タカタ (株) 2016年3月期の動向
業績 |
(単位:百万円) |
2016年 3月期 |
2015年 3月期 |
増減率 (%) |
要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 718,003 | 642,810 | 11.7 | -全地域で前期比増収。 |
営業利益 | 42,133 | 32,958 | 27.8 | -日本、欧州で減益となったが、米州、アジアでの増益が寄与。 |
経常利益 | 35,206 | 40,657 | (13.4) | -為替差損の影響で減益。 |
親会社株主に帰属する当期純損失 | (13,075) | (29,558) | - | -リコール関連費用、米国での民事制裁金等に加え、エアバッグ市場措置の費用を再見積もりした結果として製品保証引当金繰入額の追加を特別損失に計上。 |
地域別売上高 | ||||
日本 | 77,040 | 75,403 | 2.2 | -自動車生産台数は減少したが、国内自動車メーカー向け販売、グループ企業向け輸出が増加したことから増収。 |
米州 | 319,603 | 272,274 | 17.4 | -ブラジルで自動車生産、販売が減少したが、米国では好調に推移して増収。 |
欧州 | 170,638 | 166,696 | 2.4 | -ドイツを中心に主要各国で自動車生産が堅調に推移し増収。 |
アジア | 150,720 | 128,435 | 17.4 | -各国の生産、販売とも堅調に推移し増収。 |
エアバッグリコール対応
-同社グループ製エアバッグに係る一連の市場措置に関連する対応を最重要課題と位置付け、自動車メーカー各社による市場措置の実施に全面的に協力するとともに、市場措置の実施にあたり必要となる交換用のインフレーターおよびエアバッグの製造および供給に向けて、可能な限りの経営資源を投入。
-フラウンホーファー研究所とともに原因究明に向けた取り組みを実施してきたが、完全な原因究明には至っていない。これまでの分析によれば、インフレーターが長期間高温多湿の環境下にさらされ、かつ、製造上の精度のばらつき等その他の要因が複合的に重なり合う場合、一部のインフレーターが想定外の強い内圧を受けて破損する可能性があること、また、当初部品として対象インフレーターを検証・製造するにあたって自動車メーカーが策定した試験評価の枠内では、このような長期にわたる現象が起こりうる可能性を把握できなかったことが示唆されている。
-国運輸省道路交通安全局 (NHTSA) との間で合意した同意指令 (Consent Order) および同修正合意の内容をはじめとする関係当局からの要請等に全面的に協力している。
NHTSAの同意指令に合意 (2015年5月18日)
-米国子会社TK HOLDINGS INC.は、米国運輸省道路交通安全局 (NHTSA) との間で追加的な市場処置を実施することなどを内容とする同意指令 (Consent Order) に合意し、当該同意とともに不具合情報報告書 (DIR: Defect Information Report) を提出した。DIRでは、これまでの調査結果に基づき、製造経年数と地理的条件に基づき優先順位を付けたうえ、インフレーターの交換を進めることを定めている。(2015年5月20日付プレスリリースより)
-米運輸省のAnthony Foxx長官は同省の主張に基づき、同社が自社のエアバッグ・インフレーターに欠陥があることを認めたと発表。インフレーターに使用されている火薬が経時劣化し、作動時に破裂する可能性があるという。エアバッグの破裂によって全世界でこれまで6人の死亡が報告されている。同社は特定の運転席と助手席エアバッグ・インフレーターの全米規模のリコールに合意、対象台数を3,400万台近くに拡大する。(2015年5月20日付タカタのプレスリリースおよび5月9日付NHTSAのプレスリリースより)
NHTSAの同意指令に合意 (2015年11月3日)
-NHTSAと一連のエアバッグリコールに関する同意指令に合意したと発表した。これまでのリコール対応の制裁金として7,000万ドル (約85億円) を支払うとともに、今後の違反によっては最大1億3,000万ドル (約157億8千万円) の追加制裁を受ける。今回の同意指令の合意により、NHTSAとのリコール対応問題は決着がついた格好となる。(2015年11月5日付日刊自動車新聞よ り)
-硝酸アンモニウムを使用したエアバッグのガス発生装置 (PSANインフレーター) の製造販売を段階的に中止すると発表した。米国向けは、PSANインフレーターの新規契約を行わないとともに、2018年末までに補修用を除いた運転席・ 助手席用のPSANインフレーターの供給を中止。他地域でも同等の時期をめどに供給を中止する。今後は硝酸グアニジンを用いたインフレーターでエアバッグビジネスを展開していく。(2015年11月5日付日刊自動車新聞より)
NHTSAの同意指令に対する修正に合意 (2016年5月4日)
-これまで対象となっていなかった前席用乾燥剤なしインフレーターについて、車両のモデルおよび地域ごとに、高温多湿にある古いモデルの車両から順に5段階に分けてDIRを提出。
海外事業
<中国>
