Bosch [Robert Bosch GmbH] 2015年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
2015年
12月期
2014年
12月期
増減率
(%)
要因
全社
売上高 70,607 48,951 44.2 1)
EBIT 4,587 3,030 51.4 2)
モビリティー・ソリューションズ
売上高 41,657 33,318 25.0 3)
EBIT 3,216 2,402 33.9 -


要因
1) 全社売上高
-2015年12月期の売上高は、前年比44.2%増の70,607百万ユーロ。米ドル、中国元、ポンドおよびフランに対するユーロ安による為替の好影響で約40億ユーロを計上。旧合弁会社のBSH Hausgerate and Automotive Steeringが通年で連結対象となったことから165億ユーロを計上。これら為替と買収の影響を除くと、前年比3.8%増となる。

2) EBIT
-2015年12月期のEBITは、前年比51.4%増の4,587百万ユーロ。事業からのEBIT増益が全体的なEBIT増益につながっており、特別な増益要因に伴う黒字分が減益要因による赤字分を相殺した。特別な増益要因はAutomotive Steering and BSH Hausgerateの統合で、減益要因には産業用テクノロジー部門の減損と、大型ギア事業の売却に伴う損失が含まれる。

3) モビリティ・ソリューションズ 売上高
-同部門の2015年12月期売上高は、前年比25.0%増の41,657百万ユーロ。高効率パワートレインシステム、運転支援システム、最新ディスプレイおよびインフォテインメントシステムへの需要増加が貢献。このほか、2015年12月期の売上に貢献した製品には、ブラシレスモータープラットフォーム、電動ステアリングシステム、センサー、排ガス処理システム、燃料噴射システムなどが含まれる。

買収

-2015年1月、ZFとの折半出資による合弁会社ZF Lenksystemeに関して、ZFが保有する株式50%を取得し完全子会社化したと発表した。これにより、ZF Lenksystemeは新たに 「Robert Bosch Automotive Steering GmbH」 として、Bosch Groupの傘下となる。(2015年1月30日付プレスリリースより)

-2015年9月、米国カリフォルニア州で次世代リチウムイオン電池の開発を行うSeeoを買収したと発表した。これにより、同社は独自のバッテリー技術に加え、固体電池に関する専門知識と専用特許も保有することになる。固体技術を用いて電極を高純度のリチウムにすることで、貯蔵容量を大幅に増やすことができるという。同社は、EV向けの新たな電池技術を開発し、早ければ5年以内に生産準備を整えたいとしている。2020年までにエネルギー密度を倍以上にできる可能性があり、1度の充電による走行距離が150kmのEVは、より低コストで300km以上の走行が可能になるという。(2015年9月15日付プレスリリースより)

合弁事業

-2015年7月、韓国のワイパーメーカーKyung Chang Wiper (KCW) との合弁会社設立を発表した。新会社 「KB Wiper Systems」 は大邱 (Daegu) を本拠とし、数週間以内に営業を開始する予定。従業員数は約700名。Boschは、韓国のワイパー事業を新会社へ譲渡する予定。同社は過去5年間で、韓国の生産・エンジニアリング拠点の拡張に200百万ユーロ超を投じている。(2015年7月6日付プレスリリースより)

再編

-2015年7月、2015年末までにスターターモーター・ジェネレーター部門を独立企業として分社化すると発表した。また、同部門の合弁相手や売却先の検討も引き続き行う予定。(2015年7月2日付プレスリリースより)

提携

-昆明雲内動力股份有限公司は、2015年11月18日、博世汽車柴油系統有限公司 [Bosch Automotive Diesel Systems Co.,Ltd.] と戦略的長期提携の枠組み合意書を結んだと発表した。両社は製品の共同開発、技術提携を行うとともに、環境型電子制御式高圧コモンレールディーゼルエンジンの中国市場開拓、クリーンディーゼル車の普及などの分野で協力するとしている。(2015年11月19日付け会社公告より)

