Oerlikon Graziano S.p.A. 2014年12月期の動向

業績*

(単位:百万スイスフラン)
2014年
12月期
2013年
12月期
増減率 (%) 要因
売上高

779

734

6.1 1)
EBITDA 82 67 22.4 2)


要因
1) 売上高
-Drive Systems部門の売上高は、前年比6.1%増。鉱業用、農業用需要が世界的に減少したが、建設用、インフラ用および高性能の自動車用、エネルギー産業用の需要が売上増に寄与した。

2) EBITDA
-Drive Systems部門のEBITDAは、前年比22.4%増。業務および構造的な効率改善プログラムによる利益増。

事業提携

2013年5月、同社とContinentalは、HV・EV用のモーターおよびトランスミッションシステムの統合技術の開発・販売に関して提携することで合意した。電動モーターとトランスミッションを統合最適化することで、電気パワートレインの効率を高めることを目的とする。今回の提携では、Oerlikon Grazianoが高性能トランスミッションの開発・生産・設計に関する技術を用いる一方で、Continentalのパワートレイン部門はHV・EVをはじめとする乗用車用パワートレインの専門知識を活用していく。(2013年5月28日付プレスリリースより)

受注

-2014年7月、新たに開発した自動マニュアルトランスミッション「OGeco」を2014年初めにDaimler 「Mercedes-Benz SLS AMG」 に搭載し、複数の欧州自動車メーカーがこの製品の試験を行ったと発表。 (2014年7月7日付プレスリリースより)

-2013年7月、シンクロナイザー累計20百万ユニット目を製造したと発表。現在の年産能力は1百万ユニット。同製品は、LamborghiniやAston Martin等のスポーツカーおよび農機や建機に採用されている。

-2012年、McLaren 「MP-12C」に同社のデュアルクラッチギアボックスが採用されたと発表。(2012年6月18日付プレスリリースより)

-2012年、7速自動マニュアルトランスミッション (AMT) をLamborghini 「Aventador」 に納入していると発表した。この超小型・軽量トランスミッションは、同社とVocis Driveline Controls (英国) が共同開発。インディペンデントシフティングロッド (ISR) と呼ばれる技術を採用している。ISRはシフティングロッドがギヤを分離する間に、別のシフティングロッドが次のギヤを噛み合わせることで、シフトタイムの短縮を実現。デュアルクラッチトランスミッションと比べて、シフトタイムが約50%短くなっている。(2011年3月15日付プレスリリースより)

-2011年、新設計デュアルクラッチトランスミッション (Dual clutch transmission: DCT) 3機種の量産開始。Aston Martin、Lamborghini、McLarenに搭載。

海外事業

<中国>
-2011年に設立された、中国江蘇省の蘇州に本拠を置く欧瑞康伝動系統 (蘇州) [Oerlikon Drive Systems (Suzhou)] が、2015年2月品質マネジメントシステム規格ISO 9001:2008を取得したと発表した。 (2015年2月13日付プレスリリースより)

<インド>
-2014年末、インドGujarat州Sanandにおいてインドで3番目となる工場の稼働を開始した。2015年第3四半期に第一段階のフル稼働に移る予定。新工場は高性能トラック、オフロード製品、乗用車向けに、トランスミッション用のシンクロナイザーの生産およびトランスミッション一式の最終組み立てを行う。敷地面積は約30エーカーで、従業員約500名を雇用する計画。なお、インドには新工場のほかにOerlikon Grazianoブランドの製品を生産するGreater Noida工場、Oerlikon Fairfieldブランドの製品を生産するBelgaum工場を保有している。

2015年12月期の見通し (全社)
* 為替レートは2014年12月期と同様と想定

  • 受注: 約10%増 (2014年12月期比)
  • 売上高: 約5%増 (同)
  • EBITDA率: 2014年12月期の実績を維持

研究開発費*

(単位:百万スイスフラン)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
Drive System部門 14 13 12

