(株) ケーヒン 2016年3月期の動向

業績

(IFRS基準、単位:百万円)
2016年
3月期
2015年
3月期
増減率
(%)
要因
売上収益 341,576 327,075 4.4 四輪車製品
  • 空調用熱交換器等製品の北米や中国などでの販売増
  • マレーシアやインドなどで販売増
  • インドネシアで販売減
  • 日本国内向けの販売減
-二輪車、汎用製品 86,994 96,466 (9.8)
-四輪車製品 254,582 230,608 10.4
営業利益 16,440 22,747 (27.7) -合理化効果、為替影響による利益の増加はあるものの、国内事業体質強化施策に伴う特別早期退職支援の実施や労務費の増加により減益。
税引前利益 15,549 21,320 (27.1) -
親会社の所有者に帰属する当期利益 5,677 11,051 (48.6) -

国内事業

-2016年3月、スロットルボディーの高効率生産ラインを開発し、5月から宮城県の工場で稼働すると発表。作業者の経験などに頼っていた組み立て作業をロボット化するとともに、カメラによる検査を導入してラインの要員効率を最大5倍に高める。熟練工の作業を徹底的に洗い出して数値化し、微妙な力加減が必要な作業や組み付けが難しい作業をロボットで行えるようにした。国内工場に導入した後、2017年には北米と中国に導入、グローバルで競争力を高める。(2016年3月30日付日刊自動車新聞より)

2モーター式HV用パワーコントロールユニット (PCU) 用パワーモジュールの生産開始
-2015年11月、宮城県の工場で、ハイブリッド車 (HV) 用パワーコントロールユニット (PCU) の中核部品であるパワーモジュールの生産を始めたと発表。同モジュールの開発はこれまでホンダが行ってきたが、2モーター式HVの新型車用を同社として初めて開発し、生産も担う。同社は20日、宮城第二製作所 (宮城県角田市) でHV用パワーモジュールのラインオフ式を開いた。パワーモジュールはHVのモーターやバッテリーを制御する装置。狭山工場 (埼玉県狭山市) でPCUに組み込み、ホンダに供給する。ホンダのHVのうち、「Accord Hybrid」の2モーター式ハイブリッドシステムのパワーモジュールはホンダが開発し、同社はその他の部品とともに支給を受け、狭山工場でPCUを組み立てている。新型HV用PCUでは、パワーモジュールのほか、アルミケースの開発・設計を同社が行った。その他部品の調達も同社が行うことにより、全面的に開発を担った。パワーモジュールとアルミケースは宮城第二製作所で行い、狭山工場でPCUを組み立てる。パワーモジュールの生産能力は来年度末に1日あたり400台を計画している。(2015年11月21日付日刊自動車新聞より)

-2015年10月・12月、日本で再構築し、生産効率を高めた四輪車用電子制御スロットルボディと、電子制御ユニットの日本回帰生産ラインが本格稼働した。

海外事業

<中国>
-2016年3月、中国現地法人「京濱 (武漢) 汽車零部件有限公司 [Keihin (Wuhan) Automotive Components Co., Ltd.]」(KWH、湖北省仙桃市) が本格稼働し、中国国内向けの新型空調ユニット (HVAC) の生産を始めたと発表。生産能力は年間35万台で、ホンダの新型「Civic」向けHVACの生産を始めた。中国では南部の広東省東莞市に生産能力が年間50万台のHVACの工場がある。新工場の稼働により、2拠点を合わせた生産能力は7割増の年間85万台に拡大する。同社は中国で生産するHVACの全量をホンダの中国合弁会社に納入している。(2016年3月25日付日刊自動車新聞より)

<米州>
-今後拡大が見込まれるガソリン直噴エンジン対応インジェクターの量産を開始。生産能力拡大や自動化ラインの導入による生産効率の向上に取り組んだ。メキシコ拠点への生産移管により事業性の改善を行った。


2016年3月期の主な受注

OEM 販売地域 モデル 納入製品
ホンダ 日本 「Odyssey Hybrid」 新型パワーコントロールユニット (PCU)
「Clarity Fuel Cell」 高圧水素供給バルブ、水素燃料制御ユニット、空気制御ユニット、電子制御ユニット、空調製品等
「Step WGN」 直噴インジェクター、電子制御スロットルボディ、電子制御ユニット、インテークマニホールド、空調ユニット、コンデンサー
北米・タイ 「Civic」

直噴インジェクター、電子制御スロットルボディ、電子制御ユニット、インテークマニホールド、空調ユニット、コンデンサー

米国 「Pilot」

直噴エンジン対応インジェクター、燃料供給製品、電子制御製品

インドネシア 「BR-V」

直噴エンジン対応インジェクター、空調ユニット

Porsche 欧州 「Macan」

エアコン用コンデンサー

受賞

-2016年1月、ホンダの取引先優良感謝賞の表彰において 「開発部門」、「環境部門」、「パーツ部門」、「原価部門」 の4部門で受賞したと発表。「開発部門」では、新型パワーコントロールユニット (PCU) および小型二輪車用新型FIシステムが評価された。(2016年1月8日付プレスリリースより)

第12次中期経営計画 (2015年3月期~2017年3月期)

-「グローバル総合力で新しい価値を創出」-
1. 未来に向けた”モノ”と”つくり”の革新
 開発と生産の連携強化

  • 先進技術研究部、開発本部と生産本部との連携強化をはかり、未来に向けた”モノ”と”つくり”の革新を加速させるため、生産本部内に生産技術統括を配置
  • クルマの電動化拡大に対応し、開発の体制および設備を強化

2. 生き残りをかけた強靭な事業体質の構築
 グローバルで業務効率向上と事業体質の改革

  • グローバルでの連携強化により、地域とマザーの業務効率を向上
  • 生産効率の向上による体質改革を現場レベルで強化にする体制を構築
  • 国内における間接業務の見直しにより20%の業務効率を向上

