Plastic Omnium S.A. 2012年12月期の動向

ハイライト

業績

(単位:百万ユーロ)
  2012年
12月期
2011年
12月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 4,806.2 4,220.4 13.9 1)
純利益 181.5 171.4 5.9 -
自動車部品
売上高 4,343.0 3,720.1 16.7 -

要因
1) 売上高
-2012年、北米、中国、欧州の市場シェア拡大および世界の自動車生産台数が増加したことが影響し、2012年の売上高は13.9%増加。
  • 北米:Fordの燃料システム工場の買収およびVolkswagen向けのメキシコ新工場の立ち上げが寄与。
  • 中国:4工場の立ち上げが市場シェア向上に寄与。
  • 欧州:既存顧客だけでなく新規顧客の増加により市場シェアが向上。

事業再編

-同社は、ドイツにおける自動車事業の再編計画を発表。Eisenach-Thuringia工場でのバンパー生産を中止する予定。同工場には現在、約200名の従業員が勤務している。ただし、同工場の燃料タンクおよび燃料システムの生産は引き続き行う予定。(2012年11月23日付プレスリリースより)

事業戦略

-BRICs諸国 (ブラジル、ロシア、インド、中国) が世界の自動車市場で最も成長する地域とし、同社は今後同地域に注力していく。2016年までに中国のバンパー市場では25%、燃料システム市場では12%の市場シェアの獲得を目指す。また、自動車部門の売上高の20%をBRICs諸国が占めると見込む。

企業買収

-同社の外装部門は、インドPuneの合弁会社に関して現地パートナーVarrocが保有する株式40%を取得し、完全子会社化したと発表。同合弁会社はGM、Mahindra & Mahindra、Volkswagenにバンパーを納入している。(2012年9月18日付プレスリリースより)

合弁会社

-2012年4月、同社の燃料システム部門Inergy Automotive Systemsはロシアの自動車部品メーカーDetalstroykonstruktsiyaと、ロシアに合弁会社DIPOを設立することで合意したと発表。Inergyが51%出資する新会社は、InergyのStavrovo工場、DetalstroykonstruktsiyaのTogliatti工場を使用する。DIPOは燃料システムを製造し、供給先はAvtoVAZ、Ford、日産、RenaultおよびGM。

-2012年1月末、Inergy Automotive Systemsは、北京汽車工業 (BAIC) 子会社の北京海納川汽車部件 (BHAP) と、中国に合弁会社を設立すると発表。Inergy部門が60%、BHAPが40%を出資する。

受注

-同社は、米国サウスカロライナ州SpartanburgのBMWの工場に、「X5」および「X6」向けバンパーの納入を行ったほか、「X3」および「X4」向けバンパーの新規供給契約により受注残高を増加させている。

-Inergy Automotive Systemsは、現代自動車よりプラスチック燃料タンクを初受注したほか、Chennai近郊のRanipetに位置するトヨタ拠点より同様の契約を受注。

-同社の英国拠点は、Jaguar Land Rover向けにテールゲートを供給。(2012年4月19日付プレスリリースより)

-ドイツ拠点はMercedes-Benzのトラック向けに車体部品の供給を開始。(2012年4月19日付プレスリリースより)

-Inergy Automotive Systemsは、同社が生産するディーゼル車用SCR (選択触媒還元) システムの大部分をAudiへ納入する契約を締結した。2015年より、年間50万基の供給を開始する。受注金額は500百万ユーロ。このほか、GMやChrysler向けにも供給を行っている。(2012年2月2日付プレスリリースより)

-2012年、中国・南京工場がVolkswagen 「Lavida」および「Santra」、Skoda 「Rapido」向けバンパーの大量生産を開始。

受賞

-2012年12月、Inergy Automotive Systemsはトヨタより「World Quality award」を受賞。グローバルプラットフォーム向け製品の品質が高水準であったことが評価された。また、同年4月にはInergy Automotive Systemsのインド Vellore拠点が「Best Quality Supplier Award」をトヨタより受賞。インドで生産されたプラスチック製燃料システムが評価された。

