(株) エフ・シー・シー 2014年3月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万円)
2014年
3月期
2013年
3月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 144,890 126,245 14.8 -
営業利益 13,639 10,964 24.4 -
経常利益 16,115 13,124 22.8 -
当期純利益 13,148 7,942 65.6 -
四輪車用クラッチ部門
売上高 67,161 55,240 21.6 -ホンダグループのトランスミッションのCVT化による影響はあったものの、北米における主要顧客の生産およびフォード向け販売の増加に加え、円安の進展により増収。
営業利益 4,661 3,798 22.7 -

新会社

<メキシコ>
-サンルイスポトシ州に四輪車用クラッチの製造販売会社を設立し、2015年春に生産を始めると発表。ホンダが15年後半にメキシコで生産を始めるCVT (無段変速機) のクラッチを生産する。新会社「FCC Automotive Parts de Mexico, S.A. de C.V」を同社が99%、子会社のFCC (North America), Inc.が1%出資し、資本金5万ペソ (約38万円) で6月に設立した。7月末に資本金を3億ペソ (約23億円) に増やし、生産開始に向けた準備を始める。2017年3月期までの累計でさらに45億円を投資する計画。2018年3月期には約60億円の売上高を目指す。(2013年8月1日付日刊自動車新聞より)

受注

<Ford>
-中国子会社の成都永華富士離合器 [Chengdu Yonghua. F.C.C. Clutches] が長安FordよりFF車用6速オートマチックトランスミッションのクラッチASSYおよび摩擦板を受注。2014年5月に量産を開始する予定。(2014年2月24日付プレスリリースより)

<Chrysler>
-米Chryslerからオートマチックトランスミッション用クラッチを新規に受注。Chryslerとの取引は初めて。米国の子会社で生産し供給する。クラッチの完成品と摩擦板を受注した。クラッチの組み立てはインディアナ州のFCC (Indiana) LLC.で行い、摩擦板や芯板はノースカロライナ州のFCC (North Carolina) LLC.で生産する。アルミダイキャスト部品はインディアナ州のFCC (Adams) LLC.で生産する。(2013年8月27日付日刊自動車新聞より)

<ZF>
-2011年6月にZFより受注したFF車用9速オートマチックトランスミッションのクラッチASSYおよびディスクセットに関して、2013年5月より生産を開始したと発表。米国インディアナ州のFCC (Indiana), LLC.でクラッチASSYを、同州のFCC (Adams), LCC.でアルミダイカスト部品を生産しているほか、ノースカロライナ州のFCC (North Carolina), LCC.では摩擦板および芯板を生産。納入先は、サウスカロライナ州のZF Transmissions Gray Court, LLCとなる。これらの製品による売上額は、2016年度で約70億円を見込んでいる。(2013年8月22日付プレスリリースより)

事業再編

天竜工場の生産継続
-2014年10月までに終了する予定だった天竜工場 (静岡県磐田市) での生産を継続すると発表。静岡県が6月27日に公表した「静岡県第4次地震被害想定 (第1次報告)」で津波や液状化の被害を受ける可能性がほとんどないことが分かった。摩擦板の生産を細江工場 (浜松市北区) に移管し、同工場での生産を終了する予定だった。しかし、静岡県の今回の被害想定によると、同工場が立地する場所は地震による津波の心配がないことや、液状化の可能性も低いため、摩擦板の生産を継続することにした。(2013年8月27日付日刊自動車新聞より)

>>>次年度業績予想 (売上、営業利益等)

開発動向

研究開発費

(単位:百万円)
  2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
全社 3,168 2,983 2,933
-四輪車用クラッチ部門 1,909 1,745 1,658

研究開発体制

-研究開発施設として、技術研究所 (静岡県浜松市)、生産技術センター (静岡県浜松市) を保有。

研究開発活動

四輪車用クラッチ部門
-CVTを含めたオートマチックトランスミッション用の湿式摩擦材およびマニュアルトランスミッション用乾式摩擦材を骨格として、小型軽量化、低コスト化および燃費向上に寄与するクラッチの研究開発を実施している。

-独自技術であるセグメント方式の摩擦板製造方案をベースに燃費性能と耐久性向上を図ったオートマチックトランスミッション用新湿式摩擦材および湿式クラッチの技術をベースにしたハイブリッド車用のトルクリミッターを量産化。

