(株) ケーヒン 2015年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
  2015年
3月期
2014年
3月期
増減率
(%)
要因
売上高 327,075 318,689 2.6 -日本では四輪車製品の販売は減少したものの、アジアでの二輪車・汎用製品の販売増、北米とアジアでの四輪車製品の販売増、為替効果により増収
-二輪車、汎用製品 96,466 90,084 7.1 -
-四輪車製品 230,608 228,605 0.9 -
営業利益 22,747 19,517 16.6 -アジアでの増収、合理化効果、為替効果により増益
税引前利益 21,320 19,300 10.5 -
当期純利益 11,051 10,430 5.9 -

国内事業

-四輪車用のエンジン部品の国内生産を増やす。新開発の高効率ラインを導入し、海外から供給していた製品の国内回帰を図る。同社はリーマンショック後の超円高時、自動車メーカーのコスト削減要求に応えるため、中国やタイから、日本向けの製品を供給する体制を整えた。しかし、新興国では人件費が急上昇しており、人手に頼る工程が多い組み立ての製造コストが上がっている。新ラインは、技能の習熟が必要な作業も自動化するなど、人員効率を大幅に高めることでコスト競争力を追求する。(2015年1月26日付日刊自動車新聞より)

海外事業

<中国>
-中国の湖北省仙桃 (Xiantao) 市に、四輪車用空調製品 (HVAC) の製造・販売を行う現地法人「京濱 (武漢) 汽車零部件有限公司 (KWH)」を設立したと発表。資本金は30.9百万元 (約5億円) で、中国子会社である東莞京濱汽車電噴装置 [Dongguan Keihin Engine Management System (KDG)] が100%出資する。新会社は、2015年末からHVACの生産を開始する予定。これにより、2016年度の中国国内のHVACの生産能力はKDGが40万台、KWHが40万台で、あわせて年間80万台となる予定。同年度のKWHの従業員数は60名を見込んでいる。(2014年8月8日付プレスリリースより)

<インドネシア>
-インドネシアで四輪車用電子制御部品 (ECU) の生産を始めたと発表。ベカシ県にあるケーヒンインドネシア第1工場の二輪車用ECUラインの一部を共用するとともに、新設のラインは小型でシンプルなラインとし、設備投資を抑えた。2013年に稼働した第2工場 (チカンペック県) では、二輪車用部品のほか、スプールバルブ、インテークマニホールドといった四輪車用部品を生産している。二輪車の生産インフラを活用し、四輪車用部品の生産品目を広げる。(2014年4月19日付日刊自動車新聞より)

<メキシコ>
-メキシコでエアコン用熱交換器の生産を始めると発表。生産子会社「ケーヒン・デ・メキシコ」の敷地内に空調用コンデンサーの生産ラインを設置し、2014年夏からフォルクスワーゲン (VW) 向けの生産を始める。VW向けには欧州や中国でも熱交換器の供給能力を増強している。自動車の生産が拡大するメキシコでも熱交換器の生産体制を整え、今後の需要増加に対応する。年間75万台分の生産能力でコンデンサーの生産を始める。15年には直噴エンジン対応インジェクターの生産も始める予定。日米欧自動車メーカーが生産を拡大するメキシコで生産品目を広げることにより現地調達化ニーズに対応する。(2014年4月1日付日刊自動車新聞より)

2015年3月期の主な受注

OEM 販売地域 モデル 納入製品
ホンダ 日本 "Legend" ガソリン直噴エンジン対応ECU
モーター用ECU
バッテリー用ECU
アクティブコントロールエンジンマウント用製品
インテークマニホールド
Ford 米国 Lincoln "MKC" エアコン用コンデンサー
"Mustang" エアコン用コンデンサー
中国 "Kuga" エアコン用コンデンサー
欧州 "Focus" エアコン用コンデンサー
"Escape" エアコン用コンデンサー

2016年3月期の主な計画

<日本>
-ダウンサイジング直噴ターボエンジン用システム製品がホンダ 「Step WGN」に搭載 (15年4月)。
-日本で再構築し、生産効率を高めた四輪車用スロットルボディ (宮城第二製作所角田第二工場) と電子制御ユニット (宮城第二製作所角田第三工場) の日本回帰生産ラインが本格稼動(15年秋予定)。
-日本でハイブリッド車用パワーモジュールと周辺部品の量産を開始(15年冬予定)。

<中国>
-中国の四輪車用HVACの新拠点である京濱 (武漢) 汽車零部件有限公司 [Keihin (Wuhan) Automotive Components Co., Ltd.] が本格稼動 (15年冬予定)

