米国の燃費規制強化:MY 2026でCO2排出量 171g/マイル、CAFE 52.0mpg

バイデン政権が2030年ライトビークル販売の50%をEV/PHEV/FCEVとする目標を発表

2021/09/22

要約

  本レポートは、米国バイデン政権が2021年8月に発表した、新しいMY 2023~2026の燃費基準、2030年にライトビークル販売の50%をBEV/PHEV/FCEVとする目標、およびEV充電網整備などの予算を含むインフラ整備法案の議会での審議の状況を報告する。

  米国環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は、MY 2023~2026の米国ライトビークル新燃費規制案を発表した。MY 2026でCO2排出量基準を171g/マイル、CAFE(Corporate Average Fuel Economy)を52.0mpg(約22km/L、mpg:miles per gallon)とするもので、オバマ政権下で2012年に策定された「2012 Final Rule Standards」を超え、米国のCAFE史上最も厳しい基準となる。

  EPAは、この規制は自動車メーカーが既に実用化している技術を活用し、またある程度のEV/PHEVを増やすことにより実現可能だとしている。MY 2026では内燃エンジン車が主流であり、EVとPHEVの合計はライトビークル販売の8%にとどまると予測している。

  バイデン政権は同日に、2030年のライトビークル販売の50%をEV/PHEV/FCEVとする目標を発表した。法的な強制力を持つものではなく、再強化した燃費規制やEV普及支援策などで自動車メーカーをリードする方針。

  大統領令の署名式に参加した自動車メーカー、UAWなどは、いずれもバイデン大統領の方針に賛成し協力を約束した。同時に、EV購入インセンティブ、充電網の整備、またはEV生産への支援を要請し、本計画を成功させるためにはそうした支援が必須と主張している。

  現在米国議会では、EV充電網構築への75億ドルの投資を含む総額1兆ドル規模のインフラ整備法案を審議しており、同法案は超党派で提案され既に上院で可決されている。しかし、民主党は同時に「気候変動」「教育支援」など幅広い分野に10年間で3.5兆ドルを投資する法案「$3.5 Trillion Package」を準備している。民主党執行部およびリベラル派議員はこの法案を優先して成立させたい考えだが、中道派議員は3.5兆ドルという財政規模に懸念を示し、民主党内の意見が集約されていない。この2件の重要法案の実現は波乱含みとされている。

2022 Ford F-150 Lightning Pro. トヨタ bZ4Xコンセプト
2022 Ford F-150 Lightning Pro プレプロダクションモデル(出典:Ford)
(バイデン大統領は2021年5月、同モデルを生産するDearborn工場を訪問した)
トヨタ bZ4Xコンセプトの北米仕様車、2022年に発売する予定(出典:トヨタ)


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