-同社と騰訊 (Tencent) は、2015年9月14日、自動車ネットワークの分野で提携すると発表した。騰訊は同社の全ての運転関連アプリを1つのアプリに集約し、Boschはスマートフォン統合ソリューションmySPINを介して当該アプリを車両に統合する。mySPINは騰訊アプリ、捜狗 (Sogou Navi)、高徳 (AutoNavi)、百度 (Baidu Navi) など20余りのアプリと提携し、ナビゲーション、音楽、ニュースなど各方面のサービスを提供している。(2015年9月21日付け各種リリースより)

-2015年4月、アルバックと次世代MEMS(微小電気機械システム)用のデバイスを共同開発することで基本合意したと発表した。同社はアルバックの持つ圧電素子の製造技術を用い、様々な用途で需要が拡大すると見られる先端MEMSを開発する。同社はアルバックが開発したスパッタリングシステム 「SME-200」 を、今後の先端MEMSの開発に採用した。(2015年4月11日付日刊自動車新聞より)

受注

-2015年11月、同社のマルチメディアユニットがスズキの複数のモデルにグローバルで採用されたと発表した。7インチのカラータッチスクリーンディスプレイは、実用的なネットワーク機能を1つのユニットに統合しており、「Mirror Link」 やApple 「CarPlay」 によるスマートフォン連携ソリューション、先進的なマップナビゲーションとボイスコントロール機能、Bluetoothハンズフリーキット、オーディオストリーミング機能、ラジオ受信機能などを備える。また、SDマップナビゲーションは、選択した目的地までの推奨ルートを音声により正確に案内することができるという。(2015年11月5日付プレスリリースより)

-2015年5月、Chrysler 「Ram 1500」 の2015年モデル向けにクリーンディーゼルシステムを納入している。同モデルに搭載された3.0L EcoDiesel V6エンジンには、同社のコモンレールディーゼル噴射システムが採用。さらに、このシステムの高圧ポンプ、センサー、エンジンコントロールユニット、排ガスコントロールシステムも同社製品となる。なお、同社のコモンレールディーゼル噴射システムを採用した3.0L EcoDiesel V6エンジンは、2015年はじめに2度目の 「Ward's 10 Best Engine」 に選出されている。(2015年5月19日付プレスリリースより)

-2015年5月、Porscheの3種類のプラグインハイブリッドモデル向けに、駆動システムを納入していると発表した。「Cayenne S E-Hybrid」 および 「Panamera S E-Hybrid」 には、パワーエレクトロニクス、電池パック、電気モーター 「IMG-300」 が搭載され、「918 Spyder」 のフロントアクスルには、電気モーター 「SMG 180/120」 が採用されているという。(2015年5月12日付プレスリリースより)

-同社の緊急ブレーキシステム搭載のステレオビデオカメラは、Land Roverの新型 「Discovery Sport」 に標準搭載されている。緊急ブレーキシステムのほかに標識認識システムや車線逸脱警報など、同社のステレオビデオカメラをベースにしたドライバーアシスタンス機能が搭載されている。(2015年5月4日付プレスリリースより)

-2015年3月、同社のワイパーアーム 「Jet Wiper」 がVolvoの新型 「XC90」 に標準搭載されると発表した。ワイパードライブとAerotwinワイパーブレードを装備したこの 「Jet Wiper」 は、従来のフロントガラス用ワイパーシステムに比べてはるかに優れた機能を持つという。スプレーノズルがワイパーアームに組み込まれているため、効率的な洗浄が可能になる。ノズルが均一にウォッシャー液をスプレーするため、ワイパーブレードの全長にわたってフロントガラスを洗浄できる。噴霧によってドライバーの視界が遮られることがなく、ウォッシャー液の必要量も50%抑えられるという。(2015年3月16日付プレスリリースより)

事業動向

-2015年9月、Volkswagenが米国でディーゼル車の排出ガス規制を不正に逃れていたとされる問題で、Volkswagenのモデル向けにコモンレール噴射システムおよび排ガス後処理システム用のドージングモジュールを納入していたと発表した。同社によれば、これらの部品はVolkswagenが定める仕様に基づいて供給したもので、部品のキャリブレーションや車両システム全体への統合に関しては各自動車メーカーの責任になるとしている。(2015年9月24日付プレスリリースより)

