パナソニック (株) 2018年3月期の動向

業績

(米国基準、単位:百万円)
2018年
3月期
2017年
3月期
増減率
(%)
備考
全社
売上高 7,982,164 7,373,707 8.7 -全社としては、車載・産業向け事業の成長などにより増収増益。
-オートモーティブ事業については、ディスプレイオーディオやコックピットシステムなどのインフォテイメント関連および車載カメラやソナーなどのADAS関連の販売が伸長したことに加え、フィコサ・インターナショナルの新規連結などにより増収増益。
営業利益 380,539 276,784 37.5
税引前利益 378,590 275,066 37.6 -
当社株主に帰属する
当期純利益
236,040 149,360 58.0 -

-2018年7月、本社で開いた年次記者会見で、2021年度までに車載電池を中心に構成するエナジー事業の売上高を17年度比で約2.5倍に引き上げることを明らかにした。21年度にはAIS社全体の売上高を同47.1%増の2兆5千億円に増やすことが目標。

 

受注

-2018年5月、米国現地法人Panasonic Automotive Systems Company of Americaは、プレミアムオーディオシステム「ELS STUDIO 3D」がAcura「RDX」2019年モデルに採用され、2018年中頃から同車に装備される予定であると発表。

-2017年6月、パナソニックは、Fender Musical Instruments CorporationとPanasonic Automotive Systems Company of America (北米パナソニックの一部門) が共同開発した「Fender Premium Audio System」がVolkswagenの2018年型SUV「Tiguan」にオプションとして搭載されると発表。

 

買収

-スペインの自動車部品メーカーのフィコサ・インターナショナルの株式20%を追加取得し、出資比率を69%とした。パナソニックの自動車事業などを手掛けるオートモーティブ&インダストリアルシステムズの傘下にフィコサを置く。両社は2015年6月に資本業務提携を締結し、電子ミラーなどを共同開発しているほか、次世代コックピットシステムやADASなど、成長が見込まれる分野で協業予定。

 

事業提携

-2018年6月、子会社のOpenSynergyは、Faureciaが戦略的投資を行うParrot Faurecia Automotiveとの提携を発表。Parrot Faureciaの新型インフォテインメントシステム「8X00」をOpenSynergyのスケーラブルプラットフォーム「COQOS Hypervisor SDK」に組み込む。「8X00」は複数のオペレーションシステムを同時に実行し、安全機能とAndroidを効果的に分離することができる。

- 2018年4月、モデルベース開発(MBD)などによる開発支援を手がけるAZAPA(名古屋市中区)と資本業務提携すると発表。MBDを使った小型EV向け電動パワートレーンの開発に加え、協業範囲をコックピットやADAS分野に拡大する。

- 2018年2月、Cinemoと車載インフォテインメント分野における提携を拡大し、アンドロイドベースのインフォテインメントシステムの開発でも協業すると発表した。

- 2018年2月、自動運転車やコネクテッドカーに対するサイバー攻撃の検出や防御するサイバーセキュリティーソリューションを、トレンドマイクロと共同開発することで合意したと発表。普及が見込まれる自動運転車やコネクテッドカーがサイバー攻撃を受けて乗っ取られるのを防ぐサービスを提供する。2020年以降のサービス実用化を目指す。

 

国内事業

- 2017年10月、子会社のパナソニック液晶ディスプレイの姫路工場(兵庫県姫路市)で車載用角形リチウムイオン電池の生産を開始すると発表。電動化に伴う車載用リチウムイオン電池の需要拡大に対応するため、姫路工場に電池セルの源泉工程から組立までの一貫ラインを設置し、2019年度の生産開始を目指す。

 

海外事業

<中国>
- 2018年3月、大連市に建設していた車載用角形リチウムイオン電池工場 (パナソニック オートモーティブエナジー大連) が量産出荷を開始したと発表。日本、米国、中国の世界3極で車載用リチウムイオン電池の生産体制を構築。当面は環境規制の強化で、EVやHV、PHVの需要拡大が見込まれる中国や北米向けに電池を出荷し、その後に供給先を増やしていく方針。

