Compagnie Plastic Omnium SE 2019年12月期の動向

業績

(単位:百万ユーロ)
  2019年
12月期
2018年
12月期
増減率 (%) 要因
全社
売上高 8,493.6 7,244.6 17.2 1)
    -Plastic Omnium Industries 6,367.7 6,287.8 1.3
    -Plastic Omnium Modules 2,125.8 956.9 122.2
純利益 276.0 542.8 (49.2)

要因
1) 全社売上高
-2019年12月期の同社売上高は前年比17.2%増の8,493.6百万ユーロ。 119百万ユーロの為替効果による増加影響と、2018年7月のHBPOの取得による1,015百万ユーロの増加影響による恩恵を受けた。両者による上昇分は1.4%。

-同社の欧州における売上高は主にHBPO事業部門によって恩恵を受けた。特にドイツ、英国において生産の減少があったものの、ディーゼル車の排気ガス削減システムの収益増や、フランス・東欧での好調によってマイナスは相殺された。

-北米では、米国及びメキシコで受託生産を開始した新規プロジェクト、SUVやライトトラックセグメントでの製品露出増により売上増となった。

-アジアにおける売上高は、中国でのシェア拡大とHBPO事業における開発活動の推進によって増加となった。

 

買収

-フロントエンドモジュールを手掛ける合弁会社Hella Behr Plastic Omnium (HBPO) の持ち分33.33%をMahleから取得すると発表した。取得額は350百万ユーロで、自己資金でまかなう。これにより、HBPOの持ち株比率はPlastic Omnium66.66%、Hella33.33%となる。取引は2018年中に完了する予定。HBPOは、自動車のフロントエンドモジュールで世界シェア約20%を占める主要メーカー。年間に約600万ユニットを供給し、2017年の売上高は20億ユーロ。欧米やアジアに26の工場があり、2021年までに売上高30億ユーロに到達する見通しだという。 (201831日付プレスリリースより)

 

事業提携

-Mexico-Now は、HELLAPlastic Omniumの合弁会社でフロントエンドモジュールを手掛けるHBPOSaltillo工場が完成し、FCAの新プログラムをサポートする準備に入ったと報じた。HBPOは新工場が操業を開始する日やサポートするFCAプログラムの内容について明らかにしなかったが、先日北米国際自動車ショーで発表され、2019年3月から米国で発売予定の大型ピックアップトラックRam2500/3500」である可能性が高いという。新工場の開設により、HBPOはメキシコ国内で5カ所のジャストインシーケンス工場を操業することとなる。Pueblaの2工場ではVolkswagenおよびAudi向け製品を、Toluca工場ではFCA用モジュールを製造している。また、2018年には4番目の拠点をAguascalientesに新設し、Mercedes-Benz「A-Class」向け製品を生産している。(2019年1月21日付 Mexico-Nowより)

事業動向

-グループの20191-9月の業績が非常に好調だったと発表した。売上高は前年同期比17.0%増の685,200万ユーロ。好調なビジネスと同時に、同社は米国サウスカロライナ州Greer工場の設立に関して困難を経験した。その影響により、同社は2019年の営業利益率の見通しを約6%と修正した。なお、世界の自動車生産台数が前年比5%減と予測される中、同社の売上高についてはそれより最低5ポイントは上回るとしている。(2019108日付プレスリリースより)

-2019年9月、同社はAP Venturesに出資し、諮問委員会のメンバーになったと発表した。AP Venturesはロンドンに拠点を置く水素や燃料電池に特化したベンチャーキャピタル。Plastic Omniumは全期間を通して30百万ドルの出資を行うとしている。Plastic Omniumは水素を戦略的開発の軸とし、水素・燃料電池・電動モビリティ分野での革新的な企業に継続的な投資が行えるよう、AP Ventureに追加資金を提供する。Plastic Omniumによる投資は、ブリュッセルのクリーンエネルギー研究を行うΔ-Deltatechと武漢 (Wuhan) のアジアプロジェクトと水素事業を推進するω-Omegatechの2カ所の研究開発センターを開設した直後に行われた。AP Venturesの既存出資者には、トヨタ自動車と三井住友銀行が出資する未来創生ファンドや三菱商事、Anglo American Platinumやthe South African investment fund PICなどが含まれる。(2019年9月4日付プレスリリースより
 