製品開発

2速自動マニュアルトランスミッション
-2014年12月、新型の2速自動マニュアルトランスミッションを開発したと発表。この電動トランスミッションは、EUが出資する研究プロジェクト「FP7」の一環として、「AVTR (適応型電圧と伝導率による最適な電動パワートレイン)」プロジェクトにおいて開発されたもの。単独で使用する場合は、EVで多段速度トランスミッションの利点を活かせるほか、独立した2つのアクスルに適用すれば四輪駆動になりスムーズなギアチェンジを可能にするという。 (2014年12月5日付プレスリリースより)

OG-Eco:ハイブリッド自動マニュアルトランスミッション
-2013年12月、新型の6速自動マニュアルトランスミッション (AMT) の詳細をドイツBerlinで行われるCITシンポジウム2013で発表。このトランスミッション「OG-Eco」は、デュアルクラッチトランスミッションに比べて軽量・高効率・低コストを実現。変速時のトルクの途切れを電気モーターで補完することで、スムーズなギアチェンジが可能になるという。2014年はじめから高性能FR車に搭載し、試験を開始する。このデモカーには「OGeco」のプロトタイプのほか、英国の制御機器開発メーカーVocisが開発した電気モーターや付属品も搭載される。Vocisは、「OGeco」の制御ユニットの開発を行った。 (2013年12月3日付プレスリリースより)

2SED:2速電気駆動トランスアクスルトランスミッション
-2013 CTI Shanghaiにおいて2速電気駆動トランスアクスルトランスミッション「2SED」を発表。2SEDは、横置きの駆動モーターと接続できる2速トランスアクスルトランスミッション。Mercedes 「E-VITO」に載せてデモが実施さたが、1速に比べて加速や登坂時の性能を向上した。また、コストを削減しながらCO2排出量およびノイズを削減できるという。(2013年9月20日付プレスリリースより)

4SED:4速電気駆動システム
-2013年7月、欧州市場向けに4速電気駆動システム「4SED」を発表。機械設計はOerlikon Grazianoが行い、シフト制御システムの開発は英国の制御機器開発メーカーVocis Drivelineが行った。「4SED」は、Grazianoの「eDCT」をベースとし、超小型の4速パワートレインに2つの駆動モーターを使用することで、最大効率が90%に近いところで走行できる。これにより、全体の効率は最大15%向上するという。このシステムは、都市型EV、ハイパフォーマンスカー、ハイブリッド4WD、電動バス・トラックなどさまざまな車両に搭載が可能。なお、試作品はDaimlerの電動マイクロバス「Mercedes-Benz Vito」 に搭載されている。 (2013年7月25日付プレスリリースより)

パラレルハイブリッド用トランスミッション
-2013年、パラレルハイブリッド用トランスミッションシステムを開発した。このシステムはフロント用電動モジュールで、Lancia 「037」の後輪駆動システムをハイブリッド4WD用に変換したもの。電動フロントアクスルを追加機能として取り付けるため、このラリーカーのシャシーを改良している。なお、マニュアルトランスミッションを組み合わせた内燃エンジンで駆動するリアアクスルは、そのまま採用している。 (2013年4月10日付プレスリリースより)

シンクロナイザー

-2012年、大型トラックのトランスミッション用にシンクロナイザーの製品群を開発。最初の製品は9速および14速のギアボックスに搭載され、トランスミッションの効率性を約10%向上する。また、同社製の「Long Life」シンクロナイザーと同様の高耐久性・高性能を実現するとともに、スムーズな噛み合わせに向けて最適化された内部作動システムを組み合わせた。さらに、この最初の製品では最大トルク18,000Nmを実現し、モリブデン被膜のスチールコーンを採用している。今後、炭素被膜のコーンの開発も行われる見込み。 (2012年6月29日付プレスリリースより)

設備投資額*

(単位:百万スイスフラン)
2014年12月期 2013年12月期 2012年12月期
Drive System部門 48 55 66

各種データ

地域* 2014年12月 2013年12月 2012年12月
アジア太平洋地域 2,232 2,294 2,010
欧州 1,949 1,951 1,902
北米 1,013 912 1,265
合計 5,194 5,157 5,177

地域別売上構成* 

(単位:百万スイスフラン)
  2014年12月期 2013年12月期 2012年12月末
アジア太平洋地域 80 78 86
欧州 410 380 396
北米 251 234 309
その他 38 42 35
合計 779 734 826