-第3工場 (Takata (Jingzhou) Automotive Component Co., Ltd.) が本格稼働
<ハンガリー>
-Takata Safety Systems Hungary Kft. でエアバッグ、インフレーターの生産を開始。
<北米>
-シートベルト主力製品 (バックル) の生産能力を増強。
インフレーター増産
-2015年9月までにエアバッグのリコール交換用インフレーターの生産量を現状の2倍となる月産90万個まで拡大すると発表。交換部品の不足に対応する措置で、従来はメキシコのみで生産していた交換用インフレーターを米国とドイツ、中国でも生産する。これにより自動車メーカーが実施するリコール作業の迅速化を支援する。同社では一連のリコール問題を受けて2014年12月、メキシコ工場の交換用インフレーターの生産量を月産35万個から同45万個に拡大した。ただ、リコール台数は米国だけでも1,700万台に上っており、交換部品の不足が深刻化している。リコール作業の遅れの一因となっており、同社ではさらなる増産に踏み切った。(2015年3月4日付日刊自動車新聞より)
研究開発費 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
日本 | 2,977 | 2,662 | 2,470 |
米州 | 10,070 | 10,104 | 8,991 |
欧州 | 8,821 | 9,107 | 9,186 |
アジア | 3,068 | 2,535 | 2,302 |
調整額 | (195) | (26) | 125 |
合計 | 24,742 | 24,383 | 23,075 |
売上に占める割合 (%) | 3.4 | 3.8 | 4.1 |
-2017年3月期の研究開発費は、前年比7.1%増の26,500百万円 (売上高に占める割合:4.0%) を計画。
研究開発体制
-研究開発拠点は、日本 (滋賀)、米国 (デトロイト)、欧州 (ベルリン) の3極に設置。さらに新興国市場向け開発を担う中国を加え、グローバルに技術開発を実施。
研究開発活動
-事故時の障害を最小限に抑える衝突時の乗員保護を目的とするパッシブセーフティの領域から、危険を予知し、衝突の未然防止あるいは衝突程度の軽減を目指すアクティブセーフティの領域を統合した安全システムの構築を追求。
-衝突形態、システム機能ごとのアプローチによる調査、研究開発
- 前面衝突乗員保護システム
- 側面衝突およびロールオーバー乗員保護システム
- 歩行者保護システム
- モーターサイクル乗員保護システム
- 衝突回避・運転者サポートシステム 等
-保護システムを構成するデバイス (インフレーター、エレクトロニクスを含む) の開発
製品開発
-自動運転システムに不可欠な乗員センシング技術を開発。
- ドライバーモニタリングシステム
- ハンズオンホイール: 2017年の量産開始を目標に準備を進めている。
設備投資額 |
(単位:百万円) |
2016年3月期 | 2015年3月期 | 2014年3月期 | |
日本 | 1,632 | 2,330 | 1,786 |
米州 | 13,424 | 11,887 | 7,885 |
欧州 | 7,170 | 12,019 | 5,005 |
アジア | 6,153 | 9,027 | 3,768 |
合計 | 28,381 | 35,265 | 18,445 |
-2017年3月期の設備投資額は、前年比20.3%減の23,000百万円 (売上高に占める割合:3.4%) を計画。
設備の新設計画 |
(2016年3月31日現在) |
会社名/事業所名 (所在地) |
設備の内容 | 投資予定 総額 (百万円) |
着手年月 | 完了年月 |
タカタ九州株式会社 (佐賀県 西松浦郡) |
シートベルト用バックル生産設備 | 1,320 | 2014年10月 | 2017年3月 |
2017年3月期の見通し |
(単位:百万円) |
2017年3月期 (予想) |
2016年3月期 (実績) |
増減 (%) | 要因 | |
全社 | ||||
売上高 | 670,000 | 718,003 | (6.7) | - |
営業利益 | 33,000 | 42,133 | (21.7) | - |
経常利益 | 32,500 | 35,206 | (7.7) | - |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 13,000 | (13,075) | - | - |
地域別売上高 (内部取引を含む合算値) | ||||
日本 | 120,000 | 127,253 | (5.7) | -販売減少による減益、リコール関連経費の増加、円高は材料費良化要因 |
米州 | 310,000 | 342,418 | (9.5) | -円高による材料費悪化、リコール関連経費の増加、合理化および固定費削減活動の加速化、メキシコでの品質改善に伴う生産設備の増設 |
欧州 | 170,000 | 183,790 | (7.5) | -減収による減益、合理化および固定費削減活動の加速化、ハンガリー工場の本格稼働 |
アジア | 170,000 | 181,248 | (6.2) | -円高による材料費悪化、中国の労働賃金アップ、中国第3工場の本格稼働 |