受注

-2019年12月期、同社は243の新規プロジェクト立上げを行った。2020年度は207の立ち上げを予想している。

-ドイツの自動車メーカーから350バールの水素タンクの大規模受注を獲得したと発表した。バス向け製品の今回の契約は、欧州最大級のプロジェクトとなる。今回の受注と並行して、同社は乗用車用700バールの水素貯蔵タンクが「R134」認証を取得したことも発表した。現在は350バール水素タンクとCNGタンクが認証待ちだという。同社は2020年にベルギーHerentals工場に水素タンク専用の生産ラインを導入する。同社はロンドンに拠点を置く水素専用のベンチャーキャピタルファンドAP Ventures投資し、事業の強化を図っている。(20191121日付プレスリリースより)

  

研究開発費

(単位:百万ユーロ)
2019年12月期 2018年12月期 2017年12月期
合計 383 417.8 394.6

 

研究開発体制

-2019年12月31日現在、同社は26の研究開発拠点で約2,700名のエンジニアを有する。

 

研究開発施設

-2019年12月31日現在、同社は以下の地域に26の研究開発拠点を保有している。

  • 欧州およびアフリカ: 12
  • アジア: 8 
  • 北米: 4 
  • 南米: 2 


-総額100百万ユーロを投じて中国とベルギーに研究開発センターを開設したと発表した。両センターともにクリーンエネルギーシステム事業の一環で、排出ガス制御、燃料システム、新エネルギーに注力する。6月18日に武漢に開設したω-Omegatechは現在150名の技術者が従事し、2019年末までに200名近くに増員する見込み。燃料システムの開発、試験、試作などを専門とし、高圧水素タンクの試験および開発も行う同センターでは、現在57件のプロジェクトが進行中。一方、7月1日にブリュッセル空港近郊に開設したΔ-Deltatechは、排出ガス削減と燃料システムに焦点を当てた、クリーンエネルギーシステム事業の研究イノベーションセンターで、新エネルギー、燃料電池、水素貯蔵の研究開発の先駆者としての役割も担う。Δ-Deltatechでは2019年末までに150名を雇用する予定。(201974日付プレスリリースより)

  

製品開発動向

HELLAとの共同開発外装コンセプト「Front of the Car」
-HELLA(ヘラー)は、Plastic Omniumと共同開発の外装コンセプトFront of the Car」をフランクフルト・モーターショーに出展すると発表した。このコンセプトは車両のフロントエリアに包括的に統合された照明ソリューションで、多数のセンサー、関連照明モジュールおよびその他の構成要素が集約されている。両社は車両のフロントにインテリジェントシステムアプローチを導入することで、顧客に新たな設計の可能性をもたらすという。「Front of the Car」はマルチレベルのプロジェクトで、当初は方向指示器や輪郭照明など特定の照明モジュールを車両の前面に効率的に統合することに注力し、現在はレーダーセンサーやライダーセンサー、フロントカメラなどさまざまな電子部品などを統合する開発も進行中。今後は車両とその周辺、およびヘッドランプ間の通信用大型ディスプレイの統合も目指す。(2019911日付プレスリリースより)

 

設備投資額

(単位:百万ユーロ)
  2019年12月期 2018年12月期
Plastic Omnium Industries 304.3 414.0
Plastic Omnium Modules 26.5 17.6
その他 2.9 2.7
合計 333.7 434.3

 