- 2018年1月、HVに搭載するリチウムイオン電池(LiB)をホンダに納入することが明らかになった。これまで日本から送ってきたが、パナソニックが車載用LiBの量産を同国で始めるのに合わせ、ホンダは今年から現地調達に切り替える。ホンダは「CAFC」と呼ばれる燃費基準の強化に対応するため、中国でHVの販売を拡大する計画。新エネルギー車(NEV)規制対応のためのEVには中国電池メーカー製を搭載する一方、HV用は取引実績のあるパナソニック製とし、性能とコストを両立してHVを拡販する。

 

<タイ>
- 2018年1月、タイ政府のEV生産に対する税制優遇措置を受け、EV向けシステムとバッテリーをタイに導入する計画を発表。

 

<インド>
- 2017年5月、IoTおよびAI等の分野のイノベーションセンター(IIC)を新設すると発表した。また、IT企業のTata Consultancy Services (TCS)と提携し、IIC内にコネクテッドホーム/コミュニティ、モビリティなどの開発に携わるCentre of Excellence(CoE)も開設する。新センターはTCSが拠点を置くBengaluruに新設される。

研究開発費

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 448,900 436,100 449,800
-オートモーティブ & インダストリアルシステムズ 190,000 189,600 189,500

 

研究開発動向

眠気制御技術
- 2017年7月、ドライバーの眠気を予測して覚醒を促す技術を開発したと発表。AIも使いながら「今は眠くないが、これから眠くなりそう」な状況を予測し、事前に対策を講じることが最大のポイント。車載カメラでドライバーの瞬きの回数や表情など約1800のパラメーターで計測、ドライバーが自覚していない眠気までを高精度で推定する。現時点での眠気レベルと周辺の明るさ、人体からの放熱量などのデータを使って、数分後に訪れる眠気を予測する。10月からサンプル出荷を開始し、自動車メーカーなどと実用化を目指す。

福井県で自動運転の実証実験を実施
-福井県と永平寺町との連携により、自動運転走行車両の実証実験を2017年10月3日から2019年3月末日まで共同で実施する。これまで社内の車両試験場(神奈川県横浜市)や京阪奈地区構内(京都府相楽郡精華町)、門真地区構内(大阪府門真市)で検証を重ねてきた自動運転技術を用いて、今回初めて公道に準じる環境で自動運転走行システムの検証と、自動運転EVコミューターの実用化に向けた有効活用の検証を行う。

 

製品開発

テレマティクス・コントロール・ユニット (TCU)
- 2017年12月から量産出荷を開始。フィコサ・インターナショナルと協業して開発した新製品。

電子インナーミラー
- 2017年9月、フィコサ・インターナショナルと共同開発したと発表。トヨタ自動車向けのディーラーオプション製品として量産する。同製品は、広角レンズを搭載したカメラで後方の映像を撮影し、インナーミラーに内蔵した9.7インチTFTモニターに表示する。反射鏡を用いた従来品と比べて水平方向の広い範囲を映すことが可能。高感度カメラを用いることで夜間やトンネル内での視認性確保にも寄与する。

 

設備投資額

(単位:百万円)
2018年3月期 2017年3月期 2016年3月期
全社 392,200 311,600 248,800
-オートモーティブ & インダストリアルシステムズ 226,000 195,000 116,300

- 2018年3月期、オートモーティブ事業の投資の主な内容は、二次電池の増産、車載、インフォテイメント関連、電子部品などの新製品生産および増産。

 

設備の新設計画

(2018年3月31日現在)
計画金額
(百万円)
主な内容・目的
全社 380,000 -
-オートモーティブ & インダストリアルシステムズ 241,000 -二次電池の増産、車載、インフォテインメント関連、電子部品等の新製品生産および増産