-2012年、インドのPune拠点がMahindraより「Product Development Excellence Award」を受賞。「XUV 500」向けのフェンダーおよびフロントエンドユニットのデザイン・開発・製造が評価された。

開発動向

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
合計 243.7 206.2 143.7

研究開発体制
-4カ所のR&Dセンターおよび10カ所の開発・エンジニアリング拠点で、全従業員の6%に相当する1,400名以上のエンジニアが研究開発に従事。


-燃料システム部門Inergy Automotive SystemsはフランスのCompiegne近郊にあるVenette拠点に国際研究開発センターを2014年に開設すると発表。排出ガス削減への取り組みにより、エネルギーや環境保護など自動車産業における今後の主要分野に対する強化・促進を目指す。また、現在Venetteおよびフランス中部Lavalに分割されている従業員430名と、ベルギーBrusselsにある研究開発センターのエレクトロニクスチームを新拠点に集約する。開設後2年以内に従業員約500名が勤務する見込み。(2012年6月28日付プレスリリースより)

-同社は2,585件の特許を保有。その内、52件は2012年に取得。

-2012年、フランスLyon近郊のインターナショナルR&Dセンター「Σ-Sigmatech」では、複合材を使用した車体構造部品の製品開発スピードを強化している。


研究開発活動

-自動車部門ではCO2およびNOxの排出削減に注力するため、以下の3テーマに関する研究開発を実施。
  • 車両の軽量化、空力設計の最適化
  • 排ガスコントロールシステム
  • HVおよびEV用パワートレインに関する支援

-同社は2020年までに、従来の鉄製部品と比べ最大25-30%乗用車の重量を削減できる以下の製品を開発する。

  • バンパー
  • フェンダー
  • サーモプラスチック製燃料システム
  • 複合材製フロア・テールバックモジュール
  • 高性能複合材製構造部品

製品開発

炭化水素排出の抑制
-Inergy部門は、TSBM (Twin Sheet Blow Molding) や、SCRで炭化水素、NOx、CO2等の削減を推進。
  • TSBM:燃料タンクを製造したあとに部品を溶接するのではなく、ブロー成形時に燃料タンク内に多くの部品を組み込むことで炭化水素の排出を抑制する技術。
  • DINOx Premium:第二世代のSCRシステムはディーゼルエンジン車のNOx排出を95%、CO2排出を最大8%削減することが可能。サイズの最適化や性能強化により、2014年に欧州で発効予定のEURO VIを含む排出・燃費基準に対応可能。
ハイブリッドテールゲート
-2012年、同社は熱可塑性プラスチックと熱硬化性樹脂を組み合わせたハイブリッドテールゲートを開発。従来製品より軽量化を実現。Peugeot 「508 SW」、Range Rover 「Evoque」に採用。

設備投資

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2012年12月期 2011年12月期 2010年12月期
合計 261 228 138

設備投資見通し

-2013年-2016年の3年間で、同社は設備投資に12億ユーロを投じる見込み。主に欧州外の製造拠点の能力強化や、環境対応製品に関する投資に注力する方針。

海外投資

<米国>
-米国ミシガン州のHuronにおいて燃料システム工場を開設。2011年6月にFordより買収したMilan工場からの生産移管を徐々に進めている。(2012年10月25日付プレスリリースより)

<メキシコ>
-2012年11月、燃料システム部門Inergy Automotive Systemsは、Puebla工場を建設しVolkswagen Group向けの燃料システムの製造を開始。また、同拠点に外装部門の塗装ラインも新設。

<ロシア>
-Inergy部門は、2013年にロシアのSaint-Petersburgに新工場を建設すると発表。日産、GM、Fordに納入する予定。新工場を建設するのは、同社 (51%出資) とロシアの燃料システムメーカーDSKが2012年4月に設立した合弁会社。(2012年9月18日付プレスリリースより)

<中国>
-2012年、同社は中国に6工場を開設。内、4工場 (儀徴市、武漢市、深圳市、瀋陽市) は外装部門に属し、Yanfen Visteonとの合弁会社YFPOにより開設。その他2工場 (瀋陽市、広州市) はInergy部門に所属し、GM、トヨタ、北京汽車向けの製品を2014年に製造開始予定。