-新たな多段オートマチックトランスミッションに対応した新構造クラッチを開発。

-デュアルクラッチトランスミッション (DCT) 用クラッチを開発する。今後の採用拡大が見込まれる湿式タイプでの開発を進め、2016~17年の製品化を目指す。同社は二輪車用DCTクラッチを製品化しているが、四輪車用は未参入。乾式、湿式の両方式が採用されているが、同社は変速ショックが少ない湿式クラッチの採用が増える傾向にあると見て、同方式での開発を進める。湿式はオイルによる冷却効果によって耐熱性能が高いことが特徴。半面、クラッチの締結、解除時のすべり損失が乾式に比べ大きくなる。乾式クラッチはMT用で普及しており、コスト面でのメリットが大きい。主要取引先のホンダが「Fit Hybrid」に採用したハイブリッドシステムでは、独シェフラーの乾式クラッチを使った7速DCTを組み合わせている。(2014年3月20日付日刊自動車新聞より)

新製品開発
-多孔質ファイバー触媒シート (ペーパー触媒) の研究と、その応用としてエンジンの排ガス浄化用ペーパー触媒の研究開発を推進している。

設備投資

設備投資額

(単位:百万円)
2014年3月期 2013年3月期 2012年3月期
二輪車用クラッチ 3,026 5,059 5,593
四輪車用クラッチ 16,115 6,038 4,883
共通 1,232 677 575
合計 20,374 11,774 11,051

-中期的に成長が期待できる製品分野および研究開発の分野に重点を置き、合わせて省力化、合理化および製品の信頼性向上のための投資を行った。

海外投資

AT用クラッチの生産能力増強
-北米と中国で欧米メーカー向けにオートマチックトランスミッション (AT) 用クラッチの生産能力を増強する。2015年初頭には米・中合わせ年間150万台の生産体制を整え、新規受注先の独変速機メーカー、ZFなどに納入する。新規納入先の拡大により、14年末にはホンダ向けクラッチの減少分を補える見通し。欧米メーカーからのさらなる受注も見込み、16年以降も順次、生産能力の増強を図っていく。米インディアナ州の生産子会社、FCC (Indiana) LLC.にZF向けの組み立てラインを新設し、2014年3月期中に生産を始める。同子会社はホンダ向けのAT用クラッチを生産してきたが、ZF向けも生産して既存の生産能力を活用する。中国でも成都 (四川省) の工場に年間40万台の組み立てラインを設置し、2015年3月期をめどに欧米メーカー向けの生産を始める。(2013年4月5日付日刊自動車新聞より)

設備の新設計画

(2014年3月31日現在)
会社名/事業所
(所在地)
事業の部門 設備の
内容
投資
予定金額
総額
(百万円)
着手 完了予定
同社
浜北工場
(静岡県浜松市)
四輪車用クラッチ 建物
クラッチ製造設備
2,301 2014年4月 2015年3月
鈴鹿工場
(三重県鈴鹿市)
二輪車用クラッチ
四輪車用クラッチ
クラッチ製造設備 477 2014年4月 2015年3月
技術研究所
(静岡県浜松市)
研究開発 試験機および測定機器 434 2014年4月 2015年3月
竜洋工場
(静岡県磐田市)
二輪車用クラッチ
四輪車用クラッチ
クラッチ製造設備 337 2014年4月 2015年3月
子会社
FCC (Adams), LLC.
(米国 インディアナ州)
四輪車用クラッチ クラッチ製造設備 4,281 2014年4月 2015年3月
FCC Automotive Parts de Mexico S.A. de C.V.
(メキシコ サンルイスポトシ州)
二輪車用クラッチ
四輪車用クラッチ
建物
クラッチ製造設備
4,079 2014年1月 2014年12月
FCC (North Carolina), LLC.
(米国ノースカロライナ州)
二輪車用クラッチ
四輪車用クラッチ
クラッチ製造設備 3,537 2014年4月 2015年3月
FCC (Indiana), LLC.
(米国インディアナ州)
四輪車用クラッチ クラッチ製造設備 3,133 2014年4月 2015年3月
PT. FCC Indonesia
(インドネシア カラワン県)
二輪車用クラッチ
四輪車用クラッチ
クラッチ製造設備 1,717 2014年4月 2015年3月
成都永華富士離合器有限公司
[Chengdu Yonghua. F.C.C. Clutches Co., Ltd.]
(中国四川省)
二輪車用クラッチ
四輪車用クラッチ
クラッチ製造設備 1,149 2014年1月 2014年12月