-2015年6月、同社日本法人は定例の年次会見を開き、2014年の売上高が前年比9%増の約2750億円(20億ユーロ)だったと発表した。二輪・四輪用のアンチロックブレーキシステム (ABS) や横滑り防止装置 (ESC)、無段変速機 (CVT) 用ベルトなどの販売が好調だった。ヴォルツ社長は 「15年は売上高の伸びが鈍化するが、前年を上回ることができる」 との見通しを示した。(2015年6月23日付日刊自動車新聞より)

2016年12月期の見通し

-2016年12月期の売上高は前年比3%~5%増と予測。モビリティ・ソリューションズ部門の成長率は全社成長率を大きく上回ると見ている。

事業戦略

地域別計画
<アジア太平洋>
-同地域には2015年12月期に約11億ユーロを投資、前年は620百万ユーロだった。特に中国におけるディーゼルおよびガソリン直噴システムへの投資が大半を占めている。このほか、ベトナムで新たなエンジニアリングセンターの建設を開始、インドでは生産拠点およびエンジニアリングセンターを拡張した。全社的な設備投資額のうち、アジア太平洋地域が占める割合は26.8%。

<米州>
-北米・南米地域には2015年12月期に460百万ユーロを投資、前年は220百万ユーロだった。米国ミシガン州Plymouthのエンジニアリング拠点、サウスカロライナ州Charlestonの生産拠点、メキシコJuarez州TolucaおよびAguascalientes州の生産拠点などの拡張に充てられている。北米・南米地域への投資は全体の11.2%を占めている。


自動車市場向けの開発方針
-モビリティ・ソリューションズ部門は、コネクテッド、自動運転、電動化分野におけるリードポジションを維持していく目標を掲げている。

-電動化分野には毎年約400百万ユーロを投資する。

-自動車の電動化、自動運転、コネクティビティ分野に注力するため、スターターモーターおよびジェネレーター部門をスピンオフすることを決定、提携先または売却先を探している。

<電動化>
-電動化分野において、2015年に米ベンチャー企業のSeeo Inc.を買収したことにより、電気自動車向けポジションを強化した。Seeoの専門技術であるリチウムイオン電池用の固体セルは、2020年までにバッテリーのエネルギー密度を倍増させ、コストを半減させるという業界目標を達成する可能性があるとしている。

-電動化やコネクティビティと同時に、内燃機関の排ガス削減および燃費向上にも取り組む。2015年秋には、第2世代の48Vハイブリッドシステムを導入。このシステムは燃料節約とともにトルクを150Nm追加し、短距離走行時にはフルEVモードで運転できる。

-コネクテッドパワートレインの開発は、ナビゲーションシステムからの情報に基づく微粒子フィルターの再生タイミングによって、新たな燃料節約の機会を提供する。これにより、ハイブリッド車のバッテリーを積極的に充電することができる。

<電動ステアリングおよびアシストシステム>
-近年は路上安全向上に対するモチベーションが高まり、先進運転支援システム市場は急速に伸びている。この傾向は同社売上高にも表れており、年間30%強の増加率を示している。同社では約2,500名の従業員が運転支援システムの開発に従事している。

-大きな成果の1つとして、ステアリング部門 (旧合弁事業 ZF Lenksysteme GmbH) の統合があげられる。電動パワーステアリングは数多ある安全支援システムならびに将来の自動運転システムにおいて重要な部分を占める。電動パワーステアリングは主に乗用車や小型トラック向けだが、同部門では最近、大型トラック向けのServotwin電動油圧ステアリングシステムを導入し、これら車種への運転支援機能を拡充している。

<センサー>
-センサーは自動運転において重要な役割を果たしているとし、同社はMRR中距離レーダーセンサーを導入して顧客ベースを広げ、レーダーセンサー分野におけるポジション向上を図る。