2019年12月期の主な投資

-2019年12月期において、同社は以下の地域に6の工場を新規に建設した。

  • モロッコKenitra (Intelligent Exterior Systems):PSAに供給
  • インドBhamboli (Intelligent Exterior Systems):Chevroletに供給
  • スロバキアHlohovec (Intelligent Exterior Systems):Jaguar Land Roverに供給
  • 米国Greer (Intelligent Exterior Systems) : BMWに供給
  • ドイツVaihingen (HBPO事業) :Porscheに供給
  • メキシコSatillo (HBPO事業) :Dodgeに供給


-2019年度上半期の連結売上高の7.2%に相当する308百万ユーロを投資活動に充当したと発表した。この投資にはインテリジェント外装システム事業における、米国、スロバキア、インド、モロッコの4工場新設のほか、ベルギーと中国でのクリーンエネルギーシステム事業の研究開発センター開設、フランスの研究開発センター「Σ-Sigmatech」の拡張・デジタル化などが含まれた。なお同社は、2019年下半期には工場や研究開発に対して大きな投資活動は実施しないとしており、2019年通年での投資額は連結売上高の約6%になると見込んでいる。(2019年7月19日付プレスリリースより
 

過去の設備投資および投資計画

-2016年から2018年にかけての設備投資額が連結売上高の7.8%相当となる561.6百万ユーロだったと発表した。この投資プログラムには、BMW向け製品を製造する米国サウスカロライナ州Greer工場と中国瀋陽工場、Maruti Suzukiに製品を供給するインドHansalpur工場、日産向け製品を生産する米国テネシー州Smyrna工場、Daimlerにフロントエンドモジュールを供給するメキシコ工場の新設などが含まれる。現在はインド、モロッコ、スロバキア、中国、マレーシアの5工場と、メキシコ、中国、ドイツのモジュール組立施設の建設が進行中。また、2019年はベルギーBrusselsの新エネルギー分野の先進研究センター「Δ-Deltatech」と中国武漢のクリーンエネルギーシステム開発・テストセンターの新設を、2020年にはLyonのグローバル研究開発センターのデジタル化および拡張を計画する。(2019214日付プレスリリースより)

-2019年から2021年までの期間で、同社は連結売上高の6%を投資に使用する計画。(2016年から2018年は7~8%) 。設備投資額は、新規設備、既存製造拠点の最適化(インダストリー4.0、オペレーショナル・エクセレンスなど)、新規プログラムにおける開発、研究プロジェクトの立ち上げ費用等に使用される。
  

フランス国外の投資

<ドイツ>
-HBPOは、ドイツのザールラント州Kleinblittersdorfに工場を新設し、2020年9月よりダイムラー向け製品の量産を開始すると発表した。広さ15,000平方メートルの工場はSUV用のフロントエンドモジュールを製造し、後に電気自動車 (EV) 用のフロントエンドモジュールの製造も行うという。そのほか、将来的には様々な外装部品との組み付けも行い、親会社のPlastic Omniumに納入する。先行生産は既に近傍のSaarbruecken工場で5月から開始されており、製造移管後は別の製品が生産されるという。新工場は2020年末までに100名の従業員を雇用する予定。(2019年7月15日付プレスリリースより

<メキシコ>
-Mexico-Now は、HBPOSaltillo工場が完成し、FCAの新プログラムをサポートする準備に入ったと報じた。HBPOは新工場が操業を開始する日やサポートするFCAプログラムの内容について明らかにしなかったが、先日北米国際自動車ショーで発表され、2019年3月から米国で発売予定の大型ピックアップトラックRam2500/3500」である可能性が高いという。新工場の開設により、HBPOはメキシコ国内で5カ所のジャストインシーケンス工場を操業することとなる。Pueblaの2工場ではVolkswagenおよびAudi向け製品を、Toluca工場ではFCA用モジュールを製造している。また、2018年には4番目の拠点をAguascalientesに新設し、Mercedes-Benz「A-Class」向け製品を生産している。(2019年1月21日付 Mexico-Nowより)