、新3カ年中期経営計画として2017年度に売上高6000億円超を目標としている。今回のTMD買収により、その売上げ計画のほぼ8割は可能になったとする。(2011年9月28日付日刊自動車新聞より)

会社設立

-中国・上海に管理会社「日清紡企業管理(上海)有限公司」(Nisshinbo Business Management (Shanghai) Co., Ltd.)を設立したと発表。資本金は2百万米ドル。(2012年3月29日付プレスリリースより)

合弁事業

-グループ企業の日清紡ブレーキ(東京都中央区)は、韓国子会社セロンオートモーティブとの中国合弁事業で、来月中旬にも新工場建設に着手する。同社は昨年7月にセロンオートモーティブと合弁で上海近郊に摩擦材を製造・販売する「日清紡賽龍(常熟)汽車部件有限公司」を設立すると発表。当初は昨年9月に設立し今年末までに生産を開始する予定だったが、登記に時間がかかり会社設立は今年2月にずれ込んでいた。当初予定より約半年の遅れとなったが、来年4月に工場が完成、7月に生産を開始する予定。これにより、同社グループの中国での生産能力は従来の4倍となる見込みで、現地の日系企業や韓国系企業のほか欧米系メーカーへの供給も拡大する考えだ。(2011年8月8日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想(売上、営業利益等)

2013年3月期業績予想

(単位:百万円)
  2013年3月期
(計画)
2012年3月期
(実績)
売上高 475,000 379,340
-ブレーキ 126,800 47,450
-エレクトロニクス 184,000 169,906
-化学品 8,800 8,258
-精密機器 27,600 25,190
営業利益 15,000 4,170
経常利益 15,500 8,680
当期純利益 7,000 9,415

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 16,285 11,608 8,817
ブレーキ製品 3,092 2,948 2,915
エレクトロニクス製品 11,357 7,025 4,538
化学品 107 352 455
精密機器 180 299 151

研究開発拠点

ブレーキ製品
日清紡ブレーキ
開発センター、実験センター(館林事業所内)
群馬県邑楽郡

研究開発活動

ブレーキ製品
1. 安全第一(Safety First)の徹底
2. 震災の復旧と事業再構築の推進
3. グローカル事業戦略の推進
4. 価格競争力のある差別化商品の開発・拡販
5. 連結経営体制の確立
6. 事業リスクへの確実な対応
7. グローバル人材の育成
を品質目標に製品・技術の開発に取り組む。

<摩擦材>
-重要保安部品としての高い安全性の確保、音・振動などの顧客への対応、銅規制等に対応した環境負荷物質低減材質の開発。

-海外子会社への開発支援体制の強化や、開発・製造・生産技術の連携による原価低減活動を促進し、競争力強化を図っている。

<ブレーキ>
-グローバルビジネスの受注・拡大のため、海外子会社への開発支援体制を強化するとともに、海外技術提携先との協業を推進。

-環境対応技術の実用化や、将来を見据えた新技術の実用化にも注力。

-部品の標準化、開発業務の効率化を進め、開発段階からの原価低減により競争力強化を図っている。

エレクトロニクス製品
<日本無線グループ>
海上機器、通信機器、ソリューション・特機などの各事業セグメントにおいて、中長期的な基礎研究から、事業活動に直結した新技術の開発まで、総合的な研究開発活動を行っている。
<新日本無線グループ>
半導体製品やマイクロ波関連製品の企画、設計から生産技術に至るまでの総合的な研究開発を行っている。

化学品
<燃料電池部門>
-カーボンの特長を生かした燃料電池セパレータの高性能化の研究開発に取り組んでいる。

<キャパシタ部門>
-電気二重層キャパシタの耐久性向上を進め、展開中。

主な技術導入契約

(2012年3月31日現在)
会社名
(国名)
内容等 締結年月
(有効期間)
TRW Automotive Inc.
(英国)
乗用車用ドラムブレーキアッセンブリィ、ブレーキバルブおよびその部品の設計並びに製造技術に関するノウハウの提供並びに製品の販売に対する援助(クロスライセンス契約) 2009年10月 - 2012年10月
Meritor Heavy Vehicle Braking Systems (UK) Limited.
(英国)
ディスクブレーキアッセンブリィ、ドラムブレーキアッセンブリィおよびその部品の設計並びに製造技術に関するノウハウの提供 2003年11月 - 2008年11月
(2008年11月以降1年毎自動延長)

主な技術供与契約

(2012年3月31日現在)
会社名
(国名)
内容等 締結年月
(有効期間)
Rane Brake Linings Limited
(インド)
ブレーキライニング、ディスクパッド、クラッチフェーシングの製造技術、原料配合および製造設備技術情報に関するノウハウの提供 2010年1月 - 5年間
亨通機械股份有限公司
[Heng Tong Auto Parts Inc.]
(台湾)
ブレーキライニング、ディスクパッドの製造技術、原料配合および製造設備技術情報に関するノウハウの提供提携製品の工場建設の指導 2010年12月 - 3年間
亨通機械股份有限公司
[Heng Tong Auto Parts Inc.]
(台湾)
ドラムブレーキおよびその部品の設計並びに製造技術に関するノウハウの提供 2010年6月 - 3年間
TRW Automotive Inc.
(英国)
乗用車用ドラムブレーキアッセンブリィ、ブレーキバルブおよびその部品の設計ならびに製造技術に関するノウハウの提供並びに製品の販売に対する援助(クロスライセンス契約) 2009年10月 - 2012年10月

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
全社 15,704 12,800 13,027
ブレーキ製品 1,008 936 1,031
エレクトロニクス製品 2,988 3,419 N.A.
精密機器 1,106 N.A. N.A.
化学品 N.A. N.A. 945

ブレーキ製品
- 連結子会社Saeron Automotive Corporationおよび賽龍北京汽車部件有限公司 (Saeron Automotive Beijing Corporation)の摩擦材製造設備の増強等を中心に投資。

設備の新設計画(自動車関連)

(2012年3月31日現在)
会社名
事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手 完了
予定
完成後の
増加能力
新日本無線(株)
川越事業所
(埼玉県ふじみ野市)
電子部品製造設備 1,412 2012年
4月
2013年
3月
-