<米州>
-北米で発売されるホンダ 「Pilot」 向けにガソリン直噴エンジン用インジェクターと電子制御ユニットを含めた燃料供給製品や電子制御製品の供給を開始(15年初夏予定)。
-米州でガソリン直噴エンジン用インジェクターの量産開始(15年夏予定)。労働集約型の部品加工ラインはメキシコ Keihin de Mexico S.A. de C.V. に、部品精度が要求されるラインは米国 Keihin IPT Mfg. LLC. に設置することで米州の総合力を最大限に活かして生産。

2016年3月期の見通し

(単位:百万円)
  2016年3月期
(予想)
2015年3月期
(実績)
増減
(%)
売上高 335,000 327,075 2.4
営業利益 23,000 22,747 1.1
税引前利益 22,800 21,320 6.9
当期純利益 13,000 11,051 17.6


>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

研究開発費

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 18,606 18,250 18,676

-2016年3月期の研究開発費は、19,300百万円を予定。

研究開発拠点

栃木開発センター
(栃木県塩谷郡高根沢町)
-システム開発を合言葉に、ソフトウェアの開発・検査から実車レベルでの研究・解析をトータルに実施。
-システム開発の主要拠点。システム化、集積化による領域拡大と電子制御ユニット (ECU) を主体とした先端技術を開発。
角田開発センター
(宮城県角田市)
-システムを支えるコア製品の開発を担い、同時に生産技術と連動し、品質向上を基盤とする性能、機能、耐久、経済性を追求。
-各種データ解析を行う解析棟、振動実験、耐温測定などを行う耐久棟、システム構成部品として二・四輪の実車レベルでの評価が行えるシャシー棟で構成。

研究開発活動

四輪事業
-環境先進対応エンジンの燃料供給系および吸気系製品の開発 (商品化)
-ガソリン直噴インジェクターの開発 (商品化)
-トランスミッション油圧制御系製品の開発 (商品化)
-代替燃料供給系製品とシステムの開発 (商品化)
-エンジンおよびトランスミッション電子制御ユニットの開発 (商品化)
-ハイブリッド車用モーター/バッテリー制御ユニットの開発 (商品化)
-リチウムイオンバッテリー用セル電圧センサーユニットの新開発 (商品化)
-ハイブリッド車用パワーコントロールユニットの開発 (商品化)
-カーエアコンシステム製品の開発 (商品化)
-カーエアコン用熱交換器の開発 (商品化)

製品開発

天然ガス自動車 (NGV) 用燃料供給システム
-天然ガス自動車 (NGV) 用に新型の燃料供給システムを開発したと発表。インジェクター、電子制御ユニット (ECU) など四つの部品を組み合わせたシステム製品として初めて販売する。ホンダがタイで2014年9月に発売した新型「シティ CNG」に採用された。同社はこれまでNGV用の燃料供給用部品をそれぞれ単品で自動車メーカーに納めてきた。新製品はシステム製品として販売することをコンセプトに開発したもので、低コスト化と同時に、小型~大型車、過給器付きエンジンなど幅広い車種への対応を可能にした。インジェクターは同社従来品に比べ15%の小型化と40%の軽量化を図り搭載性を向上した。ECUは同社独自の制御システムを採用し、既存のエンジン用ECUとの協調制御により走行性能を高めた。(2014年9月11日付日刊自動車新聞より)

設備投資額

(単位:百万円)
  2015年3月期 2014年3月期 2013年3月期
全社 18,915 21,179 24,365

2015年3月期の設備投資

-投資対象別:生産投資 14,130百万円、研究開発投資 916百万円、その他投資 3,869百万円
-生産投資地域別:日本 4,320百万円、米州 6,807百万円、アジア 2,031百万円、中国 972百万円

生産設備の導入

-切削加工機やロボットなど、自社開発の高効率な生産設備を国内外の二輪・四輪製品工場に導入すると発表。従来、市販品を活用していた設備を内製することにより、工場の自動化・省人化を低コストで実現。労務費が上昇する新興国でのコスト競争力強化につなげる。同社は国内外で二輪・四輪・汎用製品を生産・販売している。2020年度には3分野合計で、13年度実績の5割増に当たる6500万台以上の製品を生産する計画で、効率の良い生産体制を構築することが課題になっている。このため、生産速度が速く、設置面積も縮小できる設備を日本で開発してきた。15年度から順次、日本のほか、アジアなど海外の工場に本格的に導入する。(2015年3月25日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画

(2015年3月31日現在)
セグメントの名称 投資予定金額 (百万円)
日本 7,998
米州 4,761
アジア 3,940
中国 2,180
合計 18,879