3. 自主自立の組織風土の定着
 グローバルOEMメーカーへの営業力強化

  • グローバルでの二輪・汎用と四輪営業のタイムリーな情報収集ならびに共有化を図り、グローバルOEMメーカーへの営業力を強化するためグローバル営業連携担当を設置

2017年3月期の主な計画

<日本>
-ガソリン直噴エンジン対応インジェクターの生産ラインを宮城第一製作所 (宮城県角田市) に増設し、生産能力を拡大する。 (2016年冬予定)
*生産能力:2016年3月期末 300万本/年 -> 2017年3月期末 (計画) 600万本/年

-日本でハイブリッド車用パワーコントロールユニットに搭載されるインテリジェントパワーモジュール (IPM) の生産能力を拡大 (2016年冬予定)
*生産能力:2016年3月期末 5万台/年 -> 2017年3月期末 (計画) 10万台/年

-日本で発売される軽自動車向けに、新発売の小型・軽量の空調ユニットの量産準備を開始 (2017年3月期末予定)

<米州>
-ガソリン直噴エンジン対応インジェクターの生産ラインの能力拡大と生産効率向上を行い、年間400万本を供給する体制を確立する。労働集約型の前工程をメキシコのKeihin de Mexico、部品精度が要求される後工程は米国インディアナ州のKeihin IPT Manufacturingで行っている。(2016年夏予定)

2017年3月期の見通し

(IFRS基準、単位:百万円)
2017年3月期
(予想)
2016年3月期
(実績)
増減
(%)
売上収益 314,000 341,576 (8.1)
営業利益 25,000 16,440 52.1
営業利益率 (%) 8.0 4.8 -
税引前利益 24,700 15,549 58.8
親会社の所有者に帰属する当期利益 14,700 5,677 159.0


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 19,559 18,606 18,250


-2017年3月期の研究開発費は、19,400百万円を予定。

研究開発拠点

日本 栃木開発センター
(栃木県塩谷郡高根沢町)
日本 角田開発センター
(宮城県角田市)
米国 Keihin North America, Ltd.
(インディアナ州アンダーソン)
タイ Keihin Asia Bangkok Co., Ltd.
(バンコク)
インド Keihin Automotive Systems India Pvt. Ltd.
(ハリヤナ州 グルガオン)
中国 Dongguan Keihin Engine Management System Co., Ltd.
(広東省東莞市)
中国 Keihin R&D China Co., Ltd.
(上海市)
ドイツ Keihin Sales and Development Europe GmbH
(バイエルン州)

産学共同開発

-2015年4月、東北大学流体科学研究所との共同開発部門「先端車輌基盤技術研究 (ケーヒン)」を4月1日付で同研究所内に開設すると発表した。将来の基盤技術として期待される次世代燃料噴射、空調システムの先行開発を行う。同大との共同研究は燃料噴射の分野でこれまでも行ってきたが、新たに常駐者を置いて体制を強化する。(2015年4月1日付日刊自動車新聞より)

研究開発活動

四輪事業
-環境先進対応エンジンの燃料供給系および吸気系製品の開発 (商品化)
-ガソリン直噴インジェクターの開発 (商品化)
-トランスミッション油圧制御系製品の開発 (商品化)
-代替燃料供給系製品とシステムの開発 (商品化)
-エンジンおよびトランスミッション電子制御ユニットの開発 (商品化)
-ハイブリッド車用モーター/バッテリー制御ユニットの開発 (商品化)
-リチウムイオンバッテリー用セル電圧センサーユニットの開発 (商品化)
-ハイブリッド車用パワーコントロールユニットの開発 (商品化)
-カーエアコンシステム製品の開発 (商品化)
-カーエアコン用熱交換器の開発 (商品化)

製品開発

燃料電池車 (FCV) 用高圧水素バルブ
-2016年3月、燃料電池車 (FCV) 用高圧水素バルブで、国連の圧縮水素自動車燃料装置用付属品技術基準「UNグローバルテクニカルレギュレーション (GTR) ナンバー13」に、世界で初めて適合したと発表。ホンダのFCV「Clarity Fuel Cell」向けに生産を始めた。FCVの動力源となる水素は、最大87.5メガパスカルの高圧 (摂氏85度の高温下での圧力) でタンクに充填されている。高圧水素供給バルブは高圧水素を封止・供給し、高圧水素を安全、確実に供給する役割を果たしている。GTRナンバー13は摂氏マイナス40度からプラス80度までの温度環境下で最大105メガパスカルの気密性を満たすことを条件としている世界で最も厳しい基準。同社は天然ガス車用の高圧ガス制御技術を活用し、同基準に合格した高圧水素供給バルブを開発した。(2016年3月26日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
2016年3月期 2015年3月期 2014年3月期
全社 14,593 18,915 21,179
-生産投資 11,099 14,130 13,754
地域別 日本 3,519 4,320 2,727
     米州 3,898 6,807 4,963
     アジア 2,072 2,031 4,294
     中国 1,610 972 1,768

2016年3月期の設備投資

-投資対象別:生産投資 11,099百万円、研究開発投資 651百万円、その他投資 2,843百万円

設備の新設計画

(2016年3月31日現在)
セグメントの名称 投資予定金額 (百万円)
日本 8,376
米州 4,260
アジア 2,799
中国 1,930
合計 17,366

-投資対象別:生産投資 15,939百万円、研究開発投資 438百万円、その他投資 989百万円

-ガソリン直噴エンジン対応インジェクターやインテリジェントパワーモジュールなどの先進環境製品への需要拡大に対応した供給体制の拡充を図る。