<コネクティビティ>
-車とインターネットを接続するアプローチの1つとして、同社はドライバーのスマートフォンを活用する。同社では現在、ドライバーのスマートフォンを車両のインフォテインメントシステムに接続するために 「mySPIN」 を利用しており、約50種類の 「mySPIN」 システム対応アプリを提供している。また、プログラマー、ソフトウェアデベロッパー、デザイナー、プロジェクトマネージャーで構成するハッカソンのチームを組織して、新アプリの共同開発を促進している。

-コネクティビティについては、技術を伴うサービス事業に注力している。同社では 「Drivelog」 モビリティポータルを提供しており、ドライバーは電気自動車の空き充電スポットを探したり、車両の定期点検に関する情報を受け取ることができる。

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
グループ全体 6,378 4,959 4,543
-モビリティ・ソリューションズ 4,784 4,066 約3,600



-同社は技術および様々な市場で起こる変化に対して、積極的な役割を担うとしている。これらの機会を捉えるため、同社は継続して研究開発費の増額している。特に電動化、コネクティビティ、自動運転技術などのモビリティー・ソリューションズ部門において顕著となっている。

-2015年12月期の研究開発費は前年比28.6%増の6,378百万ユーロ。全社売上高に占める割合は10.1%から9.0%に下がっている。ステアリング事業部門およびBSH Hausgerateを統合した初年度であることが要因だが、2つの統合が前年に完了していれば、2014年12月期は9%程度にとどまっていた。

研究開発体制

-2015年12月末時点の研究開発要員は約55,800名。

研究開発拠点

<米国>
-2015年12月、米国ペンシルベニア州のPittsburghに51,667平方フィートの技術センターを開設すると発表した。開設は2016年7月を予定しており、これにより同地域における拠点の面積を倍増する計画。同社子会社でMEMS (micro-electromechanical systems) マイクロフォンを生産するAkusticaのほか、Pittsburghにある研究技術センターといった事業を拡大している部門が入居する。新センターには、まず従業員約140名が勤務する予定。(2015年12月21日付プレスリリースより)

<中国>
-2015年11月、中国連雲港 (Lianyungang) に位置する博世 (東海) 汽車測試技術中心 [Bosch (Donghai) Automotive Test & Technology Center Co., Ltd.] の第2期工事部分の運用を開始したと発表した。このセンターは自動車テストコースと付属施設から成るもので、総投資額は591百万元、敷地面積は約1,396,000平方メートル。第1期工事部分は2013年6月に運用を開始した。今回開業したのは、第2期工事として増設したブレーキテストエリア、トラクションコントロールシステム (TCS) テスト用坂道、周回路、操縦性能試験路の4つのエリア。アンチロックブレーキシステム (ABS)、電子スタビリティプログラム (ESP) などのセーフティ技術やドライバー補助システムなどの実走行試験が可能で、国内外の法規制と基準に沿った自動車、オートバイ試験を行うことができる。このセンターは外部ユーザーにも開放しており、顧客のニーズに応じて試乗サービスなども提供する。(2015年11月16日付け各種リリースより)

<ドイツ>
-2015年10月、ドイツのRenningenに新たな研究センターを開設したと発表した。投資額は約310百万ユーロ。研究開発・先端エンジニアリング部門に属する約1,200名の従業員と、博士課程の学生およびインターン500名が勤務している。これらの研究者たちはこれまで、Stuttgart地域内の3カ所の拠点に分散して勤務していた。ソフトウェア工学、センサー技術、自動化、運転支援システム、バッテリー技術、自動車用の改良型パワートレインシステムなどの分野に注力する。新センターは、本館のほかに11の実験室棟、作業用建物、サイト管理用施設が2棟、さらに運転支援システムを試験するためのテストコースを保有している。(2015年10月14日付プレスリリースより)

