タカタ (株) 2012年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2012年
3月期
2011年
3月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 382,737 390,876 (2.1) 1)
営業利益 13,618 26,818 (49.2) 2)
経常利益 13,499 27,008 (50.0)
当期純利益 11,937 18,237 (34.5) 3)


要因
1)
- 上半期には日本の震災の影響による減収、下半期にはアジアを中心としたタイの洪水の影響による減収。
- 米州では日系自動車会社向け販売が大幅に減少したが、販売が好調であった欧米系自動車会社向け販売が好調。
- 欧州ではドイツ車の好調な輸出に支えられた。

2)
- 日本の震災やタイの洪水の影響による操業度の低下による収益悪化に加え、第3四半期に品質問題に対する一過性引当金の費用計上を行ったため。

3)
- 主に新日蘭租税条約の発効による繰延税金負債の取崩しなどがあったため。

地域別動向

日本
- 上半期は震災の影響により自動車生産が大幅な減少となり、国内販売台数も大きく落ち込こんだ。8月以降は自動車の生産はほぼ正常化に向かった。

米州
- 景気回復以上に自動車生産、販売が好調に推移し、全米の自動車生産台数は前年度に比べて2桁増加となった。日系自動車会社は震災による日本からの部品供給不足などから減産を余儀なくされた一方、米系自動車各社は大幅な伸びを示した。南米ブラジルでも販売は好調に推移した。

欧州
- 景気を牽引しているドイツこそ自動車販売は比較的好調に推移したが、財政問題を抱える南欧各国では自動車販売は低迷した。ドイツは国内自動車販売が前年比でも増加したほか、ユーロ安の恩恵を受けて主に米国、中国向け輸出が通期を通して好調に推移した。

アジア
- 中国の自動車購買支援策の縮小や、インドでの景気減速などがあり域内自動車販売は以前ほどの力強さに若干の陰りを見せ始めた。アジアに展開する日系自動車会社は上半期に日本の震災の影響による部品供給不足による減産に見舞われた上、10月にはタイ洪水により比較的長期間の操業停止を余儀なくされるなど、通期を通して自動車生産活動は停滞した。


企業買収

- 2012年3月6日、米BAEシステムズとBAE子会社2社を総額3200万ドル(約25億6千万円)で買収することで合意したと発表した。買収するのはBAEシステムズ・セイフティ・プロダクツ(米フロリダ州)とシュロス・サーフティー・プロダクツ(独アルンスベルク)で、両社は航空機やヘリコプター、レーシングカー向けのシートベルト、軍用車両向けの安全装置などを製造販売している。タカタでは、今回の買収によりモータースポーツ分野の強化や航空機分野への本格参入を図り、自動車分野で培った技術力を生かし乗用車以外の安全分野での事業拡大を目指すとしている。(2012年3月7日付日刊自動車新聞より)

- BAE Systemsとの間で、同社傘下の子会社BAE Systems Safety Products Inc.(米国)およびSchroth Safety Products GmbH(ドイツ)を、総額約32百万米ドルで買収することに基本合意したと発表。買収予定の2社は、航空機、レーシングカーなどの乗員安全装置の開発・製造を行っている。2012年3月末までに買収を完了する予定。(2011年12月26日付プレスリリースより)

事業提携

- 現代モービス(韓国)と同社(日本)は、次世代安全システム部品の開発に関する戦略的提携契約を締結した。アクティブシートベルト(ASB)システムなどの共同開発を行う。このASBシステムは、車間距離維持装置や車線維持装置と連動し、危険を察知した際にシートベルトを通じてドライバーに警告を行うもの。現代モービスは2012年末までに、現代・起亜自動車に向けてASBの納入を開始する計画。(2011年11月25日付プレスリリースより)

- MeritorWABCOの合弁会社Meritor WABCO Vehicle Control Systemsは、タカタの米国子会社TK Holdingsと戦略的提携契約を締結することで基本合意したと発表。北米仕様の商用車向けに、アクティブセーフティシステムの新製品を開発する。また、Meritor WABCOは、タカタの車線逸脱警報システム「SafeTrak」の販売も行う予定。(2011年10月17日付プレスリリースより)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
日本 5,032 3,924 -
米州 6,576 5,567 -
欧州 5,721 6,121 -
アジア 1,297 859 -
調整額 (366) (414) -
合計 18,261 16,058 14,158

研究開発体制

-研究開発拠点は、日本(滋賀)、米国(デトロイト)、欧州(ベルリン)の3極に設置。
-製品化活動は、アジアを含む各セグメントにおいて実施。

研究開発活動

- インクジェットプリント技術を採用したインクジェットプリントシートベルトを発表した。一般的なシートベルトのベルト部分(ウェビング)は、1本の白いウェビングを染色液に浸し着色していくため、単色での着色となる。これに対し、このインクジェットプリント技術は、通常のインクジェットプリンターと同様にウェビングに印刷をするもの。これまでの黒・グレー・ベージュなどの単色での印刷に加え、様々な色を使った絵柄や文字、ロゴマークなどの印刷も可能になる。(2012年1月13日付プレスリリースより)

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
  2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期
日本 3,406 1,529 -
米州 6,329 6,132 -
欧州 6,069 4,465 -
アジア 3,618 3,584 -
合計 19,422 15,712 10,221

2012年3月期の設備投資
- 日本において、衝突試験設備の新設に着手した他、成長市場であるインド、ロシアの工場への投資も継続した。

- 各セグメントにおいて生産ラインの新設、拡充等を行い、各地域の需要増に対応可能な生産体制を整えている。

- 欧州統括会社TAKATA (Europe) GmbHがロシアUlyanovsk州で、TAKATA-PETRI Rus LLCの新工場建設に向け地鎮祭を実施したと発表。同社にとってロシア初となるこの工場では、シートベルト、エアバッグ、ステアリングホイールを製造する予定。投資額は約20億円、敷地面積は99,000平方メートル。従業員約300名を雇用し、2012年4月からの稼動を予定している。なおTAKATA (Europe)は、2011年3月時点で欧州4カ国に11工場を保有している。(2011年5月24日付プレスリリースより)

- インドネシアにPT. Takata Automotive Safety Systems Indonesiaを設立し、新たに生産工場を建設すると発表した。同社にとってインドネシアで初の工場となる。面積60,000平方メートルの新工場では、インドネシアのカーメーカー向けに自動車用シートベルト、エアバッグ、ステアリングホイールを生産する計画。投資額は約20百万米ドルで、生産開始は2012年1月を予定している。(2011年4月28日付プレスリリースより)

- ウルグアイにTakata Uruguay S.A.を設立したと発表。南米の生産拠点として、自動車用エアバッグ工場を開設する。同社は南米において、ブラジルに生産工場を3 つ保有しているが、ウルグアイへの進出は初めて。今回新設したTakata Uruguay S.A.は、2011年11月より生産を開始する予定。工場の総床面積は9,000平方メートルで、投資額は10百万米ドル(約8億円)を見込む。(2011年4月6日付プレスリリースより)

設備の新設

会社名/事業所名
(所在地)
設備の内容 投資予定
総額
(百万円)
着手年月 完了年月
本社愛知川製造所
(日本 滋賀県)
Sled衝突試験設備 1,979

2011年6月

2012年8月

Takata India Pvt. Ltd.
(インド チェンナイおよびニムラナ)
シートベルト、エアバッグおよびステアリング生産設備、評価設備 4,382

2008年1月

2014年3月

Takata RUS LLC
(ロシア ウリヤノフスク)
シートベルト、エアバッグおよびステアリング生産設備 2,126 2010年11月 2012年4月