-2015年8月、ドイツのAbstattに位置する開発センターを拡張すると発表した。投資額は約70百万ユーロの見込み。Abstattは同社のシャ シーシステムコントロール部門と同社の完全子会社Bosch Engineeringの本拠となっている。同プロジェクトでは、新たに2棟の建物の建設と1,300台分の駐車スペースの設置を計画している。建物2棟 の面積は約3万平方メートルで、オフィス、ミーティングルーム、開発エリア、食堂を備える。完成は2018年半ばを予定している。(2015年8月3日付 プレスリリースより)

<ハンガリー>
-2015年8月、ハンガリーのBudapestでモビリティー・ソリューションズ部門の開発センターを開設したと発表した。同拠点では現在、4年前の2倍となる約1,300名のエンジニアが、運転支援システムやエンジン制御システム向けにエレクトロニクスや部品の開発を行っている。同社は2011年以降、面積5万平方メートルの同拠点の拡張に約1億ユーロを投資した。2013年にはハンガリー本社を開設している。(2015年8月7日付プレスリリースより)

研究開発活動

-Bosch Indiaは2015年11月、インド理科大学院 (IISc) と了解覚書 (MOU) を締結し、インド市場を中心とする研究への取り組みを強化する。モビリティ、ヘルスケア、エネルギー、水などの分野において研究を行い、成果を上げたいとしている。(2015年11月4日付プレスリリースより)

-2015年10月、自動運転車の高速道路での公道試験を日本で始めたことを明らかにした。ドイツや米国では実施しているが、日本では初めて。栃木県内でまずスタートし、順次、神奈川県や北海道でも行う。日本の自動車メーカーの車両にボッシュのカメラやレーダー、センサーなどの装置を搭載した自動運転車を仕立て、数日前から栃木県で公道走行試験を開始した。自動運転のためのアルゴリズムを組み込んだソフトウエアも開発し、制御装置に組み込んだ。(2015年10月29日付日刊自動車新聞より)

-2015年8月、自動運転車の開発を推進する 「Ko-HAF-協調型高度自動運転」 共同研究プロジェクトにおいて、サプライヤー、自動車メーカー、公的機関を含む多数のパートナーと提携すると発表した。「Ko-HAF」では、ドライバーが常に監視する必要がなくなる高度自動運転の実現に向けた取り組みを進める。同社はこのプロジェクトにおいて、車両の周辺状況などの情報を収集・活用するためのバックエンドソリューションの開発を担当する。また、同プロジェクトでは、高度自動化車両による正確な自己位置推定の実現にも取り組む。総予算は36.3百万ユーロで、プロジェクト期間は2018年11月までの予定。ドイツ連邦経済エネルギー省 (BMWi) が 「New Vehicle and System Technologies」 プログラムの一環として、16.9百万ユーロを支援している。(2015年8月25日付プレスリリースより)

-2015年7月、複数のCPU (中央処理装置) を同時に作動させられる組み込みシステムの開発に向けたプロジェクト 「AMALTHEA4public」 に参加していると発表した。このプロジェクトは、ドイツ、スペイン、スウェーデン、トルコから21のパートナーが参加しており、主に自動車業界における要件に取り組んでいる。プロジェクト期間は2017年8月までの予定。自動運転技術の推進により、個々のコンピューターはさらに多くのソフトウェアを作動させる必要があるため、システム全体がより複雑になる。これにより、将来的に組み込みシステムにおけるコンピューターの処理能力をさらに高める必要があるという。(2015年7月7日付プレスリリースより)

-2015年6月、同社とDaimler、Daimlerの子会社でカーシェアリングサービスを提供するcar2goは、駐車場内における自動駐車システムの開発を目指す試験プロジェクトを開始した。駐車場のインテリジェントインフラ、同社の車両制御ユニット、Mercedes-Benzの最新世代の車載センサー、car2goのカーシェアリングシステムを組み合わせることにより実現させる。このシステムでは、まずスマートフォンからcar2goで車両を予約。駐車場にある乗車ゾーンまで車両が自動で走行して来るので、そのまま乗り込むことができる。また、返却ゾーンに車を停めてスマートフォンから返却手続きを行えば、駐車場のインテリジェントシステムが車両を登録し、決められた駐車スペースに向かわせるという。(2015年6月9日付プレスリリースより)

-2015年5月、2台のTeslaの新型 「Model S」 を同社のテスト車両に追加した。自動運転向けに改造されたこの2台は、それぞれ同社の新製品を50個ずつ搭載している。車線や交通標識、空きスペースを認識するステレオビデオカメラ (SVC) を搭載したほか、1,300mのケーブルを配線し、400個のケーブルタイで固定した。これらの同社技術により、2台のTesla車両はドライバーが常時監視していなくても高速道路の入口から出口まで自律走行できるようになったという。同社は2013年はじめに公道での自動運転試験を開始。テスト車両は、これまでBMW 「325d Touring」 をベースとしていた。同社エンジニアたちは、この車両をもとに高速道路で数千kmの走破に成功している。(2015年5月19日付プレスリリースより)

-2015年1月、同社とBMW Group、Vattenfallの3社は、「Second Life Batteries」 プロジェクトを立ち上げたと発表した。このプロジェクトでは、ドイツのHamburgにおいて、EVの使用済みバッテリーを接続し大規模なエネルギー貯蔵システムを設置することで、電動モビリティおよび電力貯蔵に関する技術を向上させる計画。(2015年1月21日付プレスリリースより)

技術提携

-2015年7月、同社と地図・交通情報システムを提供するオランダのTomTomは、高度自動運転に向けた地図作成に関して提携すると発表した。これにより、TomTomは必要な地図を設計し、Boschは同社のシステムエンジニアリング技術を元に、これらの地図が満たすべき仕様を決定することになる。この地図はすでに、ドイツや米国の公道で試験走行が行われているBoschの自動運転車に使用されている。両社は、ドイツにおける高速道路や同様の道路全てを対象に、2015年末までに自動運転に向けた新しい高精度の地図を作成する計画。その後、欧州の他の地域や北米の道路に関しても順次カバーしていく。(2015年7月21日付プレスリリースより)

製品開発

高圧ディーゼルコモンレールシステム
-燃料噴射圧が2700気圧のディーゼルコモンレールシステムを開発。量産中のものに比べ200気圧の高圧化を図ることにより、筒内に噴射する燃料を一段と微粒化し、排ガス中に含まれる粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)を削減する。ディーゼルエンジンは二酸化炭素(CO2)の排出削減ではガソリンエンジンより有利な半面、今後の排ガス規制強化により、さらなるクリーン化が求められている。NOxの後処理に加え、燃焼のさらなる改善によって排ガスの浄化度を高める。(2015年12月1日付日刊自動車新聞より)

48Vハイブリッドシステム
-2015年9月、2017年までに48Vのハイブリッドシステムの生産を開始すると発表した。このエントリーレベルのシステムは、試験下のみでなく日常の運転条件においても15%の燃費向上に貢献する。また、電気ブースト機能により、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンのより力強い加速を可能にし、エンジンの加速時に150Nmのサポートを提供する。従来の400Vのハイブリッドシステムに比べて48Vの低電圧のため、廉価部品での対応が可能。大型の電気モーターの代わりに使用するジェネレーターは、出力を4倍に高めた。モータージェネレーターは、ベルトを使ってエンジンを最大10kWまでサポートする。パワーエレクトロニクスが低電圧補助バッテリーとモータージェネレーターを連携させており、DC/DCコンバーターは、48Vの車両電気システムから12Vの車載ネットワークへ電気を供給する。また、新たに開発されたリチウムイオン電池も大幅に小型化された。(2015年9月4日付プレスリリースより)

ステレオビデオカメラ
-カメラデータのみをベースにして緊急ブレーキシステムが機能するステレオビデオカメラを開発した。この緊急ブレーキシステム搭載のステレオビデオカメラは、Land Roverの新型 「Discovery Sport」 に標準搭載されている。通常、このシステムはレーダーセンサーもしくは、レーダーセンサーとビデオセンサーの組み合わせが必要となる。Boschのステレオビデオカメラは、カメラが同じ車線にいる前走車を障害物として認識すると、緊急ブレーキシステムがブレーキをかける準備を行う。ドライバーが反応しない場合は、システムがフルブレーキを作動させる仕組み。「Discovery Sport」 には、緊急ブレーキシステムのほかに標識認識システムや車線逸脱警報など、同社のステレオビデオカメラをベースにしたドライバーアシスタンス機能が搭載されている。(2015年5月4日付プレスリリースより)

駐車スペースのリアルタイムマップ
-道路に設置されたワイヤレスセンサーを活用して、利用可能な駐車スペースのリアルタイムマップを作成できるシステムを開発した。これらのセンサーは、駐車スペースが空いているかを認識し、インターネットを通じて情報を共有する。さらに、今後は空いている駐車スペースの傍を通り過ぎた車両もその情報を提供できるようになるという。近年多くの車両に搭載されている駐車支援機能用の超音波センサーが、道路に沿って隙間を認識する。この情報も車両からインターネットを通じて伝達され、リアルタイムマップに表示される。リアルタイム情報をユーザーのスマートフォンや車載ナビゲーション機器へ送信することで、駐車スペースを探す負担を軽減できるという。(2015年2月13日付プレスリリースより)

特許

-2015年、約5,400件の特許を申請。

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
2015年12月期 2014年12月期 2013年12月期
グループ全体 4,058 2,585 2,539
-モビリティ・ソリューションズ 3,100 2,200 2,200



海外投資

<ハンガリー>
-2015年12月、ハンガリー子会社Robert Bosch Automotive Steering Kft.において3つの開発プロジェクトを行ったと発表した。これにより、新たに130名の雇用を創出している。プロジェクトは総額360億フォリント (約125百万ドル) で、そのうち20億フォリントが欧州連合 (EU) から、700百万フォリントがハンガリー政府から支援された。同社は2015年に入って2つのプロジェクトを完了しており、今回、EUより10億フォリントが支援された72億フォリントの最終プロジェクトでは、Maklar拠点における雇用確保のほか、ステアリング部品に関する生産技術のアップグレードや生産能力の拡大が行われた。同子会社が実施した最初の2つのプロジェクトの1つでは、EUから10億フォリントの支援を受けて、2014年に乗用車用電動ステアリングギアの組み立てを開始した。もう一方のプロジェクトでは、政府より711百万フォリントの補助を受けて、工場の拡張および新技術を導入した生産能力の拡大のほか、電動ステアリングギア向けのラックバーやステアリングナットなどのステアリング部品の生産を2015年5月にMaklar拠点で開始している。(2015年12月7日付プレスリリースより)

<インド>
-2015年8月、インド子会社のBosch Limitedが同国で14番目となる生産拠点を開設したと発表した。カルナータカ州Bengaluru近郊のBidadiに位置する新工場では、ディーゼルシステム部門向けに生産を行う予定。2013年9月の着工以来、新工場には34億ルピー (約45百万ユーロ) が投じられた。面積は38,000平方メートル。Bidadi工場の建設は2期にわたり、第2フェーズは2018年に完了する予定。これまでAdugodi工場で生産していたディーゼル製品を引き続き生産し、従業員数は2,600名超を見込む。Adugodi工場と同様に、新工場でも単気筒コモンレールポンプや従来型の燃料噴射ポンプを生産する。フェーズ1ではコモンレール式燃料噴射システム用ポンプを生産し、2016~2017年までに新型のコモンレール式燃料噴射システム用ポンプの生産を開始する計画。(2015年8月27日付プレスリリースより)

-2015年1月、インド子会社のBosch Limitedは、タミル・ナドゥ州産業振興公社 (SIPCOT) に6番目となる生産工場を開設したと発表した。投資額は約500百万ルピー (6.2百万ユーロ) で、面積は6,500平方メートル。新工場の開設により、Bosch Limitedはインドにおいてガソリンシステム事業を拡大する。新工場は、四輪車および二輪車向けにパワートレイン用センサー、燃料供給モジュール、エアマネジメント部品を生産する予定。(2015年1月22日付プレスリリースより)